1993/10/25

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参院・決算委員会

○小林正君 この十月二十六日、明日ですけれども、原子力の日ということになっているようであります。昭和三十一年のこの日が日本がIAEAの憲章に調印した日、そのほかにもあるようですが、それを祝ってこの日を原子力の日というので国民に対するPRということを深めていこう、こういう日になっていて、「時の動き」という政府の広報誌の十月十五日号が「原子力開発利用の現状と展望」という特集を組んでおりまして、その中で江田科学技術庁長官が巻頭言で原子力問題について述べておられるわけです。

 時あたかも日ロ会談が行われた直後に、ロシアが日本海に九百トンに及ぶ低レベルの核廃棄物の投棄を行うという事態が起こってまいりました。日本海そしてオホーツク海、北太平洋、バレンツ海等に旧ソ連時代から高レベルの放射性廃棄物並びに低レベルのものが海洋投棄されてきたということも今までに既に明らかになっております。日本にとって北西太平洋漁場というのは大変な漁獲資源の豊富な地域でありますし、同時にまた日本の漁業にとっては、この問題が汚染という事態になれば死活的な問題になるということは明白な事実だろうというふうに思います。

 そういう意味で、今回こうした事態が起こったわけでありますけれども、まず国民が一番びっくりしたのは、グリーンピースという民間の団体の監視体制の中でこれがキャッチをされて我々が知ることができたという問題が一つあります。それから、日ロ会談の中でロシア側から日本も過去にそうしたことをやってきているではないかという指摘もされたということ。今日もなお原子力発電所等から低レベルのものが海洋にパイプで流されているという問題等もあるわけですけれども、ロシアが指摘しているその問題と今回のロシアが投棄したその問題との比較考量は必ずしも十分にはできないと思いますけれども、こうした問題意識の中で科学技術庁として今回の事態をどういうふうに把握をされ、そしてどんな問題意識を持たれたか、そして今後この問題にどう対処されようとしているか、そうした問題について長官の御見解を承りたいと思います。

○国務大臣(江田五月君) エリツィン大統領と細川総理との間で首脳会談、そして一連の会談が行われまして日ロ間の関係がこれから新しくスタートをしたそのやさきのことでございまして、先般といいますのはことしの初めですが、明らかになった長年にわたる旧ソ連、ロシアの放射性廃棄物の海洋投棄に引き続きさらにこういうことになっているということは、これは近隣諸国に対する配慮に大変欠けるものであり、大変遺憾だと思っております。

 グリーンピースの活動によって明らかにされた、政府は知らなかったのか、こう言われるわけですが、私ども本当に知らなかったということでございます。早速、放射能対策本部、これを機動的に動かしまして先般の長年にわたるもの、これに対する調査をいたしましたが、同時に第二回目ということで先日、二十日に幹事会を開き、同日すぐに調査の船を出すということで今調査を行っているところでございます。

 さらに、ロシア側には外交ルートを通じ二度とそうしたことのないように、今回のものは二回に分けて行うという計画でありましたが、一回目は行われたわけですが、二度目についてはこれを中止をしてくれるようにということを申しましてそういう決定を得た。さらに、今ミハイロフ原子力大臣が日本に来ておられますので、私も既にこれで三回お会いをいたしまして、厳重に申し入れもし、またこの後そういうことが行われないために一体どういうことが可能であるか鋭意話し合いを進めているところでございます。


1993/10/25

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