1990/06/19

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118 衆議院・税制問題等に関する調査特別委員会


○江田委員 撤廃的見直しの真鍋先生の時間を圧縮をしたようで、大変申しわけありません。
 提出者の皆さん、大変御苦労さんでございます。本当に大型の審議で、連日七時間ですか、土曜日も、これは公聴会ですが、こういう時間短縮の世の動きに逆行するかのごとき大変な審議でございますが、しかしこれももちろんやむを得ません。ひとつ大いに頑張っていただきたいと思っております。

 一般質問においても、私どもまで質問の時間をお与えくださいました関係の皆さんの御配慮に心から感謝を申し上げる次第ですが、しかし質問時間二十分ということでございまして、余りあれこれと議論を広げることができないので、その点、私の思いもひとつ御理解をいただきながら御答弁いただきたいと思います。

 この特別委員会、画期的な論議だったと思います。消費税廃止関連法案、提出者の皆さんの方からお出しをいただいて、私も賛同者の一人として、 微力ではございますがその審議と成立のために努力をしてきたつもりでございます。一方で政府の方から現行消費税の見直し法案というものが出されて、この二つのものがこの委員会で並行して議論された。どちらが本当に今の国民の願いにしっかりこたえるものなのか、どちらが本当に問題をより鋭くえぐって再改革の実をなさしめる方法であるのか、こういうことの議論がそれなりにできてきたと思いますし、また、この間の議論、本当にあらゆる論点にわたって議論が展開されました。

 その中で、単なるすれ違いでなくて、与野党の間にある種の共通の認識もできてきている。今の消費税は相当メスを入れなきゃいかぬ、私たちはもちろん廃止をしてこそ初めて本当のメスが入るという立場ですが、廃止というのはどうもという皆さんでも、相当のメスを入れなきゃいかぬという認識が広がってきているような気がいたしますが、こうして廃止、見直し両法案を並行して議論をしてきた、このことの意義を一体提出者の皆さんはどう判断をしていらっしゃるか、これを伺いたいと思います。

○伊藤(茂)議員 江田さんおっしゃいましたように、消費税をめぐって大変な国民の大きな意識の高まりがございました。また、そういう中で、国論二分という表現がいいか悪いかは別にいたしまして、大きく意見が二つにあらわれている。それを象徴してお互いに法律を出して、しかもお互いに議員同士で中心に議論し合うということの意味は、私は非常に大きいことだと思います。

 ただ、終わりがやはり一番大事でありまして、江田さんもおっしゃいましたが、そういう議論の中で、国民の御納得がいただける取り扱いは、方向づけはこうかなというふうなことが何か浮かんでくるようなことを、特に会期日程もだんだん詰まっておりますので、何かそこでできれば本当の実りある議論ではないだろうかというふうに思いますし、また、そういうことができれば、今日国民の皆様から政治改革、国会のあり方、政治家のあり方が問われているというものにこたえる一つの道にもなるのではないだろうかという気持ちでおります。

○江田委員 今、伊藤提出者から終わりが大切だ、実りのある終わり方をしていかなきゃいかぬ、今次第に会期も終わりに近づいておって、さあこれはどういうことになっていくのかという、

そこが大切だという御指摘をいただいたわけでございますが、実は私も大変質問に困っております。いささか憂うつな点もございます。それは、私も廃止関連法案の賛同者の一人として、廃止をして再改革をすることしか国民にこたえる実りのある結論は得られない、こう思っておるのですが、しかし、じゃ実際問題どういうことになるのかなということですね。

 税というのは、これはもちろん国の歳入でございまして、取られるとか、拠出をするとか、いろいろな言い方があるでしょうけれども、やはり払うのはだれしも嫌ですよね。しかし、これはやはりいただかなきゃならぬもので、もちろん喜んで税を払ってくださる方は大変ありがたいことではあるけれども、やはりどこか痛みを感じがなら、しかしあるところで仕方がない、みんなのために、国のためにということで納得をして払っていく、そういうものであって、しかも非常に技術的な性格を強く持っておるのが税制であり税法だと思います。だれもみんなが気持ちよく快く納得をして払う、そうなればそれは大変いいのですが、なかなか実際問題としては難しい。しかし、どうしても取らなきゃいけない。

