1999/07/07

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参院・行革税制等特別委員会 総括質疑 

1.原子力安全行政、プルトニウムの問題について
2.憲法における国と地方公共団体との行政権の関係について
3.行政不服審査法について


  午後二時開会
○委員長(吉川芳男君) ただいまから行財政改革・税制等に関する特別委員会を再開いたします。 休憩前に引き続き、内閣法の一部を改正する法律案外十七案を一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。

○江田五月君 御苦労さんでございます。

 いよいよ長丁場の委員会も締めくくり総括ということになってまいりました。私は、これまで二時間質疑をさせていただいておりましてちょっと長くやり過ぎたなと思っておるんですが、最後にもうあと一時間ということでよろしくお願いいたします。

 今回の中央省庁改革法案についての衆参の特別委員会の質疑の中で、まだ非常に多くの議論が積み残されておりますが、きょうは各論の一つとして特に原子力安全行政、それからプルトニウムの問題について質問をいたします。

 私は、実は恥ずかしながら、平成五年から六年にかけて細川内閣のもとで科学技術庁長官として原子力行政を担当したことがございます。そのため、この問題については特に関心も強いわけですが、まず総務庁長官にお伺いします。今回の省庁改革で原子力安全行政は一体どういうことになるのか、説明してください。

○政府委員(河野昭君) 原子力安全行政でございますが、基本的に申しますと我が国は原子力安全に二重のチェック体制をとっております。

 したがいまして、一次的なチェックについては、特にエネルギーの利用に関する安全行政というところで経済産業省が所管する。それからもう一方、内閣府にいわゆる原子力安全委員会、独自の事務局を置きましてそこで二次チェックするというのが基本的な形でございます。

○江田五月君 従来は、まず現場といいますか、原子力については科学技術庁が担当している部分があった、それからもう一つ通産省が担当している部分があった、今もあるわけですけれども。そこへ、両省に分かれてそれぞれ安全というものを しっかり見て、それについてダブルチェックで原子力安全委員会がチェックしておったと、こういう体制。

 それが今度は、文部科学省が見るところと経済産業省が見るところ、そしてそれについて原子力安全委員会というものがダブルチェックしていると、そういうことですね。そこで、内閣府の中に独立の事務局を持つ原子力安全委員会というのが 置かれる。

 総務庁長官、原子力安全行政の主務大臣というのは内閣府に置かれるわけですから、したがって内閣府の最高責任者というのは、あるいは主務大臣というのは内閣総理大臣ということになる、これはそれでいいんですか。

○政府委員(河野昭君) 内閣府の主任の大臣は 内閣総理大臣でございます。

○江田五月君 ということは、原子力安全委員会の機能は内閣府のもとで今まで以上に充実強化されていくと期待をしたいところですが、そう期待してよろしいですか、大臣。

○国務大臣(太田誠一君) お答えいたします。
 すべての重要課題については、ここで衆議院も参議院も御質問を受けるたびに、重要だから内閣府に置けという御意見が多かったわけでございますが、そういう気持ちもあろうかと思いますし、またダブルチェックと言う以上、異なったところに置く方が本当のダブルチェックになろうかと思います。

○江田五月君 内閣総理大臣が主務大臣でこの原子力安全委員会というものを管理しておる、したがって国会を通じて国民に説明をする責任をとっていくその主務大臣は内閣総理大臣である、こういうことになるわけです。

 実は、現在の原子力安全委員長の佐藤一男さんが、私ここに持っておるのですが、「行政改革を通じての原子力安全委員会のあり方について(要請)」、こういう文書を持ってみずから各方面を回られたということだそうであります。私ども民主党にも来られました。住専機構の社長のときの中坊さんのような、異例ですが、熱情あふれる行動であると思います。

 この文書では、「当委員会」、すなわち原子力安全委員会は、「私ども」というのは委員長、「私ども五人の委員の下に、二百人に及ぶ審査委員等の専門家を擁しておりますが、その能力を有効に発揮するためには充実した事務局の運営管理能力が必要です。」「現在、科学技術庁原子力安全局が局を挙げて事務局としての役割を果たしていますが、当委員会が内閣府においてこのような機能を継続するに当たって、高度な行政手腕を有する局長級の事務局長と、その下に六十ないし七十人の事務局体制が是非必要です。」「当委員会の機能を十分に発揮できるようにするため、何とぞ、事務局体制の整備についてご高配のほど、お願い申し上げます。」、こう書かれております。

 官房長官、内閣府の事務局体制の整備、これは官房長官の任務ということになると思うんですが、この安全委員会委員長の事務局体制をきっちりやってくれ、従来は科学技術庁の安全局百五十人からの体制でやってもらっておったが、そこから離れるということになるのでというこの要請について、この事務局体制を整えていく責任をお持ちの官房長官として、どういう御見解でしょうか。

○国務大臣(野中広務君) 御指摘のように、従来と異なりまして、内閣府に原子力委員会として単独の事務局を持つわけでございますので、その機能が充実をされるように目下検討しておるところでございます。

