2001/05

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韓国・歴史認識の旅


民主党の代表団の一員として、5月1日から4日まで、韓国を訪ねました。鳩山代表団です。会談の連続で、いつもながらの強行軍でした。

時節がら、歴史教科書問題が、どこでも話題になりました。「つくる会」の皆さんの歴史認識は、村山談話と異なり、偏狭で独善的なナショナリズムだと思います。

しかし、検定に国家の介入を極力排除しようとすると、事実誤認をのぞいては、一度合格となったものの再修正は困難です。事実誤認もありそうですが、市民の力で、これを採択をさせないようにすることが大切です。

鳩山さんは、この問題で、「日韓歴史教科書対話」を提案しました。さらに、アジアの平和と友好のため、南北朝鮮、中国、米国に、日本とロシアを加えた6者の枠組みを提案しました。

ぜひ、実現させたいものです。

5月1日(火) 訪韓、教科書

13時過ぎの新幹線で関空へ。鳩山代表団で訪韓です。鳩山代表は、教科書問題では、民主党公式見解より踏み込んで、歴史認識を示す決意と報道されています。私も「新しい歴史教科書をつくる会」の教科書は、村山談話で示された国としての歴史認識に反していると思います。共同研究の提案は、ぜひすべきだと思います。

行ってきます。


Report from Seoul

Today(1st. May), we arrived in Korea at 18:30. The new airport is just big. The access road to the Seoul city center is quite wide with 4 lanes in each side. But it locates so far from the center. It takes more than one hour by bus.

Our delegation, all together 11 Diet members and several staffs, were all invited to the buffet-dinner at the official residence of the Japanese Ambassador. Several Japanese business men(no women) were accompanied with us.

The topics of our conversation were concentrated on two subjects. One is on Koizumi regime. The other is on Japanese textbook of domestic history.

I have some difficulty with the personal computer. The machine in the room is not suitable. The business center closes at 18:30. The machine, which I am now using, is the hotel equipment, and this does not work in Japanese.

So, I am not sure if I can report after tomorrow.


5月2日(水) 「故郷の村」、朴さん、韓さん

今日は、7時半にホテルを発って、ソウル南西の安山市にある「故郷の村」の視察です。

日本は終戦前、朝鮮半島を植民地とし、炭坑、林業、漁業のため、朝鮮半島の人々を大勢徴用し、サハリンに連行しました。その数は6万人に上ります。戦後ここに、日本人30万人のほか韓国、朝鮮人が4万3000人も残されました。その後、日本人は帰還しましたが、鳩山一郎首相の日ソ共同宣言の時も、韓国、朝鮮人はここに残されました。

この人々の故郷への帰還に取り組まれた高木健一弁護士や故、原文兵衛さんら国会議員の努力で、昨年初め、日本からの27億円の拠出で、安山市にアパートが建てられ、480世帯、960人の高齢夫婦が帰国しました。まだ不十分ですが、この問題の最終解決の糸口が出来たのです。

9時40分到着、15分だけでしたが家庭訪問。私が訪れたところは、夫は1943年、27歳で父の代わりに徴用され、やっと一昨年ソウルに帰国。妻は家族で移住、夫と死別しソウルに帰国して再婚。妻にはサハリンに62歳と52歳の娘がいますが、彼女らは帰りたくても、サハリンにそれぞれの生活が根を張っていて、帰国できません。

10時から45分間、集会。150人くらいの高齢者ばかりを前に、鳩山代表が、必ず解決のための努力をすると誓いの挨拶をしました。筆舌に尽くしがたい苦難を受けたのに、皆さんいい顔で拍手をしてくれました。誠意を尽くせば、必ず通じると確信しました。

ソウルに戻って、12時半から14時過ぎまで、ハンナラ党副党首の朴槿恵(パク・クネ)さんと会食。彼女は49歳。朴元大統領の娘で、次期大統領の有力候補と見られています。若々しく、穏やかな語り口の中に、しっかりした主張があり、新しい指導者だと思いました。教科書問題では、再修正要求に応ずるのは難しくても、何か日本側が誠意を示して欲しいと話され、深刻さを表しました。

15時から1時間弱、韓昇珠(ハン・スンス)外交通商部長官(外務大臣)と会見。教科書問題が会見時間の半分を占めました。金大中(キム・デジュン)大統領が、韓国世論の反対を押して、日本との交流に乗りだし、大きな成果をあげていることを考え、再修正要求にぜひ答えて欲しいと強調されました。

