1987/11 五月会だより No.37 ホーム主張目次たより目次前へ次へ


社会・民社はまず和解を

社民連京都集会で江田代表決意表明

自民党政治が四十年もつづく。野党は手も足もでない。一体何をしているのか― こんな国民の叫びが聞こえてくる。― さる九月下旬、京都で開かれた公開シンポジウム 「国民待望の新党を問う」の集会の中で、江田議員は、新しい政党「市民的革新政党の創造」を訴えた。その要旨は、以下のとおりである。

野党の結集 大きく前進

 昨年のダブル選挙後、私たちは、社会、民社、社民連はもともと同根なのだから、この際、院内会派を一つにすべきだと提唱しました。しかし、これは出来ず、結局他党、とりわけ民社党からの強い要請を受けて、私たちは捨て身の決断で自らを二分し、社会、民社と二分統一会派を作りました。

 私はこの異例の決断は好結果を生んで来ていると思います。
 
 これからの私たちの使命は、売上税国会の経験をどうやって野党再編成にまで発展させるかです。

社会・民社の歴史的和解

 社会民主主義又は民主社会主義は、今や、世界の大潮流になったと言えます。この政治勢力は、北欧諸国はもちろんのこと、西ドイツ、フランス、スペインなど多くの国で政権勢力になりました。

 問題は、この大きな潮流を、どうやって現実の政治の世界に顕在化させるかです。

 今、私心や党派心を捨て、虚心に政治の流れを考えれば、同じ過去から出発し、同じ未来を目指す社会、民社、社民連は、過去のいきさつを乗り超えて歴史的和解をするときが来ていると思います。

自民党の役割はもう終わった

 資本主義は社会主義を採り入れることを学び、社会主義も今、資本主義に大いに学んでいます。この二つの体制が、それぞれ自己変革を遂げ、そして新しい付き合い方を創造して行くことが現代の課題です。

 日本は、まずは今の基本的社会制度を前提としながら、その上にたって自己変革と新しい世界の創造という現代の課題に挑戦しなければなりません。

 この新しい課題は、果たして自民党に任せられるでしょうか。キャッチアップの時代が過ぎて、自民党はもう役割を終わったと言うべきです。

新党の創造は国民の声

 新しい酒は、古い皮袋に入れることはできません。これまでの政党がいくら脱皮し連合しても、しよせん国民からは、新しい課題を担うにふさわしい政党とは認められないのです。

 また、新しい政治勢力には新しい血が必要です。それは、これまでの政党に参加してない、しかし政治を通じて自分たちの手で未来を創っていくことを求める各界各層の国民です。自立した市民が参加することにより、この新しい党は、国民と共に、未来を語り、夢を実現する大事業に乗り出すことができるようになるのです。

 全民労連(「連合」) の誕生は、野党再編成に大きなインパクトを与えるでしょう。もし、野党が今までのとおりバラバラで、足の引っ張り合いばかりに終始するなら、「連合」は傘下の労働者の要求を実現するため、自民党を頼る他なくなります。こうして自民党が「総合政党」となると、日本の議会制民主主義は名ばかりで、再び日本は世界の孤児になる可能性があります。このためにも、新党の結成を急がなければなりません。

生活の党・改革の党

 新党は、まず国民の党でなければなりません。

 次に新党は、生活の党でなければなりません。政治の課題も政党の活動も、生活者が現に生活する場に求めなければなりません。

 新党は、自由と創造の党でなければなりません。参加した各人の自由な創意工夫を最大限生かすことが大切です。

 新党は、改革の党でなければなりません。例えば、土地、教育、農業等、従来の枠組みを大きく変えなければならない課題が、今の日本には山積しています。

 最後に新党は、清潔な党でなければなりません。きれいな選挙によって初めて良い政治が生まれます。これらのことは、これから参加して来るみんなで考えて行く課題です。

福祉社会の実現をめざす

 それでは新党は、どのような日本を創ろうとするのでしょうか。

 まず、自由世界の一員として、平和な世界秩序の創造に役割を果たさなければなりません。現在の世界は複雑に絡み合った東西の軍事緊張関係で成り立つ面があることを無視せず、自由世界の一員としての役割を分担しますが、軍事対立の一方に加担するのでなく、戦争のない、南北の関係でもすべての国が対等に協力する世界を創るために、大きな役割を果たします。