○江田五月君 これはぜひ万遺漏なきようお願いをしなきゃいかぬと思います。

 さて、小渕総理、原子力安全行政の主務大臣、最高責任者は総理大臣。二〇〇一年の一月の時点で固有名詞がだれかというのはそれはわかりませんが、総理大臣であることは間違いない。少なくとも二〇〇一年一月を含む来年度予算の概算要求はこの夏から始まるので、原子力安全行政の主務大臣、最高責任者として、国民の重大関心事である原子力安全行政の充実強化について、総理大臣としての決意と方針をお伺いいたします。

○国務大臣(小渕恵三君) 現在の行政機構の現状であれ、また将来この内閣府におきまして原子力委員会並びに原子力安全委員会が機能を発揮するにいたしましても、原子力の持つ安全性にかかわる問題につきましては国民も極めて厳しい感じを持っておることと思いますし、いやしくも諸外国で残念ながら起こりましたような事故を絶滅していくためには完全なコントロールをしていかなきゃならぬと思っております。

 そうした意味におきましての予算並びに機構その他につきましては、向後、万全を期していく体制を整えてまいりたいと思っております。

○江田五月君 総理大臣という立場、内閣全体を総理する立場ということもありますが、原子力安全委員会という委員会のことについて、国会を通じて国民に責任を負う主管の大臣は総理大臣になるわけですから、この点は従来とは変わってくるわけで、ひとつ気持ちを新たにしてやっていただきたいとお願いいたします。

 科学技術庁長官にも伺いますが、新たに設置される文部科学省では原子力安全行政というのはどういう位置づけになるのでしょうか。

○国務大臣(有馬朗人君) 科学技術庁の長官の先輩にお答えを申し上げる次第でございますけれども、行革が行われたときにどうなるかという御質問でございますが、一つ、文部省といたしましては、文部科学省設置法案の中に、「国際約束に基づく保障措置の実施のための規制その他の原子力の平和的利用の確保のための規制に関すること。」を所掌することとなっております。したがいまして、文部科学省といたしましては、我が国の原子力開発利用を厳に平和利用に限るというふうにしていくことが重要な役割でございます。

 それから、その成果を、それから実績を国際社会に発信いたしまして、国際的な核不拡散体制の維持強化へ貢献していくことが重要と考えております。

○江田五月君 どうもやりにくいんですが、大先生に向かって余り批判的なことも慎みたいと思うんですけれども、私は、安全行政について文部科学省でどうなるかということを聞いたんです。今のお答えは全然違うんですね。今のお答えは平和利用についての規制のことをお答えになったんで、二つあるんです。安全規制の方は。

○国務大臣(有馬朗人君) まず、我々の認識を申しますと、原子力安全委員会は原子力安全確保におけるかなめである、こういう重要な役割を担う機関だと思っております。今般の行政改革においては、原子力安全委員会は特に内閣府に独立の事務局が置かれることになる。これは先ほど先生の御指摘のとおりです。この事務局は、安全委員会の活動を支える極めて重要なものであると考えております。行政改革後もこのような安全委員会の機能がより一層発揮できるよう事務局体制をつくっていかなきゃなりませんが、文部科学省としても、これに対してふさわしい事務局体制ができるよう大いに努力をさせていただきたいと思っております。

○江田五月君 それもちょっと違うんだろうと思うんですね。原子力安全委員会というのは独立の委員会で、内閣府の中に置かれて、そして事務局は独立にそこにつくられるんで、もちろんそれは固有名詞で言えば人は文部科学省から送られる人はおられるでしょうが、文部科学省が原子力の安全についてどういう役割を果たすかということとは違うんです。

 私の方で言います。
 試験研究用の原子炉施設、それから核燃料等の使用施設の安全規制というものを文部科学省は行うという、それでよろしいですよね。

○国務大臣(有馬朗人君) はい。

○江田五月君 さて、ちょっと具体的なところへ入りますが、例えば核燃料サイクル開発機構、これは文部科学省と経済産業省とが共管をする。共管をするんですが、例のFBRですね、「もんじゅ」、これは一体どちらが所管をすることになりますか。

○国務大臣(有馬朗人君) 「もんじゅ」の研究開発は、これはサイクル機構が行います。そして、その一次的な安全に関しては経済産業省になると思います。

○江田五月君 サイクル機構は共管ですが、「もんじゅ」は発電の用に供する研究開発段階炉の安全規制ということで、その安全規制は経済産業省に移る。「もんじゅ」というのはまだ原型炉、しかしまだまだ試験研究段階で、現にああいう事故が起きたりして今ストップしているわけです。まだまだこれからどうなっていくかわからないというそういう技術開発が経済産業省の所管というのは非常に危ういものを感ずるんですが、いかがですか。

○国務大臣(有馬朗人君) 先生もう非常に詳しく御存じのように、「もんじゅ」はおっしゃられるように研究開発部門、原型炉としての部分がある。同時に発電はいたします。もう既に発電をする。そういうところで、発電をする、エネルギーが取り出せるという、電力が取り出せるという意味で、経済産業省がそこのところはチェックする、こういうことになるわけでございます。

