1981/03/25

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94 参議院・公害及び交通安全対策特別委員会

車検制度について

 (1)技術進歩に伴い、自動車の性能が格指に高まり、二年ごとの車検は不要 (2)検査の基準・技術等を改善すべきだ (3)車検と整備を明確に分離し、不要な部品交換・不明朗な請求はなくせ (4)安全対策を効果あらしめるために「白書」に欠陥の実態を明記せよ (5)運輸技術審議会にユーザーの意見を反映させ、特に「車検オンブズマン」的な機関をつくれ。

 以上のような江田議員の指摘に対し、運輸大臣を始め政府委員から、大筋として前向きに対処するとの答弁がありました。

 その主なものは、(1)運輸技術審議会では抜本的改革を含め、制度そのものを見直し、一年以内に結論を出す (2)「安全対策白書」の形にするかは今後の問題 (3)ユーザーの声を聞くのは当然であり、オンブズマン制度も、自動車局でいかに対応するか、考慮していきたい。

 この日のやりとりは車検整備制度改革への前進と言えます。現行の制度改革のため、“声なきユーザーの声”を大きく広げる必要があります。


○江田五月君 運輸大臣がまだお見えにならないのでいまの中村委員の質問をもう少し私が補足をさせていただいて、続けて道路標識、道路標示についてちょっとだけ伺っておきたいと思いますが、先ほど公安委員長は車種の違いがあるから高、中はなければ困るんじゃないか、だけれども検討してみるというふうにおっしゃった。確かに車種の違いはあるんです。三十キロが法定速度の車種のものに四十と書いてあったら四十で走れると思うのじゃないかというようなことを心配する。しかし、私はそれは法律家の心配であって、世間の人はそんなことは誤解するはずがない。五十ccまでのバイクの運転者が、四十と書いているからここは四十で走れるなんて思うはずがないと思うんです。いまの道路標識、道路標示というのは法律に基づいて書いてある、設置されている。それはいいんですけれども、道路標示、道路標識それぞれに法律を町の中へべたべた書いてあるようなかっこうになっているんですね。法律というのを一遍そしゃくをして、日本の法律が本当にそしゃくをしなくても人にわかりいいようなものになっておればいいのですが、そうなってないものですから一度そしゃくをして、そして普通のドライバーにわかりいいような形で道路標識、道路標示をやらなきゃいけないのじゃないかということだと思うのですよ。

 たとえばこういうものがあるんです。二つの丸い道路標識があるということをちょっと考えてみでください。上がバツが入ってます。これは駐停車禁止です。下が斜めの線が一本、これが駐車禁止です。上の方には七時半から九時、日曜休日を除くと書いてある。下の方には零時から七時、九時から二十四時、日曜休日は終日と書いてあるのです。これは二つあって、両方にそれぞれ補助標識が出ているわけで、法律的にはまことにきれいにでき上がっているんですが、運転する人はある場所に来て自分は駐車をしようと思うけれども許されているだろうか、停車をしようと思うけれども許されているだろうかというふうに考えるんですね。運転をしていて右折禁止とか左折禁止とか全部一々見て運転するわけじゃない。自分が何か行動をしようとするときにそれが許されているかどうかということを確認するのですね。ですから、いまの上はバツで日曜休日を除く、下は駐車禁止だけで日曜休日は終日、しかもそれぞれに時間が入っている。そんな必要はないので、駐車禁止のところは何も要らないんですね。上の方だけ駐停車禁止はこれだけですよということを書いておけばいい。何かそういうあたりで道路標識、道路標示のやり方について法律の頭ではなくて、世の中の普通の人の頭で素直に理解できるような方向に抜本的に変えなければならないんじゃないかということを中村委員も指摘をされましたが、私もその点もう一度公安委員長にお伺いしておきたいと思います。

