2004年6月18日 民主党 戻る民主党文書目次

マニフェスト 2004(要約資料)

国民とともに、新しい政治、新たな日本を創る


民主党のマニフェストは、以下の三つから構成されています。

第1部 ビジョン ― 国民とともに、新しい政治、新たな日本を創る

第2部 民主党8つの約束 ― 自由で公正な社会を実現するために

第3部 政策集 ― マニフェスト政策各論(略)


第1部 国民とともに、新しい政治、新たな日本を創る

いま、転換期に臨む
 今日の日本は方向を見失い、空回りしている。しかし、私は、日本人には力があると信じている。多くの国民は、次の世代に責任を負う覚悟を持っている。困難に立つ向かい、自立に向けて挑戦する勇気がある。この国民のエネルギーと可能性に未来をかけて、挑戦していくことが重要だ。

まず、政治が襟を正す
 政治の使命は、この国の将来に備えて、大きな方向を指し示すことにあり、それを具体的な形に変えていくことであ。状況に押し流されることなく、10年先、30年先を見通し、時間軸をもった骨太の政策を練り上げていくことである。そのためにも先ず、国民の日常感覚から離れた政治の現状を変革し、国民の手に政治を取り戻すことから始めなければならない。

まっとうな社会をつくる
 第1に、「地域のことは地域で決める」分権社会、分権国家・日本の構築に挑戦する。国の役割を限定し、地域に権限と財源を移譲する。

 第2に、「市場のことは市場に」委ねて、自由な競争が活力をもたらす社会へ転換する。国の過剰な規制は撤廃し、公正なルールのもとの競争を促進する。

 第3に、国民一人ひとりの「自由な選択」を保障して「やり直しのきく社会」へと転換し、中間層に厚みをもたらして、懐の深い社会を創り出すことである。

 真面目に努力する人、逃げずに挑戦する人が報われる「まっとうな社会」を創り出すことが私の夢であり、いま最も、政治に求められていることである。

(教育を立て直す)
 地域に元気を呼び戻し、自由で活気ある経済を実現し、やり直しのきく懐の深い社会を築き上げていくために、何よりも先ず、その担い手たる人の育成が不可欠である。私は、未来を見通し、それに責任を持つためにも、「教育」の立て直しこそが最優先されなければいけないと考えている。

(国際協調に徹する)
 政府もまた、自ら挑戦しなくてはいけない。日米関係を重視しつつも、両国の間に「自立と対等の関係」を創り出していくことが必要だ。国連を中心とした国際協調の理想の実現に向けて努力し、「アジアの中の日本」として関係国から信頼される国づくりにも挑戦していきたい。

未来への責任を果たす勇気を
 国民の皆さん一人ひとりの意思ある選択がこの国を変えることができる。勇気をもって、共に未来への責任を果たしたい。

民主党代表 岡田克也


第2部 自由で公正な社会を実現するために

  民主党つの約束。

1.すべての人に安心を
 
年金制度の「一元化」により、多様なライフスタイルを応援する。

2. 元気は足元から
 
補助金を「地方の財源(18兆円)」に切り替えて、地域の工夫を引き出す。

3.つよい農業をつくる
 
「直接支払制度」を確立し、意欲ある担い手が農業・農村を活性化する。

4.市場のことは市場に
 
事業規制を原則「撤廃」し、公正なルールの下での競争を刺激する。

5.チャレンジを応援する
 
「ヤングワーク・サービスセンター」で、若者の資格取得、就職を支援する。

6.未来への責任
 
教育における国の役割を縮小し、地域に「教育力」を取り戻す。

7.意思を持って立つ
 
国際協調を軸に、「自立と対等」の外交を実現する。

8.自ら襟を正す
 
政治の「透明度」を高め、常識が通る政治を実現する。



1.年金制度の「一元化」により、多様なライフスタイルを応援する。

(1) 多様なライフスタイルに応える年金一元化
 バラバラな制度が多様な職業選択や自由なライフスタイルの選択を妨げ、年金に対する不安と不信をもたらしている現状を解消するため、早期に年金制度の一元化を実現する。

(2) 議員年金の廃止
 議員年金は廃止し、一元化された年金制度に統合する。

(3) 年金保険料の無駄遣いをなくす
 社会保険庁と国税庁を統合した「歳入庁」を創設し、税金と保険料の徴収一元化体制を確立して、未納問題を解決し、官僚による年金保険料の無駄遣いをなくす。

(4) すべての人に年金を保障
 所得に応じて保険料を負担し、負担に応じて給付を受ける「所得比例年金」と、所得の少ない人も全額税金で一定の給付が保障される「最低保障年金」の二階建て年金とし、すべての国民に年金を約束する。

(5) 豊かな高齢社会を支える介護・保健・医療
 グループホームや宅老所の大幅な整備など介護サービスの基盤を強化し、要介護者になりにくい、重度化しにくい社会環境づくりをめざす。医療事故や不正請求をなくすために、カルテルの開示などに取り組む。