 次に、混合経済体制のもので豊かさの持続と生活の質の転換を目指します。社会の構成員がお互いに助け合うことに喜びを見出し得るような「福祉社会」を目指します。次の時代に引き継ぐべき自然や文化遺産を大切にした「共生社会」を目指します。

 最後に、議会制民主主義をどこまでも大切にし、異なった主張を尊重してこれに席を譲る可能性を最大限保障します。

新しい時代は新しい政党で

 これまで述べたことでご理解いただけると思いますが、新党結成は急がなければなりません。私は、「連合」結成から次の国政選挙までの期間を含むこの一両年が最も重要な時期だと思います。そこで、この間にまず、社会、民社の歴史的和解を実現しなければなりません。そして、それを第一段階として広く市民参加を得た新党を結成し、次の国政選挙はこの新党で臨むべきです。

 私は、これまで公明党のことについては、ほとんど言及しませんでした。それは、この党を無視しているからでなく、現在はまだ、同根の社、民、社民連の融合が先行すべき段階だからです。公明党との結集がなければ、政権は展望できません。

 江田三郎の志を受け継いだ社民連は、今、その結党の理想を実現する最も重要な時期にさしかかっています。

 自民党の軍門に下り、巨大技術と管理社会の中で自己を失ったさまよえる群衆が地球の破滅に進んで行くのを拱手傍観するのではなく、新しい課題を担う新しい政党を創り、緑の地球の上に再び大きな夢と可能性を持つ人間の社会をよみがえらせようではありませんか。


「新党」はどんな党? 江田代表に直撃質問

――江田さんは、全国各地で「革新・中道連合政権」の実現と、新しい政党「市民的革新政党」の結成を訴えていますが、なぜ今、新党なのですか。

江田 昭和三十年に保守合同で自民党ができた時、影の大物だった三木武吉さんが言ったそうです。「これで自民党は二十年は大丈夫。しかしそれから後は、世の中も大きく変わるから、考え方を変えた新しい政党が必要だね。」

 さすが慧眼ですね。左右社会党が統一・合同したのも同じ年ですが、以来三十二年。世界も日本も、社会も経済も大きく変わりました。政党だけが同じでやっていける筈がありません。

  自民党は、それなりに新しい状況に適応してきました。問題は野党。十年一日の「右か左か」の議論はもうやめて、国民待望の新党を創る時です。

 国民はこの十二・三年、国政選挙のつど与野党伯仲にしてきました。自民党ばかりを頼っているのではないのです。しかし野党が内輪の喧嘩ばかりしているから、昨年は自民党に軍配をあげた。それでも今春は、野党が腕を組み国民がこれを応援したから、数で完敗の野党が自民党の売上税を阻んだでしょう。野党が結束すれば政治が変わることが証明されましたね。国民はこれをさらに進めろと言っているのではありませんか。

 労働運動も大団結。今や、野党大結集による新党結成の時です。それが天の声です。

――私たちは、既成政党に対して、あまり良いイメージを持っていません。それは、社会党は総評に、民社党は同盟に、公明党は創価学会に、オンブにダッコだからです。また、どうしても規律、統制、義務、イデオロギーなどを連想して、堅苦しく感じるからです。そこでお聞きしたいのですが、新しい党のイメージ、性格はどうなるのですか。

