2000年3月19日 戻るホーム憲法目次

「憲法調査会」について

 国会法を改正し第11章の2を追加することによって、衆、参両院に「憲法調査会」が設置され、今通常国会からスタートした。

 衆議院は中山太郎会長、参議院は村上正邦会長、いずれも自民党である。委員数は、衆は50人、参は45人、会派の人数で比例配分される。

 国会法第102条の6は「日本国憲法について広範かつ総合的に調査を行うため」と定めている。これは調査会の目的を定めると同時に、その権限を定めたものと考えられる。つまり調査会の権限は、調査を行うだけで、国民投票法案や国民投票にかける憲法修正案を審議する権限はない。このことは、法改正時の議院運営委員会の申し合わせでも確認されており、さらに申し合わせで調査期間はおおむね5年を目途とすることも確認されている。

 運営については、両院とも「憲法調査会規程」を定め、それに従う。両院とも幹事を選び幹事会によって運営方法が決定される。参議院では、「運営検討委員会」を設け、幹事会へのたたき台を作る。 私は、参議院のほうの民主党出身の幹事。すでにスタートから1ヶ月半。調査会はおおむね隔週に開いている。

 これまでのところ、衆議院では「憲法制定過程」につき有識者からの意見聴取と質疑を行っている。 参議院では、まず2回調査会の進め方等につき委員間の自由討議を行った。ついで3回目は、有識者から歴史や文明史等を交えた幅広い意見を聴取する方式で、まず正村公宏教授らをお願いしている。第4回目は「学生と語る憲法調査会」と題し、公募で学生からの意見聴取を行う。これは調査会の論点整理に役立てる。

 委員の立場は、改憲が自民党と自由党、護憲が共産党と社民党、論憲が民主党と公明党と分類できよう。しかしその内容はさまざまで、今後の動向はまだまだ流動的と見たほうが良い。

 改憲の主張は、前文、第9条、人権条項、統治機構等すべてにわたり、内容も千差万別。護憲は現実を憲法に合わせよというもの。

 論憲の主張は民主党の立場に要約される。民主党は昨秋、党内に鳩山代表に直属し、鹿野道彦氏を会長とするする「憲法調査会」を設置した。私はその事務局長でもある。

 私が取りまとめ、衆参の第1回調査会で表明された民主党の意見を要約すると、(1)あらかじめ改憲、護憲の立場を定めず、「21世紀の『この国のかたち』を構想する立場から、あらゆる問題について議論をしていく、(2)憲法制定過程に問題があるから憲法改正をすべきであるとの立場はとらない、(3)各界の代表・碩学をお招きして、『20世紀の総括と21世紀の展望』について議論するといったことになる。

 憲法を「不磨の大典」とし、半世紀を経ても議論もしないというのでは、やはり社会が思考停止と知的退廃に陥る。世界の歴史や各国の論議も踏まえ、地球憲法とも繋がる、新しい時代を展望した議論をしたい。


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