 そういう意味で、今回の中央省庁等改革基本法を踏まえまして、エネルギーの利用に関する原子力の安全確保については経済産業省が、科学技術の原子力の安全確保については文部科学省がそれぞれ所管することになりました。そういう意味から、「もんじゅ」の中で、再処理工場の安全規制とかそれから発電の部分ということに関しては経済産業省が検査をしていくことになると思います。

○江田五月君 まだ高速増殖炉というのは本当に研究開発段階の危うい技術なんです。経済産業省というのは、やっぱりどんどん進めていくというそういう志向性を持っているんだろうと思うんですけれども、幾ら発電をするといっても、発電をしてみたらどうなるだろうというのでナトリウムを回しているわけですね。 それが経済産業省というのは、やはりこれは非常に危ない。原子力安全・保安院というものをつくってそこで安全規制を行うということになるんでしょうが。

 それでは、「もんじゅ」はプルトニウムを使うわけですね。その「もんじゅ」の平和利用についての規制、これはどこが行うんですか。

○政府委員(間宮馨君) お答え申し上げます。
 いわゆる核燃料サイクル機構そのものの機構法におきまして、平和の目的以外の活動をしてはならないという条項がございまして、そこを基本といたしまして平和利用は担保されているというふうに考えております。

○江田五月君 いいですか、「もんじゅ」というものの施設は経済産業省が担当する、しかしその平和利用の観点からの規制は文部科学省がこれを担当すると。入り組んでいるんですね。

 ちょっと総理大臣にお伺いしておくんですが、原子力の利用というものは、原子力基本法で平和目的に厳密に限定するんだと。間違っても高濃縮ウランやプルトニウムを核兵器に転用することは絶対ないんだと。それは意思も持たないし、そういう制度もないし、そういう技術開発もしないんだと。これは我が国の最高の国是であると私は理解をしておるんですが、同じ理解と考えてよろしいですか。

○国務大臣(小渕恵三君) 我が国は非核三原則を遵守しておることでございますので、今お話しの点につきましてもその線上にあるものと考えております。

○江田五月君 今私は、そういう意思も持たないし、そんなことができるような制度にもしないし、そうした核兵器をつくるような技術開発もしないということを言いました。そして、これは総理、国際社会からもそういう疑いを持たれないように、そうした核兵器転用可能性のある物質の扱いについてはもういやが上にも透明性を増していく、IAEAの査察も厳重に受けていく。きょうも参議院の本会議で先ほど核不拡散条約の追加議定書の締結の承認、承諾がされました。こういう厳重な国際社会の中での透明性確保のもとにやっていくんだ、これも我が国の重要な国是と考えたいと思いますが、いかがですか。

○国務大臣(小渕恵三君) そのとおりと心得ております。

○江田五月君 そこで、ちょっと細かなことに入って申しわけないんですが、高濃縮ウランというのはウランの濃縮技術の関係、それから通常プルトニウムは、我が国で用いているプルトニウムというのは、239の濃度といいますか、含有の割合が低いから簡単に核兵器になるものではない。そういうことでやっておるわけですが、「もんじゅ」 のブランケット燃料、これは有馬先生おわかりですよね、「もんじゅ」のブランケット燃料というのはウラン238という非核分裂性のものをプルトニウムの燃料の外側にずっと置いて、そこへ中性子があたってこれが239のプルトニウムになって核分裂性のものになるから、発電をしながら燃料ができる、こういうことですよね。

 この「もんじゅ」のブランケット燃料の再処理によって得られるプルトニウムは、そういう次第ですから239の度合いが非常に高い、核兵器級のプルトニウムがそこでできる。ここをどういうふうに透明性を保っておくかというのは、これは日本の原子力平和利用行政の言ってみればかなめのところであろうと思うんですが、このブランケット燃料再処理施設、RETF、リサイクル・エクイップメント・テスト・ファシリティー、これはどこの所管になりますか、大臣。

○政府委員(興直孝君) お答え申し上げます。
 ただいま先生の方から御照会がございました「もんじゅ」の使用済み燃料の再処理について、それを行う予定でございますサイクル機構ののリサイクル機器試験施設、RETFにつきましては、これは所管は文部科学省、このように考えてございます。

 他方また、これにつきましての規制の関係でございますが、この規制は再処理事業というものの一環として位置づけられてございますので、これにつきましては先ほどお話がございましたように経済産業省の所管になるもの、このように考えてございます。

○江田五月君 いいですか。これは非常に小さなところなのでちょっと恐縮なんですけれども、しかし重要なことなんだと思っているんですが、このリサイクル機器試験施設というのは、施設自体は再処理施設の変更の承認ということで、これを所管するのは経済産業省なんです。だけれども、それが核不拡散の関係から安全に管理されているかどうかというものを見るのは、これは文部科学省になっているわけです。そして、ダブルチェックはどうなるか。その施設自体の安全性のダブルチェックは原子力安全委員会です。そして、平和利用の観点からのチェックはどこがやるかというと、これはどこですか、科学技術庁長官。

○国務大臣(有馬朗人君) これは文部科学省がやることになると思います。

○江田五月君 ダブルチェック。

○国務大臣(有馬朗人君) ダブルチェックは安全委員会。

○江田五月君 安全ということと平和利用ということが混同されているんだという気がするんですが、平和利用に関してはもちろん文部科学省が見ていくんですけれども、原子力委員会が一番の責任ある委員会になっていくんじゃないんですか。

