1982/03/30

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96 参議院・建設委員会

農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法改正案
琵琶湖総合開発特別措置法の一部を改正する法律案


○江田五月君 数多くの日切れ法案を抱えまして大わらわの一日でしたが、同僚委員の皆さんからいろんな論点にわたって質問がありましたので、簡潔に聞いていきたいと思います。

 まず、農地所有者等賃貸住宅建設融資利子補給臨時措置法の一部を改正する法律案ですが、四十六年に立法されて以来、今日までの目標といいますか、各年度ごとの一体どの程度この利子補給を行おうかという、戸数の目標の数値とその実績と、この数字をお示し願いたいと思います。先ほど原田委員の質問ではそれを前提に質問もあったようですけれども、その数字をお示し願いたいと思います。

○政府委員(豊蔵一君) 本制度は昭和四十六年度に創設されたわけでございますが、それ以降、五十五年度まで十年間におきます予算戸数と実績を申し上げます。

 四十六年度は二千戸の予算戸数に対しまして建設されました戸数は三百五十一戸、四十七年度は四千戸の予定に対しまして千三百八十四戸、四十八年度は二千戸に対して千三百七十三戸、四十九年度は四千戸に対しまして千六百一戸、五十年度は四千戸に対しまして千九百四戸、五十一年度は四千戸に対しまして二千二百九十九戸、五十二年度は四千戸に対しまして千九百二十二戸、五十三年度は同じく四千戸に対しまして七百四十四戸、五十四年度は四千戸に対しまして千八十八戸、五十五年度は四千戸に対しまして五百一戸、総計いたしまして予算戸数といたしましては三万六千戸を予定いたしておりましたが、実績は一万三千百六十七戸、このように相なっております。

○江田五月君 野球の打率ならば三割をちょっと超えているわけですからいいのかもしれませんけれども、この程度の率というのはこれは一体行政の担当者としてはどうお感じですか、かなり悪いんじゃないかと思うんですが。

○政府委員(豊蔵一君) 私どもといたしましても、でき得れば当初予定いたしました予算戸数になるべく近づく程度の実績が上がることを期待しておったわけでございますが、一つには、二回にわたりますオイルショック等によりまして建築費が高騰いたしたこと、これは賃貸住宅を経営いたします場合には、建築費の増高というものが非常に大きな影響を与えるということがあったかと思います、また、そのほかといたしましては、本制度が団地要件あるいは水田要件、そういったようなものがあることも若干の要因になっているかと思います。さらには、この制度がいわば農業協同組合等の資金を活用して建設し、これに対しまして国が利子補給をするという制度でございますが、そういう場合におきますところの関係地域の公共団体あるいはまた農業協同組合等の熱意、あるいは普及啓蒙、あるいは農家の方々に対します経営指導、そういったようなものが総合的に進められる必要があろうかと思います。そういったような点につきまして、地域的にかなりの差があるといったようなことがあろうかと思われます。

 また、個人の農家の方々にとってみました場合、この制度とまた別のたとえば住宅金融公庫によります融資の道も別途ございますが、そういったようなものの方が制度的に古かった、また十分に知られておるといったようなことで、選択をいたします際の一つの枝といたしましてもともとありました制度を使っておった、そんなようなことがいろいろ考えられるところでございますが、いずれにいたしましても今後さらに継続をお願いいたしますに当たりましては、関係の公共団体なり農協等とも十分御相談いたしまして、本制度の活用というものにつきまして指導していきたいというふうに考えております。

○江田五月君 いろいろと理由もあるんでしょうが、長々と御説明をいただいたんですけれども、やはり私は毎年毎年目標としておったものと実績とが一体どういう推移をたどったかということを真剣に反省しながら、これだけ目標としておったものがわずか十何%しか達成できなかったという年もあるんですから、そうすると一体これはなぜこういうことになったかということを真剣に反省して次の対応をとっていく、原因を取り除けるものは取り除いていく、あるいはこういう制度が無理なんだったら目標を下げていくとか、そういうことをやらなければ生きた行政にならない、これはもう行政改革をまさにやらなきゃならぬ、やる気の問題じゃないかというような気がするんですけれども、毎年ずっとこう四千戸、四千戸と、のんべんだらりとやっていると言うと言い過ぎですか、どういうお感じですか。大臣、いまのような数字をごらんになって、これをどうお感じになりますか。これで、この建設戸数の目標を達成できるような状況になっている、そういう熱意があるようにお感じですか、どうですか。

