2002年3月5日 戻るホーム民主党文書目次

人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案大綱

〜民主党案と政府案大綱との違いについて〜 >>(対照表

○題名

 政府案大綱では「人権擁護法案」としているのに対し、民主党案では「人権侵害による被害の救済及び予防等に関する法律案」としている。

○人権教育・啓発について

 政府案大綱ではその目的に「人権啓発」とのみ表記されているが、民主党案では、「人権教育・啓発の措置」と、人権教育も法律の目的としている。

○地方公共団体の責務及び国民の責務の明確化

 政府案大綱では国の責務のみを規定しているが、民主党案では、地域の実情を踏まえた人権擁護施策を推進することを内容とする地方公共団体の責務と、人権尊重社会の実現に寄与する努力義務を内容とする国民の責務を盛り込んでいる。

○分権型の人権委員会の設置

 政府案大綱では人権委員会を法務省の外局として置き、地方レベルの機関としては地方事務所を設置するのみだが、民主党案では中央人権委員会と地方人権委員会(各都道府県ごと)の分権型の体制をとることとしている。(中央委員会は2都道府県にまたがる人権侵害又は全国的に重要な問題に係る人権侵害を所掌、地方人権委員会は各都道府県の人権侵害を所掌。)

○中央人権委員会を内閣府の外局として設置

 政府案大綱では人権委員会は「法務省の外局」として設置することとしているが、民主党案では「内閣府の外局」として設置することとしている。

○中央人権委員会による国会への助言

 民主党案では、中央人権委員会に内閣総理大臣を経由して国会への意見の提出権限を認めることとしている。また、内閣総理大臣又は関係行政機関の長は中央人権委員会の助言を尊重するものとしている。

○人権委員会の委員の構成

 政府案大綱の人権委員会の組織は委員長及び委員4名であるが、民主党案では中央人権委員会は委員長及び委員6人をもって、地方人権委員会は、委員長及び委員4人をもって組織するものとしている。
  また、それぞれの委員会について、ジェンダーバランスへの配慮を規定するとともに、委員長及び委員のうちにNGOの関係者や人権侵害の被害を受けた経験のある者を入れるように努めなければならないこととしている。

○人権擁護委員の見直し

 人権擁護委員は、地方人権委員会が委嘱することとし、人権擁護委員に対する報酬の支払いについて規定する(現行法では無報酬)ほか、定数の削減(現行2万人を1万人に削減)、研修体制の整備などについて規定を設けている。

○報道機関等による過剰取材等の人権侵害行為について

 報道機関等による過剰取材等の人権侵害行為については特別救済手続の対象とはしないこととする一方、これらの人権侵害行為について自主的な解決に向けた取組を行うことを努力義務として設けることとしている。

○厚生労働大臣等に係る特例について

 政府案大綱では、雇用における人種等を理由とする差別的取扱い及び労働者に対して職場においてなされる人種等を理由とする不当な差別的言動等については、特別救済は厚生労働大臣又は国土交通大臣が行うこととしているが、民主党案ではこのような特例は設けず、これらの人権侵害についても人権委員会が特別救済を行うこととしている。


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