平成15年4月17日 衆議院提出 戻るホーム目次

安全保障基本法案

自 由 党

   (目的)
第一条 この法律は、日本国憲法の平和主義及び国際協調主義の理念を踏まえ、国の防衛並びに国際の平和及び安全の維持に関する国際協力に関し、基本理念その他の基本となる事項を定めることにより、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つとともに、国際社会の一員として国際連合を中心とする国際の平和及び安全の維持のための努力に積極的に寄与することを目的とする。


 (基本理念)
第二条 国の防衛に関する施策は、我が国の平和及び安全の維持を図るため、外交努力による国際的な安全保障環境の安定の確保及び国内社会の安定による安全保障基盤の確立のための施策とともに総合的に講じられるものとする。

2 国の防衛に関する措置は、防衛力が国の崇高な使命である安全保障を最終的に担保するものであって、その機能は他のいかなる手段によっても代替し得ないものであるとの国民の共通の認識の下に行われるものとする。

3 国際の平和及び安全の維持に関する国際協力は、これを行うことが国際社会の一員としての我が国の責務であること並びに我が国の平和及び安全の維持を図る上で国際の平和及び安全の維持が不可欠であることにかんがみ、積極的に行われなければならない。

 (自衛権の発動としての武力の行使)
第三条 自衛権の発動としての武力の行使は、我が国に対して直接の武力攻撃があった場合及び我が国周辺の地域においてそのまま放置すれば我が国に対する直接の武力攻撃に至るおそれがある事態が生じた場合に限り、これを行うことができる。

2 自衛権の発動としての武力の行使は、自衛隊がその任に当たるものとする。

 (重大緊急事態への自衛隊の対処)
第四条 前条第一項に規定する場合のほか、国及び国民の安全に重大な影響を及ぼすおそれがある緊急事態が発生した場合において、一般の警察力をもっては対処することができないときは、自衛隊が公共の秩序の維持に当たるものとする。

 (防衛力の整備)
第五条 政府は、第二条に規定する基本理念にのっとり、我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、国防のための組織の整備その他の防衛力の整備を適切に行わなければならない。

 (アメリカ合衆国との防衛協力)
第六条 政府は、日本国とアメリカ合衆国との間の相互協力及び安全保障条約が我が国の平和及び安全の維持に重要な役割を果たしているものであることにかんがみ、同条約に基づき、アメリカ合衆国と緊密な防衛協力を行うものとする。

 (国際の平和及び安全の維持又は回復を図るための活動等に対する協力)
第七条 我が国は、国際の共同の利益のため必要があると認めるときは、国際連合の総会、安全保障理事会若しくは経済社会理事会が行う決議又は国際連合、国際連合の総会によって設立された機関若しくは国際連合の専門機関若しくは国際移住機関が行う要請に基づいて行われる国際の平和及び安全の維持若しくは回復を図るための活動(武力の行使を伴う活動を含む。)又は国際的な救援活動に積極的に協力するものとする。

2 前項に規定する活動に対する協力は、国際法規及び国際連合の定める基準その他確立された国際的な基準に従って行われるものとする。

 (国際連合平和協力隊の創設)
第八条 前条第一項に規定する活動のために我が国が実施する業務を行うため、別に法律で定めるところにより、常設の組織として、防衛庁に国際連合平和協力隊を置く。
2 国際連合平和協力隊の任務、組織、施設、隊員の教育訓練その他国際連合平和協力隊に関し必要な事項については、別に法律で定める。

 (法制上の措置)
第九条 国は、この法律の目的を達成するため、必要な関係法令の制定又は改正を行わなければならない。


 附 則

この法律は、公布の日から施行する。


 理 由

我が国の平和と独立を守り、国の安全を保つとともに、国際社会の一員として国際連合を中心とする国際の平和及び安全の維持のための努力に積極的に寄与するため、日本国憲法の平和主義及び国際協調主義の理念を踏まえ、国の防衛並びに国際の平和及び安全の維持に関する国際協力に関し、基本理念その他の基本となる事項を定める必要がある。これが、この法律案を提出する理由である。


戻るホーム目次