1986/04/11

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104 衆議院・文教委員会

国立大学のコンピューター関係の体制の整備について


○江田委員 私は、去年の六月五日、当委員会で国立大学のコンピューターのシステムにつきまして質問をさせていただきました。そのときにいろいろ積極的なお答えをいただいたので、きょうは、その後の国立大学のコンピューター関係の体制の整備というものがどう進んだかについて、ちょっとお教えをいただきたいと思って質問いたします。

 別に国立大学だけじゃなくて、私立の大学も、あるいは大学に限らずさまざまな研究機関のコンピューターのデータベースというものが、有効に相互に関連づけられて活用されなければならぬことは言うまでもないのですが、とりあえずは国立大学について絞って伺っていこうと思っているわけです。

 去年の六月五日に伺いましたときに、国立大学のコンピューター関係については、情報処理教育センター関係は文部省の高等教育局技術教育課、それより上のクラスの情報関係のセンターについては学術国際局学術情報課が所管をしておるが、こういう所管の区分があることはよくないので、同じところで処理した方がいいのではないかという方向で整理をしている、そういうお答えがありましたが、これは結果はどういうことになりましたか。

○植木政府委員 ただいま御指摘の点につきましては、情報処理教育センターは現在十カ所ございますけれども、最近は情報処理教育センターをつくりませんで、情報処理センター、ここで総合的にまとめて教育面も扱おう、こういうことで新設はいたしておりません。したがいまして、情報処理教育につきましては、個別のセンターを最近ではつくっておりませんで、総合的に情報処理センターの方でやることにいたしております。

○江田委員 私が聞いたのは、文部省の中の所管の課のことを聞いたのです。

○植木政府委員 そういうわけでございまして、文部省の方の国立大学におきます情報処理の担当は学術国際局の学術情報課でございます。高等教育局の方の技術教育課が情報処理教育センターを担当しておりますが、緊密な連絡をとりながらそごのないようにいたしております。

○江田委員 次に、各大学のこういうコンピューターセンターが十分に連携がとれていない、それを改めるということで、東京大学に文献情報センターをつくって、そこに大型計算機センターあるいはその他の学内共同施設であるけれども総合情報処理センター、学術情報処理センター、情報処理センターなども順次ネットワーク化していこう、そういうお話がありましたが、最近聞きますと、この文献情報センターではなくて、もっと根本的な大きなセンターをおつくりになっている。東京大学にというのじゃなくて、文部省の直轄で学術情報処理センターをおつくりになったというふうに伺っておるのですが、この学術情報処理センターというものがどういう経緯でできて、どういう仕組みになっておるかについて御報告いただきたいと思います。

○植木政府委員 東京大学の文献情報センターにおきましては、大学図書館のいろいろ持っております図書とか雑誌、こういったものの情報の提供サービスあるいはそれに必要な研究開発を目的といたしまして、大学の図書館間の情報のネットワークをつくろう、こういうことできたわけでございますが、先生も今お話がございましたように、図書館間だけではなくて、大学におきます大型計算機センター、あるいは先ほど来お話のございます情報処理センター、さらには大学関係の研究所との間でもオンラインで結びまして、それぞれの持っている学術情報の総合的な流通促進を図ろう、こういう構想が研究者の間で進みまして、それでこの四月に東京大学文献情報センターを廃止いたしまして、さらに大きなネットワークの中枢となります国立大学共同利用機関の学術情報センターを設置いたしたわけでございます。

○江田委員 学術情報センターですね。その学術情報センターというのは、予算はどのくらいですか。

○植木政府委員 当面、六十一年度におきましては十億二千五百万円でございます。

○江田委員 ここで六研究開発部門を設けて、教授が六人、助教授が六人、助手十二人、さらに事務部長も置いて管理部門をきちんと整備をした。コンピューターも二千万円規模のレンタル料のものを四千万円規模のものにしたというふうに伺っておるのですが、それでよろしいですか。

○植木政府委員 先生御指摘のとおりでございます。

○江田委員 非常に頑張っていただいて結構だと思うのですが、そっちはそっちでいいのですけれども、今度そうやって中央のコンピューターのセンターが非常に立派になっていく、それだけで一体いいのだろうかという問題がどうしても出てくると思うのですね。去年の六月五日に伺ったときにも、地方の大学のコンピューターの施設とも十分連絡をとってネットワークをつくって、そして地方の大学のコンピューターの機能を活性化させていくという、そして活性化させる方向で努力をしていく、地方の方も十分に整備をしていく、そういうお話だったのですが、果たして本当に地方の情報処理センターなどが十分活性化されているのか、機能が充実してきているのかということがどうも気になるのですが、これはどういうことになりますか。

○植木政府委員 先生御指摘のとおり、中枢であります学術情報センターだけではなくて、やはり各大学の図書館であるとか、あるいは情報処理センター、データベース、こういったものを充実していきませんと、全体としての学術情報システムの整備にはならないわけでございます。そういうわけで、例えば関係の大学の図書館の専用電算機の導入を六十一年度においてもふやしておりますし、その他情報処理センター関係の充実もそれぞれいたしておるわけでございます。

○江田委員 抽象的にそういうふうにお答えになられてもどうも困るのですが、例えば今の学術情報センターのコンピューターというのが四千万円のレンタル料のもの。一方、東からいきますと、東京工業大学、神戸大学、岡山大学、広島大学、こういうところの総合情報処理センターのコンピューターのレンタル料というのはおよそ一千五百万円ぐらいでしょうかね。そうすると、ざっと三分の一以上の規模のコンピューターがそういうところにもきちんとあるのに――この学術情報センターでは六研究開発部門がちゃんとあって、教授も六人いらっしゃる。しかし地方の大学では、コンピューター自体はしっかりしているのに、助教授が一人だけで、教授もいない、あるいはまた管理部門というのもない。それで地方の方はしっかり手当てをしておるというふうに言えるのだろうか。地方大学の方も、研究開発部門と事務部門とをきちんと設けて行動できるようにしないと、活性化するということは絵にかいたもちになってしまうのじゃないか。羊頭狗肉と言うときついですが、そういう感じがするのですが、どういうような構想を地方のコンピューターシステムについてお持ちなのか、どういう手当てをされようとしておるのか、そういう基本方針はないのですか。

