2002/06/26-3

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平成十四年六月二十六日(水曜日)

工藤委員 自由党の工藤堅太郎でございますが、質問をさせていただきます。
 まず初めに、防衛局長にお尋ねをいたしたいと存じます。
 去る六月の十一日に、武力事態特別委員会の理事会で防衛局長から調査報告書が出されたわけであります。その際、それは四ページのものだったわけでありまして、その前に理事会でいろいろなやりとりがあった後に、私は、防衛局長がおいでになっているので、ちょっとお尋ねをしたいということでお尋ねをしました。
 この「調査報告」というのは調査報告書の概要ではないのか、もっときちっとした報告書はないんですか、このようにお聞きをしました。局長は、ございません、ただ、メモ程度とか調査資料はありますけれども、まとまった一冊になったといったようなものは一切ございません、こういうような御答弁でありました。私は、「調査報告書の概要」というのをこの理事会以前にもう目にしておったわけでありますから、これは、ないというのはちょっとおかしいんじゃないかと。
 それで、さらにお尋ねをしたのは、全部で五十ページ前後にまとめたものがないんですか、それを官邸とか与党の幹部とかそういうところに示した、それを提出したことはないんですか、こういうようにお聞きをしたら、そのようなことは一切ありません、一冊にまとまったものはないというようなそういう御答弁だったわけであります。
 そういうものがないのでどこにも見せたことがないというような御答弁だったわけでありますけれども、私はそのときに、全部で五十ページ前後というのも知っておったわけですから、もしそういうものがあったら大変な問題になりますよ、だから、あなたの責任じゃないかもしれないが、あるんだったら今それを提出した方がいい、あると言った方がいい、そうでなければ本当に大変な問題になりますよと再度申し上げたら、それに対しても、一切ございませんという答弁だったわけであります。
 しかし、実際あったわけでありますから、防衛局長、今私が申し上げたのが間違っているというのであれば、事態特の委員部等々でメモをとっておるはずですから、そっちの方から確かめなければなりませんけれども、それを踏まえてひとつ御答弁をお願いいたします。
守屋政府参考人 今先生から御質問のあった点でございますが、当日、経緯がございますので、詳しく御説明させていただきます。(工藤委員「いや、簡潔に」と呼ぶ)簡潔でいいですか。
 先生が今言われました件で、大筋そのとおりでございますが、最後に先生は、こういう分厚い報告書があるんじゃないかということで確認されたと言われましたけれども、あのときに先生が最後に私におっしゃいましたのは、数時間前に防衛庁から部外のどこかに五十ページから六十ページのものを出したことはないなという質問がございましたので、私は、その事実を承知していませんでしたので、承知しておりませんとお答えした、ここは違います。
 それから、防衛庁としてのあの時点での調査報告というのは、あの四ページのものが防衛庁として国会あるいは記者クラブに提出したものでありまして、これ以外にないと申し上げたのは事実でございます。
工藤委員 今、五十ページ前後のものをどこかに提出したことがないというのを承知していなかったからそういう答弁をしたというようなことだったわけでありますが、僕がお聞きしておりますのは、いわゆる全文といいますか、全部で恐らく五十二、三ページになるだろうと思うんでありますけれども、これを、あなた、防衛局長と幹部の方々が、出すべきだとか出さない方がいいとか、議論というか確執というかあったやにも聞いておりまして、それをあなたが知らなかったというのは、私はこれはどうかと思うんですよ。
 例えば、与党の幹事長とかあるいは国対委員長、あるいは、先ほど来話になっておりますとおりの、僕が承知しているのは三十数人と聞いておりますけれども、そういう与党の幹部の方々に、関係者にそれを配って歩いたというか説明したといったような話なんかも、それではあなたはつんぼ桟敷に置かれておったんですか。知らないはずがないと僕は思うんですけれどもね。
守屋政府参考人 この件につきましては、防衛庁の当日の方針でございますけれども、六月十一日の当日、概要、「調査報告書」、施設庁分及び個人情報の四つの資料を作成しまして、ここからが大事なところでございますが、官邸及び与党に説明した上で、これらの資料を使用しまして与野党国会議員や記者に対する説明を行うこと、これを考えていたというのは事実でございます。
 ただ、官邸及び与党での説明を終了した後の午後三時ごろに、これは何度も国会で御答弁していますが、発表用資料としては、簡潔明瞭でわかりやすく、法理的に端的な表現で書かれているものの方がいいと防衛庁において判断したわけでございまして、概要の記述をもとに「調査報告」と題する発表資料を作成したところでございます。この方針のもとに、私が、五時三十分より始まった衆議院事態対処特別委員会の理事会において「調査報告」を出した、こういうことでございます。
工藤委員 要するに、例えば三十八ページとか五ページとか四ページとかといったそういうような資料が、あなたのあのときの御答弁は、これ以外は一切ないということだったんですが、全然そういうものがあるということを知らなかったんですか。
守屋政府参考人 ですから、今私が御説明いたしましたように、当初は、四つの資料をもって官邸、与党の説明で了解を得られましたら、その四つの資料をもって説明するということで考えておりました。
 ですが、途中経過で、概要の方が簡潔で明瞭でわかりやすいということで、これをベースに説明した方がいいんじゃないかということが防衛庁として大臣のところで決まりましたので、その方針に沿って対応した、こういうことでございます。
 ですから、その時点では、防衛庁として、五時からの記者会見、それから五時半からの衆議院事態特で説明しました防衛庁の資料というのは「調査報告」しかございませんということで、その防衛庁の見解を申し述べたわけでございます。
工藤委員 いや、僕がお聞きしているのは、あなたは、あのときの御答弁では、そういうまとまったものがない、つくった経緯がないとはっきり言われたわけですよ。それがあったわけですよ、現に、その何時間か前には。事態特の理事会は五時半からでしたから、その前に、例えば一時半から国会議員のところを歩いたとか、二時から幹事長、国対委員長に説明とか。それを持って官邸にももちろん、そのまとまったものを持っていったわけでしょう。それをあなたは知っておったわけですよ。それが、つくったことはないという答弁というのは、あれはどうなんですか。
 簡潔にお願いしますよ。
守屋政府参考人 委員会で確かにそういう御質問がございまして、私の方から……(工藤委員「理事会だよ」と呼ぶ)理事会でございますが、調査報告の概要として報告書が別にあるはずだとか、これ以外の資料はないのかという質問がございました。
 これに対しまして、私は、今回の「調査報告」を防衛庁として国会や記者クラブに提出するまでの間、いろいろな資料をつくったことは事実でありますと、これは申し上げました。だけれども、これらの資料をいろいろ検討した上で、防衛庁としては、今回、「調査報告」という形で出すことを決めて委員会、記者クラブに提出したものでございます、こういうふうに答えております。資料はあるということはお答えいたしました。
工藤委員 いや、防衛局長、あなたは、メモとか調査資料はある、ただし一冊にまとまったようなものはない、つくったことはありませんというように答えているんですよ。だけれども、あなたはそれを知っておったわけでしょう、今のお話からいっても。これはだれが聞いたっておかしいぞと、何か吉本興業の話でも聞いているような、これはちょっとおかしいよというような、そういうあれですよ。
 じゃ、もう一つお聞きしますよ、防衛局長。そういうように、ないというように発表しろ、これしかないのだというようにだれに指示をされたのですか、お答えください。
守屋政府参考人 私どもも、先生の御質問がございましたから、委員部とかあるいは国対とか、私どもの方の担当者が立ち会っておりましたメモを全部参照しまして、私も記憶でございますが。それで、理事の方から、これ以外に資料がないのだなと。今回の「調査報告」を防衛庁として国会や記者クラブに提出までの間、いろいろな資料をつくったことは事実です、私自身も調査対象となり、その発言は資料としてまとめられている、これらの資料をいろいろと検討した上で防衛庁としてこういった「調査報告」という形で出すことを決めて今回提出したものでございますと。
 それで、今回提出するということをだれが決めたということでございますが、それは当然、防衛庁長官の御判断を得て決まったものでございます。
工藤委員 防衛庁長官も、このすべての責任は自分にあると再三言われておるわけなんですけれども、今の防衛局長の御答弁をお聞きしておりまして、当日の二時ごろ、人事教育局長が与党の幹事長あるいは国対委員長にその報告書を添えて説明したと。時系列的に、発表用資料の作成経緯というのをきのう防衛庁からちょうだいしましたけれども、二時ごろというふうに書いてありますよ。
 これも私はどうかと思うのは、与党の幹事長、国対委員長にその説明をしたのが二時ごろだ、それで、その一つ上の段に、一時半ごろ、一部の国会議員へ説明開始となっているわけなんですね。十何班かに分かれて三十数人に説明に行ったといったようなことを聞いたわけですけれども、普通は、与党の国会議員に説明する、三十数人に説明する前に幹事長とか国対委員長の方に説明をするというのが先、一時半ごろで、そっちの方が二時過ぎだというのだったらわかるけれども、これもどういうやり方かなというように思うんです。
 それはともかくとして、新聞報道で、これは全く違うということになれば話は別ですけれども、当日、「山崎拓氏ら与党三党幹事長と国対委員長が全文と概要の両方を手に対応を詰めた席で、全文公表に異論が続出した」と。「出席者の一人は「この全文は外に出回っているのか」と確認。防衛庁幹部」、これは人事教育局長だろうと思うんですが、「「外には出ていません」と答えた。ここまでわずか十分ほど。山崎氏らが出した結論は、全文の公表はおろか、存在自体も隠すというものだった。タイトルも「調査報告書の概要」から「調査報告」に変えた。」「この直後、幹事長の一人は言った。「この四枚の報告書は概要じゃない。これが調査結果だ。これ以上のものはない」」このように言ったと。
 こういうのを受けて、防衛庁はいろいろ、全部出そうとしただろうと思うんです、最初は。それを防衛庁長官が、いや、これは、じゃ、自分の責任ということになるわけですが、出さないということに、いわゆる与党のそういう幹部が言うとおりにしようということになったのだろう。ずっとこの経緯を見ていけば一目瞭然だというような感がするわけでありますけれども、長官、これはそういうことじゃなかったのですか。