江田 ご指摘のとおりです。政党は特定団体の代表ではないのですから、新党には国民みんなの良識が活かされることが大切です。

 だから新党は、
(1)労働者だけでなく、経営者も官僚も、農家も都市住民も、お年寄も青年も女性も、学者も芸術家も宗教家も、みんなが自由に参加できること。

(2)特定の団体や階層、まして特定の会社の利益でなく、国民全体の立場に立つこと。

(3)平和や自由や民主主義を大切にし、弱い者に手をさしのべ、中央でも地方でも国民の政治参加を進めること。

(4)政権交代をめざすため、自民党とは一線を画し、野党の協調・連帯につとめること。

(5)物や金のために人間や自然が犠牲になるのでなく、自然と調和した心のかよう人間生活を大切にしていくこと。

(6)世界から圧政と抑圧をなくし、どこの国とも対等に仲良くしていくことを使命とします。

 未来をめざす、明るく楽しい、みんなの広場。これが新党のイメージです。

――私たちには「新党ができればいいなァー」という気持ちと「本当にできるのだろうか」との気持ちが交錯しています。実現の可能性は。

江田 私は、単に夢を語っているのではないのです。

 最近私の新党論を話すと、政治のプロ以外はどこでも大拍手です。うぬぼれてはいけませんが、国民共通の願いだと思いますね。

 労働戦線統一に触発され、社会・民社の話し合いもずい分進んでいます。まだ水面下の動きですが、流れは決まった、あとはスピードだけ、というところですよ。

――民社党の塚本委員長はは「社会党とは基本政策が違うので、連合政権はつくれない、新党参加も困難」と言っていますが、何がそれほど問題なのですか。

江田 長く争ってきたのですから、直ちにおいそれとはいかない気持ちはわかります。 しかし、それなら今のままで良いのでしょうか。

 政党のために国民があるのでなく、国民のために政党があるのです。困難克服のため情熱を然やしたいですね。

――基本政策の違いとして(1)安保条約(2)自衛隊(3)原子力発電所(4)対韓国外交などがあげられていますが、国民から見れば、いずれも現実に存在するものであり、それほどむつかしい問題とは思えないのですが。

江田 国民はそんなにこだわっていないのに、政党間だけでご指摘の点が重大問題になっているのは、変ですよ。

 だから政党間でも、こんな古い問題は絶対解決するという気迫で、とことん話し合わなければなりません。そうしないと政権交代が夢物語になってしまうのですから。

 ローマ法王を決める時にはコンクラーベというのがあって、話がまとまるまで何日でも部屋から出られないのだそうです。お手本ですね。

 社会党の山口書記長が出された「山口見解」は、十分たたき台になると思います。

 現実認める。しかし、戦争の方向や、軍部の独走や、巨大技術の暴走は防ぐ。外国との関係は、お互い尊敬です。

――「政策は政党の生命線だ」といわれますが、新党の政策の特徴というか、政策立案に当たっての理念、姿勢というか、その辺のところを。

江田 政策を作るときは、いかなるときにも国民の側に立つことが基本です。国対国民、企業対国民、外国対国民、いろいろありますね。それから、今日本は歴史的な転換期に立っているのですから、例えば土地問題、税制問題など、困難をおそれず改革を進めなければなりません。

 国民が現にかかえている課題に、真剣に積極的に挑戦することが、政党の使命です。

――新党の構成団体は、結成に至るプロセスは、できればいつ頃までに結成する計画なのか、お聞きしたいのですが。

江田 まず社会党・民社党・社民連は、もともと根が一つなので、一つの党になります。しかしそれだけでは、新しい魅力は生まれません。すばらしい未来づくりに賛同する人々が新たに参加することが大切です。そのためには、何よりもまず国民的大討論をまきおこすことですね。

