1989/11/17

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116 衆議院・文教委員会


○江田委員 文教行政の基本施策についてお伺いいたします。
 文部行政については経験を随分豊富にお持ちでこの分野に精通をされ、高い識見をお持ちの石橋文部大臣を迎えて今百日ぐらいでしょうか。しかし、国会の都合もありましてなかなかこれまで石橋大臣の高邁な識見をこの場で伺うことができておりません。きょうは時間が余りありませんが、ひとつ伺わせていただければと思うのです。

 まず、大臣が今の我が国の教育の状況、現状について一番基本的にどういう気持ちをお持ちか。つまり、我が国は今世界第二位の経済発展を遂げた国だということにもなっており、ここまで来るについて確かに教育が大きな成果を上げたということもあるでしょう。そういう状況ですから、これはもうだれかの言葉じゃありませんが、つかさつかさに任しておけばうまくいくんだ、大過なくというような、そういう姿勢でおられるのか。それともそうでなくて、確かに経済は発展し、その中で教育の果たした役割は大きいけれども、しかし考えてみるとこの間にいろいろと問題もまた積み重なってきておる。今の子供たちを取り巻く状況、教育の状況というのはなかなか難しい問題が山積していて、これはつかさつかさなんていうのじゃなくて、ひとつ自分も大臣として大いに走り回って、あるいはいろいろな人に会ってこの状況を切開き、変えていくために全力を尽くさなければ、そういうお覚悟でおられるのか、そのあたりのところをひとつお聞かせ願いたいと思います。

○石橋国務大臣 お答えいたします。
 なかなか容易ならないときであるなという認識であります。そして、私の基本姿勢でありますが、人づくりを通じ、あすの社会を創造する営みである、一日たりともゆるがせにできない国政の重要課題であり、教育改革に対する国民の期待はまことに大きいものがある、こういう認識でございます。

 そこで、今後の教育改革を推進するに当たりまして、特に心の教育を重視する必要があると考えており、豊かな心を持ったたくましい青少年の育成を期して一人一人の個性や創造性、社会性を伸長する教育を学校、家庭、そしてさらに地域社会を通じて充実してまいるように努力をいたしたいと思います。

○江田委員 お話の初めに、容易ならざる事態だという認識をお持ちだということを聞かせていただいてほっとしたのですが、つい先日の閣議で報告、了承されましたいわゆる教育白書も、従来と一変してということでもないのでしょうが、比較的従来とは異なって、現在の問題状況というのをはっきりと浮き彫りにしていくという色彩であるわけです。

 学校教育の画一化、受験競争の過熱、登校拒否など子供たちの教育の中にきちんとおさまっていかない状況、そうしたことが出されているわけで、これに対して私ども大人が、それは学校であり、あるいは家庭であり、地域であり、同時に文教行政に責任を持つ文部省やあるいは私たち衆参の文教委員会、こういうものは本当に子供たちに対して重い重い責任を負っているというふうに思うのですが、そのような中で、とにかく大臣、この容易ならざる事態の中にある今の子供たち、いわゆるふびんな子供たちをどうやって救っていくのかということに全力を挙げてもらわなければいかぬ、そしてそのためにはとにかくかみしもを脱ぎ、胸襟を開いて教育に携わっているありとあらゆる人たちと、あらかじめの答えを用意してではなくて、ひとつ裸でぶち当たって話をしていく、理解を求めていく、あるいはみんなの悩みを理解していくというそんな姿勢が今大臣に求められているのではないかと私は思うのですが、いかがですか。

○石橋国務大臣 お答えいたします。
 私は、今までの流れの中において、とにかく終戦後日本国というものをどうしたらいいんだという中において、今まで先輩諸公が努力をなさってここまで参ったものと思います。また、文教の中においてもこれまた大変な議論をしながらとにかくやってまいりました。それは日本全体あるいは世界全体の中において日本人というもの、日本国というものが一定の評価を受けるところまで来たことは私は間違いないと思います。ただそれであるだけに、これからどうしたらいいかということ、これは経済的な事柄もあるでしょう。いろいろなことがあると思います。