中谷国務大臣 与党の説明の場ではいろいろな御意見があったろうかと思います。それを集約して、人事局長が私のところに参りましてその報告をしたわけでございますが、そのとき私なりに考えましたのは、やはり調査報告ということになりますと、法律的に見てどうなのか。その表現においても明確に、わかりやすく、そして表現も法理的に端的なものの方がより正確ではないかということで判断をしたこと。
 それからもう一点は、証拠隠しをしたと言われても仕方なくて不適切であるという点におきましては、この点も法理的に考えて不適切であるという表現でしたわけでございます。
 このように、内外からいろいろな意見を聞きまして、最終的に報告のあり方についてのスタイルを考えて決断したのは私でありまして、その前においても後においてもこの方針に従って物事が動いていたわけでございます。
工藤委員 内外の意見を聞いて、そして自分が判断してやられたというようなことなのでありますが、「中谷防衛庁長官説明」、これはきょう冒頭やられました。これに今のようなことが書いてあるわけですね。「調査報告書の概要」を若干修文した「調査報告」を作成したというふうに、笑い話みたいなものですが、書いてあるわけですよ。
 それで、この四のところに、「当日の記者ブリーフでは、実際に配布された資料が簡単なものであったことを背景として、」と。あなたは自分の責任で出さなくてもいいという判断をされた。それで、余り煩雑なのでは、ちょっと国会議員は頭が余りよくないかもしれないからわからないだろうと考えたかどうかわからないけれども、簡単なものを出したというようなことなんですが、「実際に配布された資料が簡単なものであったことを背景として、記者側より事実関係の細部についても強い関心が示されましたので、「調査報告書」及び施設庁に関する資料も配布いたしました。」こうなっているんですよ。
 これは、何なんですか。マスコミが強い関心を示したから「調査報告書」を全部出した、こういうことなんですか。これでは国会には出さなくてもいいと。これしかないとうそまで言って、あなたはうそというのを嫌いな、だれも好きな人はいないけれども、あるものもない、こういうように防衛局長に言わせて、そして、これしかない、四ページしかありません、まとまったのはない、あとは「調査報告」、ばらばらあちこちから集まったのしかないというような答えをさせていて、それを、マスコミが強い関心を示したからこれを出したんだと。国会を何とあなたは考えているんですか。国会にまず出さなきゃならぬじゃないんですか。どう考えますか。
中谷国務大臣 その点につきまして、事実を正直に書いたわけでございますが、これは時間差がございまして、当日の記者ブリーフが五時から始まりました。事態特委員会が五時半から始まっておりまして、当然そのときに出席した防衛局長から、その結果につきまして私のところに報告があったわけでございますが、そのときはもう既に記者ブリーフが大変混乱しておりまして、大変強い、「調査報告書」の提出を求められるという状態になっておりましたので、そういった時間的な問題がありまして、正直に申しますと、記者会見におきまして記者団の方から非常にスムーズに進んでいないという報告を受け、そしてその後で委員会の方の先生方からも御要望があって、次の日の朝には提出を求められるという報告がございました。そういう記述を書いたわけでございます。
 当然、国会に対して誠実に、そしてより重視をしてやっていくべきでございまして、報告におきましては、翌日、委員会の理事の方にもお届けしたというふうにつけ加えましたが、そこに書かれておりませんでしたけれども、この点については事実に従って記述をしたわけでございます。
工藤委員 中谷防衛庁長官、質問にきちんと答えているとは思えないんですよね。もしそうであったら、それを書かなきゃだめですよ、大体。マスコミに追及されたからとか、強い関心、要望があったからとか、事態特の理事会では一切ないと言わせておって、この問題のすべては、あなたがおっしゃるとおり、防衛庁長官、あなたの責任ですよ。これは与党が、幹部が何を言おうと、要望をこうしろああしろと言おうと、あなたがはねつけておけば何ら問題がないことだったんですよ。それを、あなたがそれを受け入れて、与党の大幹部のそういう人たちの意見を入れて、こういうふうなないことにさせたから答弁が、防衛局長なんかも大変な四苦八苦なわけですよ。だれから指示をされてやったといったって、言えないじゃないですか。まあ、防衛庁長官から指示をされる。一冊にまとまったものがないんですか、ありませんと答えているわけです。だから、そういうようにすべてあなたの責任なんですよ。
 そこで、この責任のとり方ということをちょっとお尋ねしますけれども、先ほど、当事者の三等海佐、これが減給一カ月、五分の一、こうなっておりますけれども、長官以下、この減給対象になった方々の金額がどのぐらいだったか、それを今ここで明示してください。
山中政府参考人 今回の事案に対する処分の内容でございますが、給与の返納につきましては、防衛庁長官が、俸給月額の五分の一に相当する金額二カ月間、これが六十七万二千八百円でございます。副長官が十分の一に相当する金額二月間、三十二万二千円、両政務官が十分の一に相当する金額一カ月、十三万七千五百円でございます。また、お尋ねの事務次官、これは指定職十一号俸で計算をいたしまして、月額の五分の一、二月、五十三万八千四百円でございます。官房長は、指定職の八号俸として計算をいたしますと、月額の十分の一、二月、二十二万一千二百円。
 なお、前海幕の情報公開室三等海佐及びその上司でございました海幕の情報公開室長の一等海佐の減給額につきましては、個人に関するものでございますので、公表は差し控えさせていただきたいと存じます。
工藤委員 大臣とかまず今言える分は発表したというようなことなのでありますが、大臣は、今のこの報告書のさっき申し上げたマスコミ云々の話等もそうですが、さっき枝野委員から、私の五月三十一日の質問でも、三等海佐の氏名をその処分が全部決まったら公表する、そういう答弁をしておられたわけですけれども、さっきはそれに対しても何だかんだ言って名前も明かさない。これなんかは約束を破ったことですよ。うそをついたことです。虚偽の答弁をしたことですよ。先走ったか、そういうどっちかなわけですよ。
 だから、そんなあっさり物を言ったり、あっさり物を考えたり、軽く、いわゆる「調査報告書」を提出するのをだれかに言われたからやめたとか、これはちょっと防衛庁長官として、いわゆる組織の長として僕はいかがかというような気がするんですよ。
 それで、時間がもうなくなってきておりますので最後になると思いますが、防衛庁というところ、自衛隊、これは他の省庁と比べても規律が重んじられる、上下関係とか命令系統がきちっとなっている、そういうような役所だ、そうでなければ有事に際してきちっとした対応ができないだろう、私もそう思っているんですよ。そのトップである防衛庁長官が、自分の責任だと言いながら、決して少ない金額だとは言いませんが六十七万二千八百円、給料を自分で減額すればすべてこれは済むと。そしてその責任のとり方が、再発を防止することが私の責任のとり方だ、こういうふうなことをおっしゃっているわけなんですね。これだったら、こういうことが何回起きても、給料を五分の一とか二カ月返上すればそれで済むか、こういうようなことになってしまうわけなんです。
 私は、中谷防衛庁長官は、防衛庁、自衛隊、このトップとして、例えば部下の過ちもあったりしたのも、むしろそれを自分が一身にかぶって自分が辞任をする、それでもって部下を何とか大目に見てやってくれと言わんばかりの、そういうような防衛庁長官であってほしい。それを、自分が決めて、そして「調査報告書」なんかも出さないように決めて、ないと答えさせたりなんかする、そういうような防衛庁長官では、僕はどうかと思うんですよね。
 このぐらいの減給で事を済ますようなそういう問題ではない。私は、防衛庁のトップとして、日本の国防を担うトップとしてもっと、腹を切れとは言わないけれども、毅然とした態度で臨まなければ、国民も信頼しないし、防衛庁、自衛隊の人たちも信頼しませんよ。何か、一日でも長くそこにとどまっていたいと言わんばかりにしか見えない。国民はそういうふうにしか見えないんですよ。
 だから、信頼性は極めて失われた、私はこのように思っておりまして、防衛庁長官、ひとつ、御自分の辞任まで含めて、もう一度責任のとり方というものを考えていただきたい。このことについて御答弁をいただいて、終わります。
大畠委員長 時間が来ていますので、簡潔にわかりやすく御答弁いただきます。
中谷国務大臣 私は、防衛庁の所管に関することにつきましては、すべて自分が責任を負うつもりで仕事をいたしております。
 この一連の個人情報に関する問題等につきましては、法律に照らしまして懲戒処分をいたしまして、私なりの処分として自主返納をしたわけでございますけれども、この問題については、もうここで投げ出すというわけにはまいりません。国会においてきちんと報告をし、そして二度と、情報公開に関して国民の皆さんに不安を与えるような事態ではなくて、どこに問題があるのか、その改善を一つ一つやって自分なりに責任を果たして、そして防衛庁の信頼を回復すること、これが私の責任に関する所感でありまして、この点で全力で自分に与えられた使命の完遂に努めてまいりたいと考えております。
工藤委員 御答弁は求めませんけれども、そういう責任のとり方というのは、あなたでなくて別な人の方がきちっと責任をとれるんですよ。再発防止できると私は考えるわけですが、いずれこの問題は、時間が参りましたのでやめますが、事態特なりこの委員会でまた質問させていただきます。ありがとうございました。
大畠委員長 これにて工藤君の質疑は終了いたしました。
 次に、吉井英勝君。
吉井委員 日本共産党の吉井英勝でございます。
 私は、最初に片山総務大臣にまず伺っておきたいと思いますが、情報公開法第三条に定める開示請求権制度というのは、どんな人か、どういう人かにかかわらず、何ぴとに対しても等しく開示請求権を認めるものであり、開示請求者に対し、開示請求の理由や利用の目的等の個別的事情を問うものではなく、開示請求者がだれであるか、または開示請求者が開示請求に係る行政文書に記録されている情報について利害関係を有しているかどうかなどの個別的事由によって、当該行政文書の開示決定等の結論に影響を及ぼすものではない、これが従来より総務省として示してきた一般的な性格だと思うんですが、まず最初に大臣から確認しておきたいと思います。
片山国務大臣 そのとおりでございまして、何ぴともということで、今言われたようなことが我々の同じ認識であります。
吉井委員 ですから、そもそも、だれが請求しているかとか、それは、氏名と住所、連絡先ぐらいなもので、それ以上については一切求めない、これは、従来より総務省の方が、「詳解 情報公開法」その他でも、逐条解説の中で示してこられたことだと思います。
 図書館なんかは、閲覧者の名簿を自由に閲覧することはできません。それは、読書の自由、個人の内心の自由を守るという民主主義、基本的人権の擁護という要請からきているものです。
 この点で、防衛施設庁では、これは長官のきょうの説明にもありましたが、情報公開請求者の氏名あるいは所属団体名等のリストを作成し、関係のない職員がだれでも閲覧できるようになっていた、これはけさほど説明されました。
