2002年12月10日

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代表選挙立候補にあたって

 菅 直人

 今、国民のみなさんが民主党に求めているのは、改革を先送りし、年間3万人もの自殺者を生むなど痛みばかりを強いる与党自民党に正面から立ち向かい、これに代わる政権の選択肢となりうる力強い野党第一党になることです。こうした国民の期待に一歩ずつ誠実に応えていくこと以外、その支持を回復することはできません。

 自分自身の反省も含めて、残念ながら最近の民主党は、党内の内向きの議論が先行し、「国民に何を訴えていくのか」という視点が乏しくなっていたように感じます。国民の皆さんに自民党との違いを明確に訴え、その違いについて期待を集めることができなければ、支持率を回復させ、政権交代に近づいていくことなど不可能です。

 私は、民主党と自民党の本質的な違いについて、「政官業癒着を断ち切れるのか」と「国民の生活実感に即した政策を打ち出せるのか」の二点だと考えます。

 政官業の癒着こそが、ムダな公共事業や官僚の天下り先確保など貴重な税金の使いみちを歪めてきました。このことが、多額の借金を積み重ねて財政出動してきたにもかかわらず、景気回復も、また、生活の充実も、遅々として進まない構造を作り出している元凶です。小泉総理が「改革」という掛け声だけを叫んでも、族議員などに代表される癒着の構造がこれを骨抜きにしている姿は、多くの国民の皆さんが気付いています。この癒着の構造を断ち切ることができるのは、政権の外側にあって、官僚機構に依存していない民主党だけです。このことを明確にアピールし、多くの国民の皆さんに、「民主党にやらせてみよう」という期待を持っていただきたいと思います。私自身、これまで、国会論戦やかつての薬害エイズ事件などを通じて、政官業癒着の構造と厳しく対決してきました。そうした経験と実績を踏まえて、結束して癒着と戦う民主党チームの先頭に立ちたいと考えています。

 私たちは、結党時に定めた基本理念で、「生活者」「納税者」「消費者」の立場を代表すると定めています。こうした生活実感に基づいた視点からの具体的な政策こそが、自民党や小泉総理には決定的に欠けています。私たち民主党こそが、社会的、経済的に様々な困難と直面しながらもたくましく生きている普通の人々の生活実感を、しっかりと受け止め代弁することができる政党です。そのことを国民のみなさんにわかりやすく伝えることができる代表は、私ではないかと考えています。

 こうして民主党と自民党の違いを明確にした上で、総選挙で勝利し、政権を本当に奪うために、選挙協力をはじめ積極的に野党協力を進め、鳩山現代表の思いをしっかりと引継ぎます。

 私は、過去の党運営にあたって、「イラ菅」「独断専行」とご批判をいただきました。五十を過ぎてそう簡単に性格が変わったとは思いませんが、代表を降りて三年余、一人でできることには限界があり、仲間との役割分担と協力関係がなければ、何事もなし得ないことは、十分に理解したつもりです。そうした観点から、今回、代表に選出されたならば、私は、国会で小泉総理を厳しく追及し、また全国各地を駆け回り、民主党への支持の回復と仲間の皆さんの支援とに全力をあげます。一方、選挙の際の二枚看板にもなり得る優秀で魅力ある新しいリーダーに幹事長をお願いし、重大な課題である党改革の問題や日常の党運営についでは、基本的にはお任せして、任せたことについて責任はきちんととるという、決意をしています。

 こうした思いから、今回、悩みに悩んだ未に、立候補を決意しました。多くの議員の皆さんが、国民の視点から、日本の未来のためにこの党が今どうあるのが一番望ましいかを考えて、一票を投じていただきますよう、心からお願いいたします。


2002年12月10日

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