 でも、教育というものを中心に物事を考えてみますと、今からまた一歩ぬきんでていくということを考えますと、先ほど白書でみずから反省してこうしたことをやっていかなければならない、こう書かせていただいたわけでありますが、例えば大変不確実な世の中、いわゆる科学技術の進歩によって大変不確実な世の中がこれから参る、そうしたことを考えてみますと、やはりみずからが考えてみずからが独創的にその答えを自分でやっていかなければいけない。つまり、言い方をかえれば、個性を伸ばすあるいは自由に物事をやらせるということ、そのようなことを中心として考えていかなければならないのだ、それは白書の、なかなか反省の弁が出ないものでありますが、今度はそれを入れさせていただいて、そして前に出ていかなければならない、こんな考え方を基本的に持っておりますので、よろしくどうぞ。

○江田委員 今の基本的な考え方の中にも私は幾つか申し上げたい点も実はあるのでありまして、例えば確かに我が国が一定の評価を受けるところまで至った、しかし逆に、必ずしもいい評価ばかりをいただいているわけでもないのです。

 東南アジアの国々は、それは我が国の経済発展については、ある尊敬なりあこがれの気持ちを持っていただいているかもしれない。しかし一方で、何だ日本は自分の経済発展だけで、例えば東南アジアの熱帯雨林をどうするのだ、自分たちの地域の経済あるいはこれまで豊富であった自然の恵み、そういうものが日本によって破壊されたじゃないかというような思いを持っている人たちもたくさんいたり、あるいはまた同じ先進国の仲間の皆さんの中からも日本についていろいろな複雑な思いがあることも確かで、そんな中で今の状態からさらに一歩ぬきんでるという発想でいいのかどうかといったことも感ずるのでありますが、それはさておいて、個の充実、個の豊かなたくましい成長というようなことをおっしゃいますが、しかし、現実にはその個がいろいろな学校、社会あるいは家庭、重圧の中で打ちひしがれて悲鳴を上げているというような状況もあるわけです。

 それがいじめになったり落ちこぼれになったり登校拒否になったりというようなことがあるので、そういうことは文部大臣が一人で号令をかけて旗を振ってもなかなか解決がつくものじゃないので、国民みんな、それぞれ教育に何らかのかかわりを持ち、子供たちにかかわりを持っている者が皆真剣に悩んで、そして腕を組みながら共同の営みをしていかなければ解決つかない課題だと思うのです。ですから、そういういろいろな皆さんと腹蔵なくお話し合いをするようなことをひとつ大臣にお考え願いたいということを言ったのはそういう趣旨です。

 そこで、そのととをぐるぐる繰り返し繰り返し言っても仕方がないので、ひとつずばっとお聞きをしますが、やはり何といっても教育の中で一番大きな役割を担っている人のグループというのは教師です。その教師の集団ということで日教組という団体があるわけで、日教組というものについていろいろな見方もあります。私どもも日教組すべて正しいとか日教組様々と思っているわけではありません。しかし、教育の最も重要な責務を担っている教師の集団として日教組というのがある以上、この日教組の皆さんと文部大臣ひとつかみしもを脱いでお会いになって腹蔵なくいろいろなことをお話しになったらどうなんだろうかと思うのです。

 日教組の皆さんもこれはいろいろな立場からの評価、評価といいますか見方もあるでしょうけれども、つい先日大会でこれまでの動きに一つのけじめをつけて、間もなく結成をされようという全国の労働組合を全部一つにしていこうといういわゆる新連合、これに加盟をしようという、大変な組織の分裂まで覚悟しながらそういうところまで来ているわけで、こういう皆さんとイデオロギーのぶつけ合いではない話し合いができるというふうにお思いになりませんか。そして、ぜひそれをやってみたいというふうにお思いにならないかどうか。

○石橋国務大臣 お答えいたします。
 一言で申し上げまして、現在のところはありません。でも、日教組のこれからの動き、そうしたものを十分見定めながら、慎重に検討して結論を得たいと考えております。

○江田委員 現在のところそういう意思はないという理由は何ですか。

○石橋国務大臣 お答えいたします。
 教育集団として大きな団体であります。そのほかにも幾つも団体があるわけでありますが、言いづらいことをはっきり申し上げますが、文部省がやっております教育の諸問題及びそれに対する解決の方法、すべてのことに反対、反対、反対であっては、これはいいものが生めないですよ。ですから、私の方も委員御指摘のように胸襟を開いて、相手方も反対、反対、反対ではなく胸襟を開いて、そこら辺のところを私はよく見詰めてそして検討をしたい、こういうことです。