○政府委員(池田速雄君) いま御指摘のとおり、限りある道路、特に日本の現状からいきますと、できるだけ有効に使うということで大変複雑な規制になっているのは御指摘のとおりでございます。それで、それをいかにうまく理解していただいて遵守していただくかということでございますが、そうなりますと今度はハードの面になろうかと思いますが、御指摘のとおり、大変見にくい。特に補助標識のあるものにつきましては、駐停車につきましては近寄って半ば停車した状態で見ますのでわかりますけれども、遠くから走りながらでは確かに補助標識は見にくいところが多いのが現実でございます。したがいまして、私どもとしましてはこれから開発いたしましてできる限り可変標識といったものを取り入れていくようにしたい。やっと技術開発もある程度進んでまいりましたので、その当面する時間について指示している標識がはっきりわかる、それが時間が参りまして異なる規制になります場合には、自動的に内容が変わる。こういうような可変標識の開発に努めておりますので、今後ともその点につきましては努力してまいりたいと思います。

○江田五月君 いろいろと新しい設備を考案される、それは結構なんですけれども、頭の切りかえだけで変わることはたくさんあるんですね。特に私も法律家の端くれですからつくづく思うんですけれども、法律というのは頭の切りかえに非常に不便なものでありまして、一度法律の中に入ってそこまではいいけれども、今度は一遍法律から出てみないとなかなか本当の行政にはならないのじゃないかという気がしますが、ちょっと公安委員長、どういうお感じか一言答えてくれませんか。

○国務大臣(安孫子藤吉君) 江田さんはうまく切りかえられましたので大変敬意を表するわけでありますが、そういう点は確かにあると思います。

 法律、各般の制度に縛られておりますからその中においてのみ考える習性というものがどうしてもあるわけでありまするから、そうじゃなくてそこから脱却して国民の立場と申しますか、使用者の立場と申しますか、そういう観点からもう一度頭を切りかえてみるということはひとり交通標識だけでなくてあらゆる面にあるだろうと思います。この点は交通標識の問題についても十分考えていきたいと思います。

○江田五月君 まだ運輸大臣がお見えにならないのでもう少し前のところをやらなければいけないのですが、先ほど整備部長は車検の意義についてるる御説明をくださいまして、この間うちからいろいろ伺っておりますと、いまの車検で現に使用中の車のさまざま欠陥などもよくわかって、今後の車の改善等にも役に立つんだというような説明を実はこの質問を準備する間に受けたんですが、本当にそういうことが言えるのですか。

○説明員(宇野則義君) お答えいたします。
 私ども運輸省が国として自動車の検査を実施いたしております。一方、車が世の中に生まれる段階におきまして新しい工場から出る前の車につきまして型式指定といったような形で自動車の審査をいたしております。その一番の基本になりますのが道路運送車両の保安基準でございますが、この保安基準につきまして今後どういうふうな整備拡充をしていくべきか、あるいは充実していくべきかということを絶えず検討しておるわけでございますけれども、自動車の検査をいたしております陸運事務所で使用過程にある車を中心にいろいろな部位につきましてその実態をチェックいたしておりまして、そこから出てまいりますところの問題点等については、私どもの方にいろんな会議あるいは勉強会等で報告がございますが、そういうときにその話を聞きながら、今後の安全基準の整備拡充の際に当たりまして、そういうものを反映さしてまいりたいというふうに考えております。

 また、新車のチェックといいますか、車が町に出る前の新型のチェックの際にも、使用過程車で問題を起こしそうな場所等につきましては、そういうところを重点的にチェックをしながら仕事を進めていくということで、いわば検査と、それから安全基準と、それから新型のチェックというものがお互いにリンクしながら作業を進めておるわけでございます。

○江田五月君 そういうことがまああろうとは思いますが、陸運事務所で車検を実際にやっていて、そこで得られたいろいろな情報というものがどういうふうに、運輸省の方にきちんと上がってくるようなシステムになっているんでしょうか。ただ会議とか勉強会のときでいろいろ話を聞きますというんじゃいけないので、やはり実際に車検をやったときにこういうことがあったというようなことがきちんと文書になって、それが集計されて、解析されて、何年式のどういう車にはこういう欠陥があるとかきちんとなってこなきゃいけないでしょう。そういうふうに情報が集計されて、解析されるようなシステムにできているのですか。

○説明員(宇野則義君) いま先生が御指摘のような点、具体的に言いまして、どこそこの社名のどういう年式のどういう車がというような形が全体的には上がってきておりません。