 そこで、ある程度の納得ということで、これはもう制度としてそこでひとつ行こうじゃないかとみんなで合意をして、この税をいただいていくという形にせざるを得ない。したがって、それであるがゆえに余計にそこへ至る手続が確かなものでなきゃならぬ。こういうところでひとつ納得をしてというところへ持っていくための議会制民主主義の手続というのが大変大切で、公約違反ということがあってはならぬことは当然であるし、また議会の議論も十分尽くされる、強行採決などがあっていけないこともこれまた当然。そういう、公約違反とかあるいは強行採決ということがない、本当の公正な適正な手続の中で十分議論されて結論が出ることによって、初めて国民が、わかりました、そこで納得しましょうということになるんだと思います。

 さてそこで、私たちは廃止がベストだ、廃止して再改革をすることしかない、そう思い、私もそれは別に独断でもないと思います。客観性もあると思います。国民にも支持をいただいていると思います。しかし、私どもがそれをベストだと言っているものしかないんだ、こうやってしまいますと、これはまた別の意見も、広い世の中ですから当然いろいろな意見がある。そこでそういう意見をいろいろ闘わせながら、これはやはりあるところへ持っていかなければいけない。もう私たちのベストしかないということで、ひたすらそのために五年かかろうが十年かかろうが、選挙を三遍やろうが五遍やろうが、この廃止・再改革が成るまで、多数をとるまで頑張るんだという性格のものと、ちょっと性格が違う。そうでなくて、いろいろな手続、選挙の洗礼、そういうものを経て、そこで出していただいた国民の皆さんの答えに従って、議会の手続を経て十分納得のいく議論で、ある結論をこれは嫌でも得なければいけない、そういう性質のものだと思っております。それが、きょう午前中にベストかベターかなんとかという議論がございましたが、そういう意味だと思うのですね。
 ところが、この今進んでいる手続の中で、そういうことに一体なっているのかどうか。どうもなっているような感じもするのですね。いろいろなところでいろいろな議論が行われているらしくて、聞こえてもくるし新聞などでも出ておる。しかし、この委員会の中の質疑にそういう方向が反映されてこないという感じがあるので、その意味でそういう腹の底の思いを込めて、先ほど廃止、見直し両法案をここで議論をしていく意義は高い、高いけれども何かひとつ悩みがあるといいますか、隔靴掻痒という感があるというか、そんな感じも同時に持ちながら聞いたのですが、そういう質問、どうお考えになるか。そういう質問をすると大変酷かもしれませんが、酷なら酷であっさりした答えでも結構ですから、ひとつ伺わせてください。

○伊藤(茂)議員 やはり多くの皆さんは、この数年間の経過を振り返りながら、消費税税制について政治が、国会が一体どうしてくれるんだ、我々が納得できるようにどうしてくれるのかという気持ちを持ちながら、世論調査にあるさまざまな数字はございますけれども、共通してそういう気持ちを持って政治を見詰めている、私はそういうことではないかと思います。

 私はこれらの議論、もっと実りのある議論がさらに行われることを切に期待をいたしておりますけれども、やはり税ですから、また事柄上、最終の、また最大の判断の基準は私は国民世論だと思います。国民世論を受けとめながら議論をする、そしてまた本当に国民の皆さんがそれならわかったと言っていただける方向にどう持っていけるのかということを、注意深くさまざまの方法を講じながら御相談をしたりまた議論をしていくというのが、税制については一番肝心なことではないだろうか。

 先ほども高齢化社会のお話がございました。熱っぽく言われましたが、私どもそれ以上に実は一生懸命です。やはり高齢化社会、どういう負担でどういう活力ある高齢化社会をつくっていくのか、厳重要課題の一つであろうと私は思います。また、私どもに言わせますと、じゃ、今の構造で高齢化社会を支える会費をみんなが気持ちよく払ってもらえるのかどうか。逆ではないだろうか。高齢化社会が大事だからこそ、本当に原点に戻ってもう一度やり直すという作業をしなくてはならぬじゃないだろうかという気持ちがいたします。そこはまだ絶えず並行しているわけでございまして、どうするのかということだと思います。
 ですから、私も気持ちは共通する面も江田さんと同じように持つわけでございますけれども、これから先、議会人として、また議会として、国会として最もふさわしい努力を最大限やっていくという道を努力をしていく以外に私はないだろうと思います。