○国務大臣(始関伊平君) 江田委員にお答えを申し上げます。
 農住というものに対するわれわれ自身の関心の持ち方もどうも今日までちょっと足りなかったんじゃないかと思って、反省はいたしております。

 ただいま江田さんから、やるんならやるようにはっきりやれ、やめるんならやめろというふうな御指摘でございまして、ただいまごもっともなことと存じておりますが、今後の問題といたしましては、この制度にはやはりそれ相当のいい点があるのでございまして、第一に、農地等の土地所有者が土地を手放すことなしに住宅地として利用ができるということが第一点でございます。

 それから第二点としては、比較的まとまりのある水田等農地の市街化を誘導することができるものであること。

 さらに、第三点といたしましては、大都市圏の都市地域で不足している適正な家賃の良質な賃貸住宅を建設するものであること。

 それから、農業経営にかわる生活安定の基盤となるものであること。農民の側から言えば、農業経営にかわると申しますか、あるいは農業経営と並んでと申しますか、こういう生活安定の基盤になるものであること。

 それから農協資金、いわゆる民間資金である農協資金等を活用するものであることというような点を考えますと、住宅政策のみならず、宅地、農業等の諸政策にもかかわる特色のある制度であると評価すべきであると存じております。したがいまして、建設省といたしましても今後とも本制度の普及、活用を積極的に進めることによりまして、大都市圏等の都市地域において居住環境が良好で、適正な家賃の賃貸住宅の供給の促進を図り、国民の居住水準の向上に資する所存でありまして、今後一層の努力をしてまいりたい、かように存じております。

○江田五月君 一層の努力をお願いしたいんですが、昭和五十七年度、来年度はいままでの四千戸を二千戸に――一時二千戸の時代がありましたが、大体四千戸でずっと推移をしてきているのが今度二千戸に減るわけですね。これはなぜですか。

○政府委員(豊蔵一君) 御案内のように、いままで予算で計上いたしておりました戸数を、必ずしも十分に達成しておりませんといったような、そういう実績を踏まえまして、五十七年度におきましておおむねこの程度用意しておけば十分であろうかということで準備したわけでございます。ちなみに、五十六年度はまだ最終的な実績の結果がわかっておりませんが、おおむね私どもの見込みでは千百戸を上回る程度の数字であろうかと推計いたしておりますので、そういったようなことを踏まえまして、五十七年度もおおむねこの程度用意しておけばよろしいんではなかろうかというふうに考えておるところでございます。

 ただいま先生から御指摘ありましたが、今後いろいろな角度から十分制度のPRあるいはまた農家の方々に対しますところの経営指導、そういったようなものを通じまして実績を上げてまいりたい、また実績が上がりますれば、それに対応いたしました計画を立てて予算を用意したいというふうに考えております。

○江田五月君 いずれにしても、こんなところでお金を余らしていただいても、減税に回していただいてもろくな減税はできませんから、ひとつ目標を達成できるようにいろいろな措置を講じていただきたいと思います。

 次に、特定市街化区域農地の固定資産税の課税の適正化に伴う宅地化促進臨時措置法ですが、これは俗にあめ法と言われる宅地並み課税を一方でやって、むちでしりをたたいて、片方でこっちへおいでください、税金が安くなりますよと住宅の建設の方に誘導していくというあめ法でありますが、この譲渡所得税あるいは不動産取得税、固定資産税、こういった税金が軽いと軽い方に人が動いてくるだろう、農地を宅地化する場合には、いまのような税金を安くしてあけますよ、そうしておけば農地を持っておる者がその農地を宅地化するだろうという思想に立っているわけですね。その一つの命題が本当に経験則に合っているのかどうか、経験上それが正しいと言えるのかどうか、これはいろいろ議論があって、いやそうじゃないぞ、どうも税金が安いことはかえって放出する土地が小さくなることにしか働かないぞという意見もあるんです。この制度ももう始まって大分たつわけですから、いままでいろいろな経験も蓄積されてきておるんだろうと思いますが、税金が安いと農地が宅地化するんだということが本当に言えるのかどうか、そのことを伺っておきたいと思います。

