河田英正の主張

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2002/03/22 司法試験塾の功罪

日本では,司法試験受験塾の弊害が問われ,ロースクール設立の一つの理由とされました。

アメリカでは,今年1月16日におきた小規模で歴史の浅いロースクールで5人が射殺される忌まわしい事件が発生しました。7年前のノースカロライナでの事件と同様のものであったようで,ロースクールでの教育の在り方について新たな論議を呼んでいます。

ロースクールができると司法試験塾はなくなるでしょうか。誰でも考えるとおり,ロースクールができても塾は生き残ります。ロースクールのあるアメリカでも「Pass the Bar Exam the First Time」などという塾のコマーシャルが法律雑誌に掲載されていました。また,各ロースクールが夏季セミナーなどを競って参加募集をしています。

一方,日本の塾も大学の法学部がやってこなかったどのような法曹をめざすべきかなどを考えさせるセミナーを積極的にしている塾があります。そこでは,合格した後も法曹像を考える法律事務所訪問,法と現実の社会の関係などを考える沖縄基地見学などの企画を提供しています。「塾」は合格技術だけを教えるところというステレオタイプの批判はあたらないでしょう。

問題は,ロースクールのカリキュラムに何を盛り込み,どのようにそれを評価することができるシステムをつくりあげるかだと思います。どこがロースクールをつくるかという議論よりもどんなロースクールにするのかの議論をもっと必要としています。アメリカと同じような悲劇を生まないために。


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