○江田委員 文部省がいろいろなことをお出しになる。日教組はすべての点で反対、反対、反対、そうやって対決をしていて、私は日教組にも言いたいんですが、そうやって対決をしていて、そうしてその対決の谷間で結局一番救いの手が差し伸べられてないというのは子供たちでしょう。まず、どっちから胸襟を開くかですね。やはり、それは大臣として、大臣にひとつ大人になってと言うのも変な話ですけれども、ひとつ自分の方から、あらかじめこうでなければ話はできないよなんて言わずに、かみしもを脱いでいかれたらと思いますが、立場でなくて、日教組だけに限らず、とにかくすべての人と一緒になって子供たちのためにいい教育をつくっていかなければという、そのときにあるテーマでだれかが反対と言った、賛成と言った、そういうことであらかじめの相手についてのイメージをつくり上げた上で話し合うんじゃなくて、問題は子供たちですから、ひとつこれをぜひお願いをしたいのですが、余りこのことばかり話をしていてもしようがありません、お願いをしておきます。

 ところで、子供の権利条約というのが今話題になってきております。一九七九年が国際児童年、それから十年たちまして、一九五九年に国連で採択をされている子供の権利宣言、これをもっともっと発展さして、五九年からいえば三十年目ですから、ことし国連総会で子供の権利条約というものを採択しよう、このことは大臣、お聞きですか、御存じですか。

○石橋国務大臣 承知をいたしております。

○江田委員 外務省の方、来ていると思うのですが、この子供の権利条約、簡単で結構ですが、今国連でどういう状況か、十一月二十日には採択というような新聞報道もありますが、そういうことなのか。

 さらに、もし採択をされたら日本は一体どういう態度をこれからおとりになるか、批准の方向ということになるんだろうけれども、その見通し、そしてあわせて批准をする場合に国内法の整備の問題があると思うのですが、大体どの程度国内法の整備が懸案として今浮かび上がっているのか、簡単にお答え願いたいと思います。

○角崎説明員 お答え申し上げます。

 委員御指摘のとおり、児童の権利条約草案は、十五日に国連総会の第三委員会におきましてコンセンサスで採択されました。二十日の国連総会本会議におきまして最終的に採択される見込みでございます。我が国は、この条約草案の趣旨には賛成でございまして、第三委員会におきます採択に際しましてはコンセンサスに参加いたしました。また、本会議におきましても、委員会案どおりに採択される場合には基本的に賛成の方向で対処する方針でございます。

 それから、その後の締結につきましては、今後その草案が国連総会本会議におきまして最終的に採択されました後、我が国国内法との関係等を勘案いたしまして、関係省庁とも協議をして検討を行っていくという方針でございます。

 国内法との関連でございますが、この趣旨には賛成をしたわけでございます。ただし、条文の定める権利義務の具体的な内容でございますとか、我が国国内法令との関係の詳細につきましては、条約草案が今次国連総会で最終的に採択されました後、検討をしていくということになろうかと思います。

○江田委員 最終的にはそういうことでしょうが、しかし、そうはいっても条約に基本的に賛成ということでコンセンサスにお加わりになるというときには、日本の国内法との関係も検討されはしたんでしょうね、全く検討せずにということではないんでしょうし。一部には法務省、厚生省、文部省などと調整をしてみると、関連する法律が四十近く存在する。これは手直しをしなければならぬ法律というわけではないのでしょうが、そういうものがあるという、そんな話もあるのですけれども、もうちょっと突っ込んで、例えば民法の嫡出子、非嫡出子の規定など、こういうところは手直しをせざるを得ないことになってくるのではないかというような気がしますが、もう少し具体的に何かお話はないのですか。

○角崎説明員 今申しましたように、各省庁とは一通りの検討をした上で趣旨には賛成するということで臨んでおるわけでございまして、その詳細な検討につきましては、今後各省庁ともさらに進めてまいるということでございます。

