2000年1月16日 戻る目次

「新しい政府」を実現するために/SUMMARY


日本を「最良の国」にしたい
新・民主主義の実現と社会の再生


1.日本は、豊かな可能性を持つ国です。

 民主党は、日本と国民の可能性を信じています。日本には、長い歴史と豊かな自然があります。四季の変化に富むことで育まれた文化と伝統を有する魅力あふれる国でもあります。そして何よりも、この国には、世界に誇ることのできる勤勉で誠実な人情味あふれる人々がいます。民主党は、この優れた特性を生かし、国民と共に、二十一世紀の新しい日本、「最良の国・日本」を築いていきます。

 日本社会は、いま、長い不況と将来への強い不安から、黄昏時を迎えているのではないかとの声があります。日本はかつての元気をなくし、自信喪失に陥っているかのようです。確かに、「少子高齢社会の到来」「終身雇用制の動揺」「急速な情報社会化」「市場主義の蔓延」が国民生活の将来に不安をもたらし、これに「教育の荒廃」「モラルの崩壊」「猟奇的犯罪の発生」などが伴って、このままでは、社会の土台が崩れるのではないかとの不安も生まれています。

 いま最も必要なことは、「社会の再構築」です。自民党政府は、「経済の再生」を唱って、当面の景気対策を優先していますが、長期的には日本社会の基礎体力の衰弱そのものが課題となっています。民主党は、経済はもとより、この「社会の再生」にチャレンジすることが、いま政治に最も求められている課題であると考えています。
 「社会の再生」なくして、少子高齢社会に対応する社会サービスの確保も、市場社会や官僚世界に蔓延しているモラル・ハザードの防止も、教育再興も実現することはできません。民主党は、「強靱な社会の構築」を何よりも優先します。

 私たちがめざす社会は、個人の自立と確かなモラルに支えられた共同社会<コミュニティ>という基盤の上で、国民一人ひとりの自由な創造性が発揮される社会、すなわち「最良の国・日本」の実現です。世界に向けても、日本は、「最強の国」でも「最大の国」でもなく、文字通りの「最良の国」にならなければなりません。それは、世界の国々や人々から信頼され、世界と共に行動する日本となることです。
 何よりも、生活者の政党である民主党は、子どもを育てるのに最良の国、年をとるのに最良の国、仕事をするのに最良の国、そして、住み続けるのに最良の国をめざします。これが、私たちの「最良の国」の姿です。
 私たちは、国民と国民のエネルギーを何よりも信頼しています。時代の転換期に臨んで、社会の再生に向けて改革すべき点を大胆に変革する勇気を堅持し、国民に基礎を置いた新しい政府が樹立されるならば、日本は生まれ変わることができると思います。日本は、もっと良くなれるし、ならなければなりません。

 日本は、可能性に満ちた国です。古来、中国・朝鮮半島やオランダ、南東アジアなどとの交流を経て豊かな文化を築き上げ、近代においてもヨーロッパ先進諸国の文物を積極的に輸入しつつ日本文化に一層の厚みを創り出してきた国です。そこに流れているものは、「対立と排除の文化」ではなく、「融合の文化」「重ね合わせの文化」であり、いわば絶えずイノベーションを受け入れる「寛容で柔軟な文化」でありました。まさに、リベラリズムの源流を見ることができます。民主党は、この多様性に満ち、新しいものを受容する進取の気風あふれる「柔軟な文化」を糧に、その可能性を新しい時代に向けて切り拓くならば、必ずや世界にも誇れるすばらしい「最良の国・日本」を創造することができると信じています。


