2003年1月18日 戻るホーム民主党文書目次目次

3.経済・財政・金融

財政構造改革/不良債権処理など税制改革
産業・通商中小・ベンチャー支援IT政策


【財政:財政構造改革】

 財政に対する不安は、国民の将来に対する不安を招き、景気に悪影響を与えます。また仮に財政破綻に至った時には、国民生活そのものに重大な影響を与えますが、とくに社会的弱者にはその影響が大きくなります。このような考え方から、民主党は中長期的には財政規律の維持は不可欠と考えています。ただし経済状況が危機的な状況に陥った場合には、将来のあるべき社会を見据えつつ、真に必要な財政支出を検討することも必要と考えます。

歳出構造の見直し
 理念なき自民党政権は、相変わらず旧来型公共事業を中心にバラマキを行うばかりで、真に必要な歳出とは何かという視点をまったく欠いています。民主党は21世紀のわが国社会に真に必要な政策に予算を重点配分しながら、同時に財政の改善を果たしていきます。そのために、例えば以下のような改革をすすめます。(1)不要不急な事業の中止を含めた見直し、入札制度の抜本改革等によるコスト削減の実現により、公共事業予算の削減を実現します。(2)特殊法人のあり方を、廃止・民営化を含めて根本的に見直し、税金の投入を削減します。(3)ODAのムダを省き、ハードからソフトへ転換します。(4)教育の地方分権により、義務教育費国庫負担、国立学校のあり方を見直します。(5)農業関係の支出を見直し、環境保全や所得政策に重点を置きます。(6)地方分権や行政の効率化により、国家公務員の定数削減をすすめます。

補正予算についての考え方
 自民党政権は、景気対策と称して補正予算によるバラマキを繰り返してきました。しかし、財政危機が深刻さを増すばかりで、一向に景気は回復しません。民主党は景気回復と構造改革の双方を強力に進めるためには、本来、本予算の充実こそが重要と考えています。仮に補正予算の編成が不可避となった場合においても、従来型の公共事業バラマキではなく、財政規律を可能な限り維持しつつ、セーフティネットの強化など真に必要な対策に絞ることが必要だと考えます。

 小泉政権の経済無策によって危機的な状況に陥った経済雇用情勢にかんがみ、第155回臨時国会では、雇用・失業対策と中小企業対策を中心とした、セーフティネット強化のための2002年度補正予算編成を4野党共同で要求しました。この際、歳出の見直しによって国民に新たな負担を求めないこととしました。

公会計制度の見直し
 現在の公会計制度はお金の出入りのみを追った会計に過ぎません。しかも、一般会計、37もの特別会計と財政投融資制度が複雑に絡み合っているので、財政運営の実態把握は非常に困難です。民主党は、国民が直接財政を監視できるような制度に国の会計を改めます。そのため、(1)発生主義会計の導入、(2)厳格な公会計基準に基づいた財政情報の公開、(3)特別会計制度等の抜本的改革、(4)実効ある「政策評価制度」の義務づけ、(5)国会の監視機能を高めるため「行政監視院(日本版GAO)」の設置等に取り組みます。



【金融:不良債権処理など】

 「失われた10年」と言われるように、バブル崩壊後のわが国経済は長らく低迷を続けています。とりわけ、1997〜98年にかけては、大手金融機関が次々と経営破綻するなど、まさに金融危機と言える状況を迎えました。民主党は、破綻した銀行を一時国有化する金融再生法を成立させ、金融パニックを防ぎました。しかし、これまでに総額33兆円を超える公的資金が投入されたにもかかわらず、政府・与党の問題先送り政策により、金融システムはいまだ不安定な状態が続いています。金融システムの健全化なくして経済の再生はあり得ません。民主党は、金融再生ファイナルプランをはじめとする以下の施策を実行し、金融システムの早期健全化と経済の再生に取り組みます。

金融再生ファイナルプランの実行
 政府も銀行も、不良債権処理は着実にすすんでいる、金融システムの健全性には問題はないと言い続けていますが、今なお不良債権は増え続けています。「金融再生ファイナルプラン」の柱は、金融再生法を復活させ、経営責任を明確にしたうえで存続可能な金融機関に公的資金を投入する民主党版早期健全化法を制定するものです。民主党は、この金融再生ファイナルプランを実行し、不良債権の抜本処理と金融システムの早期健全化を実現します。