○政府委員(吉田公二君) 税制と、その土地の利用の転換というのはいろいろの考え方があるというのは先生御指摘のとおりでございます。一般的に言われておりますのは、譲渡所得税につきましては、譲渡所得税が高くなると土地の流動化に対して抑制的な効果がある、その譲渡所得税が低くなりますと流動を促す効果がある、逆に保有税につきましては、保有税が高いと流動を促す、それからまた、保有税が安いと保有を継続するという、税制だけの作用で申しますとそういう傾向があるように一般に言われております。

 そのほかにいろいろ社会的事情等、社会的、経済的、いろいろの関係からくるわけでございますから一概には申せませんが、今回の税制におきましても従来から継続しておりますいわゆるこのあめ法の中に書いてございます譲渡所得税の軽減措置、それからみずから土地を転換して賃貸住宅を建てたりいたします場合に不動産取得税あるいは固定資産税、こういうものを軽減するという措置それ自体は、土地の転換をしようという意図を持っている方には確かにプラスに作用するわけでございますし、譲渡所得税につきまして今回のこれは、このあめ法を除きました一般の税制の中で三年間の時限を切りました臨時措置として、優良な住宅宅地の供給に資するものというものについては三年間、四千万までは二〇%、四千万超えた場合は二五%。これは三年間で打ち切りにするというような制度をつくりましたけれども、こういうのはそういう意味で効果があると思います。

 また、農地に対しましては、これは従来はいわゆるAB農地全体について税の減免が行われたものについても一様にその譲渡所得税の特例がかかっていたわけでございますけれども、今回の改正におきまして長期営農の方を選択した方については、土地収用等の特別の場合を除きましてこの適用がないというようなことをいたしましたので、そうした意味で、農地を所有していらっしゃる方にとってどちらの道を選ぶかという一つの選択要素になると思います。

 また、経験則ということでございますが、土地税制が下がった例はちょっと少ないんでございますが、税制が上がったケースで申しますと、ご存じのとおり、四十五年から五十年まで段階的に上がっていく期間がございました。四十五、四十六が譲渡所得税が一〇%でございまして、四十七、四十八が一五%、四十九、五十が二〇%、五十一からいわゆる四分の三総合課税という非常に高い税率になったわけでございますが、これで見ますと、四十六年には対前年で九四・五%という非常に高い伸びになっております。四十七年には下がりまして、四十八年にはまた非常に高い対前年の譲渡所得金額の伸びがございます。四十九年に二〇%になったときに、またこれも非常にどすんと下がります。それから五十年は、翌年から四分の三になる前の年でございますが、これは対前年八三・九%という大きな伸びになっております。それで五十一年にいわゆる四分の三の総合課税になりましたときに、これは対前年五三・四%のダウンということになっておりまして、これは国税庁の統計資料でございますが、この経緯から見ましても譲渡所得税というものがかなり土地の流動には作用するというデータになると思います。

○江田五月君 一方でこの法律、あめ法とおなかと背中の関係というのですか、セットになっている地方税法、宅地並み課税の方ですが、私ども前前からこの宅地並み課税、特に大都市圏においては、これはもう本当に腹をくくってひとつやってもらわなきゃ困るということを言ってまいりました。

 いま、たとえば東京で満員電車に乗せられて一時間半とか二時間とか通勤にかかって、その途中で窓から外を見るとホウレンソウにしたって何にしたって、何か肥料をやっているのかやっていないのかわからないようなあんなものがとても農業と言えるかと。都市近郊で良好な、良質の蔬菜を都市住民に提供するんだと言ってみたって、あんなところで良質の蔬菜が提供できるはずがないと思われるような農業が実際に展開されている現実を見て、これはやっぱり大都市の住民というのは本当に不公平感というものにさいなまれるという状況がずっと続いて、こんなことで自分たちが本当に、特にサラリーマン、クロヨンとか、トーゴーサンピンとかで税金を払う気持ちがなくなるというような状態があったと思うので、今回この地方税法の改正によって宅地並み課税がC農地にも拡大される、あるいは免除から徴税猶予へというようなことで一歩前進ではあると思うんですけれども、しかし、さらにもっとこの宅地並み課税というものを徹底していただかなければいけないんじゃないかという、そういう全国的にというよりも特に大都市圏の話ですけれども、大都市住民の声があると思うんです。これは国土庁長官のお答えになろうかと思いますけれども、そういう宅地並み課税についてどういう姿勢でこれから臨んでいかれるのかということを伺っておきたいと思います。

