2010年11月18日

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13年に向け是正期待 江田五月前参院議長に聞く


 参院選の1票の格差問題や選挙無効請求訴訟の行方について、前参院議長として選挙制度改革に取り組んだ民主党の江田五月参院議員に聞いた。

 ― 参院選について昨年の最高裁判決は「仕組み自体の見直しが必要だ」として1票の格差是正を強く求めたが、7月の選挙では5・00倍とさらに広がった。

 「参院は制度上、都道府県を選挙区の単位としているが、人口差が大きいから格差も生じやすい仕組みになっている。そこにメスを入れなければ、1票の価値の平等は実現できないところまできてしまっている」

 ― 過去の司法判断の流れをどうみる。

 「最高裁はこれまで国会の裁量をぎりぎりまで尊重してきたように思う。判決理由を読み解けば『違憲だ』とのニュアンスが限りなくにじみ出ている意見もあり、もう一皮むけば違憲・無効だと言われる可能性も現実味を帯びている状況だ」

 ― 今回の訴訟の最終的な結論をどう予想しているか。

 「昨年の最高裁判決より緩やかな判断になることばないだろう。国会の中ではいろいろな意見もあるが、憲法問題は裁判所の結論が最終判断だというのは憲政上の大原則だ。問題提起は既に明確になされており、国会が司法の結論を放置するのは許されない」

 ― 是正に向けた議論の道筋は。

 「議長だった最後の時期に、諮問機関の参院改革協議会で、現在の都道府県を単位とした選挙区の仕組み自体に何らかのメスを入れなければいけないという一定の方向付けはしてきている。その時の工程表に基づき、2013年の参院選での実施に向けて進むものと期待する。大いに議論していただきたい」

 ― 選挙制度改革を通じ、二院制の中で参院の存在意義をどう発揮するか。

 「衆院と参院の機能分担を意識し、選挙のやり方を変えることば十分考えられる。衆院はめりはりの利いた政権選択ができる意味から小選挙区制でいいと思うが、参院は都道府県の枠を取り払い、より大きなブロックごとに複数の議員を選ぶといった制度にすれば、違う基盤の議院にできる。そういった形で両院がバランスの妙味を生かしていくことは可能だと思う」


2010年11月18日

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