地域金融円滑化法(金融アセスメント法)の制定
 中小企業に対する貸し渋り・貸しはがしは一向に解消されません。根本的な原因は金融機関の経営の健全性に問題があり、積極的な融資ができないことですが、担保や保証に頼った金融機関の融資態度にも問題があります。民主党は、地域への寄与度や中小企業に対する融資条件など情報公開を通じた金融機関同士の競争を促し、中小企業に対する金融を円滑化するため、地域金融円滑化法(金融アセスメント法)を制定します。

金融サービス法の制定
 金融ビッグバンの進展に伴い、様々な金融商品が開発・販売されるようになりました。一方で、金融商品に関するトラブルはあとを絶ちません。例えば、国民生活センターには、事実と異なる説明を受けた、リスクの説明がなかった、必ずもうかるといった断定的な情報を提供されたなど、商品説明に関する苦情が数多く寄せられています。民主党は、こうしたトラブルを防ぎ顧客の保護を図るため、金融サービス法を制定します。

証券取引委員会(日本版SEC)の設置
 バブル期に発生した大手顧客に対する損失補填や相場操縦、インサイダー取引などの不公正取引は、証券市場に対する個人投資家の信頼を失わせる大きな原因となりました。民主党は、こうした不公正取引をなくすとともに、間接金融(銀行貸出)に偏重したわが国金融市場の構造を、直接金融(証券)をより重視した構造に変えていくため、米国の証券取引委員会(SEC)にならった強力な権限を持つ証券取引委員会を設置します。

出資法上限金利の引き下げ
 超低金利政策が続くなか、銀行の貸し渋り・貸しはがしに直面した中小企業やサラリーマンを対象に高利融資で急成長したのが商工ローンや消費者金融です。商工ローン問題を契機に出資法の上限金利は29.2%まで引き下げられましたが、いまだ高い水準であり、貸金業規制法の上限金利との間のグレーゾーンも解消されていません。民主党は出資法の上限金利のさらなる引き下げとグレーゾーンの解消に取り組みます。

【税制改革】

 税制にとって最も重要なのは、国民の信用です。そのためには税制を簡素化し、透明性を高めるとともに、不公平感を持たれない制度へ常に改善を続ける必要があります。また現在の税制には時代遅れの面があり、新しい社会の構築や経済の活性化に向けて大胆な見直しが求められています。このような課題に対応するために、民主党は以下のような改革をすすめます。

 また極めて厳しい経済状況に対応するため、税制においても迅速な対応を進めます。

経済再生に向けた税制改革
 負債デフレが個人消費の足かせとなっていることから、個人消費の拡大策として、住宅・耐久消費財、教育費等のローンに係わる利子を所得控除する制度を創設し、また住宅売却損失を繰越控除できる要件を緩和します。不動産取引等に係わる登録免許税の定額手数料化を進めます。さらに証券市場の活性化、直接金融の拡大を図るため、時限的に株式譲渡益課税のゼロ税率適用、損益通算範囲の拡大、繰越控除期間の延長を行います。

所得税改革
 高所得者に有利な「控除主義」を改め、必要な人に対し確実な支援が可能となる「給付主義」へと転換します。このため扶養控除や配偶者控除、配偶者特別控除などの人的控除を見直し、これによって生まれる財源を子育て支援策などの社会保障給付の財源とします。また、国民の納税者としての意識を高めるために、確定申告を原則とし、給与所得者については年末調整も選択できるという制度を導入します。

納税者権利憲章及び納税者番号制度
 プライバシー保護の観点や法人にも付番する必要があることなどから、住民基本コードや基礎年金番号とは独立した形で納税者番号制度を導入し、グローバル化のために捕捉が困難になってきている金融所得の正確な捕捉をすすめます。他方、税務行政の公正の確保と透明性の向上を図るために、納税者権利憲章を定め、納税者の権利を明確にします。

消費税改革
 消費税の益税など不公平感の温床となっていると指摘されている簡易課税制度、免税点制度を縮小するとともに、仕入税額控除についてインボイス制度を導入することにより、消費者の負担した消費税が適正に国庫に納税されるようにします。また、滞納防止のため、一度滞納した事業者については毎月納税とするなどの措置を講じます。