 それ自体問題なんですが、防衛庁では、これは報告書を読んでおりましても、窓口における開示請求者とのやりとり云々もありますが、請求者の素性を聞くことが情報公開業務の一環だったということになってくるんじゃないかと思うんですね。
 この防衛庁の情報公開業務のやり方は、一般的な情報公開法の解釈からすると、私は、これは極めて異常なものであったんじゃないか、まず公開のあり方からしてそう思うのですが、防衛庁長官に最初に、この点についての責任というものをどのように考えておられるか、これを伺っておきたいと思います。
中谷国務大臣 まず、今回の事案等につきまして、開示請求をされた方々の個人情報が守られずに、個人情報として触れることになった、違法なリストをつくっていたという点につきまして、開示請求をされた方々に心からおわびを申し上げますし、国民の皆様方に対しても、情報公開に対して不安を与えたという点で本当に申しわけなく思っております。
 施設庁の例を挙げられましたけれども、あのケースは十数人の、施設部という部屋の中でですね、情報公開業務を行っておりまして、その職員の認識不足によりましてその部屋の中のLANに掲載されてしまったという点につきまして起こった事案でございまして、その点については、心から反省とおわびを申し上げたいと思います。
 また、その背景を調べているのではないかということにつきましては、防衛庁は、開示請求をされた方の身元調査をしたり思想を調査したり、そういうことはいたしておりません。
 今回の海自の三佐のケースで申しますと、情報公開の業務をしているうちに、自分の所管外の分野や、またその職歴等を調べたわけでございますが、これはあくまでもその海上の三佐が、個人の発意によりまして、情報公開業務を進めていく上において少しでも役に立てばという観点で調べたことでございまして、決して、開示請求をされた方々の身元調査とか、また思想等を調べようということでやったことではないという結果でございます。報告書にもその旨記述をいたしておりますので、こういう考えでいたしたわけでございます。
吉井委員 私は、これは不安を与えたとかそういう次元の話じゃないと思うんです。また、三佐の方の個人の発意とか趣味の問題じゃない。情報公開というものについての基本がわかっていなかった。そのことについて、私はやはり責任というものをもっと重く受けとめてもらわなきゃ困るというふうに思うんです。
 次に、防衛庁リストの作成、配付等について伺っていきたいと思うのですが、最初に、情報公開室の人事配置の問題について伺います。
 当該三佐の経歴は、調査情報畑である海上幕僚監部調査部調査課、横須賀地方総監部防衛部勤務の後、情報公開準備室から情報公開室にかけてずっと配置されてきた後、再び岩国調査分遣隊という情報畑で勤務ですね。
 そこで伺っておきたいのですが、通常、自衛隊では、特技職と呼ばれる専門家集団として専門の情報畑を歩む方はその分野を異動していくというふうに聞いておりますが、大体そういうことで理解してよろしいか。
宇田川政府参考人 お答えします。
 特技職の運用の話ですが、いわゆる特技職はございますが、一生涯その特技職にいるということはまれでございまして、いろいろなポストを経験するのが通例になっております。中にはまれに、特殊な場合には、その同じ、例えば情報だったら情報の分野にいる人もいますが、そうでないのが多うございます。
吉井委員 私は、他の分野のことを聞いているんじゃなくて、特技職の、とりわけ専門家集団としての情報畑を歩む方について伺ったわけです。これはあらかじめレクチャーに来ていただいたときなどにそういうことだと伺っておりますので、確認をしておこうと思ったわけです。それで、ほかの方の場合にはかわる人もいるということですからね、あなたのおっしゃったのは。そんなことはわかった上で聞いているんです。
 調査課、調査隊、保全室などの情報関係の部署に在籍していた情報のプロが、一昨年の情報公開準備室段階から、昨年四月から開設された内局や各幕の情報公開室に配置されてきたわけですが、内局及び各幕の情報公開室の職員数、その中での情報畑職員数というのを、いろいろお聞かせいただいたところで整理をして、まず現在のものを、これはもう既にお答えいただいたものなどで自分で表をつくったらすぐわかりますから、それを見ていきますと、陸幕情報公開室九名の方のうち調査部門の経歴の方が二人、海幕情報公開室が九人中二人、空幕情報公開室は十人中二人、防衛庁情報公開室が六人中一人、防衛施設庁情報公開室では、お聞きしたところでは、六月現在では五人中ゼロということだったんですが、昨年の準備室発足段階でそれぞれ何名の方が配置され、その中で調査部門経歴の方は何名いらっしゃったのか、これを伺っておきたいと思います。
宇田川政府参考人 内局と陸幕、空幕、海幕、施設庁の情報公開準備室の発足当時の人数でございます。
 内局から参ります。内局情報公開準備室の発足当時勤務していた者は四名でありますが、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は二名であります。陸幕情報公開準備室の発足当時勤務していた者は三名でありますが、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は一名であります。海幕情報公開準備室の発足当時勤務していた者は三名でありますが、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は一名であります。空幕情報公開準備室の発足当時勤務していた者は四名でありますが、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は一名であります。防衛施設庁情報公開準備室の発足当時勤務していた者は六名でありますが、そのうち情報及び調査部署の経歴を持つ者は一名でありました。
吉井委員 それで、結局、この情報公開室、まあ準備室をつくった段階から実は、情報公開のために配置した中には、諜報活動、情報収集を業務とするそういう情報部門の方がもう最初からすべてのところに配置されていたということが今のお答えで明らかになったわけです。六月現在で見ましても、防衛施設庁の情報公開室を除けばすべての情報公開室で配置されているわけです。
 もともと性格は違うんですね。情報公開というものと、それからその情報公開にアクセスしてくる人を含めて調査とか保全とか、諜報活動というのは全然性格が違うものなんですが、なぜ調査部門の経歴を持つ方を情報公開室という異質な部署に人事配置されたのか、それを伺っておきたいと思います。
宇田川政府参考人 情報及び調査部署の経歴を持つ者が内局、各幕の各情報公開室に勤務していることは、御指摘のとおりでございます。
 ではなぜそのような配置をしたのかという話でございますが、人事をやっておる人間としましては、やはりそれぞれの特性とか技能、知識に応じて配置するわけでありますが、情報公開部門というのはどういう部門であるかと申しますと、いわゆるオペレーション部門の艦艇とか航空機の部署とは違って、後方分野という考えから、総務関係も含めましてある程度一緒に運用していくということでございますので、意図的に情報とか調査部署の人間を情報公開室に配置したということはないと考えております。
吉井委員 そこで、最初に伺ったんですけれども、通常は特技職と呼ばれる専門家集団としての情報畑で働く人は大体その分野なんです。だから、この間の三佐の方も、情報畑におって、情報公開室に行ったんだが、また岩国の調査分遣隊という保全の部署へ行っておられるわけです。ですから、一般的に人事でいろいろ経験してもらうだとかいう話とはこれはちょっと異質な話なんですね。
 情報公開請求に伴って情報が集まる情報公開室に情報収集のプロを意図的に配置したというのは、これは防衛庁の業務として情報公開制度を使って情報収集するために人事配置したと言われても仕方がないと思うんですね。中谷大臣、これはそういうふうに見られても仕方のない姿になっているんじゃありませんか。
中谷国務大臣 人事配置につきましては、情報公開を利用して身元調査などの業務を行わせるという意図を持ってこの業務に精通した者を情報公開担当者として配置するといったことはございません。情報公開業務を担当するに当たりまして適当な人材を選んだわけでございます。
 先生がおっしゃるように、情報公開業務と秘密保全業務、これは両立をし、またきちんと峻別をしていかなければならないというのは当然のことでございます。今後とも、この趣旨に沿った適正な人事配置に努めたいと考えております。
吉井委員 情報公開制度を使って、実際にそこに開示請求してきた人たちの個人情報に関するリストをつくったわけですよ。だからこれだけ大きな問題になってきたんです、この一カ月ほど。ですから、建前としては中谷さんおっしゃったとおりであったとしても、実態としては、これは情報公開制度を使って情報収集をするために人事配置をしていたと見られても仕方がない姿形になっているんじゃないですか。私はそのことを言っているんです。もう一遍、大臣。
中谷国務大臣 今回このような事案が起こってしまったということにつきましては、事実として国民の皆様方におわびをしなければなりません。その原因とその背景にあるものにつきましては、今回徹底した調査をいたしまして、お手元にございます報告書の内容が事実でございまして、このようなことで個人情報が非常に大切に扱われなかったという点につきましては心から反省をしておかなければなりません。
 しかし、事実を調べました結果、意図して、開示請求をされた方々の身元を調査するためにしかるべき人員を配置したとか、事実、身元調査をしたり思想調査をしたり、そのようなことはやっていないというのが事実でございまして、この点につきまして調査報告をしたとおりでございます。
吉井委員 次に進んでおきますが、収集し作成したリストの配付について伺いたいと思うんです。
 防衛庁の報告書によりますと、当該三佐がリスト作成を開始したのが昨年の四月ですね。その後、当該三佐は何月に、そのときそれぞれどこにリストを配付していったのか。これは既に皆さんおまとめになっていらっしゃるものですから、四月にはここだ、十一月にはここだとか、さっと言える話かと思うんです。さっと言えるようであれば、まず言ってほしいんですが、どうですか。
宇田川政府参考人 海幕の三等海佐は、作成した開示請求者リストを、平成十三年の四月から平成十四年の三月の間に、防衛庁情報公開室の一名、陸幕情報公開室の二名、陸幕総務課の一名、空幕情報公開室の二名、うち一名は他の室員への経由でありますが、海幕調査課情報保全室の一名、海上自衛隊中央調査隊の一名及び自分の上司であった海幕情報公開室長の計九名に配付しております。
 具体的には、防衛庁情報公開室につきましては、平成十三年十一月、同室の係長にハードコピーとフロッピーディスク一枚……(吉井委員「いやいや、もうその細かいのはいいですから。どこの部屋にということだけで結構です」と呼ぶ)どこの部屋というと、防衛庁の情報公開室、それから陸幕の情報公開室、それから陸幕総務課、空幕情報公開室、それから海幕調査課情報保全室、それから海上自衛隊中央調査隊、それから自分の上司である海幕情報公開室長であります。
