1985/04/08

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102 衆議院・大蔵委員会,内閣委員会,地方行政委員会,文教委員会,社会労働委員会,農林水産委員会連合審査会

補助金一括法案について


○江田委員 総理の貴重なお時間を四分間いただきまして、私にとっても非常に貴重な時間ですので、長丁場の最後でお疲れかと思いますが、恐縮ですがよろしくお願いします。

 総理が最初に総理大臣に就任されたときに、お茶の間直結政治ということをたしか言われましたね。当時私は参議院の方におりまして、たしか予算委員会で、総理からお茶の間へは、これはテレビ時代ですからうまいぐあいに直結をするかもしらぬが、しかしお茶の間から総理の方へは直結しているんだろうかということをお尋ねしたと思うのですが、今のこの法律、これはお茶の間に怨嗟の渦を巻き起こしていると言うとちょっと言い過ぎかもしれませんが、地方自治体が三月議会で予算を組むときに、本当にどこも悲鳴を上げてきていると思うのです。そういう一般の人たちの声が一体どう総理に届いておるのかということをまず最初に伺いますが、何分時間が短いもので、次の質問をあわせてお尋ねをして、あわせてお答えをいただきたいと思うのです。

 民間の声の中は、確かに総理がおっしゃるとおり、財政は非常に厳しい、そういうときに、こういう厳しいことを国民も耐えていかなければならぬということは理解をしながら――そこまでの理解を持っておる国民もこれまた多いと思うのですね。必ずしもみんな、だれもかれもが国に対して金を出せ、金を出せと言うだけじゃない。しかし、一体今度の法律はどういうことになっておるのか。そういう国の財政事情をある程度理解しながらも、なお今度のこの法律について、大変な反対の声あるいは恨みつらみの声がある。それは、これから先、国と地方との財政負担のあり方というものが一体どうなるかわからないままで、国の方がどんどんと補助金を削って、地方の一般財源があるからいいじゃないかと言われる、これは大変不安だと思うのですね。

 そこで、今までのような、金は出すけれども口も出すというやり方ではなくて、こうやって削っていくならそれもそれでいいけれども、それではいっそのこと金も出さないけれども口も出さない、ひとつ大いに地方に自主性を認めてほしいという声はあると私は思うのです。今回のこの法案は、財政のつじつま合わせだけで、そうした国と地方との負担のあり方というものについて、根本的な検討もなく哲学もなく、ただ場当り的に出されているだけじゃないか。そういう場当たり的に出されている今回のあり方について、これではいかぬという声が根底にあって、いろいろ悲鳴が聞こえてきているんだと思うのですね。

 考えてみれば、今のこの財政危機というのも、そうしたこれまでの財政構造が問題なんで、その構造にメスを入れずに、ただ財政のつじつま合わせだけでやろうとしたって、これは財政再建にならない。まことにこういう法案は愚劣と言うと恐縮ですが、やはり愚劣な、財政再建に名をかりた法案だと思うのですが、以上二点、お答えください。

○中曽根内閣総理大臣 国民の茶の間におきましては、私はそういう悪評があるとは思っておりません。なぜならば、これは国民の皆様方に対しては直接何ら影響はないのであって、国と地方との負担区分の話でありまして、国民の皆様方の腹を痛めるとか、不便が出るとか、そういう問題ではないのであります。

 それから第二に、国と地方とのいろいろな調整問題については、江田さんのお考え、我々も同感でございます。これはもっと総合的包括的にいろんな面で、税の見直しの場合、あるいはそのほか中央地方の事務の配分あるいは費用負担の問題、そういう問題について見直してしかるべきであると思います。

○江田委員 見直してしかるべきだとおっしゃるなら、今回のこの法案は今回限りで、あとは見直すまでこういうことはやらない、こういうお考えになって当然と思いますが、いかがですか。これをお答えいただいて、質問を終わります。

○中曽根内閣総理大臣 将来のことは三省でいろいろ協議もいたしますし、党におきましてもよく検討してまいりたいと思っております。


1985/04/08

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