2002年12月6日

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何故代表選に立候補の決意をしたか

 菅 直人

 今回代表選に立候補することになった私の決意を是非ご理解いただきたいと筆をとりました。

 民主党をこれ以上混乱させないためには、激しい選挙になることは避けたほうがいいのではと私も当初考えていたことは事実です。

 しかし、私を代表選で応援してくれた多くの議員に集まってもらって話を聞きました。その議員の多くは環境、福祉、薬害、人権、女性政策などのテーマを大事にして政治活動をしている人で、どちらかといえば政治の駆け引きは得意でない人が大半です。これらの人たちから口々に出たのは、今の民主党はグループ間の合従連衡など党内政治に長けた人が中心で、国民の声に耳を貸さない政党になりつつあるという強い危機感です。こうした市民的、国民的テーマで努力してきた人たちが片隅に追いやられ、党が変質してきているのではないかという指摘でした。

 私の政治家としての原点は、薬害や住宅問題など社会の矛盾をいかに解決するかということでした。9月の代表選以降私は党の役職を離れ、1年生議員の当時の原点に返って中国残留邦人の支援問題や、C型肝炎の問題に取り組んでいます。政党というものは国民の要求や希望を政治的な力に結集する道具でなくてはならず、間違っても政治家が権力を手に入れるための道具であってはなりません。民主党は公害や薬害の被告者等と一緒に政官業癒着構造と戦うという市民の感覚を取り戻すべきです。私は、今失業や倒産の不安に、涙を流し苦しんでいる人のために政治をするのだと、決意を新たにし、「市民が主役」の原点に立ち返ります。

 民主党を自民党の補完政党にしてはなりません。小泉内閣と闘うために私は立ち上がります。私の真意をご理解いただければ幸いです。

菅直人出馬会見

12月6日 菅氏の代表選挙立候補表明 平岡秀夫さんの「今日の一言」より

今日の午後、来る10日に行われる民主党代表選挙に、民主党前幹事長の菅直人・衆議院議員が立候補することを記者会見で発表しました。昨日の夜遅く、民主党幹事長代理の岡田克也・衆議院議員が立候補の記者会見をしたのに続いて、これで二人が、民主党代表選挙に出馬することとなりました。

周囲の情勢を見渡してみますと、党代表選挙立候補には推薦人20人が必要ですので、この二人以外には立候補できそうな人は、なさそうです。したがって、来週早々に行われる民主党代表選挙は、菅・前幹事長と岡田幹事長代理との一騎討ちということになりそうです。

ところで、菅・前幹事長については、昨日、「党内には、岡田幹事長代理を推す声が広がっており、菅・前幹事長は、党内の一体化を保つために立候補を見合わせるのではないか。」という報道がありました。私もそのメンバーの一人になっている菅・前幹事長を応援してきたグループが、今日、その報道の真偽を確かめましたところ、確かに、菅・前幹事長は、そのような気持ちを持っていたことは事実でした。

しかし、その際、グループの皆は、「党内のことを考えるのではなく、国民のこと、国のことを考えて欲しい。今、小泉政権の無責任な政治に対抗しようとして政策を打ち出しているのは、菅さんしかいないではないか。先の党代表選挙では、菅さんは、決して敗北したのではなく、実質的には勝利していたと思う。国民の支持があることに自信を持って、代表選挙に出て欲しい。」と、その思いを菅・前幹事長に伝えたのです。

それに対し、菅・前幹事長は、「皆さんの気持ちは分かるが、党にとって最も力の出る体制として、先ず、岡田幹事長代理と、『菅代表―岡田幹事長』体制で行くことができないか話し合わせて欲しい。自分の立候補表明は、その結果を見てから考えたい。」との考えを示しました。そして、その後間もなく、菅・前幹事長は、その考えに基づいて、実際に、岡田幹事長代理と話をしました。

この菅・前幹事長の動きに対して、「談合ではないか。」という言い方をする人もあるかもしれませんが、菅・前幹事長は、自分のその動きを隠すつもりもなかったですし、その動きについての「動機善なりや、私心なかりしか」も問いかけにも、胸を張って「そうだ」と答えることのできるものであったと、私は、確信しています。

今日、偶々、国会議事堂の中にある国対控え室で、岡田幹事長代理に出会ったとき、岡田幹事長代理から、「同世代の人間として、自分(岡田)が立候補することを決断するに至った事情を理解して欲しい。」と声をかけられました。これに対し、私は、「正々堂々とした代表選挙をすれば、どちらが勝っても、皆はその結果に納得しようから、そんな選挙をして欲しい。」と答えましたところ、岡田幹事長代理も、「無論、そのつもりだ。」と言っていました。

菅・前幹事長と岡田幹事長代理との間の選挙なら、お互いに正々堂々とした選挙ができると確信しています。どちらが勝っても、これから我々が挑むべき相手は、自民党を中心とした長期政権であることを忘れてはならないと思います。


2002年12月6日

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