吉井委員 ですから、今、十一月のことをお聞かせいただいたんですが、よく見てみますと、これは一覧表にしてしまうとよくわかるんですが、実は四月、十一月、十二月、一月、二月、三月、この時期にリストを作成されて、海幕調査課情報保全室には四月、十一月、十二月、二月、三月とずっと、要するに情報部門に送られているんですね。海上自衛隊中央調査隊は十二月と一月ですが。ですから、要するに、海の方でいえば、すべての時期にわたってずっと作成するとともに、これは送られていたわけです。
 あとは、今おっしゃった情報公開室ですね。しかし、海幕の情報公開室というのは、上司に渡しておったわけですが、引き継ぎということもあって三月だけなんですね。陸幕の情報公開室は十一月と三月、空幕は十一月と三月、防衛庁情報公開室は昨年十一月。つまり、各情報公開室に渡したのは一回か二回なんです。これに対して、諜報部門である調査課保全室や中央調査隊については五回と二回なんですが、情報収集部門ということで見れば、毎回、すべて渡してきた。
 ですから、リスト作成開始の昨年四月に早くも渡しているわけですが、やはり、情報公開室、そこにももちろん情報畑の人は配置されておったわけですが、情報公開室よりも調査部門への配付を優先してきたというのは事実の問題として読み取ることができるんじゃないですか。
中谷国務大臣 この三佐が違法なリストをつくって情報保全室とか中央調査隊に配付したということは、遺憾なことでもありますし、法律に触れることで、厳にやってはならないことでございます。
 この事実関係を調べましたところ、こちらの調査によりますと、海幕の調査課情報保全室に五回にわたってこのリストのフロッピーを渡しておりますが、もらった方の処置といたしましては、このもらった二佐は、開示請求者のリストの内容を確認した程度であって、リストを自分の業務で使用したり、リストを加工したりすることはなかった。また、この二等海佐は、開示請求者リストをほかに配付したり、閲覧させたりすることはなかったということでございます。
吉井委員 事実としてはっきりしていることは、更新するたびに渡していた。これは、当該三佐が気ままに配ったということではなくて、極めて定期的に、そして組織的に行われてきたということが事実の問題として、おつくりになって示された報告書を読めばそれがわかります。
 防衛庁の報告書は、空幕と東京地方調査隊との関係についても報告していますね。そもそも、なぜ調査隊の隊長及びU三尉が昨年五月に空幕情報公開室を訪問したのかというその目的も不思議な話なんですが、報告書では、その後再度訪問したU三尉は、行政文書開示請求者の請求内容に興味がある、この旨を伝えたとありますね。それにこたえて、空幕情報公開室のS三佐は、独自の個人情報リストを作成し、U三尉に渡している。
 訪問を契機に情報提供が始まっているわけですが、両名が情報公開室を訪れたのは、これは単なるあいさつではなくて、情報収集の依頼、確認が目的であったということは明白じゃないでしょうか。大臣、どうですか。
中谷国務大臣 事実関係につきましては、この「調査報告書」に書いたとおりでございます。
 この訪れたU三尉の役職につきましては、東京地方調査隊に所属しておりますが、その東京地方調査隊に対する情報公開また請求の担当者であったということでありまして、その者が開示請求の内容に興味があるということで申し出をしまして、定期的に連絡を受けていたわけでございます。
 この三尉が欲しかったのは、いかなる情報公開があるのか、所管している東京地方隊に関して、情報公開の開示請求の内容に興味があったことでございますが、しかし、このリストにおきましては、この内容のほかに受け付け番号と氏名が書かれたものが渡されておりまして、これは不適切なことでございますので、渡した方も渡された方も問題があるということで懲戒処分にいたしたわけでございます。
吉井委員 冒頭に議論しましたように、大体、氏名と住所と連絡先なんですね、これだけあったらいいんです。それ以上のものについて、情報公開に関してせんさくすること自体が間違いなんです。
 そういう中で、S三佐の後任のT三佐も、U三尉に四回程度リストを渡しているわけですね。結局、調査隊のU三尉は、S及びT三佐から、昨年五月からことし三月にかけて、計十五回にわたって個人情報リストを受領しているということが報告書に書いてあります。つまり、毎月一回以上渡していったということになるんですね。調査部門の間で定期的、組織的に個人情報の提供、相互共有がなされていたということは、これは大臣、明らかなんじゃないですか。
中谷国務大臣 お話ししたとおり、このS三佐また後任者も情報公開の担当ということでありまして、いかなる内容の公開要求が来るかという点に関心があったということでございまして、その旨のリストをいただいたわけでございます。しかしながら、このリストに個人名が記載をされておりました、住所は記載をされておりませんが。この点につきましては、個人情報保護法に違反する行為でございまして、これにつきましては懲戒処分の対象としたわけでございます。
 しかしながら、事実関係を調べてみますと、この東京調査隊が、そのことによって開示請求をされた方の身元調査をしたり思想調査をしたり、そういう意思もなかったし、そういう事実がないということを確認いたしております。
吉井委員 Sさん、Tさんという方は、これは空幕の情報公開室の方なんです。訪ねていった側というのは、調査隊の隊長さんとその部下の方、つまり、調査保全、諜報部門の方なんですね。諜報活動などを含めた情報部門の方たちなんです。ですから、今のお話というのは全然違う話になるということを言っておかなきゃならぬと思います。
 また、SさんもTさんも調査部門の経歴を持っている方なんですね。つまり、情報公開室に人事配置された調査畑の人間が調査隊に情報を随時渡していた、大体月に一回以上、このことが事実として浮き彫りになってきたのが今回の報告書だと思います。
 二十四日の事態特で、中谷長官は、口頭で報告されたのは開示の内容であって、防衛庁に情報公開があって、その中央調査隊等に開示請求のあること、また、その所管する場所等に対し開示請求があったということでしたなどと答弁されました。
 報告書では、U三尉は調査隊長に対して、個人情報リストの一部の内容について、五、六回程度、他の案件と合わせて口頭で報告を行ったと述べているんですね。つまり、リストが五、六回以上、これはリストを見るということ自体が調査隊からすると業務なんです、だから中央調査隊の業務に利用されたということになるんじゃありませんか。
中谷国務大臣 この件につきましては、個人情報リストを受領した東京調査隊の隊員は、同隊の隊長にリストの一部の内容について口頭で報告をしたものの、隊長は、同隊員から報告の内容については特に記憶に残るようなものはなかったとしておりまして、また、同隊員が同リストを自分の業務で使用したり、また加工したり、ほかに閲覧させたり、再配付をすることがなくて、受領後一カ月程度経過したものはシュレッダーで廃棄をしていたことから、東京地方調査隊としては同リストを業務上使用したことがないというふうに確認をいたしました。
吉井委員 請求者の個人情報を見ることも口頭で報告することも、調査隊にとっては業務なんです。そのことを忘れちゃ、とんでもないことだと思います。
 次に、保管について伺っておきたいんですが、海自中央調査隊は、昨年十二月に、当該三佐からリストのフロッピーディスクを一枚受け取ったとなっていますね。その後、受け取ったI三尉は、コピーをとり、本紙を隊長を含む三名に閲覧させた後、同隊資料科長に手交した。フロッピーディスクとコピーは机に保管したが、本紙を受領した資料科長は、資料科員J三等海曹に命じて書庫に保管させているんですね。つまり、単に机に保管したということじゃなくて、中央資料隊の正式な書庫に格納させているんです。
 なぜ中央資料隊の正式な書庫に格納したのか。それは資料的価値が極めて高い、極めてという形容詞をつけるかどうかは別として、資料価値が高いということになるんじゃないでしょうか。しかも、うかつに外に出せない、だから机などではなくて書庫に格納した。
 そういう点で、やはり保管の仕方が、資料科長の判断という組織的判断に基づいて防衛庁の書庫という正式な保管場所を使っているということをあの報告を読むとうかがうことができるんですが、この点で見ますと、これはやはり組織的な行動として行われたことじゃありませんか、大臣。
中谷国務大臣 この件につきまして、当方の調査でございますが、その意図があったかないかということであります。
 事実関係を申しますと、そのリストを受け取った隊員は、同隊において文書の受け付け、回覧等を担当いたしております。平成十三年十二月に受領した開示請求リストについては、受け取ったフロッピーディスクから同リストを同隊のプリンターで出力をして、一部コピーをとりまして、定型的な業務処理として隊長を含む三名に閲覧をさせたものでございます。
 また、同リストは、同隊において当該リストのような雑件資料は通常約一年後に廃棄されるものであるから、同隊の書庫に保管をされましたけれども、中央資料隊としては、このように単に閲覧、保管をしただけであって、同リストを業務上使用したことはございません。
 通常、この調査隊におきましては、来たデータはほとんどこの書庫に保管をいたしておりますが、結果として、これによって身元調査をしたり思想信条を調べるといった行為もいたしておりませんし、業務的に使用したことはないということでございます。
 また、受け取った者の処置でありますが、平成十四年の一月に受領したリストについては、同隊員は、内容が前回と余り変わっていないことを確認の上、フロッピーディスクから出力も閲覧も行わずに、単に自分の机のかぎのかかる引き出しの中に保管し、同リストを自分の業務で使用したり、同リストを加工することはなかった。このことからも、開示請求者リストを中央資料隊として業務上使用したことがないということであります。
吉井委員 随分長いことお話しになったんですが、要するに、資料科長は資料科員の三等海曹に命じて書庫に保管させたということが報告にちゃんと出ているわけです。要らぬものだったらさっさとやってしまうし、資料的価値があるからこそ書庫に格納したということは、報告書の中で明記されているということを重ねて言っておかなきゃならぬと思います。
 防衛庁は、調査部門への提供について、業務上使用されていないということを今もおっしゃったわけですが、しかし、リストを渡した当該三佐は、調査課という業務の性質上、そういうものについて一番利用してくれるのではないかと本人が思って持っていった、これは六月四日の海幕長の記者会見でそのことが言われております。
 それから、空幕公開室で独自にリストを作成したS、Tという人も、同じ情報関係の仕事についているU三尉の便宜を図ってやろうという気持ちがあったということ、これは報告書に出ております。調査部門に渡した当事者は、いずれも調査部門の業務の性質上、リストが役に立つと思って渡しているわけですね。それは、みずからも調査部門の経験を持っているからです。だから、こうした個人情報リストが業務上役に立つことは経験上よく知っていた。だから、調査部門に最も数多く定期的、継続的に渡してきたということになると思うんです。