 既存の政党間では、国会対策、政策、選挙で、水ももらさぬ協力関係をつくります。そのため、党機関同士の話し合いをどんどん進めます。

 次の国政選挙では、新しい野党のあり方で民意を問わなければなりません。
 この二・三年が勝負です。

――公明党の大久保書記長は、野党によるシャドウキャビネット(影の内閣)構想を提唱しています。この提案をどう思いますか。

江田 いいですね。野党が政権につくと、だれが総理大臣になるのか、大蔵大臣は、外務大臣は…と、あらかじめ決めておくのです。

 政権が変わればどんな政治になるのか、国民の目に見えるようになって親しみがわきます。野党も必死で勉強するようになります。まさに一石二鳥ですね。


岡山大学助教授(政治学) 谷 聖美

 「現在の政治状況を変革するために新党を結成すべし」という社民連の考え方は、試みるに値する企てだと思う。それは緩やかな連合政党でよい。とにかく大胆に力を結集することだ。但し、留意すべき点もある。
 第一に、政策の良し悪しで有権者の票がすぐ大挙して移動するような国は一つもない。我が国では特に、地域に有権者を組織する努力を怠ってはならない。新党を、そのための方便と考える位の狡智も必要である。
 しかし、第二に、新党を結成するためには、政策上の大枠について最小眼(でよい)の合意が必要である。そのためには多少の脱落者は覚悟せよ。
 第三に、それでも自民党の亜流にはなるな。理想の火を消しては意味がない。ただ、その火がまぶし過ぎないよう注意すべきときもある。
 チャンスはそう多くはない。社民連の活躍を期待する。


医師 額田 克海

 政権交代をも望める新党を結成する為には、国民の多くが、何を求めているかを充分に把握することが、まず必要。そこより起った議論を基にした、新しい党の誕生を希望する。その反省のない各党がいくら集っても、それは、旧党復元に他ならず、一般市民の共感は得られない。


会社社長 塚本 弘道

 多数決は民主主義の一つのルールだが、多数の説くところが必ずしも正しいとは限らないことも事実である。
 新党の結成が単なる数あわせになってしまっては今までと同じだ。少数の人々の意見を吸い上げることを忘れず、心の「誠」がわかる政治集団になるなら大歓迎だ。


会社員 石原 真里子

 企業社会においても、政治においても、特定の勢力に左右されるのは望ましくないと思う。私たち女性の立場から言うと、政治にはもっと女性の力が介入すべきだ。これだけ女性の社会進出が進んでいながら、実態はいまだ男性優位の社会であるのは腑に落ちない。同じように自民党だけに片寄った政治は、野党の結集によって、方向是正をしてもらいたい。


主婦 山田美那子

 政治が夢や希望を与えてくれるのでなければ、それはもはや政治ではあり得ない。新しい酒は新しい皮袋につめよう。明治維新は血風の中で改革を遂げたけれど、われらの新党は鮮やかにさわやかに結成されるだろう。「ついでに」女、こどもの意見「も」聞こうかというのではなく、弱者の幸福を柱に据えた「新党結成」をこそ待望する。


弁護士 河原 昭文

 中曽根のあとは竹下と決った。予想通りといえば予想通り。中曽根のしたたかさ、三人のニューリーダーの頼りなさだけが際立った茶番劇だった。その中で、日本の将来のために、自民党にかわって政権を担いうる新しい政党が絶対に必要ということもますます明らかとなった。しかし、社会党、民社党、公明党にまかせていては、百年河清を待つ結果となろう。社民連、江田五月氏が提唱する新党構想への期待を一層強くする由縁だ。


第一回政治講座 社会党とはどんな政党か

 「日本社会党とはどんな政党か」をテーマに、第一回政治講座が九月十二日、社会党の田中書記長を講師に迎えて開催された。県内各地から六十余名が参加。野党の再編成・新党結成の雰囲気が徐々に進んでいる中での企画であったので、質疑応答も活発にされた。

 賛否は別として、社会党の政策なり行動様式を理解することは、たいへん意味があったと思います。

 第二回目は、民社党の舛田書記長を迎えて、“民社党とはどんな政党か”というテーマで計画されています。

よかった! 市民参加の勉強会

 先日「日本社会党とはどんな政党か」をテーマとした政治講座が催された。地方の小都市で、一般市民も参加できる政党のミニ勉強会は、一寸珍らしい試みだと思う。と同時に、一人の市民として大いに歓迎したい。国会や地方議会の議員諸公や党員などの研修会はよくあることだが、支持者などを集めた研修会はあまり聞かない。だが本当はこれこそ必要なことである。今地方の時代が叫ばれ、政治の大衆化、国民化が要求される時、こうした根っ子の政治活動が最も必要かと思われる。これからも大いに企画し、実践して欲しいものである。ただ私としては、もう少し学問的、具体的なものが欲しかった。何か物足りない、食い足りない気がする。少し残念!

