民主党 参議院議員 江田五月著 国会議員わかる政治への提言 ホーム目次
第1章 国会議員の実像

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恥ずかしくないか、公私混同

 国会議員が国から支給される非課税資金については前にふれたが、政治資金規正法で認められた政治団体が、会費や寄付金等を受け取った場合も、その金に税金はかからない。だから、国から支給される分も、支持者からいただく分もすべて、本来の趣旨どおりに「政治活動資金」として使う場合は、一応税金の問題は生じない。

 それでもこれは、政治家の一人よがりで、世の中誰でもみな社会的に意味のある仕事をしているのだから、政治家だけが実費弁償という大義名分にかくれて税を免れているのはおかしいとの批判もある。耳を傾ける必要があると思う。

 そして、さらに悪いことに、この無税のお金を個人所得と混同して、懐に入れる議員が稀でないから、ひどい話だ。

 時折、歳費だけではとても購入できない不動産や株を手に入れたとして、話題になる議員がいる。もちろんその議員が、その年の所得申告で「歳費以外にも多額の収入があったこと」を明らかにしていれば、苦情を言う筋合いはない。ところが「歳費以外一銭の収入もない」ことになっているケースも稀でないのだ。

 政治資金を本来の政治活動に使用せず、個人の資産形成に流用したわけで、こういうのがまさに、政治を利用して金もうけをした見本である。

 「脱税ではないか」と、世論が沸く。だが、歯切れのよい結論が出た例がない。なぜか?

 たとえばその議員が、申告所得ではとうてい買えるはずのない家を建てたのがばれても、「家は政党活動を営むためのものであって、個人の財産ではない」と申し立てる。結果的に税務署で認められなかったとしても、「政治献金と個人所得の解釈の違いで、言い分が認められなかっただけだ」と主張すれば、重加算税までは取られない。

 馬脚をあらわさないように巧くやる議員ほど、資産が増えていく仕組みになっている。

 歳費だけで議員の資産が増えるということには限りがあり、仮に家族全員カスミを食って生活して歳費は全額貯金することにしたとしても、年1,000万円どまりで、莫大な資産にはなりえない。ところが歳費とは無関係に資産が増えることが、実際には起こっている。選挙資金が集まりすぎて3,000万円も残ってしまい、選挙区から東京の自分の口座に送金したことがバレて恥をかいた議員がいた。その人の選挙の収支報告では、そのことが記載されていなかったという。国民の常識では考えられないような話だ。

 さらに公私混同の最たるものに、「秘書給料のピンハネ」がある。規模は小さいが見苦しい。月額33万円の第一秘書に二十歳前後の女性を就かせ、「世間並みの相場で」と半額しか支給しない。残りはもちろん、議員本人のポケットヘ。公設秘書には自分の妻や娘の名を登録しておいて、実際に議員会館で働いているのは時給5〜600円のアルバイト学生というやり口がある。登録された秘書は登録だけで姿が見えないから「幽霊秘書」と呼ばれる。

 「ピンハネ」にしろ「幽霊」にしろ、いい加減な秘書を置いていても国会議員が勤まるということ、つまり自分自身の地位の軽さを自ら証明しているのであって恥ずかしい限りだ。

 秘書の話が出たところで、私のスタッフでありパートナーである秘書たちの役割について語ろう。


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