1993/10/12

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衆院・予算委員会

○北澤俊美君 今回のこの衆参の予算委員会の審議を通じまして、私は連立内閣というものについての国民の理解はある程度深まったんではないかと。ただ、閣僚の皆さん方には野党になりました自民党さんからの質問でなかなか厳しい場面もあったように思いますけれども、そんなふうに感ずるわけであります。また、本来政党が持つ政策と政党が当然目指すべき政権、この二つを両立させるということになりますと極めて今日の状況では難しい問題があるわけでありますが、この審議を通じて政権を担うべき政党としての各政党の覚悟というようなものが国民の前にも見えてきたんではないか、こんなふうに思うわけであります。

 そういう意味におきまして、私は先日の大浜委員の質疑は極めて示唆に富んだ質疑だったというふうに思うのであります。国民に対して政治が夢を与えることはもちろん政治の大きな使命の一つではありますが、同時にまた、実現不可能な夢を語ることは、これまた政治が最も自戒しなきゃならぬ問題だというふうに私は思うのであります。

 今日の政治状況は、国会に籍を置く政党の、まあごく一部は別にいたしまして、すべての政党が政権を担うチャンスを持ち得たということだというふうに思うのであります。そういう意味において、国民に対して各政党が政権を前提にして真摯に語る、公約を語るという政治状況が生まれたということは、私は我が国の政治にとって大変に大きな前進だというふうに思うのであります。

 その面について、細川総理にこの衆参の審議を通じての感じたことをお尋ねしますし、さらにまた、通告はしておりませんけれども、山花前委員長はなかなか苦しまれたので御感想をちょっとお聞かせをいただきたい。さらに、同世代でありまして、江田大臣、勢力が小さい割合には大きな夢を抱いて今日まで努力をされてきましたので、感慨を込めて御見解をお聞かせいただきたいと思います。

○国務大臣(細川護煕君) まだスタートして二カ月でございますし、おっしゃるようにまだふなれな面がございますから、いろいろ御心配をおかけをしてまいったかと思います。

 しかし、おっしゃったように、連立政権というのはそもそも固有の政策を持った政党が寄り集まって政策協定を結んで、その合意のもとに連立政権を形成しているわけでございますから、そうした面から申しますと、これは我が国でも実質的には初めての経験でいろいろ不安な面もあるかと思いますが、不安に感じておられる面もあるかと思いますが、しかし、政策論議が活性化するという面でまたいい面が非常にあったのではないかと、この間からの予算委員会の衆参の論議を通じて私はそのように感じているところでございます。

○国務大臣(山花貞夫君) 私も、選挙の後、政権交代を求める国民の皆さんの審判の結果を何よりも大事にして連立政権の合意づくりに参画した立場でございます。憲法が求めている議会制民主主義というものが一党の支配が続くということからさまざまな問題が呈されておったわけでして、そうした中では何よりも政権交代と考えて連立政権の合意づくりに参画をいたしました。今、総理もお話しになったとおりだと思っています。

 私たちはこうした場面に臨んで、今後のテーマとしては、今回の予算委員会の議論なども十分念頭に置きながら、何よりも連立与党間の濶達な議論が必要だと思いますし、閣議における議論も必要だと思っています。そして、つくられた合意に対してはこれを全力で実現する、これが私たちの役割だと考えているところでございます。

 私自身としては、細川総理が緊急改革政権と性格づけをした、この中での政治改革担当の仕事を責任を果たし抜きたい、こう考えているところでございます。

○国務大臣(江田五月君) 総理及び山花大臣がお答えになったとおりなんですが、若干つけ加えますと、私も確かに戦後の我が国の歩みというのは全体で見るとなかなか賢明な歩みをしてきたと思うんですね。

 ただしかし、政治という意味ではこれはもういけません。政官業の癒着であるとか国民が政治に関心を失ってしまったことであるとか、こういう政治は何とか変えなきゃならぬ。そこで、議会制民主主義で政治を変えていくわけですから、そうするとどうしても、政権がかわった、しかし世の中はどんでん返しというわけにもいきません。そこで、日本のような高度に発達したこういう社会では、やはり基本重要政策というものはこれは引き続きつながっていくんだというそういうやり方でなきゃ政権交代自体ができないんだと、そういう意味で、政党というものは政権交代を担い得る現実的なものになっていかなきゃいかぬということをしきりに主張してきたわけでございます。

 おっしゃるように、政党には自分たちの理想を実現するということと、今の現実の政治の中でどうしてもこれはやらなきゃならぬということと、多分二面性があるんだろうと思いますが、今回そういう、自分自身の政党はこうであるが、しかし政権交代の中でこのことをやるんだと、そういう二つの面がややきっちり整理をされて議論されてきたというのは大変いいことだと思います。衆参の議論を通じてそういう点が明らかになってきて、先日の大浜委員の議論もそういう点を鋭くおつきになっている点では私はよかったと思っております。

 ひとつこれからもこの政権与党を大いに切磋琢磨させていただきたいと思っております。


1993/10/12

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