2003年1月21日(火) 戻るホーム記者会見目次

菅 直人代表/定例記者会見要旨


故石井紘基議員刺殺事件の初公判

 石井紘基さんが刺殺された事件の初公判が開かれました。石井紘基さんが元気であれば、この国会でも政官業癒着の問題を中心に大変重要な役割を担っていただけたと思いますが、残念ながらあの事件で亡くなってしまわれました。この公判についてご家族の方からも、犯人に対する大変強い憤りの言葉があったように伝わってきておりますが、私たちもなぜこうした正義の活動をしてこられた石井さんが殺されなきゃならなかったのかとの思いでいっぱいでです。この公判を私たちもしっかり見守っていかなければならない。それと同時に石井紘基さんのそういう思いを私たち自身がきちっと受け止めて、昨日から始まりました国会の中でも遺志を継いで頑張っていきたいと改めて思っているところであります。

小泉政権は『デフレ加速内閣』 

 政府から、「構造改革と経済財政の中期展望」の改訂版が昨日出されました。今日の答弁はほぼそれに沿った答弁だったと感じていましたが、一言で言えば『改革と展望』と言いますが、「中期展望」というものを見ておりますと、「展望」は『ゼロ』で「絶望」で埋まっているというのが私の見た印象であります。

 つまりは一年前の見通しと比べればすべてできなかったということを自ら証明している。たとえば物価の下落率も、当初は2003年度ではゼロというものになるという見通しであったものを、昨日発表されたものでは、2003年度は、マイナス0.9%。つまりは昨年の段階では、デフレは一応2003年度で止まると考えていたのが、止まらないどころかまだまだ続くという形になっております。結局のところデフレが加速しているということを自ら証明し、しかもそれを前提とした補正予算・本予算になっております。そういった意味では、この小泉内閣のやっている経済政策はまさに『デフレ加速政策』、『小泉デフレ加速内閣』だということを証明しています。

 明日の参議院の代表質問が終われば、いよいよ予算委員会が開かれることになりますが、私は予算委員会のトップバッターに立って「小泉デフレ加速内閣」の実態を国民にきちっと伝えて、いかにすれば日本の経済が再生できるか、これは先日の大会での私の挨拶に盛り込んでいますが、その政策をきちっと対峙させて議論を進めていきたいと考えております。

審議拒否をしているのは小泉首相

 また総理が、何か一方的に野党が審議拒否をおこなうようなことがあれば大変な問題だと、審議が始まる前からこんなことを言っておられるのは、まったくけしからん話だと思います。もともと私が知る限り審議拒否をしてきたのは、多くの場合が小泉総理あるいは政府与党です。つまりは聞いたことにまともに答えないのは、一種の審議拒否であります。昨年の1月には私が予算委員会で『構造改革なくして景気回復なし』と言うけれども、どういう形で構造改革をやることがどういう形で景気回復につながるのか説明してくれと1時間にわたって問いましたが、結局まともな答えはひとつも出なかった。時間は埋めているけれどもまともな答弁ができないというのも事実上、国民に対する説明責任を放棄している、説明責任を果たしていないわけですから、私のほうから申し上げておきたい。つまりは国民に対する説明責任を逃げないで、きちんと審議に応じてもらいたい。単に口をパクパクしていればそれで審議に応じたということではなくて、内閣の責任者として自らやってきたことはどういう形で効果を挙げたのか挙げていないのか、それに対してこちら側が問いただしますから、それに逃げることなく、ひるむことなく真正面から答えてもらいたい。審議拒否はしないでもらいたい、ことのことを強くこの場でも申し上げておきたいと思っております。

<質疑応答>

今日の石井一議員の代表質問

【記者】今日の代議士会で国対委員長が『石井さんが張り手をかます』と言ったが、実際どのような印象を代表は受けたか?

【菅】土俵を割ったかどうかは別として、小泉さんは常に相手をかわして土俵をグルグル逃げていたのではないでしょうか。最後は責任をとって辞めろということを石井さんが言われたわけですが、支持率の低い民主党にエールを送るのが精一杯で、自らがやってきた1年9ヶ月について何一つ真正面から答えていない。

 私流に言えば、口はパクパクさせているけれども、まともな答弁はひとつもない。逃げの一手だというのが私の印象です。

「次の内閣」の小沢ネクスト経済産業大臣について

【記者】次の内閣の小沢大臣が辞意を表明しているときくが、その対応は?

【菅】今日いろいろな方からご本人との話をしていただいております。私も昨日直接話しました。その中で留まってもらえるよう要請しております。現時点ではそういうことです。

【記者】党の経済政策について不満があるということだが、それについては?

