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平成8年10月28日

 新党さきがけ
 政策調査会長 水野誠一 殿

自治省行政局選挙部選挙課


 平成8年10月2日付け<回答願>について以下のとおり回答します。


 Aの1  公職選挙法第142条の合憲性については、昭和39年11月18日最高裁判 所判決等により、同法第143条の合憲性については、昭和30年4月6日最高 裁判所判決等により、それぞれ確認されております。


Aの2(a)  公職選挙法の「文書図画」とは、文字若しくはこれに代わるべき符号又は象形 を用いて物体の上に多少永続的に記載された意識の表示をいい、スライド、映画、 ネオンサイン等もすべて含まれます。したがって、パソコンのディスプレーに表 示された文字等は、公職選挙法の「文書図画」に当たります。


 Aの2(b)  公職選挙法の「頒布」とは、不特定又は多数人に文書図画を配布することをい い、従来より、文書図画を置き、自由に持ち帰らせることを期待するような相手 方の行為を伴う方法による場合も「頒布」に当たると解しております。また、 「掲示」とは、文書図画を一定の場所に掲げ、人に見えるようにすることのすべ てをいいます。したがって、パソコンのディスプレーに表示された文字等を一定 の場所に掲げ、人に見えるようにすることは「掲示」に、不特定又は多数の方の 利用を期待してインターネットのホームページを開設することは「頒布」にあた ると解しております。


 Aの3  公職選挙法の「文書図画」の解釈は、Aの2(a)のとおりですので、文書図 画として同法第201条の13の規制を受けますし、更に、立札及び看板の類と しての態様において用いられれば、同法第201条の5の規制を受けます。  政治活動とは、一般的抽象的には、政治上の主義若しくは施策を推進し、支持 し、若しくはこれに反対し、又は公職の候補者を推薦し、支持し、若しくはこれ に反対することを目的として行う直接間接の一切の行為をさすということができ ますが、公職選挙法にいう「政治活動」とは、上述の一般的抽象的意味での政治 活動のうちから選挙運動にわたる行為を除いた行為であると解されております。 したがって、選挙運動にわたる政治活動は、公職選挙法においては、政治活動と しての規制ではなく、選挙運動としての規制を受けることとなります。なお、公 職選挙法にいう「選挙運動」とは、「特定の公職の選挙につき、特定の立候補者 又は立候補予定者に当選を得させるため投票を得又は得させる目的をもって、直 接又は間接に必要かつ有利な周旋、勧誘その他諸般の行為をすること」と解され ております。



 B  具体的事案については時期、態様により判断すべきでありますので、一般論と して回答させていただきます。  1、2については、明確な投票依頼の文言がある場合はもちろん、選挙に立候 補する旨、選挙区、選挙の公約等特定の選挙と結びつく記述をした場合において は、選挙運動と認定されるおそれが強いものと考えます。また、選挙と結びつく 記述がない場合においても、選挙運動期間中に新たに公職の候補者の氏名を表示 する場合には、公職選挙法第146条又は第201条の13の規制を受けます。 また、3については、

 a 一般的には、直ちに選挙運動に当たるものとは思われません。

 b 刑法の一般原則に係る問題ですが、行為地又は結果発生地の一部が国内であ れば、国内法の罰則が適用されることとされております。

 c 投票依頼であれば、選挙運動に当たります。

 d 一般的には、直ちに選挙運動に当たるものとは思われません。

 e・f 演説会の内容が不明ですので、お答えは控えさせていただきますが、上 記1、2についての回答によりご理解下さい。

 g 公職選挙法第138条の3に違反するおそれがあります。  「人気投票」とは、通常、葉書、紙片等に調査事項を記載する方法によるもの をさしますが、必ずしもその方法のみに限らず、その形式が投票の方法と結果的 に見て同じである場合は、すべてこれに当たります。なお、世論調査という用語 は、公職選挙法上の用語ではないので、当省としては、その用語を解釈する立場 にございませんが、調査員が被調査員に面接して調査をした場合は、公職選挙法 上の「人気投票」には当たらないと解しております。

 h 「散布」には当たりません。

 i 一般的には、「放送」には当たらないと考えています。


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