 しかしながら、いま私どもおくればせと言えばおくればせでございますけれども、五十五年からそういう実態的な調査も十分フォローしなければいかぬということで、体制といいますか調査等を始めたばかりのところでございます。

 で、私どもも世界的ないわゆる国際商品としての自動車ということから、安全基準にいたしましても、検査にいたしましても、絶えず外国の情報等も目を通しながら、あるいはディスカッションしながら、これからの作業を進めていかなければいけないと思っておりますし、いま先生御指摘のようなものが、実はヨーロッパに何ヵ国かつくっているところがございます。そういうものも私どもの方に手に入っておりますので、参考にしながら、これからの内容を十分検討してまいりたいというふうに考えております。

○江田五月君 運輸大臣お見えになりましたのでいまの点もうちょっと続けますが、いま車検の際にいろいろな車をたくさん見るので、したがって、現に使用中の車にどういうところに欠陥があるかというのがよくわかるから、これから改良の指導をしていく際に役に立つということをお話しになっておって、しかし、そういう情報がきちんと集計されて、解析されて、分析されて、後に役に立つようなシステムになっておるのかというと、まあそうはいままではなっておらなかったけれども、最近そういうことを検討されているということですが、それは結構なんですが、ひとつ、せっかく車検をおやりになるのでしたら、車についての白書ぐらいを毎年お出しになって、きちんとメーカーの名前も入れて、型式もきちんと入れて、こういう車はここが悪い、ここがいいというようなことをはっきり消費者にわかるように検討をされたらいかがかと思いますが、大臣、いかがでしよう。

○国務大臣(塩川正十郎君) かつて、排気ガスのときそういうことをやった役所があったように思っておりますが、それは役所がやったんではなくして、消費者団体等でそういう資料を集められてやられたことがございますが、そのときの批判がたしかこういうことがあったと思うんです。特定の車の是非を何かオーソライズするということで余り好ましくないと。それよりも、最近の車全体についてこういう欠陥があったとか、あるいはこういう改良が施されたとかいうことをやった方がいいという、そういう意見があったように思っております。

 で、いま御提案のありましたことにつきまして、私たちも何かの機会に、現在の自動車がこのように改良されてきたとか、安全度はこういうところにまだ疑問があるとかいうようなことは、これは一回何かやってみたいと思っておりますが、おっしゃるように、白書のようなことでやるかどうかということは、なお検討さしてもらいたいと思います。

○江田五月君 ぜひ検討していただきたいんですが、というのはせめてそのくらいなことでもなければ、ユーザーは車検というのは一体何かということになってしまうので、現にそうなっているんじゃないかと思うのですよ。最近週刊誌とかあるいはそのほかのマスコミなどで、車検がいろいろと問題になりました。ついせんだって私もあるテレビの番組で車検について話す機会がありまして、そしていま車の使用者が二年に一度泣かされるわけで、税金とそれから保険と車検に金を、全部足して十何万円か取られるわけですね。保険の点はこれはまあ制度の改革はまだいろいろあると思いますが、おおむね国民にコンセンサスがあると思います。税金も、これは税金を国民が払わなきゃならぬことは事実で、いまの税制が車について妥当かどうかはいろいろありますが。しかし、車検についてはなかなかどうも国民が本当に車検が必要なんだ、車検を受けてよかったなあと思えるような車検にはなかなかなってないような感じが強い。

 そこで私は、多くのユーザーが、車を持っているために整備工場に食いつかれて、吸血鬼と言っちゃ悪いけれども、どうも整備工場に金を吸い取られているという感じじゃないかとこういう言い方をしましたら、後で日本自動車整備振興会連合会と、それから日本自動車整備商工組合連合会の方からきついおしかりを受けまして、どうとかしてくれと抗議を受けておるんで、私もどうも余り上品な言葉を使ったとも思いませんし、吸血鬼ということについて取り消したり陳謝をしたりはしたいとは思うんです。思うのですが、しかし、いまこの車検の制度が国民から信頼を受けてないんだと。

