1996/05/24

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衆院・法務委員会

○江田委員 おはようございます。
 私は、実は本来この法務委員会のオリジナルメンバーというわけじゃないのですが、きょうは最初の質問者として三十分時間をちょうだいしまして、委員の皆さんの御配慮に心から感謝をいたします。
 
 裁判官出身の国会議員というわけで、今度の民事訴訟法の改正、ここまで関係の皆さんが大変御努力をしてこられたということに深く敬意を表しますし、また、本当に片仮名でわかりにくい民事訴訟法がいよいよやっと平仮名になるかという、そんな思いもあって大変感無量でございまして、強い関心も持って今日まで質疑を注目をしてまいりました。
 
 そこで、しかし、幾つかやはりどうしても疑問に思うこと、改めなきゃならぬのじゃないかと思うこと、そんなこともございますのでぜひ聞きたいのですが、法務大臣、法律の細かなことを別に聞くわけじゃありませんので、ひとつ法務大臣の広い、高い見識からお答えをいただければと思います。
 
 私は裁判官になったのが一九六八年でして、あそこに最高裁の石垣民事局長もいらっしゃいますが、同期でして、当時やはりいろいろな思いを持って裁判所に入った。濱崎民事局長はもう尊敬すべき先輩、山崎君はまさに畏友といいますか、恐るべき後輩というようなことで、みんな仲間みたいなものでして、当時の民事裁判というのは、どういいますか、裁判官というのはポーカーフェースでじっと座っているんだ、目の前で原告、被告、当事者がいろいろやり合って、最後にそれじゃというんで裁判所が出ていって一言言う、判決主文。口頭弁論なんていったって、準備書面を出して書面のとおり陳述ですねと言って、それじゃ次回というのでわずか三分か五分で、しかも、次の口頭弁論期日は一カ月も先とか、証人尋問となると三カ月も先とか、これで一体国民の期待にこたえられるのかという、そんな思いを持ちながら、そんなんじゃだめだ、やはり時代が大きく変わっているのだから、もっと民事裁判というものも変えていかなきゃならぬ。
 
 処分権主義といいまして、訴えがなければ裁判はないんだという、そういう意味では裁判というのは消極的なんですけれどもね。しかし、訴えが出てくる、当事者がそれに応訴をする。そうなった以上は、やはり裁判所は積極的に事案の解決のためにもつと当事者に主張、立証を促したり、あるいは、これは本当はこんなところが問題じゃないかというところは、そういうところにもひとつ訴訟活動を行うよう促していったり、あるいは解決をするためにこれは新たな解決の方法が要るんじゃないかと。

 例えばスモンでしたか、今最高裁の裁判官ですか、可部裁判長が、新しい時代の新しい紛争には新しい解決の方法が要るんだ、こう言って、本当に大がかりな和解の枠組みをお出しになってあのスモンというものを解決をしたとか、いろいろなそういう民事裁判のこれまでの苦労があるわけで、その中で言えば私は、これは言葉が適切かどうかわからないけれども、司法消極主義と司法積極主義、そういう言葉で言えば、やはり民事裁判をやる当事者、これは裁判官もあるいは弁護士の皆さんも、司法というものを上手に動かしてもっと本当に積極的に司法が紛争解決していこうという、そういう努力をいろいろ積み重ねて、そして今日のこの改正になっている。

 今日の改正は、単に片仮名を平仮名に直すだけではなくて、やはりそこにいろいろなそういう思想といいますか、哲学といいますか、裁判に臨む姿勢というものが随所にあるのですね。私は、この際法務大臣に、そういう司法が新しい時代に国民の期待にこたえるように、むしろ積極的に紛争解決のために汗を流そうという姿勢がこの底に流れているのだ、これをぜひ確認をしていただきたいと思うのですが、いかがですか。

○長尾国務大臣 温かいお言葉をいただきまして、ありがとうございます。

 委員から御指摘をいただいておりますように、現在の民事訴訟全般におきましては、裁判に大変時間がかかり過ぎるといった問題点の指摘が国民の皆様から多く寄せられているところでございます。このような問題点を解決をいたしまして、より適正でかつ迅速な裁判を実現をいたしますためには、訴訟の進行を当事者に任せきりにするのではなくて、今委員から御指摘をいただきましたように、当事者が適切な時期に適切な主張、立証をするように裁判所が訴訟を運営する必要があるということであると思います。そのためには、適切な訴訟運営ができるような法律上の手当てを講じる必要があると思っております。

