2003年3月4日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅 直人代表/定例記者会見要旨


全国行脚第二弾として桑原議員らと石川県輪島市を視察

【代表】今週の日曜日から月曜日の朝にかけて、全国行脚の第二弾として能登の輪島市の方に出かけてまいりました。この地域は石川3区というところで、わが党からは桑原豊さんが1区で奥田建さんとダブるということで今は比例ですが、3区に移って戦うということもありまして桑原さんと一緒に出かけたところです。

輪島塗で有名な地域であり、沈金という技法で漆器に模様をつける人間国宝の方にお会いし、車座集会のようなものを2回ほどおこない、とくに林業・漁業それからまちづくりの関係者とお話をいたしました。

これまでもまちづくりのような話はあちこちで聞くのですが、林業についてかなり深く突っ込んだ話を聞くことができたことは、私にとってこれからの問題に大変参考になりました。

いま炭素税ということが言われていますが、一方ではたくさんの炭素を吸い取る林業というものが大変現在は厳しい状態におかれている。細かいこともいろいろありますが、一般的には外材にやられているようですが、単にそれだけではないようですね。
やはり簡単にいうと、いま建物がほとんど合板でその合板の上にいろいろな紙や布を張っているわけです。

輪島ではアテという木があって、それに漆を塗りつけてそれを壁にしているのが昔からの住宅のようですが、日本の住宅ではそういう板を直接使うことがなくなっている。そして合板を使うことが多くなり、それがシックハウスを生んでいる。場合によっては花粉症もそういうことから来ていることが原因かもしれません。

私は日本の住宅のあり方そのものを、もっと日本の材木を、合板でない形で使う。そういうところまで遡って考える中では、新しい林業の展望があり得るのではないか。
そんなことを感じて帰ってまいりました。

週刊新潮を名誉毀損で訴えた裁判は、東京高裁で和解が成立

【代表】多少懸案でありました、私と大橋巨泉さんとが原告になって、週間新潮を名誉毀損で訴えていた事件が決着しました。お手元には和解の文章だけを載せておきましたが、最終的には2月28日の東京高裁で和解が成立いたしました。

それを見ていただくと分かるように、被控訴人は週間新潮に2001年8月16・23日号付けに控訴人らに関し誤解を招くような記述があったとの指摘があったことにつき、遺憾の意を表明する。簡単に言えばそのあとに付け加えてありますように、大橋巨泉さんの選挙において何か労働組合の支持を取り付けていたんだという一般的にはそれほど問題になる、ならないではないのですが、大橋巨泉さんの場合は市民派という形で出られたものですから、そういうことはないと言っているにも関わらず一方的に報道したということで、訴えていました。

向こうサイドから和解をということを何度も言ってきましたが、オープンにしていいのなら構わないですよと申し上げてきたのですが、一審の段階では和解はしたいが隠して欲しいということで、それでは和解できないということで蹴飛ばしていました。
二審ではこういう形で和解をし、かつその結果を表に出すことをお互い了解するということにしましたので、こういう中身で和解をしました。

事実を書かれるのは仕方のないことですが、事実と異なることを書かれた場合にはきちっと法的手続きをとらなければいけないと、あらためて思ったところであります。

大島農水相にケジメをつけさせなければ、小泉総理自身の責任問題に発展する

【代表】大島農水大臣の問題は、まさに衆議院を揺るがす問題になっております。最終的には一方では衆議院議長が、衆議院の法制局が今回とった行動を、結果責任という言葉が使われているようですがケジメをつけるのか。それを待つか待たないかは別として、今度は行政府の長である内閣総理大臣がある意味では主犯といえる大島農水大臣にもどういうケジメをつけさせるのか。

当然のことですが、大島農水大臣はきちっと責任をとって辞任をすべきではないか。
どうしても辞任はしないというのであれば、これは単に個人の問題ではありませんので、行政府と立法府、国会と衆議院と内閣というそういう問題でありますから、小泉総理大臣がそうしたきちっとしたケジメを責任としてとる必要があるのではないか。
それをやらなければ、今度は総理大臣自身の責任に発展するだろうと思っております。

小泉総理自身の実弟に対する疑惑は、総理ないし実弟に説明責任がある

【代表】昨日の予算委員会の中で、総理自身の実弟に関する問題の質疑がありました。いろいろな報道にも出ているように、明らかに以前の答弁と異なる答弁をしています。しかも異なるというだけでなく、答えるべきところを答えていない。つまり弟さんの会社が日立金属からお金を受け取ったということは領収書があったことから、新たに認められた。