○植木政府委員 多少繰り返しになりますが、図書館につきましては六十一年度に九大学電算化をふやしたということでございます。また、情報処理センターにつきましては、現在二十六の国立大学に置かれておるわけでございますが、まだ置かれていない大学もかなりの数に上るわけでございまして、計画的に順次これを整備をしていくということを考えております。

 なお、まだ情報処理センターが置かれていない大学のうち、理工系の学部を有するものにつきましては、利用度が非常に高くて、より大規模の計算機需要が生ずるということが考えられますので、これは普通の情報処理センターではなくて、総合情報処理センター、こういうものを設置をしていくということを考えておるわけでございます。なお、総合情報処理センターにつきましては、借料によって計算機の機種変更を行い、レベルアップを行う、こういうようなことを逐次やっておるわけでございます。

○江田委員 学術情報センターでここ一つだけピークがずっと高くて、あと広く浅くというので一体いいのかという感じがするのですね。ですから、中心的なものについてはやはり学術情報センターのように、六研究開発部門があって事務局もきちんとしているというところまではいかないにしても、ひとつ教授もちゃんと置くあるいは管理部門もきちんとしていくという方向が必要なんじゃないかと思うのですが、いかがでしょう。

○植木政府委員 確かに、中枢だけでなくて、それぞれの大学におきます情報処理センター等整備することが大事でございますが、定員につきましては全体としてなかなか厳しい状況でございますので、学内の定員の振りかえ措置によりまして、こういった情報処理センターの研究部門あるいは管理部門の充実を図ってきております。

○江田委員 今度は情報処理センター相互の関係なんですが、この前質問いたしましたときにも、全国の共同利用のセンターについてはそれはよろしい、しかし、学内のセンターについては、これはその大学の中のことだけであって、外との関連はつけられていない、外からのアクセスができない、それは設置目的が違うから、そういうお話でした。しかし技術的には、コンピューターというのは可能なわけですね。外との連携というのは容易にできるわけで、そういう規則で技術的可能性を縛っていっている、そのことが逆にコンピューターというものの利用価値を随分制限しているということがあるのではないだろうか。

 文部大臣、データベースぬかみそ論というのがあるのですが、御存じでしょうか。データベースぬかみそ論といいまして、ぬかみそというのは、ずっと漬けて、繰り返してまぜて使っていけば使っていくほどだんだんいい漬物ができるようになるというのですね。データーベースというのも、ぽんと置いておくだけではだめで、全国からわっと来てそのデータベースをどんどん使っていけば、ますます中身も充実してくるし、すばらしい香りを放つようになる、こういう話なんですが、各地方大学もそれぞれになかなかいいデータベースがお持ちなんですね。

 私もちょっと聞いてみましたところ、例えば岡山大学の総合情報処理センターでは、遺伝子に関するデータベース、岡山大学医学部の大学病院のがんのデータベース、あるいは倉敷にあります農業生物研究所の大麦の種子に関するデータベース、それから瀬戸内海の公害とりわけ水島付近の公害についてのデータベース、こういうものはなかなか全国的にも大したもので、全国の研究者に使っていただければ非常に役に立つものだというように伺ったりもしておるのですが、こういうものが、岡山大学の学内の共同利用施設であるからというので利用がそこだけに限定されているというのは、宝の持ちぐされてまことに情けない話だと思うのです。そういう新しい技術革新に対応しなくなっている古い規則というものは、改めるにはばかることなかれというので、大いに検討し、改めていってほしいと思うのですが、これは覚悟の点を文部大臣に伺い、あと、具体的にどうされるかを伺っておきたいと思います。

○海部国務大臣 専門的なことは局長から答弁させますが、学術情報センターの開所式に私も行ってまいりました。そして、大変立派なコンピューターがたくさんありますから、どうするのだと言ったら、全国の国公私立大学、図書館が持っておる情報を全部そこでネットにして、また、どこの大学の情報でも検索できるようにそこが中心になって働くのだというような説明を私は私なりに聞いてきました。まさに今のぬかみそ論の、漬物のおけがあそこの情報センターか、こう思って意識して帰ってまいりました。おっしゃるとおりのような方向だと思いますが、専門家からお答えをいたさせます。

○植木政府委員 ただいま先生から各大学の情報処理センター、例えば岡山大学等で次第にデータベースのようなものができ上がっている、これを他の大学からもぜひ情報検索ができるようにすべきである、こういう御指摘だろうと思います。

 従来、大型計算機センター等は別といたしまして、各大学の情報処理センター等では科学技術計算の処理業務が中心でございました。しかし次第に、今先生が御指摘ございましたように、一部の大学におきましては大変有用なデータベースが開発、作成されつつありますので、こういったものを他の大学から検索できるように、ぜひこの学術情報システムの整備の過程において進めてまいりたいと思っております。

○江田委員 文部大臣、データベースぬかみそ論というのは、全国の中枢のところだけではなくて、地方の比較的小さなところでもそれぞれにきちっと光るデータベースがあるので、大きなぬかみそのたるではなくて小さなたるもいっぱいつくっていかなきゃならぬという、そういうことでぜひ御理解いただきたいと思うのです。どうぞよろしくお願いいたします。
 終わります。


1986/04/11

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