 このような考え方から、本法律案におきましては、争点及び証拠の整理手続の整備を初めといたしまして、さまざまな措置を講じているところでございまして、裁判所によります適切な訴訟運営が可能になるというふうに考えているところでございます。

○江田委員 まさにそのとおりだと思うのです。今大臣は、一つは訴訟の進行という言葉をお使いになって、もう一つは訴訟の運営という言葉を使われた。ここは実は若干違いがありまして、進行というのは期日をどういうふうに入れていくか、運営というのはもうちょっと多分広い。

 そこで今、当事者の主張の整理であるとかあるいは証拠の収集であるとか、そういうことについても言及されました。全体に、先ほど私は処分権主義ということを言いましたが、これは訴えられなければ裁判なし、そのほかにもう一つ、弁論主義というものがありまして、当事者が主張してくるもの、当事者が出してくる証拠、そういうことに基づいてやるんだ。そこについても、当事者任せにするのではなくて裁判所がいろいろやっていこう、本当に適切な紛争解決のために一定のリーダーシップを果たすんだということですね。それと進行、これは裁判所はもともと職権進行主義で、裁判所が進行を決めていくということなんです。

 そういう意味で、司法というのはもともとは消極的なものですけれども、しかし、時代の動きに合わせて紛争解決のために司法、裁判所が当事者の協力を得ながらリーダーシップを果たしていこう、そういう積極的姿勢というものが考え方、哲学として根底にあるんだ。これは民事局長いかがですか。

○濱崎政府委員 委員御指摘のとおりであるというふうに思っております。

○江田委員 そこで、全体としてそういう大きな流れがある中で、もうずばっと飛んでしまいますけれども、文書提出関係の今回の改正は、どうも全体のそういう、司法に積極的役割を期待し、それを果たすことができるようにしようという考え方、その哲学、理念からすると、そこの部分だけすぽっと違う考え方がやはり入ってきているのじゃないか。

 確かに、一号から三号までに加えて四号で一般義務化をした、それは一つの前進と言えるでしょうが、一般義務化をして、そして文書についても、広く当事者が裁判所に書証を集めていこうということに、法としても、裁判所としても協力をしよう、そういう役割を果たそうと言いながら、公務秘密文書というのですか、公文書で、しかもそれは秘密なんだということを文書を持っている役所の側が言いさえずれば、その秘密性とかあるいは承諾をしないということについての合理性とか、そういうものは裁判所は一切判断できない。その考え方が、司法が役割を果たそうという流れと全体に違うのじゃないですか。法務大臣、そこはどう思われますか。

○長尾国務大臣 今委員からも御指摘がございましたけれども、私どもは、今回の法律の中で文書提出命令につきましても範囲の拡大をさせていただいたということでございます。この範囲の拡大をいたします際にとるべき考え方として、現行の各法律におきまして公文書に関して取り扱われております一つのあり方、例えば議院証言法等でございますが、こういったものを踏襲させていただいたという点があるわけでございます。

 この点につきましては、本委員会でも何回も御答弁をさせていただいているわけでございますが、行政情報をどのようなルールでどういったやり方で公開をしていくのか、こういう観点につきましては、現在広いお立場で議論がされているわけでございます。その中で一定の方向が示されましたならば、私どもとしては、その趣旨を十分に踏まえまして所要の検討をさせていただきたい、このように考えているところでございます。

○江田委員 私の質問の仕方が悪いのか、質問に対するお答えにちょっとなっていないところがあるような気がするのです。つまり、今踏襲という言葉を使われましたけれども、その他の点では踏襲じゃないのですよ。

 今までの民事訴訟法の考え方、例えば当事者双方が裁判所に来ない、あるいは原告は来たけれども何もせずに退廷する、そうするとこれは休止という手続にするのですが、休止をして、幾らですか、三カ月でしたか、満了になって訴えは取り下げとみなされる。しかし、三カ月がニカ月二十日ぐらいたって期日指定の申し立てが来ると、そうすると、大体今まではまた期日を指定して、それで弁論が開かれる、当事者が来ない、また休止、またニカ月幾らかたって期日指定などというのを続けたりしていたのですよ。しかし、それはやはり違うというので、今回は当事者が来なければ休止で、休止満了は二週間でしたか、ちょっと幾らでしたか。