それに対して、横須賀にいわゆる言われている公共事業に関するものではない、と言っているわけです。そうするとお金の授受はあったが、日立金属が言っているような趣旨のお金ではないということを国民に説明するには、それではどういうことに対する対価として受け取ったお金なのか。それを説明する責任は、今度は総理ないし弟さんにあるのは当たり前ではないでしょうか。

つまり払ったほうは、横須賀市の公共事業に関する成功報酬として払ったと言っているわけですから、そうではないと言う以上はどういう趣旨のお金なのか。たとえばその領収書にどういう中身が書いて、いつどこでどういう中身に対する対価として領収書が切られたのか、そこに書いてあるかどうか分かりませんが、少なくとも会社経営をしている弟さんからきちんと聞いて説明するのが当然の責任であると思っております。

そういう意味では昨日の質疑は、時間が切れたところもあったようですが、この点については委員長からも調査の要請があったと理解しておりますが、どこかの段階できちんとした答弁を総理に求めなければならないと思っております。

私から全体の状況を説明する必要はないと思いますが、この会社は弟さんが社長で、秘書官が監査役で、義理の弟さんで第一秘書が取締役である会社であり、弟さんの自宅が本社というか会社があるところ。従業員は帝国興信所の調査ではゼロということでありますから、きわめてファミリー色の強い企業で、少なくとも小泉さんが総理になった時点ではそういう形で存在していた会社です。しかも横須賀というのは言うまでもありませんが、小泉総理の地元でありました。

疑惑なんかないんだと総理は言われておりましたが、これだけ材料が揃うと疑わしいと見るのが一般的で、それをそうではないと言うのであれば、『いやいやそうではないんだ、こういうものを売ったからその対価でもらったんだ。あるいは別のこういう特別の技術を持っている人だから、その特別な技術に対するコンサルティング料としてもらったんだ』とか、きちっと説明されることは当然必要だろうと思っております。

<質疑応答>

坂井議員の秘書逮捕について、問われる議員の責任問題

【記者】自民党の坂井議員の秘書が政治資金規正法違反の疑いで逮捕されましたが、代表は坂井議員の責任についてはどのようにお考えか?

【代表】私も今日の新聞を通して少し読んでいるのですが、まだもっと深い真相があるのかないのかというところがもうひとつ定かではありません。もちろん表に出ているのは、政治資金規制法の報告義務を怠ったということのようでありますが、金額もかなり大きく単なる報告ミスということなのか、もっとそうでない何かがあるのかもう少し情報を集めてみないと分かりません。

いずれにしても政治と金の問題がこの国会でもいろいろな形で問題になっている中でありますから、月々100万円のお金をもらって1.200万円届け出があったというわけですが、かなり大きなお金ですのでそのあたりはわが党としてもしっかりと事実関係を誰かにお願いして調査してみたい。また報道ももう少し様子を見たいと思います。もちろん現時点でも、報道のとおりだとすれば問題がありますが、それがどの程度の重さの責任かはもう少し様子を見てみたいと思います。

リクルート事件の江副被告の判決を受けて

【記者】今日リクルート事件の江副被告に対して有罪判決が出ましたが、それに対する代表の感想と事件発覚から15年が経過したわけですが、日本の政界で何が変わったかについて代表のお考えをお聞かせください。

【代表】いろいろな時代に大きな疑惑というのがあるわけですが、私が議員になる少し前、1974年にいわゆる田中金脈というのがあって、田中首相が辞めた後に逮捕されるというロッキード事件がありました。このリクルート事件というのも大きな事件でしたし、前後関係全部は覚えていませんが金丸さんの事件などいろいろ大きな事件がありました。

リクルート事件とほかの事件との違いは、未公開株を譲渡するというちょうどバブルが始まる頃で、新しい企業が株を公開する、あるいは増やすといったときにそういうものを提供して事実上の贈賄をおこなっていたという、現金でなかったという意味で、ひとつは非常に特徴的であったと思います。

ひとつひとつの細かいことは全部覚えていませんが、これだけの事件であった中で江副被告に対する判決が執行猶予つきであったというのは、そういう意味で事件の大きさとの関係でいうと、ややそういうものかな、と私も細かく法律上のことを判断するところまで今日は調べておりませんが、若干そんな感想ももっています。

また当時いろいろリクルート事件にかかわった人たちが、まだまだ現役でたくさんおられるんだなというそんな感じがいたします。法律に違反した場合としなかった場合といろいろあるでしょうから、一概に言えませんがあえて感想を言えと言われれば、大きな事件の割には執行猶予つきの判決だったということと、多くの人が現役でおられるのだなというのが印象です。

内閣改造論は、小泉総理がいかに生き残りだけを考えているかを示す動きだ

【記者】大島大臣など今回大臣についていろいろ問題が出てきた今、自民党サイドでは急速に内閣改造説が浮上してきているようですが、それについてはどのようにお考えか?

