1992/06/14

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衆院・本会議

○議長(櫻内義雄君) 江田五月君。
    〔江田五月君登壇〕

○江田五月君 私は、進歩民主連合を代表し、議題となっている宮澤内閣信任決議案に反対の意見を申し述べます。(拍手)

 早いもので、私が国会に出て既に十五年目です。ところが、小会派だからとはいえ、本会議の演壇に立つのは、参議院時代の一度を除き、これが最初です。言論がいかに貴重であるかを痛感しています。

 国会は言論の府です。ところが、一昨日から始まった一連の本会議で私たちが最初にしたことは何だったでしょう。言論ではありませんでしたね。逆に、みずからの言論を縛る発言時間制限動議の採決です。手足をもがれた私たちに、牛歩以外どのような意見の表明手段があるでしょう。(拍手)

 牛歩は決して褒められた手段ではありません。よくわかっています。しかし、発言時間制限という手段が牛歩を生んでいるのです。これでいいのか。私は、国会改革の重要な課題だと思います。冒頭、言論の府がみずから自殺行為を行っていることに強い懸念を表明します。(拍手)

 宮澤内閣には信任できない閣僚が数多く、それぞれ不信任理由を個別に開陳し、信を問わなければなりません。なのに、本決議案は、それらを一まとめにして封殺することになります。どこかおかしくはありませんか。

 宮澤内閣は、昨年十一月、自民党内の政変によって誕生しました。選挙の洗礼を経た内閣ではありません。しかも、国民の支持率はこのところずっと低迷し、どの程度国民に支持の基盤を持っているかわからないのです。その内閣に、この決議は、本院における自公民という圧倒的多数の支持の基盤を与えた形をつくってしまうのです。これは支持基盤の粉飾ではありませんか。(拍手)

 その点はさておき、宮澤内閣は到底信任できる内閣ではありません。数々の政治スキャンダル。政治改革はどこへ行くのか。いろいろありますが、この際、私は、論点をPKO法案に絞ります。

 PKO法案には数多くの問題がありますが、私が最も問題だと思うのは、やはり武器を持った自衛隊の部隊をそのままの形で海外に出動させる法案だということです。(拍手)三党再修正によってもこの点は変わっていません。

 PKFは単に凍結されているだけであり、しかも、PKF以外の部分でも、その中心は自衛隊の部隊派遣により担われるのです。自衛隊は協力隊に併任されるから実質上別組織だという意見がありますが、これは誤解です。確かに十三条二項は併任の規定ですが、併任で行う任務は四条二項三号の事後評価の事務等に限定されており、これは例外であって、あとはすべて自衛隊の部隊としての業務なのです。一昨年廃案になった国連平和協力法案の併任と今回の法案の併任とは意味が違うのです。

 私は、何も自衛隊を毛嫌いしているのではありません。独立国に自衛権があるのは当然ですから、防衛基本法あるいは安全保障基本法という憲法に準ずる法規をつくって、専守防衛、シビリアンコントロールなどの規定をきっちり行い、解釈改憲ではなく、自衛隊の憲法上の位置づけを法制上はっきりさせることを提案しています。しかし、憲法九条がある以上、いかに憲法上位置づけられた自衛隊であっても、海外に出動することは認められないのです。(拍手)そして今、この九条の持つ意味はますます私は重要になっていると思います。

 今ここで歴史を振り返る余裕はありませんが、冷戦が終結して、新しい国際秩序をつくろうという地球連帯時代が幕をあけました。新しい世界史が始まったのです。それまでの世界は主権国家が覇を競う舞台でした。しかし、冷戦期を経て今、主権国家はその権限の一部を国際社会に譲り渡し、平和、環境、人権、国際経済など広範囲に協調システムをつくって、新しい世界をつくる時代が来ました。そこで、憲法九条は、世界の各国に、軍事主権を海外では行使しないこととして、普遍的な安全保障体制をつくろうではないか、そう世界の各国に呼びかけている貴重な意味を持っているのです。(拍手)

 冷戦後の世界を考えるに当たり、冷戦時代の制度や思考を前提にして過去に引きずられるのか、それとも二十一世紀の国際社会を創造しようと未来志向で考えるのか、今模索の時代なのです。この模索の時代に、日本国憲法は未来を指し示す貴重な灯台の明かりだと思うのです。(拍手)これは、私たちが未曾有の戦争の犠牲を払って手に入れた、世界の歴史にとって何物にもかえがたい資産なのです。

 このような憲法を持っている我が国のなすべきことは、冷戦以前の覇権国家を目指し、海外にも出ていける一人前の軍隊をつくることでは断じてありません。二十一世紀のための新しい平和国家を目指し、自衛隊とは別の国際協力に徹した組織をつくることです。ところが宮澤内閣は、この憲法九条を弊履のごとく捨て去ろうとしています。この重要な時代に、灯台の明かりを消すことは、世界の未来に対する大きな過ちです。このような宮澤内閣をなぜ一体信任できるでしょうか。(拍手)