○江田委員 ありていに言って、今のこの特別委員会の手続、そして、もちろんこれはある議論を進めていけばその先には採決ということになる。そしてその先には本会議での決着ということになる。さらに参議院があるかどうかということになっていくわけですけれども、これはもう幾ら言葉を飾ってみても、今の状況で、これから突然自民党の皆さんが意見を変えていただくというようなことがあればそれはもう大変ありがたいことではありますけれども、非常に残念ながら今の状況のもとでは、廃止・再改革というものが通るという状況にない。しかし、一方でもちろん、自民党の皆さんの見直し案、再改革をする、しかしその再改革はこの見直しが限度ですよというこれも、国会としてこれがよろしいということになる可能性はちょっとないと私は思うのです。

 まあ、見直し案をここで審議をしているわけじゃありませんが、自民党の見直し案について提出者の皆さん、どういうお感じをお持ちか聞かせてください。

○神崎議員 政府提出の見直し案につきましては、国民の間からさまざまな批判が言われているわけでございますけれども、その批判のとおり、例えば逆進性の問題についても、この見直し案によっては価格が下がる保証がございませんので緩和されておりませんし、さらにまた、国民の納めた、消費者の納めた税金が国庫に入らないという問題点、この問題点についても何ら見直し案では解消されていないわけでございます。

 さらにまた、国民の中には今回の見直し案は消費税を一層複雑でわかりにくいものにしたという批判もあるわけでございます。飲食料品等の範囲、飲食料品等の小売販売売り場の範囲、課税、非課税の仕分けなどについて、そういう御批判もあるわけでございます。

 さらにまた、政府はこの見直し案を、消費税を福祉のために使うことを明確にして福祉を一層充実することにある、このように述べて提出しているわけでございますけれども、一般財源としての消費税を国民福祉のために特定して使うことが可能であろうか、そういう疑問もございますし、消費税によって福祉が充実するという保証もないわけでございます。

 そのような国民の批判、これがいずれも当てはまるのではないか、このように考えます。

○江田委員 そうですね。私どもの廃止・再改革、これが自民党の皆さんの賛同をいただけると思うと、ちょっとそれは楽観的過ぎるだろう。しかし、自民党政府の皆さんの見直し案、これが今の国民の消費税に対する大変なふんまんにこたえる道だと国会で結論が出ると、こう自民党の皆さんが思われたら、これまたやはり相当オプチミストに過ぎるということになると私も思いますし、それは自民党の皆さんもおわかりだ。

 そうしますと、これは廃止も見直しもできずに何か残るかというと、現行の消費税が残る。我が国の政党で、どの一党といえども今の消費税でいいと言っている政党がない、みんなとにかくこれは変えなければならないと言っているのに、国会の手続のあれこれのことによって今の消費税がそのまま残るなどというのは、これはもう議会としては大変な失態ですね。国民に対するこれほど無責任な態度というものはない。

 そうなるとこれは何かしなければならないというわけで、政府がお出しの今の見直し案でもまだまだだめ、もっともっと鋭いメスを入れる再改革が必要、そういう大きな合意はこの議論の中で浮かび上がってきているわけですから、そうしますと、私は、ここはひとつ大きな知恵を働かせて、廃止・再改革か見直し・再改革か。もっとも、これは着地点まで既に提示をされている。そういうものを一つ越えた何か大きな協議による再改革、協議によってメスをずばっと入れて再改革をしていく。税制というものを本当にここまで議論したのですから、この議論をひとつ生かして、提出者の皆さんの大変な御努力を生かして、この再改革をしていくという道をどこかで切り開いていかないと、提出者の皆さんのこの大変な御努力にもこたえられないし、国民の期待にもこたえられないと思っておるのですが、これはひとつ答弁をいただくという性格のものでもないので、そういう意見を持っているということを申し上げて、私の質疑を終わります。


1990/06/19

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