2004年10月27日

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161 参院・本会議 永年在職議員表彰

平成十六年十月二十七日(水曜日)

○議長(扇千景君) この際、永年在職議員表彰の件についてお諮りをいたします。
 議員江田五月君は、国会議員として在職すること二十五年に達せられました。
 つきましては、院議をもって同君の永年の功労を表彰することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○議長(扇千景君) 御異議ないと認めます。
 同君に対する表彰文を朗読いたします。
   〔江田五月君起立〕

 議員江田五月君 君は国会議員としてその職にあること二十五年に及び常に憲政のために力を尽くされました
 参議院は君の永年の功労に対しここに院議をもって表彰します
   〔拍手〕
    ─────────────
○議長(扇千景君) 青木幹雄君から発言を求められました。発言を許します。青木幹雄君。
   〔青木幹雄君登壇、拍手〕

○青木幹雄君 私は、皆さんのお許しをいただき、本院議員一同を代表して、ただいま永年在職のゆえをもって表彰されました江田五月先生に対しまして、一言お祝いの言葉を申し述べさせていただきます。

 江田先生は、昭和五十二年の第十一回参議院議員通常選挙において初当選をされ、六年一か月の任期を全うされた後、第三十七回衆議院議員総選挙において当選されて衆議院議員に転じ、連続して四回の当選を数え、十二年十か月の長きにわたり衆議院議員として御活躍をしてこられました。平成十年には、第十八回参議院議員通常選挙において当選され、再び本院議員に転じ、このたび国会議員として在職二十五年に達せられたのであります。この間、江田先生は、細川内閣の科学技術庁長官として国政の中枢に参画され、また、本院において国家基本政策委員長として重責を担われ、その卓越した政治手腕を遺憾なく発揮をしてこられました。

 一方、所属政党におきましては、社会民主連合代表、日本新党副代表、民主党副代表等の要職を歴任され、現在は民主党・新緑風会の参議院議員会長の重責を担っておられます。

 このように、先生は、高い見識と豊富な政治経験に基づき、我が国議会政治発展のため多大の貢献をしてこられました。

 ここに、我々議員一同は、先生の二十五年の御功績に対し、深甚なる敬意を表しますとともに、本日、栄えある表彰を受けられましたことに心から祝意を表する次第であります。

 現在、我が国は、金融・経済システムや社会保障制度といった各方面において構造改革が推し進められている最中であります。上向きつつある景気の動向にもまだまだ予断を許さないものがあります。一方、国外に目を転じても、激動する国際情勢の中で様々な外交課題が山積をいたしております。

 国民が国会議員に負託した願いはますます大きく、国会の果たすべき役割と責務は日々重くなってきております。とりわけ参議院におきましては、その独自性の発揮が今までにも増して求められているところであります。

 江田先生におかれましては、どうか、今後とも御健康に留意され、国民のため、参議院のため、そして我が国議会制民主主義の発展のため、なお一層の御尽力を賜りますよう切にお願いを申し上げまして、お祝いの言葉とさせていただきます。

 おめでとうございました。(拍手)

○議長(扇千景君) 江田五月君から発言を求められました。発言を許します。江田五月君。
   〔江田五月君登壇、拍手〕

○江田五月君 大災害で被災された皆さんに心からお見舞いを申し上げます。

 そのような中、誠に恐縮ですが、お許しをいただき、一言お礼を申し上げます。

 ただいま、私の永年在職につき、院議による表彰を賜りました。また、青木幹雄自民党参議院議員会長から身に余るお祝いの言葉をいただきました。私には過ぎた光栄であり、顔が赤くなる思いです。ただただ感謝するのみです。誠にありがとうございました。

 この栄誉は、もとより、これまでの各選挙で何の見返りも求めずに私を支持してくださった有権者の皆さんの御支援があったればこそで、心から感謝いたします。

 思い起こせば、最初の選挙は昭和五十二年、一九七七年の夏でした。私は、政治家の家に育ったので、政治への関心は強かったのですが、大学卒業の後、父の悪戦苦闘ぶりを見て、日本の政治の可能性に絶望し、その対極にある司法に職を求めていました。

 ところが、本院に十二年、衆議院に十三年、永年表彰も受けた父が、その年の春、政治生命を懸けて新しい道を踏み出し、その直後に中道に倒れました。それも、私の誕生日に合わせるように、急いで旅立ったのです。政治に一身をささげ尽くすその姿を目の当たりにし、小ざかしい理屈で政治に絶望などという己の愚かさを悟り、父の残した道に従って、夏の参議院全国区選挙に立候補。今も本院に御在職の田英夫さんに続き、百三十九万余の皆さんの御投票で、第二位当選の栄誉を与えていただきました。社会市民連合という新党で、当選は私一人。翌年、田さんたちと社会民主連合を立ち上げましたが、長くミニ政党のままでした。

 初当選の瞬間、少なくとも私の任期六年の間は新しい政治を求める動きは消させないと腹を固めていました。以来今日まで、道のない荒野を手探りで歩いてきました。過ちも多かったと思います。父が表彰を受けたとき、請われて色紙に「議員二五年、政権も取れず、恥ずかしや」と揮毫しました。まだ現在のところ、親子二代で恥ずかしやです。表彰を受けていいものか迷いましたが、ここは素直に同僚の皆さんの御好意を受けることにしました。

 今、新しい政治への胎動はだれも押しとどめることができないほど大きくなってきました。政治は可能性の技術です。私たちの未来は豊かな可能性にあふれているのです。これを閉じ込めている既成の干からびた政治を終わりにし、国民の可能性を最大限に解き放し、みずみずしい発想で新しい時代を開くときがすぐそこに来ているのを感じます。

 私が求めてきたものは二つあります。その一つは、市民の政治です。国民の願いが素直に通ずる政治の実現です。今なお、政治と金、平和や人権、命や暮らしなど、まだまだ庶民感覚と大きく隔たっているところがあります。しかし、透明性や説明責任が大切な政治的価値と認められるところまでは確かにたどり着きました。

 もう一つは、政権交代のある政治です。この目標は、やっと今、単なる夢や掛け声でなく、かなりの手ごたえを感ずるところまで来ました。もちろん、与党の皆さんも簡単には政権を渡してくれないでしょう。厳しい試練が続くと思います。愛のむちと受け止める覚悟です。

 有り難いことに、この夏の選挙で三たび本院に議席を与えられました。これから六年間、皆さんとともに切磋琢磨に努め、学生時代にゼミで発表した吉野作造博士の言葉で言えば、憲政の本義を達成するため、全力を尽くす決意を新たにしています。

 本日は、本当にありがとうございました。(拍手)


2004/10/27

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