 そこで、防衛庁は、今回の問題について、当該三佐の個人的な違法行為で、組織的ではないということを盛んに言ってきているわけですが、しかし、情報の特技職の人を人事配置し、個人情報の収集とリスト作成があり、情報部門への配付が定期的、継続的にあり、保管、利用という事実は、これはやはり組織的に行ってきたということを明瞭に示していると私は思うし、中谷大臣としても、それは組織的な問題があったということを率直に認めて、組織としてどうするのか、そこのところをきちんと考えなきゃいけないと思うんですが、これは大臣に伺っておきたいと思います。
中谷国務大臣 この違法なリストを作成し、また配付をしたこの三等海佐につきましては、みだりに個人情報を教えたという点で違法でございまして、かつまた情報公開業務に対する認識が欠如していたわけでございます。
 その後の事実として関係を調べましたが、もらった方の隊長を含め、組織といたしましても、そのような情報開示請求者の個人情報の背景を調査したり身元調査をしたり、そういう意思は持ってなかったし、事実、業務としてそのようなことをいたしてないというのが調査の結果でございます。
吉井委員 私、この三佐の方は、別に自分から、人事配置を自分で自分をしたわけじゃないんです。配置されていったんです。これは、決して個人的発意とか趣味の次元の話じゃないんです。
 私は、そうして一人の個人の問題にすりかえてしまうというやり方、これは本当に根本的な誤りだと思います。組織的問題として深刻にとらえて対処する、この姿勢をとらないものにそもそも個人情報保護を語る資格はない、そういう厳しい問題だということをきっちり言っておかなきゃならぬと思うんです。
 次に、総務大臣に伺いますが、全省庁について調査することを、あれは五月の二十七日でしたか、私も質問をし、調査するという約束をもらっていますが、その結果をまず報告してもらいたいと思います。
片山国務大臣 この前、吉井委員の御質問にもお答えしましたが、現在調査中でございまして、窓口だけでも千八百ございますから、これをできるだけ早くまとめたい、こういうふうに思っておりますが、まとまったものは順次発表することも今検討いたしております。
吉井委員 これは既にマスコミ等でも部分的に、この省庁ではこういうリストがつくられているとか紹介されているぐらいですから、中間的にとおっしゃったわけですから、既にまとまっているものについては直ちに、きょうのこの委員会が済んでからでも、大臣、決裁されて出すようにしてもらいたい、これをまず申し上げておきたいと思います。
 次に、総務省は、情報公開法の所管官庁として法律に基づいてきちんと情報公開を運用するという立場に立っておられますね。これは大臣に伺っておきます。
片山国務大臣 一次的には各省庁、各機関にお願いするわけでありますが、取りまとめだとか調整だとか統一的な運用だとかということは当方の仕事ではないかと思っております。
吉井委員 だから、仕事なんだから、自分のところで一番しっかりやってもらわな困るわけで、ことしの四月から五月にかけてのことなんですが、実は、行政書士の徳島県の石橋吉治さんそれから石川県の重森憲治さん、この方たちが総務省に、オンライン一括法案作成過程を知るために関連する行政書士法改正案関係資料、すなわち、立法過程を知ろうと思って情報公開法に基づいて開示請求されました。
 ところが、五月の十九日になって、突然、日本行政書士会連合会会長からこの二人の方は、オンライン化法に係る協議についてという名目で招集を受けたわけです。そして、行かれると、五月十九日の日に、総務省への情報開示請求を取り下げるよう指示されました。取り下げない場合は、行政書士法改正案が成立しないときに両氏に損害賠償を求めるという話まで出されたということであります。
 そもそも、このお二人は、別に行政書士会連合会の会長さんらにそんな、自分たちが情報公開の開示請求したと言っていないんです。言っていないのに会長が知ったわけですね。総務省の情報公開というのは、本来、請求者の氏名、情報を外部に知らせることになっちゃいけないはずなんですね。しかし、現実には知られていた。これは、総務省として外部の者に知らせていたということが、今その問題を問われているときですが、大臣はこれについては御存じでしょうか。
片山国務大臣 いや、全く知りません。
 だから、それはうちの省がそういうことを知らせたのか、あるいは別の、それは定かでございませんで、うちの省につきましては調べてみます。
吉井委員 それで、行政書士会の連合会の会長は、五月二十五日の新潟行政書士会総会の会場からこの石橋さんらに、自治行政局のある課長補佐から電話があって取り下げを頼むよう言っておいてくれと言うてきたからといって、再度、取り下げを電話で要求してきたという話であります。
 総務省は、情報公開の請求者に人を介して開示請求取り消しを求めるということはあってはならないことですが、こういう事実については、大臣は先ほど御存じないということですから、局長さんの方、政府参考人の方、この問題についてどのようにつかんでおられるか、伺っておきたいと思います。
畠中政府参考人 初めてお聞きする話でございまして、私どもとしましては、請求者からどういう御請求があったかというのは、その請求の窓口と現にその書類を持っている原課、そこにはお知らせすることはございますが、そこから外部にその情報を提供するということはあってはならないというふうに考えておりまして、そういう事実があったかどうかということはちょっと承知しておりません。
吉井委員 あってはならないことが現実に起こっているんです。
 それで、情報公開という観点からは、請求者の情報を外部に漏らすこと、請求者に団体を使って圧力をかけて取り下げをさせる、こんなことは大変な問題ですから、情報公開を所管する総務省が、情報公開の開示請求を受けて、自分たちが出さなきゃならないものについては出そうとしないで、現実にまだ出していないんですよ、出していないで、それで関係する団体を使って団体の圧力で、開示請求取り下げなさい、あるいはこれは私はもう名前わかっているんですが、ある課長補佐さんということにしておきますけれども、団体の長に取り下げるように頼んでくれというふうなことを言うなどというのは、これは情報公開を所管する総務省としては本当に許しがたい事態だと思いますよ。
 私は、これについては、まず大臣、きちんと調査をして報告されることを求めたいと思います。
片山国務大臣 いずれにせよ、事実をまず確認することが先ですから、調査いたしましょう。
吉井委員 この問題については、大体、一番関係のあるところの政府参考人の方が知らぬようなすっとぼけた話ですが、それは関係者の皆さん、よく知っているわけで、そんな話で通ることじゃないですよ。
 情報公開を担当するところが、情報公開、開示請求者、リストをつくった防衛庁も問題ですよ。しかし、その個人情報リストをつくった防衛庁だけにとどまらないで、今度は、総務省の方は一番の元締めといいますか、この情報公開法を扱うところが開示請求者に圧力をかけて取り下げろと。本当にとんでもない話じゃないでしょうか。こんなふうなやり方で、どうして行政機関の個人情報の保護とか語る資格がありますか。
 まして、そんな横暴なことをやっておいて、住基ネットを八月からそれ行けどんどんでどんどん進めていく、一切の考慮も払わない。たとえ個人情報保護の法整備ができていなくても実施するなんというようなことを公言してはばからないなんというようなことはとんでもない。
 このことを申し上げまして、時間が参りましたので、きょうのところはこれで質問を終わります。
大畠委員長 これにて吉井君の質疑は終了いたしました。
 次に、北川れん子さん。
北川委員 社会民主党の北川れん子といいます。よろしくお願いします。
 先ほどの吉井議員のお話を聞いていても、組織的関与ではなかったのかといった点が大きくクローズアップされて、私もほとんど同じことを言わせていただこうと思って用意していたんですが、もう既にきょうの新聞などでも報道されていて、今、防衛庁がまさに防衛庁らしい防衛庁リストをつくっていたということで問題になっているわけですが、なぜ私たちが心配しているかというと、防衛庁というのは、情報公開制度をつくろうといったときに、自分たちの省庁は省いてほしい、除外してほしいという強い希望を訴えていた、そういう省庁であったということが大きなポイントになっている。
 そして、このAという名前をつけてしまわれた三等海佐ですけれども、彼は、自分がやりたくてやったわけではなくて、やはり上司の命令、意図のもとに、できるだけ効率的に保全をするという、情報収集の保全ということをかなり特技としてお持ちになった方だということが先ほどからも明らかになったんですが、そういう人が仕事としてやっていた、かなりの時間を使っていたということを、私自身も、六月十四日ですけれども、情報公開室にお伺いしまして、なかなか生データを出してくださらないものですから、情報公開請求をしてまいりまして、どういう気持ちになるものかというのを自分でも体験してきました。そこでいろいろ聞き取りもさせていただいたんですが、かなり熱心に情報公開の窓口にお越しになって、一時間、二時間といろいろな話をして帰られていたということも伺っております。
 それで、きょう、十一日に出された報告書をもとにお伺いするんですが、一番情報公開制定に取り組んでいらっしゃった青山学院大学の清水英夫先生が、きょう、新聞にまさに発言されているわけですけれども、請求者の背景を知ることが文書特定に有効という、この意識というか感覚が私もよくわからない。私も受け付け番号というものがつけられましたけれども、受け付け番号と件名で、なぜそれが開示、非開示とかという形でストレートにいかないのか、その中にいろいろな形態のリストをつくって、この件名の人はどういう背景を持った特定できる個人かということをあらわしていくのかというのが、どうも思想的に私はよくわからないわけです。
 そこで、まずお伺いしたいわけですが、総務省の方に、先ほど、各省庁どういうふうになっているかというのを聞いていると。それで、調査対象のところの三番目に「開示請求者名が記載されているものに限る。」というのがあるんですね。まだ調査中だから、千八百件も何件もあるからということなんですが、これは三日に交付して、七日に期限切ったり、十四日に期限切ったり、二十六日ということで、大体、主には七日に期限が切れるほどすぐ出せるよという感じで、三日に出されて七日に出しなさいとされているわけです。
 この「開示請求者名が記載されているものに限る。」という言い方というのは、皆さんがつくっていらっしゃる、防衛庁もガイドラインをつくっていらっしゃいますよね、不開示のガイドライン、その五項めにもあるんですが、個人情報とはの記述では、「当該情報に含まれるいくつかの記述等が組み合わされることにより、特定の個人を識別することができることとなる場合が多いと考えられる。」ということで、個人情報等の定義というものをここではこういうふうにされているわけです。