○国務大臣(松野幸泰君) 御意見は私ごもっともだと思いますが、いままでいろいろな施策をやってきましたけれども、やはりそれを参考にしますと今度のような法案改正の方が宅地が出やすいということになるように考えて法案を提案した次第でございます。

○江田五月君 もう一つ、最後に琵琶湖総合開発特別措置法の一都改正案について伺います。
 これももう多くの人がいろいろと尋ねておりますが、淀川水系における水資源開発基本計画、これは高度成長のときにつくられた基本計画であって、これから毎秒六十八トンですか、不足をしてくる、その部分をどうやって調達するか。ところが、現実にはこれが大きく食い違ってきた。人口が予測どおりに推移をしていないとか、あるいは節水思想が普及してきたとか、工業用水については回収率が予想以上に高かったとかということが言われておりますが、どうもおっしゃるのは、食い違ってはおるけれども、やっぱり琵琶湖から毎秒四十トンの水がこれからも必要なんだと。しかし、その根拠、どういう予測でそういうことが必要になってくるのかというのがどうもはっきりしないわけで、この基本計画については、これは見直しはいずれにしてもされなきゃしようがないような状態になっているわけです。そういう予測をはっきりと立て、これからの基本計画をきっちりと定めてみなければ、一体琵琶湖からどのくらいのものが今後必要になるかというのはわからないんじゃないかという気もするんですけれども、いやしかし、それは計画は立てるけれども四十トンは要るんだと、何か四十トンというのはあらかじめ決めてしまってこれからの予測を立てる、計画を決めるというようにも聞こえるんですが、どうなんですか、そのあたりは。

○政府委員(高秀秀信君) 現在の基本計画は五十五年度までの計画でございまして、五十五年度までの実績対比でいきますと、先生のお話のようなことでございます。現在私どもは関係府県と協議を重ねておりまして、六十五年度末の需要見通し、それに対する供給施設計画を立てているわけでございます。これは、今後水資源開発審議会の議を経たり、あるいは関係府県知事の御意見を聞いて固めていくわけでございますが、現在の作業段階の数字で申し上げますと、淀川水系で五十年から六十五年までの新規需要が約七十トンある、そういう中に琵琶湖の一応四十トンというふうにいたしましても、供給施設計画としては六十トンくらいしか確定しない、そういう意味合いで琵琶湖の四十トンは必要だというふうに申し上げたわけでございます。

 なお、六十五年までについては、いろいろむずかしいんでございますが、人口であるとか工業出荷額とかいろんなものを、各府県の計画等を踏まえながら現在詰めている概数がそういうことだということで、概略というふうに申し上げましたけれども、いろいろな作業をした結果、六十五年の末の水需要はこのぐらいになるんではないかということをいまやっている、こういうことでございます。

○江田五月君 琵琶湖の毎秒四十トンというのはあらかじめ設定しておいて、それにうまく合うようにほかの数字をいろいろいじくってということではないと。そういうことであってはこれは非常に困るわけで、しかも往々にしてお役所仕事というものは、どうもいままですでに決まっているものはそのまま続けていこうという傾向があるという御指摘もありましたけれども、そういうことがありますから、そこのところはひとつ間違いのないようにしっかりしていただきたいと思います。

 さて、淀川水系についてもこういうふうに非常に大きく違ってきた。全国的に一体水の需給の見通しというものはどうなっていくのかということですね。水不足が非常に大きく騒がれて、昭和六十年には四十億トンから六十億トン程度不足だというようなことも言われた時代があり、しかし一方で、いまの節水思想とか人口の動き方とか、あるいは水の回収率というんですか、高度利用のこととか、伸び率が落ちてきているということも言われているわけですが、全国的にこれから水の需給の見込みがどうなっていくのかということについて、これは最近の動向なども踏まえた見直しの作業というものは行われておるわけでしょうか、どうでしょうか。