  岡山市・久松林之助


限リなきロマンをいだいて アゼリア会シルクロードの旅

 絲綢之道(しちょうのみち)。この名のもつ美しい響きは、限りないロマンをかき立て、江田光子夫人を団長とする女達の旅が始まりました。

上海――大阪空港から二時間。日中友好協会の鄭玉在さんのお出迎えを受け、人の波の中を、玉仏寺・魯迅記念館と見学し、夜は上海バンスキングを楽しみました。

西安――かつて唐の都『長安』。高い城壁で囲まれ、その西門は遥かなローマヘの玄関口です。『西遊記』で名高い玄奘三蔵の偉業を語る大雁塔。華清池では楊貴妃の如くハイ!ポーズ。碑林・兵馬俑の地下軍団には、ただ感嘆の声のみ。夜は三十種類のシューマイに
舌鼓をうちました。

蘭州――飛行場は砂漠の中なのに、町は美しい花が咲きみだれ、大黄河が滔々と流れ、工業都市として活気あふれ、まさに桃源郷でした。

敦煌――広大な戈璧砂灘のオアシスの町。東西の接点で花開いた仏教芸術の粋を莫高窟が魅せてくれました。彩色の鮮やかさは、目を見はるばかりです。田英夫議員との偶然の出合いで映画『敦煌』の撮影見学が出来ました。鳴砂山から、月牙泉へのラクダに揺られた夢気分は忘れられません。

トルファン――柳園から汽車で十二時間。午前二時。駅に降りた私たちを出迎えてくださた関玉如さん。有難くてただ「謝々!」の連発です。砂漠の中の遺跡の数々。なのにぶどうが、たわわに稔り、果物や野菜の宝庫です。中国は広い。これしかありません。

ウルムチ――新彊ウイグル地区の区都で、大オアシス都市です。天山山脈の地下水はあふれ、南山牧場は、まるでアルプスの草原と同じです。

北京――旅の最後は首都北京。近代的なビルが立ちならぴ、緑の多い美しい町です。その中に天安門、故宮博物館、天壇と四千年の歴史を物語る華麗壮大な建物が調和して偉大な中国の姿を見ました。全員元気で帰途につきました。訪れた町で多くの知識を得、思い出を作り、友情を深め、楽しい旅行ができましたことを、中日友好協会をはじめ関係各位の皆様に心よりお礼を申し上げます。感謝。

 記・木下典代


 自民党総裁選は竹下新総裁という中曽根裁定で幕を閉じた。国民にとっては、最も不幸な裁定のように思える。国際社会の一員として日本が身を立てていかなければいけない大切な時期の日本代表にしては、国民の誰もが納得できる選択とは言えない。なんのことはない。中曽根院政のお膳立てが、三人の候補によって尤もらしく演じられたにすぎない選考劇であった訳だ。
 日本は今、米国をはじめとする諸外国に、大きな不信感を抱かれつつある。その原因は、ひとり経済政策のみあるのではない。要するに、分からなさすぎるのだ。そして対外収支だけはブクブクと肥るだけ肥り、国民は、必ずしも豊かではない。
 国際社会の悩みを共有し、本気で、難問の解決に当る真摯な白本の姿、諸外国の人々の心を打つ日本のイメージ、そういった信頼感がかけらも見られないところに問題の本質はある。
 この三十年、怒るでもなく、悲しむでもなく、主張するでもなく、ただただじっとおしんを決めこんで権力どりだけを夢みてきた竹下さんに、この難題の解決はむつかしい。かといって、中曽根流では、危かしくて、一歩誤まれば、世界の孤児になりかねない。