2.新たな千年紀は「新・民主主義」確立の時代です。

 民主党は、「市場万能主義」にも「福祉国家至上主義」にも与しません。なぜなら、前者は不公平を拡大し人々に不安と不満をもたらす弱肉強食社会に通じるものであり、後者は依存心を増長し個人の尊厳と自立した人格の破壊に通じるものだからです。もちろん、市場原理の機能は強く支持しますが、社会と政治の積極的役割についても重視しています。特に、市場主義と利己主義の行き過ぎは社会のモラル基盤を危ういものとし、不公正や不平等を放置するゆがんだ構造を創り出すことにもなります。私たちは、個人の選択の自由を広く容認しつつも、ルールを守ることや社会を支えるモラルを大切にする立場に立ちます。

 二十一世紀は、国際人権の世紀とも言われています。世界のどこであろうとも大量の人権侵害が繰り返されるのならば、国際的な規模でこれを防止し、その支援を行う時代です。民主党は、日本がそうした国際活動に率先して大きな役割を果たせることを望んでいます。国内外を問わず、人権や個人の尊厳が尊重される社会こそが二十一世紀の姿であり、私たちはそれを追い求めていきます。
 民主党は、個人の自由な選択が保障される社会の形成につとめます。それとともに、国民生活の安心と安全が守られるセイフティネットの整備に徹します。「経済には可能な限りの自由を、生活には最大限のセイフティネットを」です。「自由で安心な社会」の構築が民主党の基本目標なのです。
 民主党は、人と人、男と女、国と国、人間と自然等の間の「対等」「互恵」を基本に、「自立」と「共生」が織りなす「友愛社会」の実現をめざします。「自助」も「公助」も必要ですが、何よりも人々が互いに結び合い助け合う「共助」の世界を大切にします。

 そして、いま、二十世紀から二十一世紀への大転換期を迎えて、新たな千年紀に突入しようとしています。紀元の始まりから西暦一〇〇〇年までは、人類が自然を神としてそれに支配されてきた千年間であり、その後西暦二〇〇〇年までの間は、人類が神を畏れつつも自然を征服することによってその無限の開発欲を満たしてきた千年間でありました。新たな千年紀を迎えるに当たり、私たちは、支配でも征服でもなく、人類と自然が「共生」する、新しい時代を切り拓いていく決意です。

 これらの基本理念を形に変えるため、民主党は、新しい政治手法として、「新・民主主義」の確立を提唱します。政府にすべてを依存し、行政の対象者として位置づけられた受益者民主主義や請負型民主主義を脱却し、義務よりまず権利が先行するという戦後民主主義の弱さを克服して、人々が共に支え合い、すべての分野で「国民一人ひとりが主役となって自ら参画し責任を負う新しい民主主義」に挑戦します。

 以上の考えに立ち、私たちは、次の五つの課題に挑戦します。

  1. 民主党は、「分権連邦型国家」と「情報公開の徹底」による「新しい民主主義」の形成に挑戦します。

     省庁改革に際して、自民党は分権改革を実質上後回しにし、曖昧な権限移譲策で乗り切ろうとしています。しかし、民主党は、二十一世紀の日本の姿は、「分権連邦型国家」でなければならないと考えています。なぜなら、地域の自己決定と自己責任がない社会は、依然として官僚依存政治の存続を意味するからです。このままでは、政治の質は一向に変わらないことになります。
     民主党は、中央政府の役割を限定し、地域に自主性と財源を持たせる分権改革を断行します。自治事務の飛躍的拡充とともに、国と地方の税源配分が一対一となるよう改正します。これによって、多様なNPOなどのネットワーク活動が自治を担う新しい政治が誕生します。地域のことは地域が決定する社会が生まれ、自己決定する個人が横に連帯して、一人ひとりが参加し責任を持つ新しい民主主義が実現することとなります。
     民主党は、すべての分野における「情報公開」こそがこれからの日本に最も必要なことだと考えます。国民の知る権利に基礎を置いた情報公開の徹底があって初めて民主主義が十二分に機能し、国民の自由な力が発揮できます。分権改革と情報公開の徹底は、まさに、新・民主主義革命にとって不可欠な条件なのです。

