2002年7月18日 戻るホーム民主党文書目次

外務省刷新:7つの柱(中間報告)

外務・安全保障合同部門会議・外務省刷新WT

1.外交のあり方と組織使命の刷新
2.外交戦略の刷新
3.組織・機能の刷新
4.国際協力の刷新
5.情報機能の刷新
6.人的資源の刷新

はじめに

政府・与党は、外務省不祥事が表面化するたびに、次々と「外務省改革案」を発表してきた。しかし、いずれも場当たり的で局所的な対処に終始し、外務省の旧態依然とした隠蔽体質や組織構造の刷新にはほど遠く、新たな不祥事の病巣は温存されてきた。

民主党は、現在の日本外交の状況に強い危機感を抱き、政府に先立って以下を提起してきた。

冷戦構造崩壊後の国際社会は、大きく変化している。わが国外交も、新たな国際社会における役割・位置、国益や理念、方針を再確認し、これに基づく戦略を抜本的に建て直すことが急務である。その上で、外務省の組織使命(ミッション)を規定し直し、そのミッションの遂行のための組織、人事、態勢等の整備を抜本的かつ包括的に行う必要がある。

民主党は、改めて以下に外務省刷新のための7つの柱と刷新案を提案する。


1.外交のあり方と組織使命の刷新

<基本認識>

日本外交は、方向性や国益、目指すべき国際社会のあり方などを踏まえた外交目標・戦略・政策などを主体的に構築できていない。国民の理解に支えられた日本外交のあり方(アイデンティティ)と外務省の組織使命(ミッション)の再定義が不可欠である。

民主党は、日本が対話と信頼・協力を基礎とする主体的で積極的な外交によって、国際社会の平和と安全を推進する「外交立国・日本」となり、「平和を享受する国」から「平和を創る国」となることを目指している。平和・自由・基本的人権の尊重などを基本とした予防外交、人道支援、民主的社会の発展等を新たな外交の柱とすることが、国際社会とわが国の平和と安定に貢献する道である。

貧困、難民、人権、環境、軍縮などの人類的な課題、東アジアに残る冷戦構造の脅威、変容を迫られる日米安全保障体制や国連、テロリズム、南アジア・中東等の軍事的緊張、不安定な国際金融市場、FTAへの対処など、新たな国際環境で山積する日本の外交課題をゼロ・ベースから検証し、総合的な外交戦略を策定する必要がある。

刷新案1 政治主導による日本外交の再定義
刷新案2 外務省の新たなアイデンティティとミッションの確立

2.外交戦略の刷新

<基本認識>

わが国の存立が、諸外国との良好な外交関係の維持・発展に大きく依存する地理的・政治的条件は変わらない。対話と信頼・協力を基礎とする主体的で積極的な外交の推進等によって、国際社会の平和と安全を推進する「外交立国・日本」めざすために、予防外交・人道・人権・人間の安全保障を新たな柱とした外交戦略の刷新が必要である。そのため以下の政策を積極的に推進する。

刷新案3 予防外交を柱としたユニークな外交活動の展開

刷新案4 国際機関の連携・活用と積極的誘致

刷新案5 セカンド・トラック外交の制度化(野党への情報提供)

3.組織・機能の刷新

<基本認識>

わが国の新たな外交戦略・目標に則り、山積する外交課題に対して的確に対処できるよう外務省機能を高めるため、組織及び態勢を組み立て直す(リエンジニアリング)。
組織刷新にあたっては、新たな外交政策の遂行に関わる効果と効率、危機管理、在外邦人サポートの向上、亜国家・市民社会組織(CSO/NGO)との連携といった観点を踏まえる。

刷新案6 外務省機能の特化と効率化
刷新案7 外交政策立案機能の強化

刷新案8 在外邦人の保護と活動支援の重視
刷新案9 「国際危機管理局」(仮称)の創設等
刷新案10 在外公館組織の効率化

刷新案11 自治体外交への協力推進

4.国際協力の刷新

<基本認識>

日本外交の新たな柱としての予防外交・人道・人権・人間の安全保障等を積極的に推進するため、経済援助や国際開発協力について抜本的な刷新が必要である。

刷新案12 新たな『国際協力大綱』の策定
刷新案13 「国際開発庁」(仮称)の設置

刷新案14 総合外交政策局 国際社会協力部を「国際社会局」(仮称)に格上げ
刷新案15 対外支援活動の透明化

5.情報機能の刷新

<基本認識>

情報収集・分析が、個人の資質に依存し、情報の組織的な蓄積が足りないとする批判もある一方で、必要な要員の確保ができないなどの指摘もある。情報収集・分析能力の抜本的強化を図るべきである。

外交機密の保持が求められる一方、本来国民に開示すべき情報まで公開を渋るなどの弊害は著しい。客観的な公開基準を策定し明示するなど、情報公開と外交機密の保護の両立を図る。

刷新案16 情報収集チャネルの複線化・高度化

刷新案17 「外務省秘密保持規定」の策定・公表と「情報安全課」(仮称)の新設

6.人的資源の刷新

<基本認識>

外交立国・日本をめざすにあたり、日本の顔として大使・公使の役割は極めて重要である。外交官としての専門知識ばかりでなく、一層高い見識・人徳・品格・対人折衝能力が求められる。また、モラルが高く教養豊かな人材の育成、登用を図るとともに、そういった職員の能力と活力が最大限に発揮されるよう、適材適所で戦略的な人材配置ができる人事制度に刷新する。

刷新案18 幅広い人材の大使登用、評価、大使人事の国会承認・帰任勧告
刷新案19 「回転ドア」による採用拡充と適所適材の柔軟な人事制度の確立


7.会計・業務監査の刷新

<基本認識>

外務省経費の使途については、報償費(機密費)やODA等をはじめ不透明性が指摘され、一連の腐敗行為の温床ともなった。透明性、説明責任、自浄作用の観点から、会計・業務監査を刷新する。

刷新案20 外務報償費の抜本的改革
刷新案21 大使館経理の本省とのオンライン化
刷新案22 「外務省オンブズパーソン」(仮称)の設置と『公益開示法』の制定
刷新案23 業務監査の厳正実施と結果の公開

外務省刷新のための組織改編イメージ


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