 野党が一日も早く国民の信頼を得て、自民党に取って代わることが、増々大切な時期になった。十一月の連合の結成、社・民の歴史的和解の動き、機は熟しつつある。江田五月代表を中心にした社民連の働きに、いよいよ国民の期待は大きくなりつつある。(T)


“人間の橋・完成間近” 愛生園・光明園で懇談

 秋の瀬戸内、汐風もさわやかな九月十四日、長島愛生園において江田五月を囲んでの懇談会が開かれました。岡山からは江田代表をはじめ大亀書記長、橘県議そして地元、邑久町から未石朝夫町議が参加。愛生園からも光沢代表、細木副代表、中尾書記長、他三十余名が参加し、わきあいあいとにぎやかに懇談の花が咲きました。

 長島において、今最も期待されている長島架橋も、十月初旬橋脚に橋げたが架けられ、まさに長年の夢が現実に一歩近づいたと言えます。

 このような状況の中での会であっただけに、参加者の表情も明るく生き生きしていました。長年架橋促進運動に奔走してきた江田議員にとっても、感慨無量です。

 なお、邑久光明園でも自治会代表の皆さんと懇談しました。


江田議員、斉藤厚生大臣に確約させる

 十月六日、厚生省へ全国ハンセン病患者協議会の曽我野会長、そして江田五月もハンセン病対策議員懇談会の事務局次長として、山口鶴男事務局長と共に厚生大臣折衝に臨んだ。その場には長島愛生園の光沢和幸さんも瀬戸内ブロック代表として参加された。

 この交渉の場では、国立病院、国立療養所の統廃合の問題が重要なテーマになったが、ハンセン病の療養施設はこの統廃合の対象には含めない事と、今後の処遇についても医療、看護、福祉、生活にいたる保障を十二分にするという事を、斉藤厚生大臣に確約させた。


税理士と江田五月  二次会はカラオケ

 「税理士による江田五月後援会の懇親会」が十月五日、まきび会館で、多数の税理士の皆さんが出席して開かれた。事務局からは、江田議員、大亀書記長、橘県議、森秘書が出席。
 江田議員から、まず国会報告とソ連訪問の土産話の後、大亀書記長から江田議員が提唱した新党構想を説明した。

 出席者のなかから、「税理士も積極的に政治に参加すべきだ。」「このような会合をもっと増やして欲しい」などうれしい意見も聞かれ、江田議員も上機嫌。

 二次会では、皆さん得意の喉を披露し、「昂」で歌い終わり、一同それぞれ夜の街へ。


秋風に誘われて“街頭演説”

 秋です。空は青く、風は心地好い。自然と体は軽く、どこか遠出したくなる。弁当を持ってハイキングヘと行きたいところですが、国会議員となれば、そう簡単にいかない。

 十月の日曜日、宣伝カーは西の小古都、津山へ。弁当持参でなく、“五月会だより”持参。駅前で、商店街で、住宅地で、江田議員は、新党結成を訴える。同行した秘書は、道行く人に新聞を渡します。うなづいてじっと聞いてくれる人、一寸立ち止まってのぞき込んで行く人、車から手を振ってくれる人。いろいろです。政治は、赤い絨毯の上でひそひそ話ではいけません。外へ飛び出し、市民の中で、話をする事が大原則。

 十月は津山市の他、岡山市東部、備前市など数十ケ所で街頭演説を行い、大成功。


京都の夜のスモールイズビューティフル

 幕末、維新の志士が京に集まった。政治を自らの手で変えようという、社民連の現代の志士たちも全国研修合を京都の平安会館で開いた。九月二十日のことである。

 その夜は京都社民連の骨折りでにぎやかに懇親会。座も盛り上がりかけた所へ、大口で、いや、美人で有名な京唄子さんが登場。「大きいのが良いのは口だけで、政党は小さい方が素晴らしい」と挨拶して会場を湧かした。思わぬ芸能人の飛び入りに、真面目な議論で疲れた面々も大いに笑い転げた夜であった。