 いま車が全国で幾らですか、三千八百万台ですか、運転者が四千三百万人になっているわけですね。国民の足になっている。その車の保安基準、適合性の審査をきちんと維持をしていく車検の制度が、国民からどうもうさん臭い目で見られておるというのは、これは国の制度として非常に不幸なことですから、したがって、関係者が皆この制度について一体どういうふうにしていったら本当に国民の皆さんに信頼してもらえる制度になるのかということで知恵をしぼらなければならぬ。運輸省もそうです、それから整備工場もそうです、われわれもそうです、ユーザーもそうです。みんなで知恵をしぼらなきゃいけないので、そういうときに、私ごときの片言隻句をとらえて非常に神経を高ぶらされるということは、果たしてどんなものかという気がするんです。

 そこで運輸大臣に伺いたいのは、いま車検制度がそういう状態なんだ、国民から本当に信頼を受けているかどうかについていろいろな疑問があるんだという御認識をお持ちでしょうか、どうでしょうか。

○国務大臣(塩川正十郎君) おっしゃるような意見、私ら自身も聞きますからいろいろな意見があるということは承知しております。そしてまた、おっしゃったような御意見を言う人も多いし、また一面においてはこんなに複雑化してきた車の中、ボンネットをあげても何もわからぬ。だからやはり適当な時期に車検をきちっとやってもらう、専門家に見せるということも未然に防ぐのにいいという意見も実はございます。

 そこで、そういう意見もいろいろございますので、私たちもこの際に運輸技術審議会に一回相談しまして、大体一年ぐらいの間に結論を出してくれぬかということで、いま相談を持ちかけております。その結論が出ましたら、実は運輸省だけのサイドで決められないと思うんです。さっきもおっしゃったように税金を取るのもこれによっていると、こういうような問題もありますものですから、とにかくその審議会の結論が出ましたら、各役所に一回お集まりいただいて改善の方法を何か考えていきたい、こう思っております。

○江田五月君 運輸技術審議会への諮問の理由の中に、技術の進歩に伴って自動車の機能、品質が物すごく変わったんだ、あるいは使用形態もずいぶん変わった。こういう情勢にかんがみ総合的かつ長期的観点に立って時代の要請に対応した今後の自動車の検査、整備のあり方を確立する必要がある。つまり大きく状況が変わったのに制度は前のままだから、それではもう、いまの状況にはこの検査の制度は合っていないよということが頭の中にあるような気がしますが、そういう理解でよろしいですか。

○国務大臣(塩川正十郎君) まあ私の方で諮問いたしましたときには、そういう固定した考え方ではなかったんです。しかし、おっしゃるように、自動車の車検制度というのは二十六年に決まってからずっと今日まで連綿とまいりましたが、この際いろんな技術革新があったもんだから、一体どの程度の自動車の検査というものをやったらいいかということ、素直な気持ちで聞いてみようと、こだわらないで一回聞いてみて、その上に立ってわれわれ判断したい、そういうことでございました。

○江田五月君 ユーザーの、車を運転する人というのはいろんな人がおりますから、営業で運転する者もおる、あるいは大きなバスとかトラックもあります。しかし、一方では全くマイカーで年間何千キロかぐらいしか走らないような車もありますね。いろいろなものがある。古い車を使っている人もいるし、本当に新しいしかもマイコンを取りつけたすばらしい性能のものを使っている人もいるし、いろいろな種類の車がある。それがいまは、営業車は別ですけれども、マイカーに関しては一律に二年となっているわけですね。十年を超えたものは別ですけれども、一律に二年となっているということは一体どうなんですかね。いまの、使い方の違い、車種の違い、こういうものが非常に大きい。それだけではなくて、どうも最近言われているのは、これほど車の性能がよくなって、それでもなおかつ二年ごとに見なきゃいけないのだろうかというような疑問が起こっているわけですがね。

○説明員(宇野則義君) お答えいたします。
 ただいま先生御指摘のように、車の使われ方がいろいろな使われ方をしているということも最近における自動車の普及の一つの特徴であろうかと思います。