法人税改革
 「頭脳立国」を実現するため、いわゆるIT、ナノテクノロジー(超微細技術)等ハイテク分野に限定することなく、全産業を対象として、研究開発及び環境対策に対する減税を拡大するとともに、これを恒久措置とします。また減価償却制度を抜本的に見直し、時代に即した制度へと転換します。なお、その他の企業向け租税特別措置については、原則としていったん廃止します。

NPO税制の拡充及び公益法人税制改革
 市民の自立的な活動を支え、活力ある社会を形成するために、「NPO税制」を拡充するとともに、寄付金税制について大幅な拡充を行います。同時に、公益法人課税のあり方や公益寄付金優遇税制全般の見直しをすすめます。

環境税→【環境】項目参照

【産業・通商】

 企業や人材が新しい時代の要請に応えられず、財政・年金など国民生活を支える制度インフラが破綻するなどわが国の経済・産業基盤が蝕まれる前に、一刻も早く抜本的な産業活性化策を実行に移し、産業再生を実現し、「閉塞NIPPON」からの脱却を図るべきです。これからは、弱い産業は強く、強い産業はさらに強くという生産性向上の両面戦略が必要です。民主党は、規制改革やナノテクノロジー(超微細技術)など最先端産業育成を重視し、競争力ある日本をつくります。国民一人ひとりが意欲と能力に応じて職が得られるような環境をつくり、人々のやる気を高めます。グローバル経済に対応できる、自由で公正な開かれた通商国家を構築します。

規制緩和・公的部門民営化
 規制改革を経済構造改革の根本に置きます。すべての経済的規制に期限を設け、延長する場合は行政からの説明責任を明確にします。また、規制改革推進リストを作成し、実施状況を政治主導で管理します。曖昧で不透明な商慣行や不公正取引を是正し、独禁法の抜本的な改正に取り組み、公正取引委員会の権限強化を通じてすべての人に公正な取引を保障すると同時に、「下請代金支払遅延等防止法」を改正してサービス業への適用等を図ります。

リーディング産業の育成
 弱い産業は強く、強い産業はさらに強くします。民主党は、わが国の優位性はモノづくり、とくに加工技術にあると考えます。その優位性をさらに高めていくには、研究開発の水準を高めるとともに、その成果を知的財産権で十分に保護していくことが重要であり、そのために研究開発と知的財産保護強化を推進します。非製造業を中心とする国内需要依存型産業については、規制改革による生産性の向上を図ります。

人的資源の有効活用
 人々のやる気を高め、産業の活性化につなげます。(1)働く意欲を高める所得税制、(2)何度でもチャレンジができる仕組みづくり:個人保証を行う企業経営者へのセーフティーネット導入、(3)起業家が正当な社会的評価を受けることができる環境づくり、(4)大学研究者の意欲向上:国立大学等の非公務員型独立法人化や大学における内部昇格制限による競争原理の強化、(5)企業におけるインセンティブ(動機づけ)・システムの導入を容易にする、などの政策を提唱します。

人的資源の活性化
 女性の能力がフルに発揮されるための環境整備、例えば託児施設の整備、被扶養配偶者の勤労意欲を阻害する税制の是正などを推しすすめます。また、企業の新陳代謝を活発にするために、法人実効税率の引き下げや法人住民税の均等割り分増額などを検討します。また再就職業務の民間委託を促進すると同時に、再就職支援を1つの場所で受けることのできる、官民連携の「ワンストップ・サービス」を実現します。

知的財産権
 知的創造力活性化のための包括的・総合的な政策を樹立します。民主党の主張によって成立した「知的財産基本法」の内容をさらに具体化します。知的な創造活動を支援する税制や補助金制度の創設、知的財産権の進展に的確に対応するための特許法改正、違反行為の差し止め請求の権利を認めるなど裁判所の知的財産権紛争処理能力の強化を図ります。海外における日本の知的財産権の保護や、国内における中小企業の知的財産権の保護にも取り組みます。学生の創造性を伸ばし、知の創造センターとして大学のあり方を見直します。