【菅】例えばインフレターゲット論で言えば、自由民主党の中でもそれを強く唱える人もあれば、報道によれば野中さんはそれはまったくおかしいというようなことを言われている人もいます。政策論というのはいろいろな考え方や見方があるのは当然でありまして、それを議論する中からひとつの方向性を出していくわけです。

 私は金曜日に小沢さんと話したときに、大会での私の挨拶などを見ていただいて全体としての経済政策、つまりは需要拡大・雇用拡大というものに重点をおいた方向性ということでは、小沢さんの考え方が私とそう大きく違っているとは思わないものですから、そういうことを見ながら一緒にやっていきましょうと申し上げました。いろいろな議論があるのはいいことですが、できれば「次の内閣」の中でいままで同様にその中で議論をたたかわせてもらいたいなと思っております。

与党内でのインフレターゲット論

【記者】与党内でインフレターゲット論について、いろいろな意見が出ているがそれについては?

【菅】これは言葉の問題で非常に議論が混乱しやすいのですが、私流の表現をすればデフレというのはマイナス、デフレを阻止するというのは少なくともゼロ、あるいはマイナスをプラスにすることです。わが党の政策はデフレ阻止ですから、これは少なくともデフレの方向がマイナスだとすればゼロないしプラス、つまりインフレの方向になるように政策を進めるということです。広い意味でそれをインフレターゲットと呼ぶかどうかは別として、インフレ方向に進むように経済政策をとるべきだという考え方では、まさにそういう意味合いを持ち、それをインフレターゲットと呼ぶのであればそうも呼べるとも思います。

ただ、いま議論になっているインフレターゲット論で、方向性についてはデフレをもっと強めていいと言っている人はいない。小泉さんのようにやっている人はいますが・・・。そのときに例えば日銀が、国債を買うというような金融政策から更に踏み込んで現物の土地とか株を買うというようなところまでやってでも、達成のために行動すべきだというところまで来ると、果たしてそこまで中央銀行がやるべきことなのか、それなら国債を出して政府が財政出動でやるべきではないか、当然こういう議論が出るわけです。デフレ克服という点でインフレターゲットをインフレ方向に経済を進めるという意味でいうのであれば、私自身も賛成です。しかしそのやり方について、どこまでやっていいのかということは、ここは議論に多少幅があるところでしょう。

ですから金融政策、国債の積極的な買い上げなど金融政策的なものもあわせてデフレからインフレ方向に推し進めるという大きな意味でのインフレターゲット論であれば、私は賛成です。ただそれが、日銀が現物の土地を買うとか株を買うというところまでについては、それはやや金融政策を逸脱するのではないかと私自身は思っております。まさにこのあたりの議論をいま、次の内閣を中心に我党に中でも議論がある。あるいは他のところでもいろいろ議論があるという認識をもっています。

『デフレ阻止国民会議』について

【記者】国民会議について、大会後の会見で相手があるので具体的には言えないということだったが、北川三重県知事との連携について今後どのようにするのか?

【菅】先日から言っていますように、まだひとつの構想の段階で、田中長野県知事と話をしたり、あるいはいろいろな学者と話をしたり、また北川さんとも元々知っている関係で多少話をする機会がありますが、どなたにどういう形で何かを国民会議という構想に基づいて相談するというところまではまだやっておりません。

 明後日あたりに予算委員会の質疑が終われば、そういうところから私の考え方を大会の挨拶を含めて皆さんにもいろいろな形で伝わると思いますので、その中から更に具体的な動きにつなげていきたいと思っています。ですから、いま北川さんについてどうだああだというのは北川さんのほうからしても迷惑な話でしょうから、いま具体的に動いているという話ではありません。

綿貫議長の発言

【記者】昨日の綿貫議長の『憲法7条に基づく解散は、政府が勝手に思いついたら解散をやるぞという意味で、本当はおかしい』と発言したことについて代表はどう思うか?

【菅】これは昔から憲法解釈上の議論としては、常にあり得る議論としては出てきています。しかし現実には不信任案が可決されたとき以外で解散がされたことがないかというと、多くの場合が不信任案が提出されない中で解散がおこなわれている。いわゆる7条解散がおこなわれているわけでして、議長が自らというか国会の最高責任者がそのことに触れるというのはやや奇異な感じも率直なところいたします。

 ですからいろいろな議論があることは結構ですが、それを議長が言うというのはどういう意味なのか。あまり勘ぐる必要はないかもしれませんが、自民党内の派閥抗争に議長が絡んでいると見られ兼ねない、議長はあくまで国権の最高機関である国会の議長としての立場でものを言うべきだろう、それを超えてもし自民党内派閥的な発想がそこにあるとすれば、それは慎まれるほうがいいのではないかと私は思っております。

編集/民主党役員室


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