 それから自動車の技術の進歩ということもよく言われるわけでございますが、確かにその進歩もございます。しかしながら、先ほど大臣からお答え申し上げましたように、安全対策あるいは公害対策等のために車というものが昔のようなシンプルな姿ではなくて、非常に複雑になってきているというような反面もございます。そういうところから従来は非常に限定された形での使われ方であったために、有効期間二年ということで切りましても、わりに平均化された姿であったと思うのですが、最近それが非常に変わってきております。

 したがいまして、いま話類になっておりますのは、走らない車もあるので、多少延ばしてもいいじゃないかということでございますが、車の傷み方というのは、走りながらだんだん傷んでいくものと時間的な経過でもって傷んでいくものと、いろいろな部品から構成されているわけでございまして、そういうことを踏まえて考えますと、現在の総合された車の姿からすると、使われ方の複雑さ、あるいは構造の複雑さということも全体的に踏まえて、現在の二年でいいのではないかというのがいまの段階の姿でございます。しかしながら、先ほども話がございましたように、これからの姿をどういうふうに持っていくかということについては、運輸技術審議会に諮問をいたしたところでございます。

○江田五月君 何か車検で非常にすばらしいことをおやりになっているような言い方で、そうならば結構なんですけれども、これは全運輸省労働組合が改善策をおまとめになっているのですが、この改善策の中、全部私賛成というわけじゃありませんが、この中でこういうところがちょっと……。

 読んでみますと、「俄かに信じ難いかも知れないが、自動車がこれだけ発達したにもかかわらず、現行の車検内容の大部分は三十年前の技術水準のままである。ブレーキ検査は、時速〇・二キロメートルという超低速状態で行われている。トラックのブレーキ検査も空車状態のままで行われ、積車状態の検査は行われていない。走行状態の検査といっても、スピード・メーターの誤差、それも時速四〇キロメートルどまりというありさまで、高速走行状態での操縦性能、走行性能の検査は一切行われていない。前照灯の検査では、日常走行ではほとんど使用しない遠目の検査だけで、夜間の街路走行で実際上ほとんど使用される近目のライト性能の検査もしていない。まして、近代技術の粋を集めたマイクロコンピューター装置などは手のほどこしようがない。」これは実際に検査をやっている人の言い方ですね。マイクロコンピューターなどがどんどんふえて最近素人にはわからなくなったから、だから国にときどきは見てもらった方がいいんじゃないかと、その気持ちはわかりますけれども、これが実態では、どういうことになりますかね。どうですか。

○説明員(宇野則義君) 私どもの組合の意見、ただいま御披露いただいたわけでございますが、私どももこの意見につきましては承知をいたしております。

 で、私どもといたしましては、自動車の技術の進歩、それから使われ方の変化というものを踏まえながら、国の行います自動車の検査そのものの内容充実ということをこれまで努めてまいってきたつもりでございます。ただいまブレーキテスターの回転数の話だとか、あるいはスピード・メーターテスターの測定速度の話等ございましたけれども、私どももこれまでやってまいりました検査の設備は、従来に比べましてかなり精度を上げ、機械を自動化する等の合理化を図りながら、やはり測定したものの信頼性を上げるということで開発研究をしてきたつもりでございます。かなりこれで全国的にも行き渡ってまいりました。

 しかし、それと同時に、私どもは国の検査を行うと同時に、民間車検というのをやっておりますが、この民間指定整備工場にも大体同じような性能の機械を入れさしております。したがいまして、これからの国の検査内容を検討するに当たりましては、国の施設と同時に指定工場における施設ということも踏まえた上で検討しなければならないのですが、ただいま先生からも例示として挙げられましたような点も踏まえまして、先ほどから運技審ということを何度も申し上げますけれども、運技審の中で検査の内容、あるいは検査のレベルといったようなものもあわせて御検討いただこうということで、私どもいま考えておるところでございます。

○江田五月君 いま車検の問題というのは、一つは、実際に行われているいわゆる車検と言われているもの、これは陸運事務所での検査だけではなくて、その検査の前に整備を行うところから、ユーザーにとってはこれは同じことですから、整備工場へ持っていって、そして整備をしてもらって、車検を受けていろいろな手続も全部してもらって戻してもらう。出して戻すところまではこれ一貫しているわけで、ユーザーにとっては、それが全体としてこの車検だというふうに認識されていると思うんですけれども、そういうものとしての車検という実態と、それから法律が予定をしているといいますか、法が規定している車検とやはりずれているという気がするんですね。

