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越智・前金融再生委員長の問題発言
2000年2月19日(土)栃木県塩原町での講演(全文)


 皆さんこんにちは。こちらだと演説になっちゃいますから、座らせていただきます。

 今、蓮実先生から御懇篤なるご紹介をいただいて恐縮いたしております。私は大蔵省は27年組なものですから、もう現役の僕の仲間の連中はいませんし、その当時の人たちも---そうですね、栃木相互さんには昔よくお世話になっていたんじゃないかなと。足利さんには日銀の方からの仲間がよう伺っていたような気がするんですけれども、それはそうとして、もう40年ぐらいなりますが、銀行の皆様とおつき合いをさせていただいて大変うれしく思っておりますし、また、東京に生まれ育った者として、栃木県の方とはいろいろなご縁が深いものですから、こちらの様子も伺っております。蓮実先生には同じ森派の中で本当によくやっていただいておりますので、実は個人的なご縁も深いものですから、去年も伺いまして、ことしまたこうしてお伺いさせていただきましたが、たまたま財政の金融問題を担当していますものですから、地元の皆様にこうしてお目にかかる機会を与えていただいて大変ありがたく思っております。

 金融再生委員長って何をやっているのとよく聞かれるんですが、金融再生委員会というのは私のほかに4人、民間の方がいまして、経団連副会長 小松製作所会長の方と、それから日立の子会社の方の会長さんで元日銀の理事をされた方と、それから今の公認会計士協会の会長さんと、それから広島高等裁判所の長官をされた弁護士の方と、それに私の5人で、破綻した金融機関の再生というか、処理をしているわけでございますが、その他にも引っかかった金融機関のいろいろな手当てをしているということでございます。そして、私の下に外局として金融監督庁というのがあって、これは皆さんのところへいろいろとお伺いしておりますが、これは日野さんという検事上がりの方が長官で、その下に大蔵省の人間が多うございますけれども、つけまして、都合全部で550人ぐらいで、中央官庁としては小ぶりの方でございます。そこでやらせていただいております。

 私は10月5日に2人目として就任しました。金融監督庁というのはおととしの7月の発足ですから、今1年8カ月。金融再生委員会というのはおととしの12月の発足ですから、まだ1年と一ヶ月の段階でございまして、どちらかというと、再生委員会ができたというのは日本長期信用銀行の始末のためでありました。これは私がなる直前、去年9月末にアメリカ人に渡すことになっておりまして、その線で2度の契約といいますか、この間は基本合意書なる最終文書が全部終わりまして、かろうじてと申しますか、3月1日に株券譲渡、株式譲渡の形式ですから、こちらの株券を渡し、これにお金をいただきと。それから、今まで日長銀さんが赤字のために、緊急に  せるために、預金保険機構がいろいろお金を貸しておりました。それと、実際に政府からお金を入れるので、差し引きをしたりして、手続が全部終わって、3月2日から新しい銀行として発足させることになっております。

 赤字が大きいところはやっぱり大きいですね。3兆6,000億円、穴埋めにかかりました。20兆円ぐらいの銀行で、二十数兆の貸し出しの銀行ですけれども、病気をするとやせ細るものですから。まあ、これからやっていく新しい銀行は7兆円か8兆円の規模だと思います。それでも足利さんよりちょっと大きいかな。足利さんは5兆円ぐらいでしょう。石原慎太郎にたたかれないようにちゃんと用心した方がいいですね。栃木さんが1兆円ぐらいかな。(1兆7,000億円です)失礼しました。1兆7,000億円。その7,000億円が大きいですね。二十数兆のものは日長銀さんが7兆円ぐらいの――4,000人いた人が、言葉が悪いけど、あそこは随分逃げたものですから、今、2,000人ちょっとだと思いますが、これ以上やせさせられないと委員会が思っておりましたのが、膨らませていって、二千数百、3,000人ぐらいですね。ひとつアメリカ式の経営をしてみてくれということで、日長銀をやってもらうつもりで、何をやらかすかなと思っていますが、経営陣にインド人なんかを入れまして、非常に機械化するんだろうと思います。