○濱崎政府委員 今回は一カ月に改めることにしております。

○江田委員 失礼しました。一カ月。いや、どうも一夜漬けというのはあるのですが、きのうの夜余り時間がなくて、きょうは急に来ているので、細かなことをちょっと点検しておりませんが、一カ月。三カ月を一カ月に縮める、そういう改正になっているわけです。

 あるいは釈明といいまして、裁判所の方から当事者に、この点はどうですか、あの点はどうですかと、発言、主張の提出を促す、こんなことも随分以前とは違って積極的にいろいろなことができるようになっているわけです。

 争点整理の手続をこれだけ整備をされる。これもなかなか大変なことで、本当に当事者がこの争点整理の手続の豊富化に十分対応して訴訟活動を積極的にやっていただけるかどうか、私は若干心配をしておりますが、それでも裁判所がその気になって、弁護士の皆さん方もこれにこたえてということになれば、こういう多様な争点整理の手続のメニュー、これが生かされれば、随分今までと民事裁判の様相は変わってくるだろうと思うのですが、それだけこの民事訴訟というものについての考え方を変えて、いろいろなところを従来とは踏み出して改正をされておるのに、なぜ一体この文書のこと、しかも公文書の点についてだけ踏襲という考え方でいかれるのか、踏襲でいいのか。ほかの点では踏襲じゃない、改革をしようというのに、なぜその点だけが踏襲になるのか。これはいかがなんですか。そこを聞いたのです。

○長尾国務大臣 お答えをさせていただきます。
 今、委員からお話ございましたように、民事訴訟の中におきましては、いろいろな意味の工夫をさせていただいて、先生のお言葉でございますと、積極的な訴訟運営ということに努力をさせていただきたい、こういう趣旨であるわけでございますが、民事訴訟の分野のことの部分につきまして、積極的ないろいろな仕組みの取り入れをさせていただいたということと今、文書提出命令につきましてこのような規定をさせていただいたということとは、若干その趣旨を異にする面があるということは御了解をいただきたいと思います。

 それは、先ほども申し上げましたように、官公庁が持っておりますいわゆる行政情報、こういったものを訴訟の場におきましてどのような形で提示していただくかということについては、これはもう先生も御承知のように、刑事訴訟法等においても規定があるわけでございます。こういった意味では、一般的にこういった行政情報をどういうふうに取り扱うということがそれぞれの立場の中で最も適正であるのかということについての議論を、今まさにしていただいているという状況の中でございますので、そのような状況の中で私どもとして法案を提出させていただいた、こういう事情はお酌み取りをいただきたいと思っております。

○江田委員 今、大臣の方から、行政情報の公開ということについての言及がございました。

 一言聞いておきたいのですが、行政情報公開、私は、これは今、時の流れだと思います。大きな時代の趨勢だと思いますけれども、大臣御自身は、行政情報というものはもっと公開されるべきだというふうにお考えですか、それとも別のお考えをお持ちですか。

○長尾国務大臣 現在の流れの中で、行政情報をもっと公開をしていくべきであるという方向自体について、私は何ら異議があるものではございません。

 しかしながら、行政が持っております情報は極めて広く、多岐にわたっております。このものの中には、やはり行政として、国の行政を預かる立場から一定の範囲で公開ができがたいということを申し上げざるを得ない部分もあることも事実であろうと思います。そういったものを、皆様方の納得のいく範囲で、どの範囲にそれをとどめるのかということにつきましては、さまざまな観点から広い御議論がされるべきものであるというふうに考えております。

○江田委員 もちろん、議論の最中ですから、いろいろな広い角度からの議論をするのは当たり前で、しかし、今までの行政情報の公開についての我が国のあり方、これでは新しい時代にそぐわない。もっと行政情報というものが国民に開かれたものになる、その意味で透明な社会に我が国がなっていく、これが必要だということについては、これは基本的にですよ、それは大臣、そういうお考えだと伺ってよろしいわけですね。

