2005年9月16日 戻るホーム民主党文書目次

代表選立候補にあたって

菅 直人

<はじめに>
現在、民主党は結党以来の危機にある。そして、このことは、民主主義を機能させる上で必須の要件と考えてきた2大政党制の危機でもある。国会での活動も、衆議院で「自公」の議席が三分の二を超える状況で、民主党の存在感を出すことは容易ではない。この危機にあたって私自身が何をすべきかを熟慮した。この局面では、私の経験を生かし、全身全霊を振り絞って民主党再生の先頭に立つことが私の使命であると考え、民主党の代表選に立候補することを決意した。

<理念の明確化>
1998年の民主党結成以来、民主党は、選挙での議席の増大と政党合併で、今回の総選挙前には衆参議員数260名を超えるまで大きく成長した。その反面、「寄り合い所帯」と揶揄されるように政治理念が必ずしも明確でないとの批判を受けてきた。

自民党が、小泉首相のもと「強者の自由主義」、つまり「ホリエモンかホームレスか」に純化されつつある。これに対して、民主党も、政治理念を明確化する必要がある。私は、政治の目的は不幸になる人を最小化する「最小不幸社会」の実現にあると考えてきた。これは、イギリス労働党が掲げた「第三の道」とも共通する理念である。

同時に、薬害エイズ事件でも明らかとなった様に、霞ヶ関官僚は、国の行政情報を独占することでわが国の政治を実質上支配し、天下りポストの確保のため膨大な税金をねこばばしてきた。情報公開と地方分権化を徹底し、国民主権の政治を実現するため、「霞ヶ関の解体と再生」が必要だ。

民主党の政治理念として、「最小不幸社会の実現」と「霞ヶ関の解体と再生」を明確にしていきたい。

<反転攻勢>
小泉首相の攻勢は自民党の衆院選大勝で終わったわけではない。9月21日からの特別国会で、小泉首相は、首班指名、閣僚の再任、郵政法案の再提出、それにアスベスト対策などの法案を提出し、準備不足の民主党の出番を作らせない作戦だ。そして、10月末に特別国会が終わると内閣改造を「ポスト小泉」イベントに仕立て、年内の靖国参拝など、世間の注目を小泉内閣に集め続ける。民主党が反転攻勢の手を打たなければ、国民から民主党は「不要」というレッテルを貼られるであろう。そこで、これからの1年間で、民主党を再生し、戦う野党に生まれ変わらせる具体策を提言する。

<特別国会>
民主党再生の戦いは、この特別国会から始まる。与党が、衆院の議席で三分の二を超え、民主党に対する締め付けを強めている。国会対策は一筋縄ではいかない。野党間の連携などあらゆる知恵を動員して民主党の存在を示していかなくてはならない。小泉首相に対しては、当然のことだが、党首として先頭に立って論戦を挑み戦っていくつもりである。

9月21日から始まる特別国会では、次の行動が急がれる。

  1. 郵政改革について選挙のマニフェストに盛り込んだ貯金の上限の700万円引き下げを法案化し、対案として特別国会に提出する。
  2.  「民営化」の失敗例である道路公団民営化を、官製談合の解明が終わるまで延期する法案を提出し、「官製談合」と「民営化会社への道路公団幹部の天下り」を争点化する。
  3. アスベストに関する徹底調査と国会での集中審議を実現させる。
  4. 年金問題の取り組み
     私は、昨年5月の連休中スウェーデンを訪れ、年金問題について、スウェーデンの首相から、一元化され国民一人一人に年金口座がある透明性の高い、現在の「スウェーデン方式」の話を聞いた。超党派のスウェーデン視察などを民主党から仕掛け、年金改革の主導権を民主党がとる。

<組織運営の改革>
現在の民主党の組織運営は、「民主的」であるが、行動が急がれる問題でも対応に時間がかかり過ぎる。時間をかけて議論すべき重要政策課題を除き、スピード感を持った政党運営ができる体制を作る。特に、情報を国民に伝えることのできない政党は存在しないのと同じだ。国民への発信を強めるため、政策と組み合わさった運動、広報など情報発信分野の強化が急務である。組織の硬直化を防ぐ意味からも、老、壮、青の議員から構成される組織検討委員会を設け、党の活性化のため不断の組織改革に取り組む。

また、政策決定にあたって現場からの声に耳を傾ける姿勢は重要であるが、最終的には、支持団体との摩擦があっても国民的観点から判断すべきことは当然だ。

<選挙の検証と落選議員への支援>
今回の総選挙で約80名の前職衆議院議員を含む多くの候補者が落選した。選挙の敗因を客観的に検証するため、外部の人材を含めて構成される「総選挙検証委員会」を設置し、必要な調査など検証を行う。

選挙での落選は厳しい。いったん議員に当選した後の落選は特に大変である。新人候補者を含めた優秀な候補者との関係を維持し、次回総選挙に向けて立候補の意思があり、民主党の議員候補にふさわしい人に対して、その活動が継続できるように、党としての支援体制を早急に作っていく。

<選挙体制>
今年10月には神奈川参議院補欠選がある。2年後には統一地方選挙と参議院通常選挙が予定されている。参議院選挙での勝利のみならず、自治体議員の大幅拡大をめざす取り組みが必要だ。


参考リンク
2005年9月17日
2002年12月 
2002年9月 
1999年9月
 
民主党代表選挙 推薦人一覧

民主党代表選挙関連リンク集
民主党代表選挙関連リンク集
1999/09 民主党代表選(民主党ニュース)
江田五月活動日誌
 
2005年9月17日
 
代表選挙 開票結果  菅 直人 94票  当選 前原 誠司 96票

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