鳩山代表は、朴さんにも韓さんにも、民主党の立場として、文部省自体の廃止を考えていること、問題の教科書に、自国中心の欠陥があると認識していること、今後、「日韓歴史教科書対話」を提案していきたいことなどを述べました。そして、あらゆる問題について胸襟を開いた話し合いをしたいと強調しました。

18時から、千年民主党の金重権(キム・ジュンクォン)代表最高委員と会談。19時過ぎから、金さんほか数名の民主党の国会議員の皆さんと、コリアハウスで夕食懇親会。韓国の宮廷料理です。その後、韓国の民族舞踏を鑑賞しました。北朝鮮とやはり似ています。同じ民族ですね。


5月3日(木) 韓国、会談の連続、金大中大統領

今日は、7時半ホテル発。8時から、韓国の国会朝餐祈祷会の金泳鎮(キム・ヨンジン)会長ら10人ほどが集まってくれ、中野さん、鉢呂さん、平野さんと私とで、国会内の食堂で朝食をいただきながら懇談会。キリスト教徒の国会議員の皆さんが、120人ほどでこの会を作っておられます。話題は、教科書問題に絞られました。私は、父の話を出しながら、植民地支配や併合の時代の事を忘れては行けないことを強調しました。9時から鳩山代表も参加し、9時半まで続きました。

その後、急遽李萬燮(イ・マンスップ)国会議長との会談が実現。日本支配時代の経験を述べられ、静かな語り口ですが、大変な迫力でした。

10時過ぎから約1時間、李会昌(イ・フェチャン)ハンナラ党総裁と会談。教科書問題が中心。11時過ぎから約1時間、自民連の金鍾泌(キム・ジョンピル)名誉総裁と会談。日本通で、流暢な日本語で話されました。日本への理解を最大限示されながら、やはり上手に反省を求められました。12時半から、金名誉総裁のご招待の昼食会。ピアノトリオの生演奏つきの大歓待でした。14時50分から約1時間、林東源(イム・ドンウォン)統一部長官と会談。南北関係について。

16時から約1時間、青瓦台で金大中(キム・デジュン)大統領と会談。やはり教科書問題が話題の半分を占めました。「私は、大統領に就任したとき、長い両国の歴史の大部分がそうであったように、韓国と日本が仲の良い隣国として、信頼と友情に結ばれた関係にしたいという夢を描きました。そのため、国内の反対を押し切って、文化開放などをやってきました。やっと軌道に乗ってきたという矢先の出来事で、大変残念に思います。」鳩山代表は、誠意を持って友情に応える努力を尽くすと話しました。

これから、李会昌総裁主催の夕食会です。


5月4日(金) 会談の連続、高野さん、板門店、帰国

今日は、8時から1時間、金徳龍(キム・ドンリョン)ハンナラ党副総裁と会談。ハンナラ党は、李会昌(イ・フェチャン)総裁の主流派のほか、非主流派の議員が大勢いるようで、来年の大統領候補に、李会昌さんがなるとは限りません。2日にあった朴槿恵(パク・クネ)さんや今日の金さんも非主流派で、大統領候補の指名を狙っているようです。

9時半から1時間弱、先日来日された機会に4月13日に会った李富榮(イ・ブヨン)さん、李美卿(イ・ミキュン)さん、金元雄(キン・ウォンウン)さんたちと会談。日程が重なって、仙谷さん、大谷さんと私が対応しました。

10時半前から、社会科学大学の李正馥(イ・ジュンボク)教授、中央大学の金浩燮(キム・ホスップ)教授、同尹正錫(ユン・ジョンスク)教授ら10人の学者の皆さんと会談。東北アジアの新しい秩序をどう作っていくかなど、質の高い政策論議でした。

12時、ホテル発。韓昼食の場所で、高野孟さんとお会いし、鳩山代表がテレビインタビューを受けました。

その後、バスで板門店へ。3時から1時間半、緊張した兵士が銃に実弾を込めて警戒している最前線を視察。10年ほど前にも来たことがあります。昨年6月の南北会談の後も、何の変化もないということです。

仁川空港へ急ぎ、19時過ぎのユナイティッド便で、成田へ。宿舎にたどり着いたのは、真夜中でした。

参考:民主党訪韓議員団報告


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