○長尾国務大臣 そのように考えております。

○江田委員 そこで、ですから、今、時代の流れというのは、やはり情報公開、公文書というものもなるべく、もちろんいろいろな限定はあるでしょう、それは手続もあるでしょう。しかし、なるべく国民に、国民共有の情報にしていこうという流れがある。その大きな時代の流れについて、今回のこの証拠法についての改正はプラスになるのかマイナスになるのか、どっちの方向へ働くのか、それとも中立なのか。そのことについては、これはいかがですか。

○長尾国務大臣 先ほど御答弁を申し上げましたように、私どもは中立の立場というふうに考えております。

○江田委員 ですから問題だと思うのですね。つまり、こういうことなんですよ。今までの行政の文書の公開についての制度なり考え方なり、これではもういけないんだ、ですから行政情報のあり方というのを変えていこう、もっと公開の方向に動かしていこうというのが、今の時代の流れなんです。今までの情報の管理の仕方ではだめなので変えていこう。変えていこうという大きな流れがあるときに、今までの情報の管理の仕方そのままで、プラスでもマイナスでもないものを、ぽんと持ってきたらどういうことになるか。

 石というのが、それはじっととまっていますね。しかし、やはり流れの中に石をどんと置くと、それは妨害することになるのです、流れを。高速道路で、八十キロでみんな走っているときに、いや、私、前へ進んでいるんですとは言いながら四十キロで走られると、これはやはり渋滞の原因になるのですよ。そうじやありませんか、時代が今大きく動いているので。

 そうしますと、その時代の流れに、八十キロで同じように走れとは言わなくても、せめて六十キロぐらいでは走ってもらわないと、それは四十キロで走る車が来たら困るわけですよね。それで、しかも、いや、私たちも前へ進んでいますと言われたのでは、やはりこれはブーイングが起きるのも当たり前だ、ブーイングぐらいじゃないという意見もありますがね、そうじやありませんか。

 いや、本当に、これはやはり今の時代の流れの中でせっかく変えようというなら、その流れのせめて邪魔にならない、できればその流れの方向に沿うものですよという、そのぐらいのものでなければいけないので、中立の立場というのが実は今多くのところから批判をされているんだと思いますが、こういう点について大臣、率直な御感想で結構ですよ、きょう細かなことまで詰めているわけではないですから。お考えいかがですか。

○長尾国務大臣 先ほど来お答えをさせていただいておりますが、現在、行政情報の公開について議論がされております中で、民事訴訟手続の場面において、現段階で何らかの結論を出していくということは困難であるということを申し上げているわけでございます。

 先生の今の例えでございますと、高速道路で今後どのスピードで走っていくのかということにおいて議論をされている。その議論の中には八十キロ、百キロという議論もあるかと思いますが、私どもとしては、現在各法制で定められております四十キロなら四十キロという線を、やはり民事訴訟という分野では守らせていただくということでございます。

○江田委員 やはり、これからの民事訴訟を、本当に時代の要請にこたえるような訴訟のあり方にしていくには、これはさっきもちょっと言いましたが、裁判所だけが幾ら焦ってみても、裁判所だけが幾ら肩を怒らせてみてもうまくいかないので、むしろ逆に裁判所だけが何かやたらに焦ると、かえってこれは司法ファッショじゃないかとか、いろいろなそういう批判さえ出てくる。民事局長、そうですよね。やはり当事者の納得、当事者の協力のもとに裁判の運営というものはしていかなければならぬ。

 そんな意味で、今回のこの争点整理の手続も、準備的口頭弁論にしても、その他の、期日外でいろいろな文書を取り交わすとかいうようなことにしても、これはやはり当事者が、よし、ひとつそういうことでやっていこう、国民のために司法というものを円滑に動かしていこうという気持ちになっていかなければいかぬ。

 そのためには、今回のこの民事訴訟法改正というのは、国民みんな、とりわけ民事訴訟の運営に当事者の代理人として最もかかわってくる弁護士さん方が、これはいい改正だ、よし、頑張ろう、そういう気持ちになっていかなければいけないと思うのですが、そこで、今弁護士さん方が、公務秘密文書の関係で随分、これでは困るという異論を言われているわけですね。これだけ大勢の皆さんが異論を言っている。