○江田委員 詳細はそうでしょうから、ラフなところはどうですか。

○角崎説明員 先生が御指摘になりました嫡出子等の点につきましては、法務省とも検討をしておるというのは先生御指摘のとおりでございます。

○江田委員 文教関係も恐らくいろいろ出てくるという気がするのですが、例えばこの十二条の意見表明権ですね。学校の中でのいろんな懲戒のことなどについては、この十二条はカバーされるのでしょうか、されないのでしょうか。その辺はラフな検討の結果、どんなおおよその感じになっておられるか、聞かしてください。

○川村政府委員 ただいま御指摘の権利条約でございますけれども、先生御案内のとおりに、かなりいろいろな段階で案が変わっております。私ども、その都度外務省と御相談しながら国内法規との関係を進めてきたわけでございますが、私どもの関係で現時点で文教関係で考えなければならない、検討を要する点というのは、例えばこれで申しますと、現在の案の二十八条に教育に関する規定がございます。教育に関する規定で、初等教育の無償化というようなことが言われておるわけですけれども、その初等教育の範囲というものは幼稚園教育が入るのか入らないのかというような点がございます。

 それからまた、同じく二十八条の(b)項で中等教育の無償化ということがございまして、これがこの条文にございますようにすべての子供たちが教育にアクセスしやすくするための例示の書き方としてそういうことが示されているのか、あるいはもう少しそれが強い拘束的な意味を持つのかといったような点、その辺が今回の関係で言えば私どもとしてこれから検討をしなければならない点であろうかというふうに思っております。

○江田委員 外務省の方は、文教行政との関係でこういうことが外務省としては気になるというような点は特に何かありませんか。

○角崎説明員 今、文部省側から御指摘のあった点につきましては、外務省としましても、その点に関しましてこの条約の審議に際しまして意見を述べたという次第でございます。

○江田委員 この今の二十八条でいうと、例えば二項ですね。「学校懲戒が子どもの人間の尊厳と一致する方法でかつこの条約に従って行われることを確保するために、適当な措間をとる。」これは、体罰というのは一体ここで言う「子どもの人間の尊厳と一致する方法」、同時に「条約に従って行われる」もの、こんなことになるのですか。それとも、体罰はこれまでいろいろ問題になっていましたが、この際こういう条約締結あるいは批准といったことに際して、これは改めて根絶を誓い、いろいろな手を講じなければならぬというようなことになるのかどうか。そのあたり、いかがですか。

○川村政府委員 ただいま御指摘のございました二十八条の二項でございますけれども、これはまだ正文が翻訳としてできているわけでございませんが、「締約国は、学校の規律が児童の人間としての尊厳にふさわしく、かつこの条約に合致した方法で運用されることを確保するため、適当な措置をとらなければならない。」ということでございまして、これは学校という組織の規律全体について述べているということでございますから、今御指摘のような懲戒云々ということと直接ここでかかわってくるというようなことではなかろうと思っております。

○江田委員 恐らく条約の文案自体もいろいろ変わって、最終的な確定までいろいろなものが途中であっただろうし、その翻訳もいろいろあったので、私の持っておるものと局長がお持ちのものとがちょっと違ったようで、これは議論をまた後でじっくり詰めていきたいと思います。

 同時に、十二条の関係などもなかなか重要でして、文部大臣、子供の人権を守っていくということが今国際的な声になっている。とりわけ途上国の子供たち、先日も参議院の方で海部総理大臣とどなたかの議論の中に出ていたようですが、ストリートチルドレンとか、子供たちが非常に劣悪な状況に置かれている。しかし、途上国だけでなくて我が国も、冒頭大臣と議論したように、子供たちは決して今恵まれた状態にはいないんですね。もちろん途上国の子供たちと比べれば、それはぜいたく言えない環境ですけれどもね。

 そこで、今の学校教育の中でいたずらに体罰が行われているような状況、いや、いたずらにじゃないんだ、あれは必要だったとはなかなか言えない事態だと思いますよ。そうしたことについて、こうして子供の権利条約というようなことを議論するに際し、文教行政の責任者としても子供の権利といった観点から改めて見直していく。子供というのは大人になる過程であると同時に、子供自身の人生、子供のときの人生も一人の人間の人生でして、子供のときはどんなに苦しくても大人になってそれが報われればいいじゃないかと言ったって、その子供のときで終わる人生の運命を背負わされた子供もいるわけだし、そうでないとしても、子供のときに子供としての充実した――子供としてというのは、大人になるための未完成なものという意味じゃなくて、一人の人間としての子供の充実した人生を送るということは大変大切なことです。

