1999年7月15日

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国旗・国歌法案について

  1. 私は、「国旗・国歌法案」に反対です。より正確に言えば、今国会で国旗として日の丸、国歌として君が代を「法制化」することに反対です。

  2. その理由の要点は次のとおりです。

    1. 私自身は儀式において、日の丸を国旗として掲揚することを認め、君が代を国歌として斉唱しています。従って私個人は、法制化によって困ることはありません。しかし私たちは立法者であり、自分が個人としてどう思うかだけで法案への賛否を決めることはできません。

    2. 日の丸・君が代が戦前・戦争中に、国民を愛国者と非国民に峻別するのに用いられた歴史があること、およびこの歴史に心を痛め、日の丸・君が代を国旗・国歌として扱うことに抵抗感を抱いている人々が少なからずいるのは事実です。

    3. 私としては、この皆さんの痛みは理由のあることだと思い、共感します。そして日の丸・君が代を国旗・国歌として法律で決めることは、その皆さんの心の痛みは法律に沿わないものだと決めつけることになり、それはこの皆さんの内心の自由を束縛し、自由な社会の正しいあり方ではないと思います。

    4. もう一点は、特に君が代について、若者や女性に法制化反対の意見が多いことです。これは、過去の思い出というよりも、むしろこの種のことについて強制や管理を嫌う傾向かと思います。個人の個性や自主性に対し、たがをはめようという試みに反対するこの皆さんの気持ちは大切であり、これを理解しないと、この皆さんに対する民主党の支持が拡大する筈もありません。

  3. 次に、関連する若干の論点について意見を述べます。

    1. まず、法制化が提案された以上、民主党は政権をめざす党として反対できないから、賛成するという主張についてです。私は、この主張の論理がよくわかりません。そして、そのようなあいまいな論理で何となく流されていくことに、国民が今漠然とした不安を感じており、それが現れたのが、今日の「自自公」に対する支持率の低さだと思います。民主党までこれに引きずられてはなりません。けじめが必要なのです。

    2. 次に、子ども達が君が代に誇りを感じていないことを危惧する意見です。私は、いろいろ考えてみて、これはやはり君が代の方に原因があると思うに至っています。あの歌詞、あの旋律は、やはり若者になじめるものではありません。

    3. ちなみに、憲法が旧憲法から新憲法に変わったことにより、歌詞の意味が変わったという説明は、あまりにもご都合主義で説明になっていません。旋律も、中田喜直さんの言われるとおり、作曲法に合致していません。


  4. もし立法で国旗・国歌を定めるというのなら、何が国旗・国歌としてふさわしいかの国民的議論を経ることが必要です。それは必ずしも日の丸・君が代に帰着するとは限りません。特に君が代については、大議論が予想されます。

  5. 日の丸・君が代は、慣行で国旗・国歌の扱いを受けてきているものであり、それは過去の長い、時には苦しい歴史を背負っているものです。20世紀のことは20世紀中に解決するといっても、法制化によってこの歴史に区切りをつけることはできず、逆に思考停止、悪く言えば「臭いものに蓋」になってしまいます。過去の歴史も含めて、慣行でこれまでの扱いを続けることが妥当です。

皆さんのご意見をお待ちしております。


国旗・国歌法案について 1999年7月15日

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