  2. 民主党は、男女共同参画社会を通じた「福祉」と「労働」の再構築に挑戦します。
     
     年金や福祉サービスの確立は、国民生活の安心の土台となるものです。私たちの政府は、これらのセイフティネットの確立に何よりも優先して取り組みます。基礎年金については税方式を基本に改革し、介護や子育てなどの各種の社会サービスや給付制度、そして参加制度を統合的に捉えた「社会保障制度の再構築」を推し進め、国民生活の安心を確保します。それとともに、人々と手を携えて福祉を支える新しい社会のかたちを作り出していきます。
     特に、二十一世紀の人権時代や共生原理にふさわしい新しいライフスタイルと生活をかたどる男女共同参画社会の創造に取り組みます。
     大量の失業と雇用不安を放置する政府は、「責任ある政府」と言えません。雇用の開発と雇用機会の均等な保障は、社会の責任であり、政府の基本的任務です。民間による職業仲介事業や労働者派遣事業を明確なルールの下で拡大し、子育てや介護と両立できる新しい働き方や「やり直しのきく社会」の確立を強力に支援して、働くことを望むすべての国民にその機会を保障する「新しい完全雇用」社会の実現をめざします。

  3. 民主党は、「人材立国」と「コミュニティの再生」に挑戦します。
     
     豊かな人材の形成は、国の基礎でもあります。学校荒廃や学級崩壊はもとより、学力水準の著しい低下は、社会と国の基礎体力を衰弱させる道に他なりません。教育改革を断行し、新しい時代にふさわしい豊かな人材の育成を支援します。焦点の「学校改革」については、特にコミュニティの力が必要です。学校経営の自主的運営をコミュニティに委ねて、画一的中央統制から解放します。また、大学の改革にチャレンジし、新しい時代を担う優れた人材の育成支援につとめます。
     少年犯罪や非行、極端な利己主義、大人社会を含めたモラルの低下、依然として根強い官僚依存体質を克服するためには、何よりも強スな社会の再生が必要です。また、多様な福祉サービスのネットワークを確立するためにもコミュニティの再生が不可欠です。民主党は、これら「社会の再構築」を力強く訴えかけ、挑戦していきます。

  4. 民主党は、「インフレなき持続的経済成長」と「財政規律」の実現に挑戦します。

     民主党は、従来型の公共事業ばらまきの公共投資から福祉・情報関連中心の新公共投資への大胆な転換を進めます。それによって、当面の景気対策はもちろん、市民生活や環境保護と両立し、かつ起業家活動が活性化する「新しい成長軌道」の実現に辛抱強くチャレンジします。社会的不公平の拡大と様々な歪みをもたらすインフレ政策を回避しなければなりません。大切なことは、持続可能な市場経済の確立であり、私たちはそれにつとめます。
     現政府は、景気対策を理由に構造改革先送りの財政ばらまき政策を次々と繰り出しています。これは、財政責任も曖昧にしたまま、将来世代に多大な債務を積み残すものでしかありません。私たちは、景気の回復なくして財政の再建はないと考えますが、同時に、歳出構造の改革なくして経済の活性化もあり得ないと考えます。無駄な公共投資や特殊法人の整理を計画的に進め、二十一世紀の日本に必要な新しい社会資本の整備に集中的な投資ができるよう、効率的で規律ある財政の確立につとめます。