 そんな意味から、この子供の権利条約というものにひとつ大いに目を開き、これは勉強して、今の文教行政の中で生かしていこうじゃないか、こういうお気持ちをお持ちくだされば幸いですが、いかがですか。

○石橋国務大臣 お答えをいたします。
 本条約につきましては、趣旨自体基本的に適切なものと考えております。文部省としても、かねてからこのような考え方のもとで教育の改善充実に努めてきたところであります。

 今委員の御指摘のような考え方、子供の人権、親になる前あるいは子供そのものの人権、そうしたことも考え、さらに関係省庁と十分相談してやっていきたい、こう思います。

○江田委員 これはまだちょっと先走り過ぎて、質問してお答えをいただくという段階まで行ってないと思いますが、子供の人権条約批准といったときに、恐らく多少の法的な手直しも要るんだと思います。女子差別撤廃条約の批准のときに家庭科の履習の仕方について検討会議を設けて、そして今、指導要領の改訂というところまで至っているわけですが、そうしたこともまた検討される必要があるのではないかと思いますので、この点はひとつよろしくお願いをしたい。

 あと五分しかありませんが、この子供の権利条約の中にも性差別を含めたあらゆる差別の禁止ということが入っているのですが、学校現場で何かと性による区別だけでない差別的な――差別というものはなかなか難しくて、例えば最近セクシュアルハラスメントなんといって、何がハラスメントかといったら、女性がハラスメントと感じたことがハラスメントだ、そんな話もあったりで難しいのですが、やはり学校の中に差別というものがある。

 そこで、具体的に男女別出席簿、出席簿をとにかく男の子だけ初めに五十音順でざっと書いて、それから今度ちょっと欄をあけて女の子が五十音順でずっと並ぶ、そんなのはやめたらいいのじゃないか、もう男女混合で出席簿をつくったらいいのじゃないかというような声があって、一部の地域では既にそういうことに積極的に取り組んでいるところもあると聞いております。

 大臣、この出席簿がこんな問題で今騒がれている。騒がれているというほどでもないけれども話題になっている。これは御存じですか。

○石橋国務大臣 具体的には余り耳に入っておりません。

○江田委員 これは朝日新聞ですが、上、中、下と三回に分けて特集まであるわけです。とにかく教育に関することはもうすべてに触覚を働かせて、いいことであろうが悪いことであろうがぜひ注意深く見ておいてほしいと思いますが、それはお願いですが、男女別出席簿を混合五十音順の出席簿にするといったことはできないのですか、できるのですか。

○菱村政府委員 出席簿は、学校教育法施行規則の十五条で学校で備えなければならない表簿の一つになっております。そういう規定がございますが、文部省としてその様式を特に示したということはこれまでないわけでございます。教育委員会または学校で適切な様式を定めて作成するというものでございます。したがいまして、出席簿の様式をどうするか、男女別にどういうふうに並べていくかというような問題は、学校、教育委員会で学校運営上の問題を考慮して考えていただければいいのではないかと思います。

 ただ御指摘のように、それが男女差別とかそういうことに結びつくようなことは避けるという配慮は必要かもしれません。男女の平等の問題につきましては、御指摘がありましたように、家庭科は直しましたし、それから、今回の新しい指導要領では家庭科以外にも社会科の中でも、それから特別活動のホームルームなどでもそういうことを指導するように、そういう配慮をしております。

○江田委員 最後に、文部省への報告あるいは都道府県教委への報告の様式が男女別になっておるから、それが障害になって出席簿の男女別の配列を直すことができないんだ、そんなことが言われたりしておりますが、そんなことはありませんね。

○菱村政府委員 出席簿の様式等について文部省に届け出ということは一切ございません。それから教育委員会は、教育委員会によってはあるいはあるのかどうか私は詳細存じませんけれども、そういうことが隘路になって今の問題が困る状況になっているとは考えておりません。

○江田委員 終わります。


1989/11/17

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