 今、アメリカのシリコンバレーに匹敵するアジアのシリコンバレーというのは、残念ながら日本でなく、インドなんです。インドに相当にソフトの産業が盛んになっておりまして、そこにまた総合面の強い人材が育成されております。八城君というのは、シティバンクの頭取をしていた、僕の同期なんですが、これが新生長銀の頭取になる予定でずっとやっておりますが、彼の意向では、15人の重役のうち半分は外人がいないといけませんから、そんなインド人を入れて機械化するだろう。あえて言えば、人件費よりも機械の金の方が高くつく銀行をつくるのが正しいんでございましょうね。それから、日本で銀行が機械化すると、名寄せばかりやっているんですよ。勘定系統と言うんですけれども、勘定系統の機械化をしておりますけれども、向こうは情報系統、栃木県のだれが金を持っているかとか、どういうことをやっているかとか、そういうインフォメーションを機械で集中していくと。

 選挙のときには私も福田の選挙を4度手伝いましたが、4度の中で、こちらでおばあちゃんのお葬式があった、こっちでだれかが生まれたと、情報をつかんで飛び歩かなきゃいかんと。ネコの子が生まれてもわかるようじゃないと秘書じゃないなんて先輩に怒鳴られたりしてやってきましたけれども、これからは銀行の方もそのくらいのつもりで、子供が生まれたといったら何か保険を勧めに行ってみたり、大きくなったときのための学資をこれから貯金でためませんかなんて行くぐらいすばしっこくならないと商売にならない。それにはやっぱり情報をいち早くつかむと。そういうような銀行をつくる気だろうなと、こんなふうに思っております。

 もう一方のでかい日本債券信用銀行、九段下にある方でございますが、これが大体十数兆だったが、これもやせましてね。これは新聞にいろいろ書かれちゃっていますから、ずばり言いまして、孫さんというソフトバンクの人と、それからオリックスの宮内君、東京海上の樋口さんという方が今社長でございますが、これは損保ではナンバーワン――だったと言うべきかな。三井海上と住友海上が一緒になると、そっちが抜くかもしれません。しかし、ゴルフじゃないけど、東京海上と住友・三井グループとがトップタイぐらいになりますか、これが5兆ぐらいです。保険屋さんが5兆になったって関係ないです。石原君にたたかれるわけじゃないんで。これは損保ですから、  で別に引っ掛かってきますから。

 それはそうとして、東京海上さん、やっぱりこれは信用は絶対ですから。ムーディーズもずっとトリプルAです。ずっと組み合っていたのが、手を挙げまして、去年巻き返す。大体今月中にそこへ固まると思います。何て言えばいいんでしょうかね、今は内々定ぐらいの感じでやっている。外銀の方も3社ほど実際にいろいろ書類を出してきたんですけれども、だんだんにあきらめてみたり、調べてみてやっぱり、何と申しますか、うまいこと稼いで、いずれはずらかっちゃおうという感じが――委員は私1人じゃありませんから、私を含めて5人の委員が、ずっと日本に居ついてくれるのかな、少しは参考になることをやってくれるのかなと、そういう期待のあるところを望んでいるものですから、今申し上げた三者連合、これにはひとつ地銀さんも大いに参加してほしいんですよ。彼らの出資枠も15%あけてありますから。外銀、地銀組んでね。要するに、出資する枠を1,000億なら1,000億全部使っちゃわないで、そのうち150億円ぐらいあけてあると思いますから、地銀さんも一緒になってやっていただければいいなと。

 どんなことをやるかと言うと、日本債券信用銀行は中小企業専門でございました。中小企業融資の比率が非常に高いんですね。一番高いころで7〜8割行っていたと思うんです、融資額が。それに対して、東京海上さんは保険屋さんとして顧客名簿をかなり持っていますから、いろいろと客層は広いだろうし。オリックスの方も本当はあれはリース屋ですから、機械を貸すのが商売なんですけれども、宮内さんのところはひところは金ばかり貸していましてね。だから、金貸し業としての経験は30年。預かったことはないけれども、貸す方だけはされると、こういう話ですから。あそこも社債を出してやっていましたから。そういう経験の人たちをつぎ込んでやるでしょう。