2.補助金を「地方の財源(18兆円)」に切り替え、地域の工夫を生かす。

(1) 国の役割を限定して、地域に権限を移譲
 中央省庁の役割を限定し、地域に権限を移譲する。行政の縦割り構造に基づく事細やかな規制・干渉をなくし地域に住む人たちの自由な創意工夫ができる社会へ転換する。

(2) 補助金を削減して、地域が自由に仕えるお金を増やす
 
地域のニーズに合わせて地域の住民が創意工夫できるよう、現在約20兆円ある国から地方への補助金のうち、およそ18兆円を地域が自由に使うことのできる財源に切り替える。

(3) 地域主体の経済活動を応援
 地域の中小企業の活性化を支える。福祉・健康・環境及び情報関連など社会サービス産業やニュービジネスを育てて、地域に「仕事」と「雇用」を創り出す。地域の産業ニーズに見合った職業能力開発や人材育成などを支援する。

(4) NPOなど民のパワーを生かした地域づくりを支える
 社会サービスの担い手としてのNPOがたくさん生まれている多様なNPO活動を税制面で支援するとともに、介護・子育て・文化・健康・環境保護・景観維持などあらゆる分野で、行政とNPOが連携して、豊かな地域社会を創り出していく。

(5) 道州制の導入と基礎自治体の規模拡大で分権国家日本を実現
 基礎自治体(市町村)の規模拡大や、道州制の導入整備をすることにより、現在国が握っている権限の多くを地域に移して、地域中心の分権国家日本を創り出す。多様なコミュニティ活動を促進し、地域に確かな自治の力を育てる。


3.「直接支払制度」を確立し、意欲ある担い手が農業を活性化する。

(1) 補助金漬け農政から直接支払い制への転換
 価格支持政策と補助金によるこれまでの農政をやめ、新たに「直接支払い制度」を確立して、意欲ある担い手たちが安心と展望の持てる農業へと転換する。

(2) 食の安全と輸入検査体制の強化・充実
 国民の間に高まっている食に対する不安を解消できるよう、地産地消や産直の促進のほか、加工食品の原材料成文や原産地の表示、「国際食品検査官」の配置など輸入検査体制の大幅な拡充に取り組む。

(3) 農地制度の大胆な見直し
 農地転用について規制を強化する一方、農地の利用については大胆に参入規制を緩和して、多様な活力が農地・農業の担い手として活動できるようにする。

(4) 多様な経営主体による農業活性化
 大型機械の共有、集荷や販路拡大などの分野で共同経営や法人化を進め、より効率的で生産性の高い農業を確立する。遊休農地などについて、NPOや株式会社の農地利用を可能にし、地域に新たな雇用機会を拡大する。

(5) 食糧受給率の確保
 農政の大胆な転換を通じて、まず、日本の食糧受給率を現在の40%から50%へと引き上げ、将来的には60%以上の確保をめざす。


4.事業規制を原則「撤廃」し、公正なルールの下での競争を刺激する。

(1) 事業規制を原則廃止し、企業努力と起業意欲が発揮できる社会に
 業界業種ごとにその活動分野を制限して、新規参入を困難にしている「事業規制」を原則撤廃し、競争が活力を生み出す仕組みへと転換する。

(2) 公正な市場ルールを設定し、競争が活力を生み出す
 独占禁止法の抜本改革に取り組むなど、曖昧で不透明な商慣行や不公正取引を是正し、公正な市場ルールが守られる経済社会を確立する。

(3) ものづくりリーディング産業を育成支援
 日本の産業的優位性であるモノづくり、特に組み立て加工技術をさらに高めて競争力を確保し、アジア地域などとの国際水平分業の構築に貢献していく。

(4) ニュービジネスを支援し、雇用の創出を
 「お金を貸せる銀行」をつくり、人材育成や技術力の向上など、重点的・総合的な起業化支援策を展開する。新しい成長分野にチャレンジする多様なベンチャー企業やマーケット志向の意欲ある中小企業を支援する。

(5) 競争力強化・技術力強化に向けて、知的財産権立国を
 
知的財産紛争処理機能の強化、知的財産権に関する専門家の育成など「知的財産基本法」を整備し、競争力強化、科学技術振興を戦略的に推進する。


5.「ヤングワーク・サービスセンター」で、若者の資格取得・終章を支援する。

(1) 開かれた雇用機会の保障と均等待遇の実現
 パートタイマーやその他の短時間雇用であることを理由に差別されることのないよう、均等待遇を実現する。育児・介護休業制度を拡大し、子どもが小学校に入学するまでの間、それを取得できるように改善する。

(2) 若者がその力を発揮できる仕組みを
 「ヤングワーク・サービスセンター」を整備し、失業・無就職の状態にある若者に個人アドバイザーによるマンツーマンの就労・社会参加のための支援を展開する。民間企業での職業体験訓練などのプログラムを用意し、必要に応じて手当を支給する。失業や廃業から立ち直れる「やり直しのきく社会」の確立をめざす。

(3) 働く意欲ある高齢者のための環境づくり
 働く意欲のある高齢者のための適職の開発と斡旋を行うとともに、年齢差別禁止法を整備して、高齢者に開かれた雇用機会を保障する。