 八八年の法の第二条の二項においても、「当該情報のみでは識別できないが、他の情報と容易に照合することができ、それにより当該個人を識別できるものを含む。」ということで、午前中には、だれがということで枝野議員も問題にされていましたが、私が今回聞くのは、だれがということが問題ではなくて、なぜ、この各省庁に配られた、あなたたちの省庁リストをつくっていませんかと総務省が聞いた中の三番目に「開示請求者名が記載されているものに限る。」とあえてしたのか、その辺をお伺いしたいと思います。
    〔委員長退席、野田(佳)委員長代理着席〕
松田政府参考人 先ほど大臣からも御報告申し上げましたように、今、全国の情報開示窓口、約千八百ございますが、そこを対象に調査をいたしているところでございます。
 今、開示者名がわかるものに絞って調査しているのはなぜかということでございますが、まさに今回問題になっておりますのは、情報公開請求におきまして開示請求者の個人情報がいかに管理されているかという点が中心でございますので、その点に焦点を当てた調査を行っているところでございます。
北川委員 そこを見ますと、あえてこういうことを書かれて、この三番を入れて氏名が記載されているものに限るということは、いろいろなリストの形態があるということをもう総務省が知っていると言わざるを得ないと私自身は思います。
 なぜならば、この三等海佐がつくっていた複数の種類とはどんな種類ですかと私が事前にお伺いしたら、まず、百四十二名の開示請求者の氏名等が記載されているもの、請求内容が記載されているもの、開示請求件数が記載されているもの、開示請求者を業種別に整理したもの、日別の開示請求件数を整理したもの、受け付け地区別の請求状況を整理したもの、不服申し立てを一覧表にしたもの、これが大別なんですよね。
 これに合わせてまた小別というのがあるだろうと思って、電話番号等という等には何が含まれますかというふうに聞きましたら、庁一連番号、残、延長、特例、主管課、調整課、文書照会、補正、特定依頼、事務、文書名、区分、移送、移送先、第三者調整、意見書、上申、決定、結果というぐらいに、リストというのはいろいろな形に発展できるんだということをいろいろ聞くに及んで、私も、ああそうなんだ、リストというものはいろいろと工夫ができて、第三軸でつくっていけるものなんだということを改めて思ったわけです。
 片山大臣、おかしいんじゃないですか。情報公開の一番の基軸となる総務省、そこが、まず省庁リストをつくっていないか調べますよと大見えを切られていましたが、三項めにこれを除いている、前段でリストを限定して聞かれている、その理由というものをもう一度お伺いしたいと思います。
片山国務大臣 局長が答えましたように、個人情報が保護の対象ですから、イニシアルとか番号だとかというのは個人が識別できませんから、名前を書いたものを中心に調べる、そういうものに限る、こうしたわけであります。個人が識別できないもの、これは現行の法律の保護の対象にはしてないわけですから、調査はそれに限らせてもらう、こういうことであります。
北川委員 私は、それはやはり、まず、御自身たちが出している不開示のガイドラインの中にある文言からいってもおかしいし、八八年法の二条二項からいってもおかしい。あえておかしいことをされているということは、総務省自身が、各省庁に、リストをいろいろつくったらいいんじゃないですかということぐらいはあえて言っているというのか、遊ばせているというのか、ということぐらいにしか思えないです。
 では、なぜ、受け付け番号だけで物事を見る、受け付け番号と件名、これで見るということに情報公開制度は行き着こうというふうに持っていかないわけでしょうか。その辺はいかがでしょう。なぜ氏名にこだわるのか。特定できなければ、氏名というのは記号なわけですよ。私たちは、八月五日から十一けたの番号をつけられるかもしれない存在としてあるわけですが、番号が一番いいじゃないですか。なぜ、受け付け番号でこの調査をしようとはされなかったんでしょうか。
松田政府参考人 一般に、各省の情報公開窓口におきましては、去年でいいますと四万七千件、情報開示請求があるわけでございまして、大量の情報公開請求を処理しているわけでございます。したがいまして、何らかの形でいわばその開示請求を処理していく進行管理表みたいなものをつくりながら処理を行っているというのは通例であろうかと存じます。
 その中で問題になりますのは、そういう進行管理に当たっては、当然、どなたのどういう開示請求であるかということが基本になって進行管理が行われていくわけでございまして、そういう意味で、まさに個人の名前が付された進行管理表がつくられている可能性があるわけでございます。
 その点を中心に調査をしているということでございまして、先生お尋ねの、番号だけで管理すればいいではないかということでございますが、管理しやすいやり方をそれぞれの省庁で工夫してやっておられるものと考えております。
    〔野田(佳)委員長代理退席、委員長着席〕
北川委員 まさに、住基ネットで番号をつけようという発想というのは、番号というのが一番管理しやすいということが根底にあってやられていくんだろうと思いますし、私自身、先ほど言いました六月十四日に行ったら、請求受付番号二〇〇二・六・一四―中央請六十三、六十四、六十五という番号がついているわけですよ。これがだれかということがなぜ必要かということが今回のリストのつくり方のところにあるわけですが、私が今もう一つ聞いているのは、なぜ名前だけのリストということのリストアップをしなさいという指示をしたのかといった点で、この省庁に対しての調査のありよう自身がまずもって不可解、情報公開を元締めていらっしゃる総務省というのがそういう態度といいますか、ここに来てもまだ自分たちの身内に対しての甘さというものが露呈されていると思うんです。
 世界の流れの中には、個人情報自身を集めるのは本人同意が必要というのはもちろんですし、それから、センシティブ情報の収集制限があるのも当たり前、そして指定があるのも当たり前。データ保護とかプライバシー保護というのは、政府所有分は第三者機関がやらなければいけないというぐらいに先へ先へと行っている中で、何とか情報公開制度、国の分は物すごい抵抗しました、国が。そこに来て、何らかの形で自分たちの担保がとれるものということで押さえてきていると思うんですが、今回の国の四法案においても、午前中からも議論になっている罰則規定がないという点、これなども、長野県の方では、住民基本台帳法に基づく本人確認情報の保護に関する条例案というのが、知事が提案していて今も議論されているらしいんですが、ここでは一年以下の懲役または三十万円の罰金ということで、刑罰というものはちゃんと公務員の守秘義務を含めてもつけるべきだということで、つけている案を出しています。
 そういう点からいっても、国の四法案、八八年から、今回改正されても、まだまだ本当に出直さなければいけない、やり直さなければいけない、見落としている点というものが多く含まれていると思うんですね。
 それで、片山大臣に再度お伺いしますが、三日に出して七日に期限を相手の窓口には切っておきながら、私たちには、千八百もあるからまだ調査中だと。まず七日の分でいいですよ、期限を切っていた。この期限を切っていた分でどういうぐあいに今上がってきていますか、この海幕三佐がやったようなリストはつくられていませんでしたか。いかがでしょうか。
松田政府参考人 先生がお尋ねのように、千八百ある開示請求窓口のうち、できるだけ早く出せそうな本省庁関係を早目に出していただくべくお願いをして、一部は既に参っているところでございます。
 今一番問題になりますのは、この進行管理表等におきまして、これは名前が入っているものであるわけでありますが、そこに本人の氏名、住所以外にどのような記録項目があるのか。それから、その進行管理表等がどの範囲で利用されているのか。つまり、個人情報保護で問題になります、必要な限度を超える記録があるのかないのか、あるいは、目的外の提供として、その合理性を超えるそういう提供先に利用させていないかどうか。そこを中心に検討していく必要があると考えておるわけでございます。
 したがいまして、調査を進めて一定の報告はいただいているわけでございますが、その調査内容に関しまして、同時並行でヒアリングをずっとやっておりまして、その点を確認しながら今報告をまとめつつあるということでございます。
北川委員 もう全然回答になっていないという感じで、私も、あえて事前にこの調査票というのもいただいたし、フォーマットもいただいたし、全部いただいて、具体的に三回も聞いたのにまた同じことを繰り返していらっしゃるので、ちょっと残念だなという感じがします。それが情報公開の窓口の総務省で、今回防衛庁リストの問題が発覚して以降、意気込みは一カ月前にはもっと片山大臣からはあったわけですが、いかにも、現段階の調査に入るとだんだんなし崩しになっているなというのが感じられたということで、残念だなという感じがいたしております。
 それで、防衛庁長官の方にお伺いしたいんですけれども、先ほど、被害者に当たるであろうリストにされてしまった人、加工されてしまった人、分類されてしまった人に対しての謝罪というものを口頭では言われたんですが、なぜ文書の中にそういうものを込めなかったのか、そして、この被害者の人たちへの救済ということはどういうふうに考えていらっしゃるのか、教えていただきたいと思います。
中谷国務大臣 今回、開示請求を申し込まれた方々の個人情報につきまして、当方で大変申しわけない取り扱いになってしまったことに対しておわびをいたしておりますが、この報告書の最後に「まとめ」といたしまして、我々は、「個人情報保護行政に多大な影響を与えた責任を組織全体として猛省するとともに、再びかかる事案が起こらないよう今後の行政運営に万全を期していく所存である。」というふうに心から反省の意を表したわけでございます。
 開示請求をされた方々に対しましては、私も記者会見や公式の場で、本当に申しわけなかったという点で心からおわびを申し上げている次第でありますし、そういった方々に対する償いといたしましては、もう二度とこのような、個人情報に対してプライバシーが守られないような情報公開であってはならないという体制を真剣に検討して、早期に確立をしていくということがお約束でございますので、それに向けて全力をもって当たるという点で心からのおわびを申し上げたいと考えております。
北川委員 そのおわびというのは一人一人に文書で、特定される方というのはもうわかっているわけですよね、だれかということは。目的外利用という形になるかもわかりませんが、そのおわびするという、特定される、百四十二名としましょうか、あとどれぐらいのリストがあってどうなっているかというのは私たちはわかりませんし、黒塗りの、情報公開がまだ出てきていません、生データ。私が六月十四日、情報公開室へ行ってとりますよと言ったら、もう、すぐ出しますから、そんな、情報公開室まで来ていただかなくてもすぐ出ますから、国会に出しますよと言われて、きょうのきょうになっても出てこない。私の、まだ三十日判定というのは出ていませんから、わからない。ということでかぶせかぶせになっている、その場しのぎのお言葉だけが返ってくるということなんです。