 公聴会、参考人とか公述人とかいろいろ呼ばれたわけですね。あれだけ大勢の皆さんが、これでは困る、そういう意見を言われた。しかも、いや、賛成だという、法制審議会の委員の皆さんでしょう、賛成だと言われたのは。その皆さんが反対だと言うわけはないので。そういう皆さんでさえいろいろと動揺を隠されなかった。これはちょっと、多くの皆さんに祝福されている改正とはなかなか言いがたいぞ、そんな雰囲気があると思いますが、いかがですか。

○長尾国務大臣 今回の改正の文書提出の部分についていろいろな御議論をしていただいているということは十分承知をいたしておりますが、先ほど委員も御指摘をいただきましたように、今回の改正は、従来の提出義務の対象となります文書の範囲を拡大をしようというものでございまして、現行法で提出義務の対象となる文書においてはそのまま提出義務の対象となる上で、第四号を新設させていただいているわけでございまして、その意味では、この点につきましては、私どもとしては前進をさせていただいたという気持ちはあるわけでございます。

○江田委員 大臣、私は、法律の細かなところについて、大変恐縮ですが、余り踏み込んだお答えをされずに、民事局長の方に言われた方がいいのではないか。

 つまりこういうことなのですね。例えば、今これまでのもの、一号から三号、それを変えるということではないのだ。それはそのままでさらに広げるのだとおっしゃるけれども、しかし、例えば中野貞一郎さんは、例の拘置所の診療録の点について、これはこう変わったら、三号の文書ではなくて四号の方に入って、そして役所がノーと言えば出ないことになる、そういう答弁をされたのではないですか。

 だから、そういうようなことについては、ちょっと大臣は大所高所で話をされた方がいい。余り細かなところはむしろ、大臣、お答えくださればもちろんそれは結構なのですけれども、法律実務というのは法律実務家でなければわからぬ点は確かにあるので。それはちょっと余計なおせっかいですが。

 今情報公開についての制度に関する議論の帰趨を見てというお話ですが、それはそれで、国の法体系の中ではそういう言い方もできるかもしらぬけれども、地方自治体では、もう情報公開条例ができているわけです、現に。その地方自治体の情報公開条例が関係してくるような紛争も国の裁判所に来るのですね。地方裁判所といったって国の裁判所ですから、自治体の裁判所ではないわけですから。

 ですから、国の裁判所の制度としては、地方自治体の条例までちゃんと視野に入れて考えないと、国の制度だけ考えていたのでは整合性があるとさえ言えない。しかも、整合性があるだけでは今はだめなのだ。従来の法規の整合性を乗り越えていかなければいけないということになっているわけで、当事者からこれだけいろいろな異論がある部分でございます。

 全体としては、ほかにもいろいろあるのですよ。聞きたいことはいっぱいありますが、しかしそれはちょっとおいて、全体としてはいい改正である、何とかこの改正を実現させたい、そういう思いで私たちもいるわけで、しかし、ここに、のどに刺さったとげがある。何とかこのとげはみんなで、もし皆さんが、いや、行政の立場からいうと、行政全体の整合性でこれ以上動けませんと言われるなら、それはもう与野党一緒で、立法がこの部分についてはとげを抜く、そういうことをしなければいかぬと思いますが。

 私ども新進党ですが、対案を懐へ入れているのですが、それを出すと、この委員会全体での議員立法ということにならないかもしれないので、懐へ入れっ放しで今来ているわけでね。

 立法府が、行政全体のあり方を変えて、情報公開という点で前へ進めていくために修正をしよう、その立法府の意向というものが今だんだんできつつあるような気がしますが、これについては大臣、どういう感想をお持ちになりますか。

○長尾国務大臣 私どもとしては、民事訴訟法の改正につきまして、本案をぜひ成立させていただきたいという趣旨で提案をさせていただいたわけでございます。

 今委員が御指摘になりましたように、立法府におきましてどのような御議論があり、どのような形でこの法案を御修正いただけるかという問題につきましては、私から何か申し上げるというのは差し控えさせていただきたいと思います。

○江田委員 そういう姿勢で、行政でできないところを立法がやる、いや、立法がむしろイニシアチブを発揮していく今の時代ですから、ひとつそこはよろしくお願いいたします。
 終わります。

1996/05/24

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