2005年8月27日 戻るホーム民主党文書目次

郵貯縮小に関する無理解な議論を正す(コメント)

民主党政策調査会会長 仙谷 由人

  1. 公明党の神崎代表などが、民主党がマニフェストに盛り込んでいる郵政改革案について、「郵便貯金の預け入れ限度額を引き下げるのは顧客無視で驚きを禁じ得ない。また、民主党は限度額を超える部分は、個人国債に振り向けると主張するが、これは『官から民へ』という主張と矛盾する」と発言したと報道されている。

    ○ 郵便貯金の預入限度額が1991年11月以前は700万円、1990年1月以前は500万円であったことや、全郵便貯金の平均預入金額が約160万円(定期性貯金では約300万円)であることを考えれば、「顧客無視」というヒステリックな決め付けには、それこそ驚きを禁じ得ない。

    ○ 個人向け国債は、市場参加者たる個人の自由意思で原則いつでも購入・売却が可能であり、個人が債券市場に参加することによって財政規律を高める効果が期待される。これを以って「官から民へ」に反すると言うのは無知以外の何ものでもない。

    ○ これに対し、国の出資・関与が極めて強い小泉流民営化会社の下では、限度額の撤廃によって巨額の資金が国債の形で大量に保有され続け、特殊法人や国の赤字の穴埋めに資金が事実上固定化されることになる。「官から民でない」と言うならば、神崎代表が批判すべきは小泉民営化の方であろう。

    ○ また、民主党マニフェストを読めばわかる通り、個人向け国債への振り替えは一つの例示である。そのほかにも、利付国債、投資信託や他の銀行・証券会社などの金融商品へ移行することを当然想定している。

  2. 一部新聞報道や自民党、公明党の候補者が「預入限度額500万円を超える部分は50兆円しかないので、民主党が主張する郵貯残高半減は実現不可能」と吹聴していることについても、その事実誤認と無理解を正しておきたい。

    ○ 郵政公社によれば、限度額500万円超の郵貯残高が50兆円である。預入限度額の引き下げによって少なくとも50兆円は民間に開放できる。

    ○ また、先月(2005年7月)一月だけで約1兆5千億円の郵貯残高が減少したことひとつをとってみても、自然減だけでも相当の残高縮小が可能であることは明らかである。

    ○ 加えて、(限度額を超過しているか否かにかかわりなく)定額貯金の満期到来毎に個人国債、投資信託などのメニューを顧客に示すことにより、郵貯残高の縮小額を更に上積みすることは十分可能である。

    ○ 以上によって8年間で郵貯残高を半減させる提案が十二分に実現可能であることについては、金融関係者からも理解や同意を得ているところである。

    ○ 民主党案に対する一部の中傷的な批判は、「郵貯半減を限度額引き下げのみによって行う」という非現実的な仮定を無理やり設定した「選挙目当ての批判」であり、無責任極まりない。関係者に対して猛省を促したい。

以 上


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