1959/04/02

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31 参議院・本会議


○江田三郎君 来る三月三十一日付をもちまして、社会労働委員長久保等君から、議長あてに委員派遣承認要求書が出ております。この内容は、目的は、国民年金法案について地方における利害関係者び学識者の意見を聴取し、同法案の審査に資する。派遣委員は、第一班、柴田栄、木下友敬、竹中恒夫。第二班、谷口弥三郎、坂本昭、田村文吉の諸君でございます。

 派遣地は、第一班愛知県、第二班宮城県。期間は、第一班は昭和三十四年四月三日から四月五日まで三日間。第二班は昭和三十四年四月三日から四月五日まで三日間。こういう派遣要求書に対しまして、同日付をもって議長はこれを承認されております。

 そこで、私は議事進行上重大な疑義を持つものでありまして、おそらく職権をもって本日の会議を開かれました議長は、同じく職権をもって、いわゆる暁の国会を召集されるのではないかと思います。もしそういうことになりますというと、これら六名の諸君は、四月三日から派遣の承認を受けておるのでありまして、これらの諸君は、理論上、暁の国会、四月三日の国会には参加できないことになるのでございます。この点については、私だけでなしに、他の諸君も疑義を持たれまして、すでに議運委員会におきまして、わが党の阿部理事から、このことについて法制局長の意見を求めたわけでございますが、議院運営委員長は、どういうことか、これに回答を与えることなくして散会しておられるのであります。

 さらにまた、秋山長造君は、先ほどこの壇上から質問いたしまして、議長に、この点についての疑義をただしたのでございますが、議長はお答えはございません。問題は未解決になっておるのであります。そこで私は、先ほど議院運営委員会の直後、運営委員長にお会いいたしまして、あの取扱いに不満を申し上げると同時に、運営委員長の見解を聞いてみたのでございます。

 ところが運営委員長は、そういうことは理事の懇談会でも緑風会の杉山君から問題にされたが、しかし、会議は果して四月三日まで続くか四月二日で終るかわからないので、それ以上論議をしなかったというお答えでありました。もうすでに四月二日はあとわずかでございまして、当然四月三日になるわけです。そうすると、これは、議院運営委員長のお答えからいたしましても、当然もう一度この問題を検討しなければならないのでございます。あるいは、汽車はあるから、あすの晩の夜汽車でも行けばいい、こういうお答えがあるかもしれません。

 しかし、私は、そういうことは国会の審議を放棄するものであると申し上げ、また同時に、国民を侮辱するものだと言わざるを得ないのであります。(拍手)

 すなわち、もし本日、夜通しの国会をやりまして、そうして、あくる日の三日の夜行で出かけるというようなことをいたしまして、一体、四日の公聴会で何を聞く力があるかということであります。田村文吉君のごとき御老人もおられる。そういう点は、弱いとか強いとかということでなくて、こういうことは常識からしておかしいのであります。

 私は、この点について議長は一体どうお考えになっているのか、明確にしていただきたいと思います。あるいは議長は、事務総長が起草するところのきわめて事務的なお答えを読み上げられるのかもしれませんが、私が想像いたしますというと、おそらくそのお答えの内容は、かようなことは前例がある、こういうお答えをするのじゃないかと思います。しかしながら私は、もしこういうことの前例があるならば、前例をはっきり出していただきたいと思います。

 すなわち、なぜならば、これは非常に重大なことでありまして、中間報告という異例な措置がとられる場合であります。しかも、この派遣者の中を見ますというと、柴田栄君は自民党の中心理事でございます。木下友敬君は社会党の中心理事でございます。田村文吉君は理事ではございませんが、社会労働委員会の審議の状況を見ておりますと、理事の常岡君がしばしば欠席をされまして、田村君が一人すわっておられる場合が多いのでありまして、そう見ていきますと、この派遣者の中には、自民党、社会党、緑風会それぞれの理事あるいはそれと同等の職務を執行する諸君がおられるのであります。こういうような諸君を抜きにして、一体、審議していいのかどうか、私は疑問に思うのでありまして、先ほど草葉隆圓君の答弁を聞いておりますというと、中間報告を聞いて、どう処理をするかということは、聞いた上できめるのだということであります。中間報告を聞いた上でその処置をきめるということになりますと、各党派の社会労働委員会における中心になる諸君を抜ける条件のもとにおいて、一体、意見をきめていいかどうか、これは重大な疑問でございます。

 私は、そういう点からいたしまして、ただ三日の本会議にたまたま議員が派遣されておったというような条件と、今回の場合は実質的に相当違うわけでありまして、従ってもし、議長が前例ありというような答弁をされるのでございますならば、具体的に、今回の場合に匹敵するような具体的な事例があるかどうかということを明確にしていただきませんと、私はお答えにはならないと思うのであります。私はこの際、そういう意味におきまして、議長のお答えを聞くと同時に、願わくは議長が、この問題について、各会派の代表を集めて御相談をされるよう処理していただきたいということをお願いしておきます。(拍手)

○議長(松野鶴平君) 江田君にお答えいたします。必要に応じ、本会議と併行して委員会活動ができることは、本院規則第三十七条の認めているところであります。委員会活動の一種である委員派遣についてもまた同様と考えます。本会議開会中に当該委員の派遣がなされましたり、委員派遣中に本会議が開かれますことは、必ずしも好ましいことではありませんが、先例もあり、やむを得ないことと存じます。

 本日はこれにて延会いたします。


1959/04/02

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