 宮澤内閣は、PKO法案によってもう一つ大きな過ちを犯そうとしています。それは、新しい時代にせっかく国民合意の国際協力があと一歩で実現できるところまで来たのに、これをぶち壊しにして、新しい国論分裂をつくり出そうとしているところです。

 一昨年秋、自公民三党は、自衛隊とは別個の組織によるPKO協力で合意しました。今、社会党や私たち進民連、連合参議院の中で、別組織論がコンセンサスになろうとしているのです。ここにいる私たちは、ほとんど皆、ここ数日のようなとげとげしく対立する関係では実はないはずなんです。私たちも、我が国が国際社会の中で積極的に国際貢献していくことは当然賛成です。国連のPKO活動に協力していくことも大賛成です。その際、資金だけでなく、人的貢献もして、ともに汗を流すべきだと思います。その際には、自衛隊の持つ能力が活用されることもあると思います。

 そこで、私たちは、別組織を中心にした修正案を提出しました。自衛隊とは別組織で常設の国際平和協力隊をつくる、自衛官に参加してもらう場合には、身分は保有するが職務には従事しないいわゆる休職出向、PKFは削除する、実施計画ごとの国会の事前承認などがその内容です。

 我が国の外交論争は冷戦の反映でした。冷戦が終わった今こそ、国論二分を克服できる絶好の機会なのです。お互いに心を開き、もう一歩ずつの努力をすれば、新しい時代の国民合意が生まれるのです。それなのに、せっかく芽生えた歴史の新しい芽を摘み取り、もう一度冷戦時代の不毛な国論二分と同じ状況をなぜつくろうとするのか。歴史の歩みを押しとどめようとする宮澤内閣を、なぜ一体私たちは信任できるでしょうか。(拍手)

