1987 社民連十年史/明日の連合にむかって

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連合政権実現をめざして  野党結束の姿を国民の前に

 江田五月代表は、一九八七年十月七日、国会内で記者会見し、公明党の矢野絢也委員長が十月二日公明党幹部研修会で提唱した「首班指名における野党統一候補」に賛同し、社会党に対しては、野党第一党としてのリーダーシップを発揮してほしいと述べました。次回の第百十臨時国会は、十一月初旬に開かれ、首班指名などが行われます。


 記者会見で江田代表は、公明党矢野委員長が「是非とも首班指名の野党統一候補実現にねばり強く努力したい」と提唱したことに触れ、委員長の提唱は、その意図及び実現の方法を含め、まことに時宜にかなったものであって、これを実現させることが今の状況下での私たちの責任だと思う、と述べました。

 また、社・公・民・社民連四党の書記長またはそれに準ずるメンバーによる協議機関「時局問題懇談会」(仮称)をつくり、率直な意見交換をするという構想についても、首班指名問題に限らず、四党間で広くテーマを求めて協議すべきだと提案しました。

 社会党に対しては、野党結束のために、野党第一党としてのリーダーシップを発揮すること、また民社党にも社会党との違いを強調するだけでなく、違いをうめるための話合いを求めるなど、積極的対応を望みました。

 民社党は、十月九日の中央執行委員会で、首班指名における野党統一候補擁立の提案を受けない方針を決めていますが、矢野委員長は首班指名選挙直前まで統一候補実現にむけ話し合いを続ける構え。

 そのようななかで、十月二十二日、公明・民社両党の党首会談がひらかれ、首班指名問題についても触れられています。

 矢野委員長は、安保、原発、韓国などの基本政策について、社会党に対して「連合政権構想のための妥協の政策を社会党大会(来年二月)後にまとめてほしい」と要請中であることをあきらかにしました。そしてそれが実現するのであれば「民社党も野党四党の統一候補擁立に乗ってほしい」と塚本民社党委員長に申し入れました。

 塚本委員長は、先の中央委員会での統一候補の提案を受けない決定があることをあらためて伝えましたが、社会党が現実的視点にたった基本政策の見直しがあれば柔軟に対応するとの含みがあったといわれます。

 しかし二十八日の社会・民社書記長会談で、民社党大内啓伍書記長は「応じられないことを理解してほしい」と述べ、四党統一候補が実現しない場合、社・公と社民連三党による統一候補模索が、六日に予定される臨時国会直前まで継続される見通しです。

 阿部昭吾書記長は、この問題について「野党が、ここで団結した姿を国民の前に示さなければならない。政治全体が大きく変化をとげ、活性化するために、社民連も最大の努力をする」と決意を述べ、公明党の提案には前向きに対応したいと語りました。

 なお公明党矢野委員長は、九月十一日にも「労働界統一を機に、社公民連四党の協力態勢を強め、連合政権の道を模索したい」と述べ、二年後の参議院選比例区に、「連合」という統一名簿でのぞむという、具体的な野党協力構想を示して注目されています。



  社会、公明と党首会談
    首班指名、土井社会党委員長に

 社会党、公明党との野党書記長会談、党首会議が十一月五日午後、衆議院内で開かれ、土井たか子社会党委員長を首班指名の統一候補とすることを決め、野党連合政権への新しい一歩となりました。同時に当面の緊急課題に共同で取り組むことを決め、今後の政策合意にむけ協議を継続し、連合政府実現をめざすことで合意しました。


 臨時国会が十一月六日召集され、首班指名などが行われました。

 野党統一候補擁立をめざして直前まで話し合いが続けられた結果、社会、公明とともに土井社会党委員長を指名することで合意し、このことが、「連合政権実現をめざす、われわれの新しいステップ」だとする共同声明を発表しました。

 社会、公明との共同声明には「連合政権への努力をさらに幅広く呼びかける」ことが盛られており、今後民社党を含む結束にむけて話し合いが続けられるものとみられます。

 また「政策合意をめざす協議をすすめる」ために今後各党の基本政策見直しと当面する国民的課題への共同対処の進展が予想されます。



共同声明 (1987/10/05)

 土井たか子氏を統一首班候補とするにあたって

               日本社会党
              公 明 党
               社会民主連合

 われわれ日本社会党・公明党・社会民主連合の三党は、百十国会の冒頭における首班指名選挙にあたり、土井たか子氏を統一首班候補とすることに合意した。

 われわれ三党が統一首班候補擁立に合意したのは、長期にわたる自民党一党支配をゆるさず、大いなる政治の転換を実現しようとする共同の決意の表現であり、戦後政治における画期的なことである。これは国民の意志を問うことなしに、中曽根政治から政権たらいまわしを行おうとする自民党への異議申し立てであり、連合政権実現をめざすわれわれの努力の新しいステップを意味するものである。

 われわれは、この合意をスタート台にして国民の期待にこたえる共同の行動をさらに強化する。いまわが国は、政治、経済、社会のあらゆる分野で歴史的な転換に直面しており、自民党政治がつくりだした矛盾と歪みは、深刻さを加えている。こうした中でわれわれは土地問題、税制改革、平和軍縮など当面する国民的課題に共同して全力をあげて取り組む。

 さらに、これらの活動を強めつつ、政策合意をめざす協議をはじめ、連合政権実現への真剣な努力をすすめる。われわれはこの連合政権への努力をさらに幅広く呼びかけながら展開することはいうまでもない。

 統一首班候補擁立にあたり、ここに三党の共同の決意を表明し、国民のみなさまの理解と協力を心から訴えるものである。


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