 私は、あえてお伺いしますけれども、おわびをどういう形であらわされるのかということをお伺いしたいんです。
中谷国務大臣 まず、情報公開につきましては、請求をされた方々のプライバシーの問題がございます。開示請求によってプライバシーが損なわれないような形で、どのような形で開示ができるかという点について現在検討をいたしているところでございます。
 リストに記載された方々には、大変御迷惑をかけた点について、この報告書の発表の場、また国会の場、本当に心から反省をいたしておりまして、申しわけないとおわびを重ねて申し上げたいというふうに思っております。
北川委員 口でのおわびというのが本当に簡単だというのを、今何度も何度も言われているのを聞いていると思うわけですね。
 なぜならば、これは新聞で黒塗りで出されました。そうしましたら、本当にこれを見ただけで自分だとわかる方が防衛庁に電話をされた。自分の情報がもう新聞社にえらく渡っているじゃないかということで言われた方があった。そうしたときの防衛庁の対応というのが、ただいま調査中なのでということで、この電話をした当人の受け付け先も聞こうとしないで切ってしまったという現実があったということなんですね。
 まあ、その当時だから混乱していたということを言われるのかもわかりませんけれども、口で言うおわびはすごく簡単で、そのときにどう対応していくのか、目の前に、私が被害者ですよと言われた方への対応をどうするのかというふうにお伺いしているわけです。
 では、まず片山大臣の方にお伺いしたいんですけれども、この被害者、防衛庁長官が口でおわびをされた方々に対しては、先ほど私はあえて言わせていただきましたように、三佐のリストという、かなりいろいろなリストをつくっていたであろうと予想されるわけですが、たまたま出たのがあれだけということなのかもわからないということで、この十三条に基づいての開示請求はできますか。
松田政府参考人 海幕三佐のリストでございますが、防衛庁の報告によりますと、個人情報ファイルに該当するものであるということでございます。
 ただ、現行法におきましては、この個人情報ファイルとして保護の対象にはなりますけれども、開示請求の対象になります個人情報ファイルにつきましては、一定の制限がございまして、総務大臣へ事前通知をする、その対象になりますものが開示請求の対象になるわけでございます。それには要件がございまして、一定の数の個人情報がそこに盛り込まれていないといけないというようなことがございます。
 海自三佐の情報は、百四十二名とかいうことでございますのでこれには該当いたしませんので、開示請求の対象にはなりません。
北川委員 包括的個人情報保護のときの問題で、五千件なのか一万件なのか二千件なのか、それも聞いた人によって言い方を変えていく。そして、国会、議員の皆様の議論においてその数は決まるでありましょうという答弁等々がされていくわけですけれども、これは、千人というのがリストというふうに限定されていますから、千人に満たないわけですよね。千人に届かない。百四十二名なので、今局長の御答弁は、いや、開示請求してもらっても出ませんよとおっしゃっています。
 では、被害者はあとはどういう道があるんでしょうか。
 いろいろな意味での人権侵害、そして常々、だれだれの何々、だれだれの何々といったときに、その人はここの国会の審議の中でも幾ばくか例として挙げられましたよね。ああ、私のことまた使って言われている、ただ情報公開を申請しただけなのに何で私のことがこう勝手に使われていくんだろうという形になっていく。
 それは小さなことではないかというふうに思っていらっしゃると思うんですが、そういうことではなくて、この被害者の人たちに対してどういう救済をするかということがない限り、また過ちは繰り返していくというのがすべての世のありさまでありますので、これは千人に満たないリストだから法令上仕方がないんだとおっしゃっていますが、この方たちはあとはどういうふうにできるんでしょう。あとは国賠訴訟しかないという形になるんでしょうか。いかがでしょうか。
松田政府参考人 現行法におきましては、先ほど申し上げたような開示請求の対象ファイルは事前通知の対象になっているものということで、今はそういう開示請求ができないわけでありますが、新法になりますれば、すべての個人情報につきまして開示請求が原則として認められ、かつ、内容が間違っておれば訂正請求、さらに利用がおかしければ利用停止請求ということで、国民の権利が守られていくということになるわけでございます。
 現行法におきまして、先ほど申し上げましたように保護の対象にはなりますので、その保護違反ということで、今回、防衛庁の方におかれまして厳正な処分がなされ、また、取り扱いにつきまして遺憾の意が表されているというふうに承知いたしております。
北川委員 またゼロから、一名から個人情報保護だというふうな立場を新法ではとられるということをあえて言われたのかどうか、私はちょっと検証できませんが、そうすれば包括的個人情報保護も、五千件、一万件、二千件という言い方じゃなくて、リストというのは一からですよというふうになるので、その問題はすごく包括的個人情報保護の問題を見るときにもかかわってくる問題なので、今あえて言葉しのぎで言われたと思うんですが、新法はできてないわけで、今、現行法にのっとってしかできないわけで、その遡及的なところに立ち戻るわけでもないわけですから、では、どうしていただけるのですかと。
 先ほど、それぞれの金額、どれぐらい弁償されたのか、謝るためにお金であらわしたのが、六十七万とか三十二万、十三万、五十三万、二十二万と出ていました。当の三佐は言えないと。そして私は、この方、上司のというか大枠の防衛庁の意思として人事配置があった中で、自分に与えられた仕事を真っ当にやったらこんなふうになったというのはすごくかわいそうだなという気がするので、この方自身が本当に幾ばくのお金での弁済というものをされたのかどうか。
 でも、これは検証できないわけですが、国賠訴訟を起こそうと思えばこんな費用じゃ済まなくなるわけですよ。時間とお金をすごくかけなければいけなくなる。そういうことに対して何ら謝罪の気持ち、そして事の大きさの問題、個人というのは一人から始まるといった事実が、残念ながら、防衛庁が国益といったことをお守りになる省庁であるということは認識しております。そして、与野党間の中で関心を持っている議員には多くの働きかけの時間を割いているということも、きょう午前中の時間でわかりました。
 だからこそなんですね。国益の中に一人の国民、一人の市民という見え方が防衛庁という省庁ができるのかどうかといったことが、ある意味大きく問われている問題である。だからこそ、一カ月間も紛糾したんだと思うんですが、その辺で、今の総務省とのやりとりの中で、中谷防衛庁長官、この百四十二人で済むかどうかまだわからないわけですが、こういう被害者の方々への救済、防衛庁として一人の市民が見えるのかどうかといった点からも、どう救済されていこうとしているのかをもう一度お伺いしたいと思います。
中谷国務大臣 私の就任のときの一番大きな方針といたしまして言いましたのは、国民に対して温かい自衛隊をつくっていきたいということでございます。誠心誠意努めてまいりましたけれども、情報公開の点におきまして、国民の開示請求された方々のプライバシーが守り切れなかったという点に対して、心から深くおわびを申し上げますし、もう二度とこのようなことがないように全力で取り組みたいと思います。
 お一人お一人に対するおわびにつきましては、お手紙を出すというのも一つでございますけれども、これまた干渉されたくないとか、勝手に名前を使われたとかいう批判が出ようかという可能性もございます。したがいまして、この公の場をもちまして、心から深く深く開示請求によって御迷惑をかけた方々におわびを申し上げますとともに、もう二度とこのようなことが起こらない体制を築いていきたいと深く心に誓いまして、心からのおわびの言葉とさせていただきます。
北川委員 これがテレビ中継がないものですから、その多くの方々へどれだけ伝わるかといったこともありますし、口でのおわびといったことをどう形にあらわすのかといったことが本当に難しいわけで、みんな真剣に考えてきているわけですね。これは、一つはその方々、被害者の人たちへの問題。
 そして、これが開示、非開示の判断的基準に使われていたのではないか。こういう時間と労力を使って何のためにやっていたのかというのが、私がすごく大きく疑問に思っているところなんですね。何のためにこういうことをしたのかというところに行き着くわけですけれども、そこで、口頭で多少幾ばくかのリストの内容を幕僚長に説明したこともあったというようなことも言われています。
 それで、私が事前に、なぜ迅速かつ的確に行政文書の特定を行うために開示請求者の背景を知ることが有効なのかというふうな質問をしましたら、こう返ってきました。情報公開業務において、開示請求者がどのような行政文書を要求しているのか明確でない事例が多いことから、A三等海佐としては、開示請求者の背景を知ることにより、当該請求者が開示請求しようとしている行政文書の特定を迅速かつ的確に行うことが可能になるのではないかと考えていたものと承知しているというふうに返ってきているんですが、三等海佐は、開示請求者の背景と行政文書の特定とがなぜ結びつくんですか。
 例えばアメリカは、情報公開制度は第三者機関がやって、個人の名前とか住所、電話番号なんというのは、その行政省庁、開示を要求された省庁は知らないわけですよ。第三者機関が請け負って情報公開制度というものがスムーズにいく。だから、日本に住んでいる私たちも、文書で向こうに送れば、ある第三者機関が受け付けて、相手の省庁に問い合わせをしてきて、開示、非開示が決まって、開示が決まったものは郵送でも私たち日本に住んでいる者にも送り返してくれる、そういうシステムなんですね。
 先ほども、プライバシー保護や情報保護の問題においては第三者機関が、特に国のものの情報に関してはやらなければいけないというのが世界の趨勢になっているというのを御紹介したんですが、なぜなんですか、開示請求者の背景を知ることと的確に行政文書の特定を行うこととがどうリンクするわけですか。私はここが少しもわからない。なぜなのかということなんですね。
 それで、今後、受付番号のみでやるというやり方を防衛庁の情報公開システムの窓口ではやり切るというような形を何らか模索されない限りは、以降、絶対起こしませんということはあり得ないという気がするわけですね。
 なぜこの三等海佐は開示請求者の背景を知ることが行政文書の特定に当たるというふうにみなして、それを受けとめていく防衛庁というのはどういう考え方、どういう組織なのかというのをまずお伺いしたいと思います。
中谷国務大臣 今後の情報公開のあり方については真剣に検討はいたしておりますが、ぜひ皆様方からもお知恵をいただきたい点は、窓口業務ということで、私も現場におりませんのでわかりませんけれども、申し込まれた方に対するより親切なサービスとして、的確にその文書を割り出すということにつきましては、単にお名前とか連絡先、それから記載された項目では十分わかり得ない場面があろうかと思います。