○政府委員(興直孝君) お答え申し上げます。
 内閣府におきます担当の委員会は原子力委員会、このようになるかと思ってございます。

○江田五月君 よく聞いておいてくださいね。
 今は科学技術庁長官と原子力委員会委員長は同じ人がやっているんです。同じ人がやっていて、そして科学技術庁が平和目的の確保の点もしっかり見るし、それも原子力委員会としてもしっかり見ていく。

 ところが今度は、今のリサイクル機器試験施設については所管は経済産業省に移る、平和利用の観点は文部科学省が見る、安全の面のダブルチェックは原子力安全委員会がやる、全体として平和利用の方は原子力委員会がやる。そしてその原子力委員会の委員長と文部科学省の大臣とは別になるんです。原子力委員会の委員長は学識経験者から総理大臣が国会の同意で選ぶ、そしてこれは大臣じゃないですから、小渕総理大臣、あなたがそこのところは総責任者になるんです。

 こんなにもうあっちやこっちに所管がばらばらになって、一番重要な核兵器級プルトニウムに一番近づいている、あるいはそのものと言ってもいい、そこの部分についての国の行政体制というのがそんなにばらばらになっていいんですか。

 これは、私は真剣に考えてもらいたいと思いますが、どなたに伺えばよろしいですか。

○国務大臣(与謝野馨君) 江田先生は科学技術庁長官をやられたので、私よりはるかにいろんなことを御存じだと思うんですが、平和利用の話と安全確保の話は別に考えていただいた方が私はいいんではないかと思っております。

 平和利用の話は、もともと昭和三十年代の初めに原子力基本法ができましたときに日本学術会議が意見を出しまして、民主、平和、公開という原則を原子力基本法の第一条に書きました。それは国内の法律としては平和ということをうたったわけですが、その間、日米原子力協定にも平和利用ということについての担保を要求されておりますし、日英もそうですし、日加もそうでございます。

 一方では核防条約に参加し、これを批准いたしましたので、核防条約からも平和ということは当然要請されておるわけでございます。そういうものを国際的に明らかにするために、IAEAのいわゆるセーフガード、査察というものも受け入れておりますし、またそれに基づくいわゆるアカウンタビリティーをきちんといつも出しているわけでございます。

 そういう意味では、国際的な基準に従ってすべての行政が行われているわけでございまして、平和ということだけに着目すれば外務省も関与いたしますし、科学技術庁も関与いたしますし、通産省も関与すると。そういうことでございまして、ばらばらになったから平和利用が担保されないんだという議論はどこにもないんだろうと私は思っております。

○江田五月君 そういう、すべて一元的に規制していくばかりが能じゃないとは思うんですよ。いろんなところからいろんな角度で見ていくことが必要な場面はあるだろうと思いますし、ただその場合でもそうしたもの全体をやはりどこかが一元的に目をちゃんと光らせてなきゃいけないということはあるんだろうと思うんですね。

 それがどこになるかというと、やっぱり原子力委員会になるんだろうと、全体の責任としては。そして、それは内閣府にあるから総理大臣が責任を持っている、国民に対しては総理大臣が責任を持っていると。現実にやるところは文部科学省のそういう保障措置を担当するところで現実に実務はやるんだということになると思うんですが、そのあたりは一体どう整理されているのか今度の考え方というのがどうにもきっちり頭に入ってこないので、またゆっくり頭を冷やして考えてみますが、やっぱりこれは新しい体制になって責任を負うのは原子力委員会、原子力委員会の主務大臣は内閣総理大臣ですから、小渕総理、ちょっとそのあたりのことについて覚悟のほどをここで述べておいてください。

○国務大臣(小渕恵三君) いずれにいたしましても、極めて重要なことは、これに尽きるわけではないのでございますので、内閣総理大臣が主務大臣となる内閣府におきまして原子力関係のもろもろの問題につきまして最高の責任を負うということでございますので、担当はそれぞれの役所に分かれるかもしれませんけれども、その上に立って万遺漏なきを期して、いささかのこの問題に対してそごの起こることのないように、覚悟のほどと言われましたが、総理大臣として全責任を負っていくべきものと考えております。

○江田五月君 きょうのところはそれ以上の言葉を求めても無理なんでしょうが、何とも頼りないと言うと怒られますが、本当にしっかりしていただきたいと思います。

 もう一度科学技術庁長官、こうした制度の変更について原子力安全条約あるいは核不拡散条約上、それぞれの国際機関に情報の提供をするとか協議をするとか同意を得るとかなんとか、そういうようなことはありますか、ありませんか。やっておられますか。

○政府委員(間宮馨君) お答え申し上げます。
 日本は原子力安全条約に加盟しておりまして、これに基づきましてIAEAに原子力の安全規制の行政体制を含めて我が国の安全面の取り組みの状況を報告しております。このため、安全規制の行政体制に変更がありました場合は、原子力安全条約の事務局でございますIAEAに連絡することになると考えております。