 あそこも3,000人いたのが、あっちは逃げる率が案外高くなくて、2,000人に踏みとどまっているんですが、割と愛社精神が旺盛というか、そこへ東京海上とオリックスから、どうせ出すならいいやつを出せと。要らないのを捨てるみたいに渡したら承知しないよと言ってありますけれども、おいしくてしょうがないやつを出せと。新銀行へ何百人かつぎ込んで、新しい銀行としてやってもらう。中小企業に対する融資と同時に、その中からベンチャーをうまく孫さんたちがどう拾い上げて育成というか――どんなに頭がよくても、どんなにいいことを考えても、担保の土地がないなら貸してやらない金融だと思われているのはいかんわけですから、そこをどう切り開いていくかということです。土地も建物もないけれども、すげえことを考えている、これは間違いなく行くんじゃないかと思ったら、貸してしまえと。一緒にリスクをかぶればいいじゃないかと。そのかわりそれがうまくいったときにはこうしてやるよとか、あるいはだめだったときもここまでやれとか、いろいろあるかもしらんけれども、そういうベンチャーに対する考え方を持ったらいいと。

 きょうあたりの新聞にもナスダックを日本で開きたいというので、東京証券取引所の山口さん、僕の一高のときの一期後輩の人なんですけれども、つないだんですけれども、彼は彼の方で既にマザーズというのを開くと思っていたから、ナスダックとは手は組めないと言ったんですけどね。しょうがなくて北村君というのが大阪の証券取引所の理事長をしておりまして、僕の2個下なんですが、これに話をして、ナスダックは大阪で開くことにしました。大阪は取引所としては現物の取引が東京に比べてうんと小さいですから、現物の取引ができれば、より新しい環境でと向こうへも言っておきましたが。ナスダックの条件なんかが今日あたり発表になっていますけれども、非常にユニークな感じで、例え話で言うと、大学は入学試験なしでだれでも入れる、そのかわり卒業試験が厳しいぞみたいなことですね。上場したいならさせてやる、そのかわり3年赤字だったらだめだとか、そういうことですね。その方がチャンスを与える、こういう一つの新しい良い考え方じゃないかなと。東京証券取引所なんかに行くと、3,000も銘柄があって、ちっとも出来ない、出来不申というやつがあるわけですから、いい加減にあんなふたは外せというんですけれども、長年の伝統で、ふたを外したら、ますますその企業は沈んじゃうよと。上場の廃止をしたら、総殺しになっちゃうからやれないというところがありますからね。そういう点ではナスダックなんかは新しい経営の感覚を取り入れてくるのはできます。

 ナスダックとしてはロンドンにもつくりましたから、ニューヨーク、ロンドン、大阪と。24時間、切れ目なしの営業になります。24時間営業。今、金融全体がそういうふうになってきました。24時間切れ目なし。そういう格好で日債銀の方は今月末にでも最優先交渉先の覚書をつくります。そして、一ヶ月以内ぐらいに本契約に持っていきたい。9月いっぱいか、6月のはなには――アメリカなんかは7月開始、うちの方も7月になると、金融監督庁が金融庁に衣替えしなきゃいかんので、役員の人事もありますものですから、5月いっぱいか、遅くも6月の半ばぐらいまでに日債銀の方も――これは地域金融、並びに中小企業金融にできるだけ特化してもらおうと思っています。そういう方向で皆さんとの協力が大きくなるだろうと。日債銀は17支店ですけれども、日長銀の方もそんなに支店はふやさんと思いますけれども、日債銀に対してはむしろ減らす方向で物を考えると。むしろ地方銀行、その他と---今、世の中はリアルタイムで何でもすぐつながるんだから、一々家賃を払って、人を置いて、店なんか張らなくていいんだよと。そういう銀行経営の時代ですから、個別契約的なやり方でまとめていったらどうだろうかと言っておりました。そういう銀行ネットをつくっていく。

 こんな感じでやっておりますが、あと一般の銀行の方は、ご存じのように、3つ一緒になったが、これがなかなか時間がかかっておりますので、うまくまとめないといかんと。むしろ2つの住友とさくらの方が今、本体の合併よりも外堀を埋めるのが早くて、どんどん損保の組み合わせまで変わりまして、信託の方にも影響してくるだろうし、三井と住友は本当に親戚ぐるみで合体の感じで出てきましたが、それも一つの動きですから。私どもの方は別に干渉はいたしません。こうやれとも言わないし、やっちゃいけないとも言わないし。やっていることがまずけりゃ、それはちょっとまずいんじゃないのということは言いますけれども。三井、住友さんの方から相談がありまして、やるぞと言うから、いいじゃないか、やってくれと。それで、どんと発表したんですが。