○政府委員(高秀秀信君) 国土庁といたしましては、全国的には昭和五十三年の八月に第三次全国総合開発計画を踏まえまして長期水需給計画を策定をいたしております。この計画に対比いたしますと、先ほど主として近畿圏といいますか、阪神地区のお話を申し上げたんですが、上水道等については確かに計画では人口伸び率一・一%というような想定をいたしておりますけれども、やや人口が減っている。しかし、大都市圏区域では節水思想等いろんな対策がなされて需要が停滞しておりますけれども、地方都市では生活水準の向上等によってふえてきているということで、私どものいわゆる都市用水といいますか、生活用水についてはほぼ全国的に見ますと計画どおりになっている。

 ただ、工業用水につきますと、阪神では工業出荷額、先ほど申し上げましたように四十年代後半では減り、五十年からふえたんですが、全国的には工業出荷額も私どもが想定いたしましたような伸びをいたしております。むしろやや伸びているというようなことでございますが、私どものPRもあり、いろいろ企業の努力あるいは関係者の努力によりまして、水使用量としてはふえているんですけれども、回収率が私どもの想定よりはかなり上回っておりまして、あるいは用水型産業、非用水型産業の比率が変わったというようなことで、工業用水についてはやや私どもの計画に比べますと減っているというようなことから、都市用水全体としては五十年以降ほぼ横ばいにあるというような状態でございます。現在国土庁といたしましてはこの長期水需給計画のフォローアップをいたしておりまして、これに基づきましてどうするか取り扱いを決めたいというふうに考えております。

 それからなお、最近は水資源開発施設をつくりますにもいろいろと年数がかかるというようなことから、現在の長期水需給計画はいま先生お話しのように六十年−六十五年ということを一つのメルクマールにいたしておりますけれども、さらにもっと長期のものの水需要の見通しをやりたいというようなことから、国土庁が設けております水資源基本問題研究会等の御意見をいま伺っているという段階でございます。

○江田五月君 長期水需給計画のフォローアップというのは、これは時期的なめどで言うとどういうめどでおやりになるわけですか。

○政府委員(高秀秀信君) 現在、御承知のように三全総につきましてもフォローアップ作業が国土庁の中でいろんな研究会が設けられてやられておりますので、基本的な先ほど申し上げました三全総が前提といたしましたいろんな人口等の数字がありますので、そこら辺が出てくるのを踏まえて私どもの方も対応していきたいというふうに考えております。

○江田五月君 さて、この四十トンの水を一体どういう方法でとるのか、湖中堤というんですか、こういうものをつくるのかどうかというようなことについては、いろいろな案があってまとまったところにまだきていないのかとも思いますが、いずれにしても、琵琶湖の水位が下がるということはこれは言えるんじゃないか。きのう何かいろいろ説明を受けましたらどうもそこがはっきりしないんですが、水位が下がるということは、季節によって違ったり、雨が降ったらどうなるとか、それはいろいろ違うでしょうけれども、しかし、上がったり下がったりあるけれども、平均して水位が下がるということがやはりあるんじゃないんですか、四十トン毎秒水を取れば。

○政府委員(川本正知君) 琵琶湖の四十トンの水開発につきましては、琵琶湖の基準水位というのがございますけれども、それから一メートル五十下げまして、マイナス一メートル五十というところまでを利用いたしまして、そして四十トンを開発するということでございますので、琵琶湖の水位も一メートル五十まで、また場合によって、非常渇水のときにはさらにそれよりも下がることもあり得るわけでございますが、ふだんはそういうことではございませんで、たとえば琵琶湖の平均水位というのがございます。毎日はかっております水位を平均したものでございますが、それを大正七年から昭和五十五年までの六十三年間、これの水位データから計算してみますと、琵琶湖の基準水位プラス六センチメートルという値になっております。