WTO
 民主党は、自由で多角的な貿易体制を強化し、WTO(世界貿易機関)の機能をさらに充実させる立場に立ちます。2001年11月のドーハ閣僚会議で開始が決定されたWTO新ラウンドについては、2005年1月までのとりまとめに、日本がリーダーシップを果たすよう努めます。新加盟の中国に対しては、経済改革を推進し、国際ルールの遵守等を働きかけます。また、WTO協定に、労働基本権、環境条項などに関わる社会条項が盛り込まれるよう努力します。

FTA(自由貿易協定)
 日本を含めた環太平洋経済の活性化を期して、自由化によるわが国の市場開放と輸入拡大をすすめる通商政策の新たな柱として、情報開示をすすめながらFTAに積極的に対応していきます。FTAの締結を積極的にすすめるとともに、これを世界貿易の自由化推進につなげていきます。アジア地域との経済取引を拡大し、米ドルリンクからの離脱を促します。FTAをてこに、国内の保護主義的動きの是正を図り、産業構造改革を推進します。

セーフガード
 貿易自由化に加えて、新ラウンドの交渉対象となったダンピング防止措置などの貿易ルールも含む幅広い分野についても議論を促進し、貿易制限的な措置や知的財産権侵害が恣意的に発動されないよう規律強化を求めていきます。また、急激な輸入自由化等により深刻な影響をこうむる場合には、WTO協定で認められる範囲内で、TGS(繊維セーフガード)をはじめとするセーフガードが十分に機能するよう、発動手続きの弾力化などに努めます。

【中小・ベンチャー支援】

 中小企業が、わが国の雇用の約8割と貴重な技術を支えていること、無限の可能性を持つ芽であることなどから、新しい成長分野の担い手であるベンチャー企業、中小企業の元気が出るよう支援策を充実することが不可欠です。元気で自立・独立した中小企業を数多く輩出し、生きがいある仕事場としての中小企業を育て、新規起業を促進し、「大企業と中小企業の元気の循環=産業構造の変革」、「中央と地方の元気の循環=地方分散」をすすめていきます。そのために、従前の「バラマキ政策」から「やる気が出る政策」へ転換させます。日本人が培ってきた"モノづくりDNA"を覚醒させ、日本経済の屋台骨を支える製造業の発展に力を注ぎます。

中小企業金融
 中小企業向けの資本・債券市場を創設し、直接金融への道を開き、担保や保証を過剰に求める取引慣行を改めさせ、個人・中小企業への資金供給を円滑にします。貸し渋り・貸しはがしへの緊急避難策としての「特別信用保証」の復活を図ります。天下り禁止や民間人主導の運営等により、信用保証協会の機能を強化します。金融機関の融資については、内容説明や書面交付の義務付けなど、貸し手責任や義務を明確化すると同時に、倒産に際しては最低限の財産を手元に残すことを許すなど、再チャレンジの道が残される社会を確立します。

産業・中小企業税制等
 法人事業税への外形標準課税導入については、雇用及び中小企業経営に及ぼす影響に鑑み、慎重に検討します。創業5年未満の中小ベンチャー法人について、法人課税を減免します。創業促進のため、エンジェル(ベンチャーへの投資家)税制の複雑でメリットの少ないシステムを改め、公募債の要件を緩和して公募債と私募債の中間にあたる募債を可能にします。同族会社の留保金課税について中小企業への適用を廃止し、相続税全体の見直しにより小規模企業の負担を軽減します。

起業・ベンチャー支援
 廃業よりも開業をめざし、ベンチャー企業の立ち上げを容易にすると同時に企業への技術移転を促進する制度を導入します(日本版SBIR制度の改善やSTTR制度の導入*)。資金不足が顕著な研究開発型ベンチャーを支援するため、エンジェルを支援します。ベンチャー企業の株式購入時に投資額の一定割合を税額控除できる制度の導入やエンジェルネットワークの設立・運営を支援します。また大企業からのスピンアウト(リストラをきっかけとした開業等)促進等総合的な起業支援策を講じ、「100万社起業」「特別融資枠」などを実現します。