 もちろんその前の夏の去年の8月に、興銀、一勧、富士の3行の取り組みが発表になったのが大きな刺激になったんですけれども、住友、さくらが、私がなってから10月でございましたし、損保の3行合体が、この間、2、2に分かれちゃったんですけれども。そんなようなことで一生懸命再編して、どっちかというと、危機感立ち直るというよりは日本金融がまだまだ世界で強いんだぞというところを見せるために、1999年1年かかったという感じでございまして、11月にワシントン、ニューヨークを回ってきましたときも、アメリカサイドに、日本の金融は一応危機は脱したな、大丈夫だなという感じで見てくれております。

 石原さんのことは騒ぎになっていますけれども、そういう大きな目から見たら大したことはないよという話でございまして、大体これで乗り切れていくんじゃないか。日本人は、もう一回日本の経済というものは---この間もシティの会長のジョン・リードが来ましたが、彼は日本の経済をほめてくれましてね。言いました。それはおれたちはUSAの半分でドイツも買えたよと。フランスの3倍の経済をやっているんだよと。そう甘く見てもらっちゃ困るんだよと。それとあんたの方で来るなら、それは1位と2位の連合というのは世界の経済で一番強いんだから、2位だということを忘れるな、ドイツやフランスとは全然違うんだぞという話をしたら、わかっているよ、だから、おれは来たんだというふうなことを言っていましたがね。ジョン・リードさんはシティコープ、全体の会長。そういう意味で我々はもっと自信を持ってやっていかなければならない、こう思っています。

 これからはちょっと渋い話になってお耳障りかもしれませんが。第二地銀ぐらいのところまでは大体めどがついてきたんですけれども、信用金庫さんと信用組合さんのめどがまだちょっとついてないんでございますよ。ここが一番頭が痛くて、それで、私がペイオフのときに、それはだめだ、きょうから言えばあと1年でペイオフにするぜと、そんなことだめだよと。もうあと2年くれと。今から言えば3年欲しいと。そうでなきゃおれは金融の行政をやる者としては責任を持ってやれないよといって、去年の暮れにいろいろ言いました。いろいろな騒ぎがありました。僕は余り前に出ないようにした方がいいですね。テレビに出たり、新聞に載っかりするのはしないようにして、いろいろやってきまして、結論のご存じのとおり1年だけしか延ばしてくれませんでしたけれども、1年でやれるかというと、大変しんどくなります。

 現状では1年間に信用組合は24〜25破綻いたしております。そのたびにどこかの近所の信用組合を里親にしてくっつけております。検査が入ってから破綻までが9カ月、破綻してから里親のところに行って、うまく結婚しちゃうというか、一緒になっちゃう、融合するまで9カ月と、1年半かかるんですよ。これが長過ぎますので、短くしないといけないし。しかし、同時に、400あった信用組合も300レベルですけれども、10年で100減っていますけれども、最近はペースが上がっているから、1年間に20は減っているわけで、じゃ、もう減り終わったかと言われると、わかりません。まだ自信はありません。私のところで全国の信用金庫と信用組合の一覧表をつくって、3カ月に一遍チェックしています。どこがどうだと。だから、栃木へ来れば、信用金庫8つ、信用組合が12、20、率直に申します、一つの県としては多過ぎるなと思っております。渋い話で恐縮ですが。

 例の資本比率、私の前任者の方は信用金庫、信用組合まで8%というのは冗談じゃない、そんなものは法律に書いてあるわけでも何でもない、こんなものは勝手に大臣が言っちゃいけないよといって、私がなるなり、聞かれたら、そんなことはやらない、4%でいいんだと。本当の話、4%すら守るのは大変なんですから。それから、資本比率だけで銀行を調べるのもちょっとね。血圧だけで、おまえ、病人か病人でないかを決めているみたいなところがありますから、これは手落ちなんですね。それは預貸率とか、収益率も加味して判断しろよと。人の健康をはかるメジャーとしては、たった一つでやれるものではないよと。今8%という話をしているんですけれども、4%ですらおっかないんですよ。すぐ4%になるんじゃないか、4%台と5%台、全国でどこの信用金庫、どこの信用組合がそうであるか、私のところで○がついていますけれども、検査に入ったら、今までの例ではそれが1〜2%下がることが十分あり得るんですよ。心配です。