「筋がいい?」 江田五月のゴルフ
 「打ったボールの行方は、ボール自身に聞いてほしいョ」とこぼしていた江田議員のゴルフ。今年は統一地方選もあり、はたして腕をあげたかどうか。ところが最近の江田議員、ゴルフレッスン場に時々足を運んでいるようだ(某東京通信)。
 理由が分った。八月十三日に行われた東急女子オープン・プロアマ大会に、小田美岐プロとペアを組んだからだ。プロに「筋がいい」とか言われて、その気になったにちがいない。ところがこのコンペが翌日の「赤旗」の一面トップで『与野党・財界なれあいゴルフ』と冷やかされた。当の江田議員は、「ゴルフにまで保守・革新なんてそれじゃ付き合いがせまくなりますね」一年に一、二回ぐらいコースに出る江田議員のゴルフ。いつまでたっても上達しないのは当然。


“ひょうたん会”で講演、大盛況
 九月下旬、江田議員は倉敷市玉島の若手青年実業家のグループ“ひょうたん会”で、「政治のウラとオモテ」について講演しました。“ひょうたん会”は社会奉仕を通じて「もっと玉島を楽しいものに!」と、日常活動しているグループです。毎月の定例会には、政治、経済、文化のエキスパートを呼んで勉強。今回は野党再編に奔走する江田議員を講師に迎え、大盛況。
 “選挙区外だがぜひ今後ともお付き合いを”と、うれしい言葉。皆さんも、講師として江田五月を呼んでみませんか。


江田光子さん 聖良寛文学賞を受賞
 私たちが敬愛してやまない江田光子さん(江田五月議員の母上)が、今年度の聖良寛文学賞を受賞されました。
 この賞は、岡山県南において優れた文学活動を続ける人に贈られるもので、彼女の受賞は遅すぎる感さえしますが、まことにおめでたいことです。
 光子さんは、歌集「炉の辺にひとり」を出されています。
夫を待ち 待ちつつ粗朶を折り焚けば たのしきごとし 炉の辺にひとり
 この一首を初め、三郎先生との美しい日々の中で、そしてお一人になられた淋しさの中で詠まれた六百余首が、この秋あらためて心に響きます。
 この授賞を機に、第二の歌集を心から望んでいます。


全郵政労組と懇談

 このほど初めて全郵政(郵便局に勤める人の労働組合の一つ)との懇談会が行われた。全郵政から、岡山支部・岡山東支部・岡山中央支部の役員と若い執行委員ら二十一名が参加。
 江田議員は「今秋の全民労連への移行に伴い、労働界の再編が急速に進みつつある。今こそ、大同団結して、自民党に対抗しうる野党勢力の結集を」と訴えた。
 全郵政から、「野党結集に期待する」「新党とはどんな政党か」「全逓労組との統一は困難」など、質問・意見が続出。江田議員も、その熱気にニコニコ。


編集後記
 人間に最も大切なこと、それは健康。車を運転し、椅子に座って話をする毎日。運動と言えば歩くくらい。そんな私に、秋風が「スポーツをしなよ」と語りかける。
 青空の広がった日曜日、ソフトボールの試合。力一杯のダッシュや遠投。翌日は筋肉痛で階段の昇降が苦しく、笑いたくても笑えない有様。学生時代の私が懐しく思える。
 ゴルフでも、いやテニスでもと思うが、気持ちだけあせって実行が伴わない。コーヒーを二杯のみ、たばこを五本吸いながら考えるから始末におえない。
 この場をおかりして私は宣言します。“私はスポーツマンになります。そして江田議員のようにスマートになって軽いステップで新党結成にむけてがんばります”
 今回は新党特集号。ここしばらくは、江田議員が台風の目となって、新党旋風が吹き荒れることでしょう。(ノブ)


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