*日本版SBIR制度/STTR制度=いずれも中小 ハイテク・ベンチャー企業への補助金制度。

商店街対策
 1階に商店街、2階以上を高齢者向けケア付き賃貸住宅とする複合建築物の建設も含め、「商住一体のまちづくり」をすすめます。託児所、駐車場・駐輪場等を整備し、消費者が気軽に商店街に出かけられる環境を整備します。起業家のためのSOHO(在宅勤務の小規模オフィス)活用、行政窓口設置により空き店舗や空き地の利用をすすめます。都市景観の向上、防災施設や情報通信基盤の整備、電線の地中化等を促進し、美しいバリアフリーの商店街をつくります。

ものづくり支援
 民主党の主導によって成立した「ものづくり基本法」を生かし、ものづくり産業の基盤強化をすすめます。ものづくり技術、人材のデータベース化など、ものづくりをITと結びつけて振興し、中小製造業を有利な立場に誘導します。義務教育、高等教育におけるものづくり教育を重視し、ものづくり職人が一層評価される社会を確立し、後継者育成を推進します。加工技術の向上につながるナノテクノロジー分野への重点化をすすめます。

【IT政策】

 民主党は、インターネットをはじめとするIT革命が、官主導から民主導へ、中央政府中心から地方政府中心へと社会を転換し、個人の生き方、生活のあり方を根本から変えるものと位置づけています。ブロードバンド(通信の高速・広帯域化)革命、知的財産権革命、リテラシー(情報読解力)革命と一体となったIT革命をすすめ、行政改革、教育改革などの構造改革につなげていきます。そのため、最優先事項として、通信分野における競争を促進し、世界最高水準の低廉・高速インターネットをめざします。さらに、情報格差(デジタルディバイド)解消策、ネット犯罪・トラブル対策等についても万全を期していきます。

電子政府
 2000年3月に発表した「人間中心の情報化社会をめざして」(高度情報化社会プロジェクト提言)のなかで、民主党は電子政府の実現を既に公約としています。主な内容は、全行政手続き・税務申告手続きのオンライン化、今後の公文書を電子化したうえでの全公開、政府調達手続きの電子化促進、行政サービス・ステーションの整備、公立図書館等でのインターネット環境の整備、民事訴訟手続きの電子化、判決のネット公開、テレビ会議による証言等の司法の情報化、などです。

迷惑メール防止法案
 迷惑メールが多発している商業広告メールの適正化を図るべく、2001年11月、民主党は法案を提出しました。同法案の内容は、特定の商業広告メールに対する規制、懲役を含む罰則規定、第一種電気通信事業者による電気通信役務を拒否できる規定等です。これを受ける形で、経済産業省主管の政府法案が提出され、さらには、総務省主管の与党案提出の動きも見られました。民主党法案は与党案を併合する形で、参議院総務委員長提出法案として2002年4月に成立しました。

サイバーテロ対策
 2001年11月、民主党はサイバーテロ対策への提言を発表しました。ポイントは、(1)重要インフラ防護センターの設置を軸とする組織体制の構築、(2)ネットワークの安全確保・ネット犯罪・サイバー危機事態に対応した法整備、(3)防衛庁・警察庁の対応力強化、(4)ダメージコントロールを軸とする対策構築の基本的な考え方の整理、(5)公的人材育成機関の設置・技術開発への予算投入、(6)官民連携体制の強化・国際協力体制の強化、(7)ネット教育体制の整備、等となっています。

IT公正競争監視委員会の設置
 誰もが皆、世界最高水準の低廉・高速インターネットを利用できるよう、通信と放送の融合を制度面からも推しすすめるとともに、通信分野における大胆な競争政策をすすめる必要があります。そのためには、国家行政組織法第3条に基づく、独立した行政機関として、強力な権限を持ち、公正な競争ルールの下、国際競争も含めた幅広い観点から民間事業者間の競争を監視・裁定する、「IT公正競争監視委員会」(=日本版FCC)を創設することが必須です。

ITバリアフリー法(ユニバーサルデザイン法)
 障害者も含めてすべての人々が使いやすい情報通信機器を設計する「ユニバーサルデザイン」の思想を普及させ、情報バリアフリー社会を確立します。そのため、障害を持つ政府等の職員が電子事務機器を利用できることを保障する、政府に納品する機器は身障者に配慮したものに限られる、メーカーは障害者向けの機器を用意する義務を負うこと等を規定した「ITバリアフリー法」を制定し、職場のバリアフリー環境の整備をすすめていきます。

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