河田英正の主張

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2001/07/31 小泉首相の靖国参拝は違憲

憲法は国家と宗教との関係に関して異常なほどに念入りに規定している。思想及び良心の自由(19条)の規定に重ねて信教の自由(20条)の保障規定をいれ,さらに国家が宗教上の組織もしくは団体に関わることを厳しく制約している(89条)。ここまで,慎重に規定したのは,戦前,神社は宗教ではないといって神社への参拝を国家が強要し,国家によって軍人を靖国神社に祀って,戦争へ駆り立てていったことへの反省があったからで,二度とこのようなことをしてはならないという強い決意のあらわれであったはずである。

それが,いまでは,またまた宗教とは違うと言いだし,参拝することを強行しようとしている。その行為は,正に憲法が実質的に禁止しようとしていた行為である。靖国神社が果たしてきた歴史的役割を理解できず,戦争の歴史認識を欠く人が国民の圧倒的支持を得ている首相であることが恥ずかしい。8月15日に本当に悼むべきは,靖国にさえ祀られることのなかった多くの国民の命ではないか。

「問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。後になって過去を変えたり,起こらなかったりするわけにはまいりません。しかし,過去に目を閉ざす者は,結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は,またそうした危険に陥りやすいのです」(1985年5月8日,西ドイツ大統領バイツゼッカー演説) 過去の自国の犯罪を反省し,歴史から学び取ることによって,平和な社会実現への展望を示した歴史的な演説です。小泉首相にこの想像力を期待するのは無理でしょうか。アジアの人々の痛みに想いを致し,ハンセン判決に控訴しなかったその勇気とやさしさで靖国への参拝は止めるべきです。


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