 現実にはいまもう二年ごとに一定の場所を分解してその中を調べる、あるいは指定をされているパーツを交換する、そうやって完全な相当大規模な整備を行う。そうして車検を受ける。しかし、道路運送車両法はそういうことをやれというふうにはこれは全然書いていないわけですね。そこで、一体いまの車検のための整備というものはどこから出てくるのか。どうも何かめぐりめぐって型式審査あたりのところからずうっと出てきてパーツの交換が出てくるとか、分解についてはその点検整備何とかという、これは省令ですね、によって出てくるとか、いろいろなところから出てきていまのようなことになっているようですけれども、さて、しかし、たとえば定期点検にしても二十四ヵ月点検というものがある。大体検査自体を受けるのは二十四ヵ月より前ですね。それで、その二十四ヵ月点検というのは二十四ヵ月のときにやればいいわけですね。そうすると、法律から言うと、別に二十四ヵ月点検をやらずに検査だけを受けに来てもこれは拒めないわけですね。

 そこで、いまの実際の検査のやり方について一つ伺いますが、検査で不合格になる場合に、とことこが悪いからということを特定して不合格にされておりますか、それともどこどこが悪いという特定をせずに不合格だというお答えだけを出すということになっていますか、どちらでしょう。

○説明員(宇野則義君) 現在行っております国の検査の作業といたしましては、使用いたします検査機械をシリーズに並べまして、その中を車が順々にステップを踏んでいくということになっております。したがいまして、途中で不合格になりました場合には、何が不合格だということはわかるような状態になっております。

○江田五月君 何が不合格かというのは検査を受ける人にもきちんとわかるシステムになっていると聞いていいですか。

○説明員(宇野則義君) 検査を受ける人という意味は……

○江田五月君 車を持ってきた人。

○説明員(宇野則義君) 持ってきた人にはわかると思います。

○江田五月君 そうすると、それで不合格になって、その部分を合格できるだけ整備をすれば次は今度は合格になる、そう理解してよろしいですか。

○説明員(宇野則義君) そのとおりでございます。

○江田五月君 そうすると、よく俗に、いまの日本の車検制度というのはたとえば人間の体で言うとまず治療を全部してから健康診断を受けるようなものじゃないか、そんなばかな話があるか、まず健康診断を受けてそして悪いところを治療すればいいじゃないかというようなことが言われる。しかし、いまの日本の制度の中でも、まず最初に検査を受けて悪いところを確かめていただいて、それをきちんと整備工場で直して持っていけば検査は合格するという、そういうことは可能なわけですね。

○説明員(宇野則義君) お答えいたします。
 先ほど先生の御指摘がございましたように、マイカーについて申しますならば検査は有効期間は二年でございます。それから、定期点検のピッチがちょうど二十四ヵ月というのはございますが、これは法律的には直接のリンクをいたしておりません。しかしながら、その大前提として、自動車の使用者が車を安全な状態に維持する、管理するという前提が一つございますので、仮に検査の前に整備をしないといいますか、リンクしなくても当然いま申し上げましたような定期点検ということを絶えず十分履行しておいていただかなければいかぬということから、いまの制度の中で、検査の際に絶えず定期点検を実施していったかどうかというその記録を確認をするようにいたしております。ただ、その二十四ヵ月という期間とそれから検査の有効期間の二年という期間が実態的には重なっておりますので、その機を利用してということでやられているのが実態でございます。

○江田五月君 どうもそこのところをもう少し本当は詰めなきゃいけないんですけれども、ちょっと時間がないので先に進みますが、まあなかなかお答えしにくいところなんだろうと思います。しかし、制度としては、先ほどの身体検査の話で言えば、まず身体検査、健康診断を受けて悪いところをチェックしてもらって、その部分を直してさらに使用を続けるという制度も、世界じゅうにそういう制度をとっているところはたくさんあるんですね。もしそういうことでやっていけば、二年ごとでなくてたとえばこれが一年ごとでもいいのかもしれないんですね。あるいは車によってはそれは二年でもいいし三年でもいいのかもしれませんが、とにかくかなり総合的に見直すことが必要だろうと思うんですね。