  5. 民主党は、「平和創造国家」と「アジアの中の日本」の確立に挑戦します。

     民主党は、国際社会を与件として、これに依存する国の姿を変えなくてはいけないと考えています。日本は、これまで日米関係を重視するあまり、自前の対外政策と自己主張を持たず、世界の国々から「顔の見えない国」として受け取られてきました。しかし、日本は、世界平和の中でしか生きられない国です。資源小国であり、国際交易の利益を大いに享受している日本にとって、世界平和はまさに国の存立基盤そのものなのです。それはまた、国際平和と国際社会に信を置き、未来を切り拓くことを決意した戦後日本の出発点でもありました。「平和を享受する日本」から「平和を創り出す新しい日本」へ、すなわち「平和創造国家」へと大転換していくことが重要です。民主党は、常に「世界と共に何ができるか」を構想し、それを多様な国の人々と共に実践していく積極的外交政策を推し進めていきます。
     特に、国連の効率的体制の確立に日本自らその積極的役割を果たすとともに、国際平和の創造により有効な活動ができるよう国連活動の活性化に取り組みます。 
     世界に開かれた海洋国家でもある日本は、冷戦時代の終わりとともに、自らの創意工夫で、新たな地域的平和秩序の形成に挑んでいくべきときを迎えています。とりわけ、「アジアの中の日本」の地位と役割を明確にし、アジア太平洋地域における外交的リーダーシップを発揮します。


3.私たちには、新しい社会創成への大胆な行動力があります。

 新世紀を目前にして、世界史の流れは大きく方向転換しました。壮大な歴史観や荘重な国家が個人や地域をリードするのではなく、逆に、個人や地域などの小さな単位が主役となり、歴史を創り出す時代が到来したのです。国のあり方についても、これまでの惰性に流されることなく、ゼロベースで吟味し、再構成する勇気を持たなくてはいけません。戦後日本の基本的枠組みのすべてを見直し、大胆な改革の道を構想していくことが必要です。

 にもかかわらず、自民党中心の政権は、バブル崩壊後の不況に直面して小手先の緊急対策を優先し、日本が直面している改革課題に正面から向き合い、これに挑戦しようとする毅然とした姿勢を欠いたままです。結果として、改革の「先送り」「その場凌ぎ」が繰り返され、国民はいまや、日本社会の将来と国民生活の行く末に大きな不安を抱いています。
 政治そのものを変えなければ、日本の再生はありません。日本が国際社会との調和の中で求められている経済構造の改革も、政治の改革と表裏の関係にあります。先送り、場当たり、ばらまき予算を続ける自民党中心の政権を許すことは国民の不幸でもあります。

 誰もが「社会の再構築」が必要だと気づいているのに、日本社会の現状は、いま、歴史の転換点にあって立ち往生しているようにも見えます。なぜ、改革は進まないのでしょうか。それは、日本の進路を方向づける政策の立案を官僚が独占する仕組みそのものが変わらないままであり、いわゆる「霞が関の支配」が続いているからです。国民生活の方向を決する政策立案活動については、これまでのような官僚独占を排し、情報公開を徹底して、広く民間にも政策立案の仕組みが確立されるよう変革していく必要があります。まさに、民主党がめざす「霞が関の解体」です。
 このため、政府への民間人の登用が可能なポリティカル・アポインティ(政治任用)のポストを飛躍的に拡充し、官庁の中にも指定職以上を特別職の政治任用とするなどの改革に着手します。また、民間シンクタンクや大学と官庁との人材交流を積極的に推し進めて、政策立案の官僚独占を打破していきます。

 時代の大きな転換期に臨んで、変革の時代にふさわしい「ダイナミックで行動的な政府」、民主党中心の政府を実現しなくてはなりません。今の日本に必要なことは、国民を信頼し、その新しい社会の姿の実現に向けて行動する政治的リーダーシップです。私たちには、それを引き受ける覚悟と用意があります。

 私たちは、日本及び国民にとって「何が大切なのか」「何が必要なのか」を常に考え、良いものは良いと素直に認める政党でありたいと考えます。このため、民主党は、これまでの旧いイデオロギーにとらわれた「対立の政治」から、ビジョン、政策、リーダーシップ、新しい価値観などを互いに争う「競争の政治」へと大きく歩み出しました。

 この基本姿勢に立ち、私たちはここに、国民の皆さんに向けて新しい選択肢を提供します。
 『数を頼みに談合政治を続ける自民党中心の政府』か、それとも『未来に向かってこの日本の可能性を切り拓いていくことを決意した民主党中心の新しい政府』か、それを決するのは国民の選択です。

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