○江田五月君 まだ法が成立していないので、今後報告することになるという、そういうことですね。
 IAEAの保障措置の完全な実施を前提として、最近ではさらに積極的に核兵器の解体などで軍事目的にとって不要となったプルトニウムと平和利用のプルトニウム、この保有量を各国が毎年公表すると、こういう制度ができてまいりました。プルトニウムの国際管理を実現するという政策課題 がクローズアップされてきたわけです。

 ちょっと手前みそになって申しわけありませんが、これは私が科技庁長官のとき、平成五年九月末のIAEA総会で我が国のイニシアチブとして提案したことで、その後、翌九四年の二月以来九七年九月まで十三回会合を経て、九七年十二月にアメリカ、ロシア、イギリス、フランス、中国、日本、ドイツ、ベルギー、スイスの九ヵ国の参加と、IAEAとEUがオブザーバー参加してプルトニウムの国際管理についての指針、ガイドラインが決定されました。

 私は、日本が唯一の被爆国として核兵器を世界からなくする、とりわけプルトニウム、これはもぅ平和利用以外に使わせない、そういう国際管理のイニシアチブをとらなきゃならぬと。核兵器を世界からなくするというのは、日本は悲願として追求をしていかなきゃならぬ課題だと思っておりまして、そういう場面で日本が科学技術力を持って国際参加をしていくというのは日本の大変大切な国際貢献の一つであると思っておりますし、今回の行政改革会議の最終報告にも国際的なシステムということに言及して日本の主体的な役割を、この点に絞っての話じゃありませんけれども、そういうことを書いているわけで、小渕総理、核兵器廃絶の願いを込めたプルトニウムの国際管理ということは内閣の重要な政策課題とお考えになりますか。

○国務大臣(小渕恵三君) プルトニウムは核兵器を製造する一つの物質であると理解いたしております。それだけに、その管理につきましては十分な責任を持たなきゃならぬと思っております。

 日本は、そうした意味での世界的な信頼を得ておるものと思っておりまして、政府の基本的な三原則はもとよりでございますけれども、すべて透明性を持って国際機関に対しましても実態を明らかにいたしておるわけでございます。いささかもそうした長年にわたる信頼を失うことのないように、特にプルトニウム等につきましては十分な管理が徹底できるようなそうした行政をいたしていかなきゃならぬと考えておるところでございます。

○江田五月君 国内だけではなくて国際的にもイニシアチブを発揮してほしいということなんですが、総務庁長官、その国際管理、これは今度の改革法の後にはどこの所掌事務になりますか。

○政府委員(輿直孝君) お答え申し上げます。
 本件につきましては、文部科学省の所管になろうかと思います。
 これにつきましては、先ほど来ございますように、平和利用の担保との関係で具体的な国内事務としまして保障措置業務というのがあるわけでございますが、その関係で計量管理の業務を行うわけでございます。この計量管理業務につきまして文部科学省が所管し、同時に、先生御指摘の国際プルトニウム指針に基づきます具体的な問題も文部科学省が所掌していくと。

 なお、当然のことながら、原子力委員会が現在、原子力白書におきましてこの具体的な計量管理の実態を白書に記載しているわけでございますが、このような形で、原子力委員会は国全体の流れを掌握するということが当然出てくるものでございます。

○江田五月君 文部科学省のことと原子力委員会のことと両方お答えになりましたが、そうすると、例えばIAEAの総会、これはだれが出ることになるんですか。文部科学省の大臣なのか原子力委員会の委員長なのか。

○政府委員(興直孝君) お答え申し上げます。
 本件につきまして、答弁の当事者が私であるのがいいかどうかは別といたしまして、先ほど来、より適切な方がいらっしやるというふうな意味で申し上げたものでございますが、国の原子力行政につきましては、経済産業省、文部科学省、さらには内閣府において行われますとともに、国際条約の履行等の関係がございますので、当然外務省もあるわけでございます。

 そういう状況にありまして、新しくIAEA、国際原子力機関に日本政府代表というふうな形で出られる方が一番適切なのはどなたなのかというふうな、そういう御質問だろうと思いますので、これはその時々の案件事情によってしかるべき代表が選ばれるだろうと思います。

 なお、私ども文部科学省というふうな観点から見ますと、原子力の科学技術に関します問題につきましてはまずは所掌しており、さらに加えまして、原子力の平和利用というふうな観点から計量管理の問題について所掌をしていると、先ほどこう申し上げましたところ、原子力の平和利用の観点からは文部科学省は一義的にその責務を負う必要があろうと思います。

 なお、原子力委員会委員長というケースもあろうかと思います。

○江田五月君 まことに申しわけないことをしました、本当に。輿原子力局長はきのう原子力局長になったばかりで、それはきょう答えろと言ってもなかなか難しいのはよくわかっておりますので、まことに申しわけないことをしました。しかし、事ほどさように、この省庁改革できっちり決まっていないようなところ、抜け穴がひょっとしたらあるんじゃないかというようなところ、これがあると思うんですね、たくさん。これだけの大改革をするのですからそういうこともあるでしょうけれども、やっぱりこれは危なくて仕方がないということを感ずるんですよ。ひとつそこは本当によく心にとめておいていただきたいと思います。