 例えば、中東問題というふうに書かれて、防衛庁で中東問題に関する資料は膨大な資料があって、では、中東問題のどういった点のどこが要るのか、そして、その方々がどういう職業の方でどういう観点で情報を知りたいのか、こういうことも知るとさらに文書が特定できるわけでございまして、そういう意味で、現場の窓口業務としていかなる範囲でそういったことをお尋ねしていいか、これは大変悩むところでございます。
 しかしながら、いただいた個人情報につきましては、絶対に不適な、不当な目的に使ってはならないわけでございまして、こういう観点におきまして、国民、開示請求をされた方々にいかに誠実に取り組まれる窓口業務ができるかということにつきましては、真剣に考えなければならないと思っております。
北川委員 多分、中谷防衛庁長官は、御自分で窓口に行って情報公開請求をしたことがないからそういうふうにおっしゃるんですが、それは、窓口業務、五名がローテーションを組んで、月曜から金曜の九時から五時ですか、いらっしゃるというふうにおっしゃっていました。その方たちが大体特定できるように聞いているわけですよ。それを、そのお部屋から歩いて三分か四分ぐらいの、同じフロアの、同じ階の海幕の情報公開室の三等海佐であった彼がリストをつくる必要なんか全然ないわけですよ。彼のところで別に、開示請求、例えば私が求めているようなものにしても何にしても、今の中東問題にしても、彼が情報の簿冊を持っているわけではなくて、各中東の簿冊を持っている方に聞くわけですよ、情報公開の窓口のその五人のローテーションをしている彼らが。
 ですから、はっきり言って、海幕の情報公開室というのはすっ飛びのところなんですよ。関係ないわけです。関係ないところに九名もいて、いろいろ情報の保全、収集に精通した人を配置していたということで、本当にこれが情報公開室だったのかなというのも、私はあそこにお伺いすると、何かあえて取ってつけたみたいに、名札もべたっと、まだ紙で張ってあったんですよ、二年前の新しい新庁舎だとおっしゃっていた割には。これは、情報公開室という名前は名前だけれども、陸海空ですよ、何をしていたところだったのだろうということも大きな疑問として残りました。
 だから、担当の課は、その課の人たちが自分で、情報公開の窓口から言われたら、きっちり特定できるようにまたもう一遍それとやり合うわけですから、大体窓口ではそういうことをだんだん学んでいきますから、大体特定するように聞いていきますよ、どういうものをあなたが要求しているか。ということになると、請求者の背景など必要な余地というのはほとんどない。それが情報公開システムの一番いいところで、先ほど吉井議員も聞かれていた何ぴともということなんです。だから、あえて言えば、偽名であっても、個人が歩いて、人間が歩いていって、そこの窓口に行って要求すれば出していただかなければいけないものであるわけですね。あえて言えばですよ。
 そういうものを、なぜ特定の個人としての背景を割り出していくのか。ましてや、膨大な形でのリストの組み方をつくっていた、マッチングしていたといった問題では、きょうの謝っていただくような形で、そしてこれからもう二度と起こらないようにしますといったことではなかなか納得できない。
 それと、非開示それから開示の状況判断においてこの防衛庁リストをもって説明したということに関しては、どのような見解をお持ちなんでしょうか。
中谷国務大臣 まず、情報公開の窓口業務の仕組みでありますけれども、防衛庁という組織は、内局があって陸海空幕があって、全体に二十五万人近くいる大組織でもありますし、また、やっている内容も、国際問題から国内問題、また、裁判所掌とか、大変幅広いわけでございます。そこで、海上自衛隊に関する開示請求につきましては、その担当として海上幕僚の所管する情報公開室に参りまして、そこでいろいろと連絡をとって処置をするわけであります。
 そういう業務をする中で、この三等海佐が、今後の開示請求状況の分析を行う上で活用できるかもしれない、また、全体の開示請求のデータを把握することによって海上自衛隊に対する開示請求を予想するのではないか、また、どのような文書を要求しているのか明確でない事例が多いことを踏まえて、開示請求に対して迅速また的確に文書の特定を行うために背景を知ることが有効ではないかというような観点で拡大をしていったわけでございまして、実際の業務をする中で、彼としては、行き過ぎた、あってはならないことになってしまったわけでありますが、現実の情報公開の業務の中で、この三等海佐が述べたところによりますと、事実としてはこういう経緯で起こってしまったということでございます。
北川委員 すごい思い過ごしてしまうというか、この人がまた次にここへ行くんじゃないだろうか、またこの人が来るんじゃないだろうか、またこの人がということでどんどん膨らんでいって、彼はこういうのがあったら防衛庁にとっては有効という判断をされたということです。
 そこで、きょうは福田官房長官の方にもお越しいただいておりますので、今までの、総務省片山大臣の御答弁、そして中谷防衛庁長官の御答弁を聞かれていまして、私は、情報公開の室なり情報公開のそういう法律をとり行うところというのは、内閣府へ持ってきた方がまだ第三者的に機能するのではないかという立場をとっている人間の一人であるわけですね。
 旧内務省ぐらいな力を持っている総務省という状況の中で、なかなか、情報公開に至っても、先ほどの調査をするといっても、何らかの形ですり抜けることを考えるということで、今までお聞きいただいておりまして、福田官房長官の方にお伺いしたいのですが、内閣府の方へ機能を持ってきて第三者機関でやるという形をもう一度考えてみようというふうにはおなりにならないかどうか。
 今の問題、個人というものが、もう請求の段階で、個人名と住所と電話番号を書けば何らかの背景が探られてしまい得る一番象徴としての防衛庁を見ていただきました。総務省がありまして、また後いろいろな省庁が出てくると思うのですが、いかがでしょうか、内閣府に機能を移すということに関しての今時点でのお考え、この一カ月間でお考えになったこと。
 なぜならば、福田官房長官は、当初に違法性が高いと一番言ってくださった方なので、あえてお伺いしたいと思います。
福田国務大臣 この情報公開制度は、今までいろいろお話ございましたけれども、やはり、行政の透明性を確保するという意味においても適正に運営されていかなければいけないということであります。
 そういうためにどういうところでこれを所管するかということでありますけれども、内閣府に置くのも一案かもしれませんけれども、所管を移せばすべてうまくいくということでもないとは思います。
 したがいまして、これはまた今後いろいろと検討する場面もあるかもしれませんけれども、今総務省でもって所管をしている。そしてまた、この情報公開審査会というものは、これは内閣府に置く、こういうことになっておりますので、今委員の御要求のありましたことについてはその分でカバーできるのではないかというようにも思っているところでございます。
北川委員 今の審査会があるからということなんですが、それの不服申し立ての期限に関しても不服を持っている人が多い。二年もほったらかしにされている方が、現実に、私のところに、二年もほったらかしにされているよと。それも、情報公開の申請の回数がふえればふえるたびに何か開示が遅くなっていくということを、今回の問題も含めて考えてみて、自分はもしかしたら何回も請求しているからこういうふうな扱われ方をするのかな。ましてや、不服申し立てをしても二年間もほったらかしにされているという方も現実に存在としているよということを教えていただきましたし、福田官房長官のは、やはり甘いなというか、情報公開制度をどう国として成熟させていくかといった問題の中で、以降絶対起こしません、同じような間違いを起こしませんというふうに言われているけれども、行政マンがかわるわけですよ。
 私は、内閣府に看板だけすげたらいいんじゃないですかということではなくて、総務省の中で、やはりいろいろな権益を持っている方がいます。自治省の方々、行政管理庁、省庁の統廃合をされる前の方々の考え方、いろいろな考え方の方が含まれているわけで、その権益を広げたい広げたいと思う人たちの中で情報公開制度というもののありようをめぐるよりは、内閣府といったところへ持ってきた方が直結できるというふうに思いますし、あえて言えば、本当に八千万人ほど、十代も請求できるからもう少しふえるかもわかりませんけれども、そんなに多い件数ではないのをかなり遅く遅く審査をしていっているという実態を、私も以前取り上げさせていただきました。
 私自身は、なぜ内閣府かといえば、どこの省庁からも等距離で物事が見れるし、一番初めに違法性が高いと明言された官房長官がいらっしゃる、そういう機能を持っているところであるからということをあえてお伝えしているわけですので、ぜひ、それは検討の余地があるぐらいのことの御答弁をいただきたいと思うんですが、いかがでしょうか。
福田国務大臣 御意見は御意見として承りますけれども、例えば不服審査が時間がかかるとかいうようなことは、これはこれでもって早める努力はしなければいけないというように思っております。
北川委員 そうですよね。情報というのは早くというのがあります。それを遅く出すことで、何ら後生きない情報として手に持ってもしようがない。私のこの百四十一人のリストで生データを申し込んだんですが、それがいつ出てくるのか、とても気にかかるところなんですけれども、少しまだ時間がありますので、この報告書の中で……
大畠委員長 時間になっております。
北川委員 では、手短に。済みません。
 私は、この六ページで、先ほども出ていたんですけれども、このA三等海佐が同じ海幕調査課情報保全室のH二等海佐に開示請求者リストを手渡しているその月日がすごくおもしろいんですよ。四月から飛んで十一月、十二月、二月、三月となっていく。
 去年、九・一一というのがありました。だから、四月から十一月まで、十月まででも情報開示というのはずっと件数はコンスタントに、防衛庁を見るとあるんですよ。百九十二件から始まって、四十六、百九、百九十七、六十とか百十五とか、毎月大体コンスタントにあるのに、彼はこの四月から十一月まで、海幕調査課情報保全室のHさんに渡すときにあいていたわけです。十一月からはコンスタント。これは九・一一がすごく影響したのではないかという点と、やはり組織的な意向を受けていたからこういう形で渡すという月日になっていたのではないかというのをお伺いしたいと思います。
大畠委員長 それでは、これが最後の質問でありますので、簡潔に答弁をお願いします。
宇田川政府参考人 最初に、十三年の四月にH二等海佐に渡したのはこれが初めてでして、役に立つかという昔の仲間意識で渡しただけのようであります。その次、延びていますのは、やはりいろいろ、九・一一とかテロがあって役所全体が忙しくて、その間、間があいたというふうなことを本人は言っております。
北川委員 どうもありがとうございました。


2002/06/26-3

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