1985/08/30〜31

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’85全国代表者会議・夏季研修会

 二年ぶりの社民連全国代表者会議・夏季研修会は八月三十、三十一日の両日、静岡県稲取の全電通「団結の家」で開かれ、全国から集った代表者百余人が熱心に討議・講演に参加、党再生が順調に前進しつつあることを確認し、今後の運動課題を決めた。

 第一日目は午後一時に開会。江田五月代表が「中曽根内閣の危険な全体主義に対決を」と挨拶。田英夫常任顧問、楢崎弥之助顧問も相次いで「防衛費一%枠撤廃問題に命がけで闘おう」などと挨拶した後、阿部昭吾書記長の「当面の政治行動方針と若干の活動報告」の提案が行われた。

 阿部書記長はこのなかで、二月大会以降、党員再登録と組織再整備、機関紙再刊と読者拡大、事務局体制、政策活動など党再生が着々と前進していることを報告。また、地方選挙における一定の成果、労働運動、市民諸団体との連携、交流の進展等についても報告、了承された。

 当面の政治行動方針では、中曽根内閣の右傾化・軍拡路線を厳しく批判、他党派とも共同して対決の闘いをすすめることなど、強い決意に満ちた提案を行い、建設的な質疑・討論の後、財政方針とともに原案通り採択された。

 午後四時から夏季研修会に移り、山岸章・全電通委員長の「連合・再編と労働運動の動向」と題した講演が行われた。

 山岸委員良は、かねてからの持論である、“市民派を含めた反自民・非共産の結集”の構想を披露するなど、きわめて興味と迫力に満ちた話をされた。

 夜は「団結の家」食堂でにぎやかな懇親会が行われ、交流、団らんに花が咲いた。

 二日目は午前九時から、須田春海氏の講演に入り「行政改革と市民自治の課題」について、活発な質疑も含め、一時間半の勉強を行った。

 プログラムの最後は、意見・経験交流で、積極的な発言が続いたが、とくに、防衛費問題、反核・軍縮運動で具体的運動をすすめることなどを全体で確認しあった。最後に田常任顧問が「かつてなく充実したすばらしい研修会だった。社民連前進のためにいっそうの健闘を誓い合おう」と閉会の挨拶を行った。



代表挨拶(要旨)
  草の根の 「非核宣言運動」を

江田 五月

 全国の同志のみなさんに心から敬意を表します。二月大会以降、再生・前進が着実に進んでいることを先ずご報告いたします。

 国際的に、軍縮交渉の歩みは遅く、SDI開発など危険な動きは依然として根深いものがあるなかで、わが国の責任は重大です。市や町、家庭から平和の意思を拡げていく「非核宣言運動」を提唱します。

 日米貿易摩擦の解消は、アメリカの防衛費増額要求への屈従が、かえって解決を困難にしています。むしろ、本格的な内需拡大に向け、経済政策の抜本的転換を行い、また対外的にはODAの飛躍的拡大によって、正しい国際経済秩序のために貢献することが必要です。

 中曽根内閣は、わが国を極めて危険な方向に進めています。防衛費のGNP一%枠撤廃は、軍事大国への第一歩となるもので、どうしても阻止しなければなりません。

 一%枠撤廃や定数是正と解散権の制約についての中曽根首相の考え方、靖国懇にみられる私的諮問機関で強引に社会通念を作りあげる錬金術は、まさに全体主義指向に他なりません。そして、靖国神社公式参拝は、いかなる宗教とも国は公式の関係をもつことをやめた憲法と、戦争の反省を忘れた暴挙であり、全体主義イデオロギーをつくり出すことにつながっています。

 私たちは、中曽根首相の野望を打ち砕かなければなりません。従って、臨時国会で野党各党間に内閣不信任が検討されるならば、躊躇なくこれに同調します。

 私たちは、あくまでも与野党逆転による政権交替を議会制民主主義の下での政治の本筋だと考えます。政権交替可能な野党勢力をつくるために、既成野党の足し算ばかりでなく、広く市民層が登場してくる回路を作ることが大切です。幅広い野党勢力の構築に全力をつくします。

 社民連はまだ小さいけれど、私は“今こそ社民連”の気持を深くしています。中曽根首相の新全体主義、新中央集権主義を最も根源的に批判し、自由と自治の社会を創造し得るのは私たちだからです。思い切って、本質的で根源的な社会改革の課題に挑戦しようではありませんか。

 次の総選挙は私たち社民連にとって最大の決戦です。党の存亡をかけて、議席倍増を実現するため全力をあげたいと思います。



顧問挨拶(要旨)
   中曽根不信任辞さず

田 英夫

 前大会で江田代表にバトンタッチして以来、ニュージーランドに反核の旅をするなど、自由に、社民連の方向に添って活動している。

 ニュージーランドでは、国民各層の中にしっかり根をおろした草の根反核運動の実情に触れ、「被爆体験もなく周囲に核保有国もなく自然に恵まれた平和な国だからこそ、反核なんだ」という人々が印象的だった。

 ひるがえって日本では、社共が指導してきた原水禁運動が分裂し、国民の失望を買っている。しかし、先日日比谷公会堂で開かれた草の根反核集会には、ニュージーランドに共通する熱気があった。非核シールも出来上がる。大いに活用して欲しい。社民連こそ、この新しい反核運動に対応できる唯一の政党だという自負と責任を、我々は持たなければならない。

 激動の政局を迎えるに当り、野党無視の中曽根に内閣不信任案も辞さずの決意で対し、また可決された場合の事態にも即応できるよう、直ちに立ち上がろうではないか。



顧問挨拶(要旨)
  生命かけ平和に献身

楢崎 弥之助

 個人事ながら、妻安代の葬儀に際しましては、全国の同志の皆さんから沢山のご厚情を頂き、厚く深く御礼申し上げます。

 顧みれば、苦労かけることのみ多く、楽させることの少ない夫婦生活でしたが、四十年にもなると女房は空気みたいな存在で、いなくなって初めてその存在の重みを噛みしめている昨今でございます。

 しかし、かくなる上は私自身、残り火をかき立てて、今一度の闘いに最後の男の意地を貫き通す所存であります。

 今、日本の平和にとって重大問題が山積しております。ある野党が「一%に理論的根拠なし」といっていますが、これは長い国会論議を忘れた認識です。一%論議には、憲法の枠内に自衛隊を閉じ込めることができるか否かの、最も重大な理論的根拠があるのです。

 私はもはや、失うものはない。文字通り生命をかけて、平和の問題ととり組む決意です。皆さんどうぞ今後ともご教導の程をお願いいたします。


1985/08/30

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