 とりわけ原子力行政については、原子力安全行政も原子力委員会のことについても内閣府で、どちらも委員長は大臣じゃないので、所管で国会を通じ国民に責任を負うのは内閣総理大臣となるわけですから、総理大臣、ひとつよろしくお願いいたします。

 さて、時間の配分が大分狂ってしまっておるのですが、大急ぎで少し残ったことを聞いておきたいと思います。
 六月十五日の本委員会の我が会派の本岡昭次議員の総括質疑で議論された憲法における国と地方公共団体との行政権の関係について、議論を整理しておきたいと思います。

 これは、もともと平成八年十二月六日の衆議院予算委員会で、当時は旧民主党だったわけですが、菅直人代表が憲法六十五条の「行政権は、内閣に属する。」というこの行政権の中に自治体の行政権は含まれているのかどうかという質問をした。

大森内閣法制局長官は、
  要点だけお答えいたしますが、現行日本国憲法は、第八章におきまして地方自治の原則を明文で認めております。そして九十四条は、「地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有する、」このように明文で規定しているわけでございますので、地方公共団体の行政執行権は憲法上保障されておる。
  したがいまして、ただいま御指摘になりました憲法六十五条……
ちょっと全部引用する時間がありません、
 逆に言いますと、地方公共団体に属する地方行政執行権を除いた意味における行政の主体は、最高行政機関としては内閣である、それが三権分立の一翼を担うんだという意味に解されております。
という答弁をされました。

 自治体における独自の行政権を認めたものとして重要な答弁であると認識をしておるわけですが、本委員会では同じような質問に対して法制局長官は、いろんなことを言われた後に、答弁の趣旨と申しますのは、

 地方公共団体は包括的な行政権能を有している、そして現に地方公共団体の執行にゆだねられている事務自体は、国、言いかえれば……
ちょっと引用を省きます、
 したがいまして、地方公共団体の行政権能がどのように認められるかということにつきましては、その行う事務について地方自治の本旨を十分配慮しながら、どのように国が関与するかということを含めまして、いわゆる立法裁量の問題として国会の判断にゆだねられ、その制定する法律の定めるところによって定まることになるということでございます。
とお述べになりました。

 その後、もう少し言葉は続くのですが、つまり法制局長官は、地方公共団体の行う事務については立法裁量の問題として国会の制定する法律によって定まると、途中のいろんな修飾をのけるとそうなってしまうんですが、しかし立法裁量ですべてが法律で定まるんじゃなくて、やっぱり地方自治の本旨というものがありますね。

 地方自治の本旨というのは、これは、まず短くお答えください。何でしょう、地方自治の本旨。

○政府委員(大森政輔君) 地方自治の本旨とは何かということでございますが、地方公共団体の運営は原則として住民自身の責任においてみずからの手で行うという住民自治の原則と、もう一つは、国から独立した地方公共団体の存在を認め、これに地方の行政を自主的に処理させるという団体自治の原則をともに実現するという、そういう地方自治の原則でございます。

○江田五月君 地方自治の本旨というのは、ただ漢字六つと平仮名一つが並んでいるんではなくて、やっぱりそこに住民自治とか団体自治とかという原則があるんだと、これは間違いないですよね。したがって、幾ら立法裁量といえども、幾ら国会は万能といえども、憲法によって決まっていることを国会が法律で覆すことはできないわけですから、その地方自治の本旨に反する立法裁量権を国会は持っていない、これはそれでよろしいでしょう。

○政府委員(大森政鋪君) その点はおっしゃるとおりでございまして、本岡議員に対する私の答弁中におきましても憲法九十二条を援用しております。

 御承知のとおり、憲法九十二条は、地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて法律で定めると。したがいまして、その法律というのは地方自治の本旨に基づくものでなければならないということを申し上げたつもりでございます。

○江田五月君 そうお話しいただいておれば、あのときにそんなにみんなおっと思わなくて済んだんですが、一月足らずですか、ちょっと心がざわめいて、やっと安心いたしましたが、やっぱり憲法上の制度として地方自治というものはあるんだと、これはしっかり認識しておいていただきたいと思います。

 さて、時間の方がどんどん過ぎていっております。

 次に、野田大臣に伺いますが、これもまた小さな話で恐縮なんですが、例の行政不服審査法のことで、所掌の大臣と地方の行政庁は上下の関係じゃない、対等だと、そこでというので、対等の関係にしながら、それでも国全体の法律の執行のこともあるし、主務大臣が関与するという仕組みを作っておる。ところが審査請求の規定は、法定受託事務について、行政不服審査法だけでは国と地方の間にこういうことになりますと適用できないので、地方自治法に一条を設けて、そして一般的な定めとして地方の行政庁の処分に対して所管の大臣に審査請求ができるようにしたと。それはなぜだということを伺いましたら、野田さんは法律の適正な執行とおっしやいましたかね。一遍ちょっとそれは帰ってよく考えてみてくれと言いましたら、後で自治省の役人の方が来られて説明をいただきました。