(4) NPOや市民事業の支援
 NPO(特定非営利法人)に対する支援を大幅に拡充する。具体的に、認定要件を緩和してNPOが受けやすいものするとともに、1万円以下の小額寄附であっても所得税の免除の適用とする。地域における民間活動を促進するために、民法の「公益法人」規定の改革に着手する。

(5) チャレンジドたちの試みを応援
 小規模授産施設の整備充実や福祉機器の整備を進めて、ハンディキャップを持ちつつも自立生活に向けて挑戦するチャレンジドたちの活動を積極的に支援する。学校のバリアフリー化に取り組む。


6.国の役割を縮小し、地域に「教育力」を取り戻す。

(1) 教育現場の現実を直視し、学校教育の立て直しに全力
 全ての子どもたちに等しく学ぶ機会が与えられるためには公立の小中学校の建て直しが必要である。例えば、30人以下の少人数学級の実現をはじめ、学校長の公募制や民間人の登用、地域と一体となった学習の推進などに取り組む。学校選択の自由を広げて、親や子どもたちに多様な教育機会を提供する。

(2) 開かれた学校経営を促進
 子どもへの全人格的な教育を学校に任せきりにするのではなく、親、学校当局、コミュニティが一体となって問題の解決に挑戦する。学校法人以外の組織であっても学校経営に携わることができる仕組みを導入し、多様な形態のコミュニティスクールの形成を促す。

(3) 奨学金制度の充実によって、いつでも勉強する機会を提供
 親の経済状態に左右されることなく、希望するなら、誰でも、いつでも利用できるようにする。学費のみならず最低限の生活費も貸与することで、親の支援を一切受けなくても、意欲があれば学ぶことができるシステムにする。大学教育に競争原理が働く仕組み組みへと転換する。

(4) 国の役割を縮小し、地域に教育を取り戻す。
 かつての文部省のように学校教育に事細かに関与する仕組みや教科書検定制度は廃止し、国は初等教育の基礎学力の向上に特化し、その他の教育は地域が決める仕組みに変える。国には学力に関する標準=ガイドラインを定めてこれを促す「中央教育委員会」を設け、学校教育の計画・運営・授業内容などについてはすべて地域に委ねる。


7.国際協調を軸に、「自立と対等」の外交を実現する。

(1) 国連に協力し、国連機能の強化
 国際協調を重視する立場から、国連が行う活動に積極的に参加していく。国連改革に取り組み、安保理常任理事国入りをめざす。国連が進める平和創造のための活動に協力する「国連待機部隊」のあり方についても具体的に検討していく。

(2) 自立・対等の日米関係を構築
 日本と米国との関係ついては、依存の関係ではなく、自立・対等の成熟した協力関係へと発展させる。当面、地域協定の見直しや沖縄米軍基地の縮小等について協議を進める。 

(3) 「アジアの中の日本」を実現
 自由貿易協定(FTA)締結、環境対策や教育、犯罪対策、そして地域安全保障協力など多角的な連携強化に取り組み、「アジアの一員」としての役割と責任を果たしていく。また、「北東アジア・フォーラム」の構築に向けて、安全保障対話が進展するよう強いリーダーシップを発揮する。

(4) 新たな脅威に対応できるよう、防衛体制を再構築
 ミサイル、テロ、サイバー攻撃、不審船など多様で新たな脅威に柔軟に対抗できる新防衛体制を確立する。これらに必要な予算については既存の防衛予算の組み替えなど、効率的・効果的に対処する。

(5) 世界に向けて、「環境外交」を推進
 地球温暖化問題やオゾン層破壊問題などに率先してリーダーシップを発揮する環境外交に取り組む。貧困、人権侵害、麻薬、感染症など人間の安全保障にかかる諸課題に対しても各国と協力してその解決をはかっていく。


8.政治家自ら襟を正し、国民に正直な政治にします

(1) 政党と政治家が自ら襟を正し、政治に信頼を取り戻す
 先ず、不透明な「政治とカネ」の関係に鋭いメスを入れ、不正を糺していく姿勢が重要である。政治資金収支については、監査法人による外部監査を採り入れるなどし、これをすべての政党に法律で義務づけていく。

(2) 政官業癒着の構造を断ち切り、まっとうな政治を実現
 企業・団体の献金についてはその流れが分かるかたちに制限する「政治資金規正法」の改正に取り組む。国会議員による口利き事件を厳しく抑制する「あっせん利得処罰法」の抜本改正を実現させる。

(3) 一票の格差を是正するとともに、国民の政治参加の機会を増大
 憲法が掲げる「法の下の平等」に反する一票の格差をこれ以上放置することは許されない。同時に、民主主義の活性化をめざして、選挙活動におけるインターネット解禁、18歳選挙権の実現、戸別訪問の解禁などに取り組む。

(4) 不正の温床・官僚の天下りを禁止
 不正の温床・官僚の天下りを禁止し、国民の生活感覚にみあった政治・行政へと立て直す。

(5) 国会議員定数一割、国家公務員人件費総額の一割以上の削減
 民間が取り組む企業努力に対応する試みとして、国会議員数の一割、国家公務員数の一割以上のカットを行う。必要以上に議員特権をもたらす仕組みをなくす。


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