 それで、とにかくいまの制度では、機械的に二年ごとに分解もし、それからパーツも交換する。ところが、実際にはブレーキシリンダーの中のゴムにしても何にしても、いまはそんな二年ごとに交換しなくても十分もつよと言う人が大部分ですね。ですから、いまの二年ごとにあれほど大がかりな整備をやるということは果たして本当に消費者のことを考えた制度かということになると大いに疑問がある。

 あるいはまた、そのほかにもいろいろあるんですね。料金の請求の仕方、これなんぞもヨーロッパでどこでもやっているように、きちんと基本料とかパーツとか労賃とか分けて請求をするというふうにやはりしていかなければならぬだろうとか、いろいろあります。それからいま過剰整備ということがしきりに言われているんですが、やらなくてもよい整備をやるというだけじゃなくて、整備の基準、修理とか調整、交換など、すべてこういう基準が新車の型式認定における機能とほぼ同一の水準を保つように配慮をされているんだという、そういうふうに物の本に書いてあるんですが、それはそうですか。

○説明員(宇野則義君) いま先生から御質問ございました一番最後の点についてお答え申し上げます。
 道路運送車両法の規定が新車の製作時の構造規定であると同時に使用過程車の維持上の基準にもなっておるわけでございます。そういう意味から言いますと、新車も使用過程車も同じだということになろうかと思います。

○江田五月君 しかし、車もやはりだんだんと古くなっていくんですね。人間だってだんだん年をとっていくんで、突然心臓だけが若い心臓になってしまったらこれは困りますね。ですから、やはりこの使用過程にある車をいつも新車の型式認定における機能と同一の水準を保つようにということでこの基準をつくっていくということにそもそもちょっとおかしな点があるんじゃないだろうが。そこで、この車の整備の方式として、あるいは機能の維持の方式として、イジラン方式というのがあるというんですがね。イジラン方式というのは、なるべくいじらないように、少しずつだましだまし終わりまで使っていくということでもあろうが、同時に、維持をしながらランさせるんだ、がらっと変えていくんじゃなくて少しずつ維持をしながらランさせて寿命を全うさせるんだという。日本のやり方というのはそうでないですからね。ですから、たとえは六年なり七年なり使った車にとってみれば、新車の型式認定におけると同一の整備をするものですから、そのこと自体がその車にとってどうしてももう過剰整備になってしまうというようなことを言う人もおりますね。ぼくはこれはなかなか説得力のある説明だというふうな気がしますがね。

 あるいはまた、そういう整備を強制しているために、これは車両価格の逓減率を法定償却の年間〇・六八一、これが新車と代替時、新車と買いかえるときの下取り価格だとすると、使用開始二年で車両の価値は経費総額と等しくなる。四年目では経費総額が車両価格の実に四倍となる。六年もたったら無価値のものに金ばっかりかけるようになってしまう。だからみんな新車に買いかえるんです、そのときに。そうですね。だから、日本の車の機械的な寿命はいまもう非常に性能がいいですから物すごく長くなった。ところが経済的な寿命は世界で比べてみて例がないほど短いですね。

 そんなようなことからいろいろといまの車検について問題があるので、ぜひとも根本的な見直しをやっていただきたいと思いますし、いまのような運輸省が車検を全部やってしまうというのでなくて、たとえば民間移行というようなことも議論されていますね。指定工場がやってしまうということになると、またこれ国民から見るとちょっと問題がさらにふえるんじゃないかという気持ちを持つ人も多いと思うんですよ。ですけども、車検と整備とを分離して、車検は半官半民でもいいでしょう、あるいはどういう組織が、何も運輸省が持っている必要はないんで、何か別のものにやらせて、そして整備工場は整備工場で先ほども言いました検査を受けて、ここが悪いから直しなさいというときにちゃんと直して持ってくるというような形にしていくということも制度の改革論としてあるわけで、そういうように大きく直していただきたいと思いますが、こうやって直していく際にひとつ国民の声を聞いたらいかがかと思うんです。運輸技術審議会はそれぞれ専門家の方がお集まりなんで、専門家の方を別に無視せよという意味じゃないんですけれども、車というのは、いま四千三百万人もが免許証を持っている、三千八百万台も日本じゅうで走っている、もう国民の足ですから、専門家よりも国民の方がいろんなことを実際には通じているかもしれないんです。ディーラーの経営の実情まで国民はいろいろ見て知っているわけですね。ですから、そういう国民の声を直に生に聞く、アンケートか何かをきちんとやるとかいろいろな方法があると思うんです。そのことをひとつやっていただけるかどうかを聞いておきます。