 この中にも、ごめんなさい、ずばり申し上げて、実際問題6%を切っているところがございますよ。だけど、それだけでどうということはありませんけれども、しかし、やっぱり規模の問題もありますから、大変厳しいことを言って申しわけないけれども、信用組合だったら預金が何百億か欲しいところですね。ある程度のサイズがないと振り回しが効かない。ただ、地域地域のことですから、そう簡単に合併できない。それはよくわかると。わかるけれども、それと、これからの経営の安定ということを考えたら、どう2つの要請を乗り切っていくかということじゃないのかなと。群馬なんかも本当に谷合いごとに一つずつあったんですよ。それはなかなか難しいことはようわかるんだけれども、やっぱりそれを乗り越えていかなきゃいけないんじゃないかなと、こんなふうに見ておりまして。

 殊にせっかく延ばしましたから、今言ってくれれば、まだ私のところからお金が出せるんですよ、実際には。いわゆる金融安定のために60兆用意したと。また延ばして10兆乗っけたので、そんなに使っちゃいません。言葉がぞんざいで悪いんですけれども、くれたお金が1兆2,000億、貸したお金が15兆、それしか使ってないですよ。あとはまだ権限があるだけの話でね。ですから、今のうちにだめなのは言ってきてください。それはおれの代にこんなことをしたら、自分の首が飛んじゃうんじゃないかなんていうことでやっていらっしゃるとね――まあ、そうとも、それだけだとは思いませんけれども、もし何となく、もうちょっとたてば何とかなるんじゃないかというふうなことでやっていると、もう2年はすぐたっちゃいますよ。

 さっき申し上げたように、あの期限というのは、必要性の認定が行われなきゃいけないんですからね。2年たったときに手を挙げたら、間に合わないんですよ、これは本当は。必要性の認定というのは再生委員会――再生委員会というのは大体あと1年で消えることになる、法律上は。消えても来年の3月までは残すと。それで、次の1年間は金融庁が臨時にというか、代わりに暫定的に再生委員会の仕事をするだけですから。ペイオフを1年延ばしても、再生委員会は延びてない。機構としてはなくなっちゃう、予定どおり。それで、2年のどこまでで到着になるんだというと、再生委員会で、そこにお金を出すのは必要だという認定をするまで、そこで切られちゃうんですから。おれは苦しいんだ、金を出してくれと言われてから、それをやるのに小1年かかるんですよ。破綻しそうだ、危ないんだよといったら、検査が行きますよ、本当の話は、まずは。殊に信用組合さんは、県でしょう。県庁もしっかりやってくれているとは思うけれども、財務局へ移るのが4月1日、あと1月です。そして、移ったら、財務局がすぐ行くわけですけど、4月からは行けないんですよ。3月の決算が閉まってからじゃなきゃ、行ったって検査のしようがない。検査というのは、検査日という基準日を決めなきゃいけないんです。当然のこと、3月31日を基準日にした。皆さんも帳簿は6月まで決まらないんですよ。だから、7月以降に行かせます。今、123名――ほかの役所で定員をちょん切っているときに、私はツヅキさんにはそういうふうにお願いして、私どものさっき申し上げた550人のところに123名足してもらった。それで、この人たちと財務局の手勢とを全部入れると、約800人いるんですけれども、これが一斉に信用組合に行きます。

 もちろん監督庁のトップの方はまだ外人のところに行っていますからね。外国も、話が脱線しますが、かなり起こっていますけれども、今までは絶対に来ないと思っている。10年も来ないから大丈夫だと思ったところへどんどん突っ込むものですから。ドイチェバンクとか、メリルリンチとかね。構わない、やれと。10年行ってないとはとんでも話だ、行けと。多少、政治筋を通じた部分から文句が出てくるから、そこらは10年やってないから、3月かかったからと怒られてもしょうがないと。これから3年に一遍でいいから、一ヶ月で済ませてやるよというと、向こうも唖然として帰っていくんですけれどもね。やっぱり  ですよ。