【代表】ポイントは小泉さんがどうやって生き残ろうとするのか、逆に小泉さんをコントロールして自民党のいろいろなグループがどういう条件をつけるのか、もはや小泉さんは国民のために何かしたいという段階から、いかに生き残るかという段階に完全に移ってきている。その中のいわば動きだろうと見ております。

ですからいわゆる抵抗勢力的な人に枠をはめられるような内閣改造をしてしまえば、当然人気は下がるわけですが、かといってそういう抵抗勢力的な人の支えがなければ国民の支持もどんどん落ちていますから、逆に党内の支えがなければまた政権維持ができない。

つまりは、やっても失敗するでしょうし、やらなくても党内の支持がますます離れて、場合によっては9月の総裁選で対立候補が出てくる。対立候補を出さないためには、従わなければならないが、従えば国民の支持はもっとどんと落ちる。そういう意味ではどちらにいっても行き詰まりというそういう状況を象徴していることではないでしょうか。

内閣改造説浮上について

【記者】前回の内閣改造のときには武部さんが辞任をしないで代わったという経緯がありますが、それについてはどうお考えですか?

【代表】辞任をしないで代わったという言い方はちょっと正確じゃないのではないでしょうか。形式はよく知りませんが、大臣には任期はないわけです。代わるということは本人が辞めるか総理大臣が辞めさせるかのどちらかしかないので、形式的にはどちらであっても辞めたということですから、つまりは一人が責任をとった形で辞めるのか内閣改造という言い方のなかに紛れて辞めるのかの差であって、実質的にはいろいろ問題を抱えている閣僚を代えたということではないでしょうか。

責任をとって辞めたのではないということではなくて、内閣改造というのは皆さんの言い方であって、別に内閣改造という手続きがあるわけではありません。単に閣僚のなかの何人かが辞めて、何人かを新たに選べば改造というだけであって、別に衆議院、参議院で総理の首班指名をやり直すならこれは完全に新しい内閣ですが、首班指名をやり直さないということは、そういう意味では引責辞任であろうが、複数の人間が合意の上で代わったということだろうが本質的には変わりはない。

企業団体献金について党内の意見を集約しているところ

【記者】さきほどのリクルート事件や坂井議員の件に関して、企業団体からの献金について代表の考えをあらためてお聞かせください。

【代表】ご存知のようにわが党は、公共事業受注企業からの政治献金の寄付を受けることを禁止する法案を、すでに野党4党で提出をして、現在継続審議になっています。

党としてはそれが一番公式の立場で実現を目指していることであります。党の中にいろいろな議論は、これはご承知のとおり、幹事長を中心に個々の議員あるいは個々の総支部にアンケートのようなものをとって、これは自主的な問題ですからその中で党としてどういう形でやっていくかという議論のとりまとめをスタートさせている状況です。

公明党の企業団体献金の上限を設ける法案は統一自治体選挙のためのパフォーマンス

【記者】いまの問題に関連して、公明党が企業団体献金の一企業からの上限を150万円に設けた法案を準備しているようですが、それについての代表のお考えをお聞かせください。またこの法案が表に出てくることがあった場合、民主党としてはどのような対応をするのか考えをお聞かせください。

【代表】公明党がそういう案を出されたというのはマスコミ報道上は知っておりますが、わが党に説明があったとかどうかということは知りません。ですからこれは与党の中の話ですから、与党がまとまって法案を出すなら、そのときは真剣に検討しなければいけませんが、何かどうせ自民党が反対するだろうけれど統一自治体選挙の前だから公明党はちょっと違うんですよ、と言ってみたいだけであればこれは逆に言うとこれは国民を騙すことになります。

本当に言うのであれば、与党の協議の中でこれが合意できない場合はどうする、ということまで言わなければ、言ってみたけれど結局受け入れられなかったから仕方がないというのであれば、与党の立場ですから、野党の場合は言ってみて法律を出して採決に持ちこんでも残念ながら過半数をとれない場合は、これは民主主義のルールとして致し方ないと言わざるを得ないわけです。

しかし与党の場合は立場が違いますから、そういう行動をきちんととるのかどうかまずはそこをきちんと見極めたいと思います。ですからあまり早々とそれ以上のことを言っても、公明党などについてはあまり意味がないのではないでしょうか。


編集/民主党役員室


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