 それは、法律の適正な執行というよりも、どちらかというと行政処分の相手方、つまり住民が不服申し立てができるというそのメリットは今回の法改正によってダウンしないようにしておこうということでこれをつくったんだと、そういう説明でしたが、野田さん、ここでもう一度チャンスを差し上げますので、お答えください。

○国務大臣(野田毅君) 結論からいえば、今、江田委員が仰せになったとおりです。その点で、私人の権利救済といいますか、そっちの方の今御指摘の趣旨の方が強い、こういうことは御指摘のとおりです。

 内容について細かく言うことはもう省略したいと思いますが、十分御承知の上でのお話だと思います。大分これを調べましたら、こういう規定を置くことについて相当その辺の議論があったと。その中で、そういう意味で、私人の権利救済をするということを優先するということにおいて審査請求を大臣に対して行うという形をとったという理解をした方が、素直にその理解がいただけるんではないかというふうに考えております。

○江田五月君 さてそこで、もう一歩踏み込んで考えてみたいんですが、中央と地方とを対等の関係にする。そうすると、おのずと地方行政庁が所管をしている地域に住んでいる住民の皆さんは、やっぱりその立場というのも、それは変わってくるんだろうと、中央と地方の行政庁の関係が変わると。

 どこかでもう一遍審査をしてもらうという権利といいますか、立場といいますか、それは住民にとって大切な利益ですよね。ですから、その利益をそんなに簡単になくしてしまうというわけにはいかないかもしれないけれども、しかし、やっぱり地方の行政庁のした処分に対して、中央の所管大臣のところへ常に行ける。しかも、その中央の所管大臣はあたかも上級行政庁であるがごとく地方行政庁の処分を取り消すことができる。その取り消しは、地方行政庁は従わなきゃならぬということになっていると、地方の行政庁は常に中央の行政庁、所管の大臣の判断を見ておかなきゃならぬ。いつも上を向いてやっているということになってしまう。

 どうもその制度は、個別に見ると、不服申し立て、審査請求をしたいと思う人にはそれはいいかもしれないけれども、制度設計としては、やっぱり地方自治というものを大切にしていく、そして地方の住民の責任で自分たちの運命を自己決定していくという方向には資するものじゃないんじゃないかという気がして仕方がないんですが。それはある意味で政策判断の問題ではありますが。

 ちょっと意地悪く考えれば、大臣が、何か自分の支持者がおる、どうもうちの知事はだめなんだ、あれはと。ちょっと大臣何とかしてくれと。よし、わかったと。知事がおまえの申請をノーと言ったらおれのところへ持ってこい、審査請求を上げろ。知事の決定は取り消して、そうするともう知事としてはそれで文句が言えないんだからと。こういうことはよくないですよね。

 そこで、私は、これはひとつ、きょうは各省大臣皆さんおられるから非常にいい機会だと思うんですが、審査請求があって、そして原処分を取り消そうと考えるような場合には、これはつまり、その地方の行政庁の処分について所管の大臣がこれでは困るなと、それが違法の問題であれ不当の問題であれ、これでは困るなと思っているわけですから、ですからそのときには、すぐに審査請求に対する裁決をするのでなくて、今度の関与の規定を間にかましてはどうか。

 関与の規定を間にかまして、そして関与をする地方行政庁は係争処理委員会に申し出る、これが処理をする、そして相当の場合には勧告をする、勧告に従った、即した是正の措置を行う、それが恐らく原処分の取り消しということになるでしょう。そうすると、地方行政庁としては高等裁判所に機関訴訟として取り消しの抗告訴訟ができる。そういう関与という手続を一遍間にかますようにしたらどうか。

 これはもう運用でできると思うので、全部の大臣そろっておられますから、そういうふうにしてはどうかと提案をいたしますが、まず自治大臣いかがですか。

○国務大臣(野田毅君) 大変大事なポイントの一つだとは思うんです。
 それで、重ねて申し上げますが、従来、機関委任事務については、一般法たる行政不服審査法に基づいて、いわゆる国が上級官庁で自治体が下級官庁である、その下級官庁の行った処分について不服がある場合にその上級官庁たる国に対する審査請求をする、これは機関委任事務という上下関係というものがあったからそういう形をとった。

 今回、法定受託事務ということになって上級官庁、下級官庁という概念はなくなりましたが、それにもかかわらずあえて審査請求という形をとったという一つは、これは一般法たる行政不服審査法に基づいてではなくて、地方自治法に基づいて行うという形をとっているということなんです。それは、一般的に審査請求というのは、処分の当事者以外の者が判断をするという方が、異議申し立ては処分をした者に対する異議申し立てですから、より公正に対する信頼度は高いと言われておりますので、私人の立場から見れば、処分庁以外の別の行政庁に対して判断を求めることができるということには一定のメリットがある。こういうことから、私人の権利救済の観点を重視して引き続いて審査請求ということを認めることになったわけでございます。

 そこで、この改正に基づきまして、各大臣は改正後は上級官庁ではありませんので、審査請求の裁決においては原処分の取り消しはできるけれども原処分の変更とか新たな処分はできない、これは従来とは異なる一つのポイント。
   〔委員長退席、理事大島慶久君着席〕
 それからいま一つは、従来、審査請求前置主義というのがあったわけですけれども、訴訟に行く前に審査請求というものを前置する。しかし、それは今回、直接訴訟に行くか審査請求という形をとるかということはその選択を自由にできる、こういう形になっている。そういう意味で、全く同じまま、そっくりそのまま引き継いでいるというものではないということはぜひひとつ御理解をいただきたい。