 それともう一つ、ちょっと時間のかげんで質問だけ先に続けますが、ユーザーにとったら車というのは車検のときにいわば人質にとられるようなものなんですね。ここをかえました、あそこを直しました、だから金払いなさい。自分はどうも納得いかない。いかないと思っても、金を払って車を渡してもらわないと走れないんですね。仕事ができないのです。生きていけないのですよ。ですから、少々文句があっても、やはり金を払ってしまうのですね。後で裁判やってあの金返せというようなそんな額じゃありませんよね。裁判をやるほどの額じゃない。だから、ユーザーは泣き寝入りになってしまう。そこで、車検オンブズマンみたいなものをひとつおつくりになったらどうでしょうか。何かユーザーの方で、これはどうも自分はすっきりしない、胸にすとんと落ちない、そういうときにすぐ駆け込んで相談できる機関が何かあった方がいい。そうでないといけないと思うんです。それで説明を受けて納得するということもありましょう。整備工場がおかしいという場合もありましょう。あるいは運輸省の方でそういうものを実際にやっておるんだというお答えかもしれませんが、それならばなぜ一体そのことをもっとPRしないのか、国民に知らせないのか。そのPRのためにどのくらいな予算をお使いなんでしょうか。これはすぐお答えしていただけるかどうかわかりませんが、それだけちょっと伺って質問を終わります。

○国務大臣(塩川正十郎君) なかなか勉強していただいておって本当にありがとうございます。車検問題は、確かにおっしゃるように、いま重要な検討時期にあるということは私たちも承知いたしております。これは行政改革上から来たというんじゃないと私は思うので、ただそんな観点からではなく考えていかなければならぬと思う。しかし、車検という制度の必要だということはおわかりいただいておると思うのです。そうすると、あと残るのはどこを検討するかということなのですが、これは率直に申しまして、先ほどおっしゃった車検のあり方の技術的な問題、これを四割といたしますと、三割程度はやはりこれに携わっておる業者の問題もあるんです。それから、あとの三割は国がいろんな制度をこの車検に絡めておりますので、この国の制度の問題もある。ただ、これは税金、徴税だけじゃないのです。公務員のあり方の問題も絡んでくるんです。そういうふうなものが絡んで、いまいわゆる車検問題というものになっておるのです。そこで、私たちはとりあえず技術的な制度的な中身の問題、これだけでも先行させたいと思っていま鋭意努力しておるわけです。その中でユーザーの声を聞けということですが、これは私はやはり当然のことだと思いますので、わかっておるのですけれども、どういうふうに聞くのかということなんですね。ただ、アンケートとおっしゃいますけれども、聞き方によってはアンケートは非常に曲がった答えも出てくるのです。これは私は研究いたします。そしてユーザーの声を何かの形で一回聞いてみること、これは努力いたします。

 それから、オンブズマン制度的なもの、これを入れろとおっしゃるんです。これも現在、運輸省の自動車局で何かこういうのに関係する方法をとりたいという希望を持っておりまして、これも鋭意研究いたしたいと思っております。ですからこの車検制度が発足いたしましてから、ここでやはり総合的に検討したいということで鋭意努力しておりますので、また具体的に御提案等ございましたら私どものところまで出していただいても結構だと思うのですが、努力を重ねて新しい時代の自動車の技術革新にふさわしいようなものにいたしたいと、こう思っております。


1981/03/25

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