 一歩後退二歩前進、一日も早く連合新党を結成して政権交代を実現し、灯台の明かりをきらめかせ、新しい芽を大きく育て、世界の恵みを限りなく受ける我が国が、世界のためになくてはならない国になるよう努力することを誓って、私の反対討論を終わります。(拍手)
    ―――――――――――――
  討論終局の動議
○議長(櫻内義雄君) 梶山静六君外六十三名から、討論終局の動議が提出されました。
 本動議を採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行います。(発言する者あり)静粛に願います。静粛に願います。
 本動議に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
    〔発言する者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 静粛に願います。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 静粛に願います。静粛に願います。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。――投票される方は、立ちどまらずに、速やかに投票願います。――速やかに投票してくだ岩小。――投票される方は、立ちどまらずに、速やかに投票願います。――速やかに投票してください。――速やかに投票してください。――投票される方は、立ちどまらずに、速やかに投票願います、立ちどまらずに。――立ちどまらずに、速やかに投票願います。――速やかに投票してください。――立ちどまらずに、速やかに投票してください。――速やかに投票してください。――速やかに投票してください。――速やかに投票してください。どうぞ、順序よく投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票をしてください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。――立ちどまらずに、速やかに投票してください。――速やかに投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 立ちどまらずに、速やかに投票してください。――速やかに投票してください、立ちどまらずに。――どうぞ、速やかに投票してください、立ちどまらずに。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 立ちとまらずに、速やかに投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。――立ちどまらずに、投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。どうなんですか。立ちどまらずに、どうぞ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) どうぞ、お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 立ちどまらずに、速やかに投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 立ちどまらずに、速やかに投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) お急ぎ投票してください。どうぞ急いでください。――立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 投票を開始して既に二時間以上が経過しております。
 ただいまから三十分以内に投票されるように望みます。どうぞ、お急ぎ投票ください。速やかに。投票してください。どうぞ。立ちどまらずに、投票してください。――お急ぎ投票してください。速やかに投票してください。どうぞ、速やかに投票してください。――速やかに投票してください。――立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。みんなに投票してもらいたいのですから、どうぞ。どうぞ投票してください。お急ぎ投票してください。――どうぞ、速やかに投票してください。一どうぞ、お急ぎ投票してください。どうぞ。話ししているんだから、どうぞやってくださいよ。どうぞ、お急ぎ投票してください。立ちどまらずに、どうぞ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 立ちどまらずに、投票してください。――お急ぎ投票してください。――どうぞ、速やかに投票してください。――どうぞ、お急ぎ投票してください。――速やかに投票して一ください。どうされたんですか、投票してください。――どうぞ。――どうぞ、お急ぎ投票してください。立ちどまらずに、投票してください。後が詰まってしまう。お急ぎ投票してください。――立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。どうぞ。――どうぞ投票してください。――話ししているんですから、投票してくださいよ。急いで投票してくださいよ。全部がさばけなくなるんですよ。どうぞ投票してください。――どうぞ投票してください。――どうぞ立ちどまらずに、投票してください。さあ皆、投票してください。――速やかに投票してください。一どうぞ、続いて投票してください。――立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。一お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) どうぞ、急いで投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) お急ぎ投票してください。どうぞ、急いで投票してください。――立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
    〔発言する者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 静粛に願います。――速やかに投票してください。――立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。――お急ぎ投票してください。――後がつかえておりますから、速やかに投票してください。――後がつかえておりますから、速やかに投票してください。
 投票時間をただいまから三十分以内に制限いたします。この時間内に投票されない方は、棄権したものとみなします。――外口君、急いでください。戸口がつかえたんじゃしょうがないんです。外口君、急いで。どうぞ。どうぞ。――どうぞ急いでください。――立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。――お急ぎください。――立ちどまらないで、お急ぎ投票してください。――続いてどうぞ、お急ぎください。――どうぞ、お急ぎ投票してください。――どうぞ、続いてお急ぎください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) どうぞ、お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。お急ぎ投票してください。どうぞ、みんな投票してください。――どうぞ、お急ぎ投票してください。――立ちどまらずに、どうぞ、お急ぎ投票してください。順次、もう余り時間がないし、どうぞ。――どうぞ、続いて投票してください。――残り時間は、あと十分でありますから、速やかに投票されることを望みます。どうぞ。――どうぞ、急いで投票してください。――どうぞ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。――速やかに投票してください。――お急ぎ投票してください。――お急ぎ投票してください。
   〔投票継続〕
   〔発言する者あり〕
○議長(櫻内義雄君) 御静粛に願います。――速やかに投票してください。――お急ぎ投票してください。――お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) お急ぎ投票してください。――立ちどまらずに、お急ぎ投票してください。
 制限の時間が参りましたので、投票箱の閉鎖を命じます。開票。――議場閉鎖。
 投票を計算させます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(櫻内義雄君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 三百六十一
  可とする者(白票)      三百二十三
  否とする者(青票)        三十八
    〔拍手〕
○議長(櫻内義雄君) 右の結果、討論は終局するに決しました。
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) この際、午後三時三十分まで休憩いたします。
    午後二時十八分休憩
     ――――◇―――――
    午後三時三十二分開議
○議長(櫻内義雄君) 休憩前に引き続き会議を開きます。
     ――――◇―――――
○議長(櫻内義雄君) 宮澤内閣信任決議案につき採決いたします。
 この採決は記名投票をもって行います。
 本決議案に賛成の諸君は白票、反対の諸君は青票を持参されることを望みます。――議場閉鎖。
 氏名点呼を命じます。
    〔参事氏名を点呼〕
    〔各員投票〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) いまだ投票されない方は、速やかに投票されることを望みます。
    〔投票継続〕
    〔議長退席、副議長着席〕
    〔投票継続〕
    〔副議長退席、議長着席〕
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 投票を開始して既に二時間半以上が経過しております。
 ただいまから三十分以内に投票されるように望みます。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。
 投票時間をただいまから十五分以内に制限いたします。この時間内に投票されない方は、棄権したものとみなします。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
    〔発言する者多し〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。――静粛に願います。――速やかに投票してください。――静粛にお願いします。――静粛にお願いします。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 静粛にお願いします。
    〔投票継続〕

○議長(櫻内義雄君) 静粛にお願いします。――静粛にお願いします。――御静粛に、静粛にお願いします。静粛に、静粛に。――静粛にお願いします。――速やかに投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 静粛にお願いし。ます、静粛に。――どうぞ、速やかに投票してください。――いまだ投票されない方は、速やかに時間内に投票されるよう望みます。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) お急ぎ投票してください。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 静粛に願います。――お急ぎ投票してください。――御静粛に願います。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) お急ぎ投票してください。静粛に、静粛に。
    〔投票継続〕
○議長(櫻内義雄君) 速やかに投票してください。――どうぞ、速やかに投票してください。――速やかに投票してください。
 制限の時間が参りましたので、投票箱の閉鎖を命じます。開票。――議場閉鎖。
 投票を計算させます。
    〔参事投票を計算〕
○議長(櫻内義雄君) 投票の結果を事務総長から報告させます。
    〔事務総長報告〕
 投票総数 四百五十四
  可とする者(白票)      三百二十六
  否とする者(青票)       百二十八
    〔拍手〕
○議長(櫻内義雄君) 右の結果、宮澤内閣信任決議案は可決されました。(拍手)
    ―――――――――――――
○議長(櫻内義雄君) 本日はこの程度にとどめ、明十五日午前十時から本会議を開くことといたします。
 本日は、これにて延会いたします。
    午後七時七分延会


1992/06/14

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