 そこで、審査請求に基づいて行う裁決は国の関与ではないわけでありますが、では、そういうような審査請求が来たら、裁決を行う前に何らかの関与をやったらどうだ、そうすると、関与すれば裁決が出る前に国と地方の係争処理の対象になるじゃないか、これを運用でやったらどうかと、大体そういう御趣旨の御指摘ですが、この点は審査請求に対する裁決についてなぜ関与の一類型にしなかったかということについて御理解いただきたい。

 それは、何よりも私人の権利利益の救済を重視したという経緯があったからです。国と地方の間の係争処理ということであれば、行政機関相互の紛争が長期化をして、結果として私人の権利利益を簡易迅速に救済しようという行政不服審査制度本来の目的が損なわれるということになりかねないということが背景の考え方にあるわけです。この考え方は分権委員会の第四次勧告に従ったことであります。

 そこで、処分の取り消し裁決の前に是正の指示などの関与を行うことについては、係争処理の手続の対象にするということと同じように、私人の権利利益の簡易迅速な救済という観点からは同じ問題がある。だから、関与の対象にするということ自体問題がありますし、逆に裁決前に関与の形をかませるということも同じような問題があるのではないかということです。

○江田五月君 ああ言えばこう言う。私どももまた反論しなきゃいけないんでしようが、もう時間の方が来ております。地方自治法で決めて、つまり一般法としての行政不服審査法じやなくてとおっしゃるんですが、だけれども地方自治法というのも一般的な規定なんですね。だから、上級行政庁、下級行政庁の関係の場合に適用される一般法規をそのまま一般的に適用できるようにしてしまっているのが新設される地方自治法二百五十五条の二ということになるので、私は個別の行政分野で、例えば食物のことについては、港湾のことについては、この何とかについてはというふうにするならまだそれはそういう決め方はあると思うんですが、ああいう決め方では新しくできる制度の趣旨を没却するじゃないか、せっかく新しい制度をつくろうとするんだからということで言っているわけです。

 もう時間がありません。最後に締めくくり的にぜひ伺いたいんですが、昨年六月に成立した中央省庁等改革基本法の第一条に、「内閣機能の強化、国の行政機関の再編成並びに国の行政組織並びに事務及び事業の減量、効率化等の改革」、そういうことが書いてある。行政改革会議の最終報告にも、「国の果たすべき役割の見直し」のところで、「国家行政の機能とその責任領域を徹底的に見直すことが前提となる。「官から民へ」、「国から地方へ」という原則がその基本とならねばならない。規制緩和や地方分権、官民の役割分担」などなど、こういうことをずっと書いてあって、行政機能の減量、アウトソーシングというような言葉も出てくる。今度の中央省庁等改革法案を評価するときに、今回の法案が成立してそれが施行されればどれだけ行政が減量化するのか、スリム化するのか、これが重要な判断になると思うんです。

 総務庁長官に端的に伺います。今回の法案が成立、施行されれば、国の権限と財源と人間は一体どれほど減りますか。

○国務大臣(太田誠一君) お答えいたします。
 江田委員もよく御理解のことと思いますけれども、直接スリム化をするということが目的ではないと思っております。スリム化をみずからするような仕組みをビルトインすることがこの中央省庁改革の目的であると考えておりますので、ここで我々が数字を出すことはできないということでございます。

○江田五月君 きのう、行政改革推進本部の役人の方に聞きますと、どうしても数字でということになればやはりゼロだと答えざるを得ないが大臣がそう答えられるかどうかはというお話でしたが、そういうことなんですね。これは、そのことをけしからぬと言っているというよりも、今まさにおっしゃったとおり、むしろこれから行っていく行政の減量化、スリム化の手法をここでビルトインしたんだ、ここから始まるんだと。この中央省庁改革については私どもはこれに反対、これではできていないと思います。しかし、共通の認識をあえて探せば、これでこれから行政改革をやっていくんだということだと思うんです。

 今、総務庁長官は、そういう仕組みをビルトインしたんだとおっしゃった。私どもは、最初のときにお見せいたしましたが、総理大臣の機能をしっかりさせて首相府というものをつくり、そして内閣の機能も単に発議権とかだけじやなくてもっと、小渕総理はちょっと憲法問題が出てくるかというようなお話もありましたが、我々はそう思っておりませんが、そういうようなものをつくって、そして内閣府の中に行政改革推進室という、ここでこれからの行政改革をちゃんとやっていくという制度を見える形でビルトインしております。残念ながら、この対案を用意はしましたが、議論する時間がないので提出までは至りませんが、ぜひともこれからスタートラインに立って、本当の意味で国民にちゃんと理解していただける、そういう行政改革をやっていく、その実現の競争を小渕チームと私どもとやっていきたいと思っております。

 時間が参りました。関連の朝日委員にバトンタッチいたします。


1999/07/07

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