 毎秒四十トンの水開発をいたしますと、これも計算上でございますが、その平均水位が約三十センチぐらい下がるであろう、そういうふうに推計しております。

○江田五月君 そうですね、一メートル五十というのは、これはめったにそんなに下がってしまうようなことはないんで、だけど平均すると三十センチぐらい下がるだろう。だからふだん見かける琵琶湖の景色というものは、いまよりも三十センチぐらい下がったような景色に大体なるだろうという、余りむずかしい理屈じゃなくて、わかりやすく答えていただければいいと思うんですが、そうなりますと、やはり環境の点でもいろんな影響が出てくるんだろうと思うんです。琵琶湖というのは、滋賀県の出していらっしゃる資料によっても、水の流れもかなり複雑な流れがある。表面の流れ、底の流れ、環流というのと、それから静止というんですか、というような動きとかいろいろ複雑な流れがあって、しかもそういう流れの中で、水鳥にしても、昆虫にしても、水生植物にしても、非常に珍しいものがたくさんあったり、魚介類にも固有種が非常に多いという、そういう自然の生態系が一体どうなるのかということ、これもかなり重要な問題だと思いますが、どうもこういう環境に対する影響が、三十センチ水位が下がるというようなことによってどうなってくるのか、これは影響評価を環境庁としては関心を持たなきゃならないところじゃないかと思うんです。――環境庁いらっしゃってますね。当然関心を持たなきゃならぬところだと思いますが、一体どういう関心を持ってどう対応されてきているのか。

○説明員(高峯一世君) 琵琶湖の水位が低下した場合、これは水位の低下の度合いにもよるかと思いますが、かなり大幅な水位の低下がしかも長期間続くというようなことがございますれば、いまおっしゃったような自然の生態系にいろいろ影響があることも考えられます。しかしながら、水位の状態でございますが、一定の水位の低下が長期間継続するということではなくて、長期間上がったり下がったりするというようなこともございますので、その辺の問題につきましては、かなり長期間そういった事態が生ずるということがあるような場合には、事前に滋賀県なり河川管理者等にもいろいろ連絡をとりまして、重大な支障が生じないというように対処してまいりたいと思います。

○江田五月君 どうも何だかよくわからないんですね。事前に説明を受けましたら、一つ一つの事業を行うときには環境影響評価はきちんとやるんだ、だからいいんだと言うんですが、全体としてこの琵琶湖総合開発計画の実行によって琵琶湖の環境というのが一体どうなるのか、これをきちんと影響評価をして、そのアセスメントの結果を住民にお知らせしてでなければ、いま住民の意見も十分聞いているからだれも不安はないんだというようなことをおっしゃいますが、科学的なこの調査の結果を知らなければ、住民だって本当の意味でそれでいいんだとかいうことはなかなか言えないんじゃないかという気がしております。

 どうもなかなか環境という点から見て、いまのこの総合開発が本当に大丈夫なのかどうかちょっと心配になる点があるんですけれども、その点はもう時間も余りありませんからおいておきまして、滋賀県を余り甘やかすなという意見もあるんですけれども、滋賀県の方でいろいろ要望が出ておりまして、二宮委員の方から下水道の管渠の問題とか、それから高度処理の問題とかについて御質問がありましたが、造林事業の融資条件という問題もあります。

 造林事業について農林漁業金融公庫で――農林省いらしていますね――かなり手厚い融資の制度をとっていらっしゃることは本当に必要なことだと思いますし、それはそれでいいんですけれども、どうも最近造林をしてみる、しかし、なかなか下枝を刈っていくような人もいない、あるいはまきとか下草の需要も非常に下がってきている。そういうぐあいで造林というのが昔と比べるとずいぶんやりにくくなっているんじゃないかと思います。この農林漁業金融公庫の融資の方法にしても据え置き期間が二十年とかいうような、場合によっては二十五年という据え置き期間もあるようですが、二十年、二十五年じゃなかなか木を植えて造林して借りたお金を返すことができるというところまでいかないんじゃないかという気がしますが、琵琶湖に限らずひとつ水源涵養機能を持つ造林事業についてもっと融資の条件をいいものにしていく必要があるんじゃないか、そのことをこの琵琶湖総合開発に絡む滋賀県の重点要望というものは言っているんじゃないかと思いますが、農林省のお答えを伺って、終わりにします。

○説明員(川合淳二君) お答え申し上げます。
 先生いま御指摘のように、一番長いもので四十五年、据え置き期間二十五年という制度がございます。もちろんこれで十分とは言えないと存じますけれども、融資制度につきましては年々改善を続けてきておりますし、今後とも検討する必要は当然あると存じますけれども、何と申しましても最近の木材をめぐる情勢は非常に厳しいものがございます。特に間伐材など実は早期に資金を回収できるものにつきまして、なかなかその需要がはかばかしくないというようなこともございます。融資条件につきましてもちろん検討を進めなければいけないと思いますが、同時に、そうした間伐材などの需要についても今後力を入れていかなければならないというふうに考えております。よろしくお願いいたします。


1982/03/30

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