 皆さんプリンストン債なんかを買って倒れたのは3つあるんじゃないですか。信用金庫、信用組合さんのところに、預貸率の低いところはセーフなんだと思っていたら、これが去年10月行ってみて、逆にこいつは危ないなと。すぐ調べさせたら、信用金庫だけで、組合はまだこっちの検査を入れてないから、はっきりわからないが、信用金庫だけで二十数金庫が預貸率が5割以下なんです。預貸率が5割以下ということは、100億円預かって、50億円しか貸してないということです。残りの50億円はどこへ持っていったんだと。間違いない資産に運用していますというのがプリンストン債だものだから、キタヒョウゴとかバンザイするわけですね。それから、八王子のシンコウ、これはハタヤさんの関係ある信用金庫ですけれども。

 金融資産の運用に関してはよほど慎重にやってもらいたいと。利回りだけでだまされないでほしいと。私は冗談で言っているんです。カタカナで書いてあるやつはまず疑ってかかれと。実際問題わからないぜと。カタカナは信ずるなと。まず疑ってかかってチェックしないとね。人に金を貸せば、7割だめでも3割とれるかもしれないけれども、プリンストン債を買ったら、もろもろに10割いかれちゃんですから。今、アメリカからも検察官が日本に来ています。調べにね。今ごろ調べられたってしょうがない。こっちはそのために3つつぶれているんですから。そういう意味で預貸率が低いだけでは安心ならない。

 同時に、今言ったようなことで、信用金庫さん、そういうこともあります。同時に、全体の流れから言うと、そのくせ地元からは貸し渋りだと怒られるんですよね、本当の話は。私自身の足元、世田谷なんですけれども、信用金庫一つつぶしました、松沢信用金庫。ことしの10月に近所の昭和信用金庫に頼み込んで、合併してもらうことにしました。800億ぐらいですけどね。やっぱり西へ向いて、多摩の方へ動いていって、ひところのあれは、割と東京の郊外というのは、ものすごくブームで土地の値段が上がりましたからね、あれにひっかかったんですよね。

 何を申し上げているかというと、2000年、ことし我々が今一番心配している、私が着任したときから心配しているのは、信用金庫、信用組合です。ずばり申し上げます。信用組合の方は7月から3月までの間に全部検査します、300を。それは手配がつきました。検査の仕方できついところがあったら、また、どんどん直接お教えください。あるいはここにお集まりの皆さん、蓮実さんにどんどん言ってください。書類かなんかで渡してもらったら、彼が私のところに持ってきたら、最大限考慮しますから、それは。

 しかし、何というかな、本当に危なくなっちゃっていると、救いようがないときがありますから、できるだけ早目に   を言っていただいて、いわゆる大蔵の検査が入るわけですから、蔵検が入るというので、     。それから、最近は日銀の考査がきつくなりました。率直に言って日銀の考査でいろいろばれてきた例が幾つかあります。昔の日銀考査は、私の兄が日銀の考査局長をしていたから、大体実状はわかっているんですけれども、重役室でお茶を飲みながら話をすれば済むと思ったら間違い。相当に、大蔵省以上とは言わないけれども、蔵検並みの考査になりましたから、よく対応していただいてやっていきたい。それで、危なかったら早く言ってもらいたい。そうすれば、だめな方の金融機関には赤字の分の補填を  何とか入れる方法を考える。それを引き取ってくれる里親の方が、資本比率が下がらないように、幾らか資本を注入するのは、要するに政府が出資する。さっき申し上げたように、60兆から十数兆引いたって、まだ私は40兆以上、役所としての権限があるわけですから、それでもって、できるだけのことをして、地域金融を回していきたい。


 ペイオフのときにも、それで問題になりましたが、そういう信用金庫、信用組合の関係で私がペイオフを言っているのに、外国のムーディーズとか、SPとか、そんなペイオフの延期をやったら、日本の銀行がどうのこうの言うから、そうじゃないと。コーペラティブ・エリートと言っているんですが、コーペラティブ・エリートというのは、信用組合さんは全国で20兆、信用金庫さんは全国で100兆、1,200兆という日本の金融資産がある。悪いけど、両方足しても1割だよと。その部分を我々がきちっとしよう。しかし、これが一番中小企業にとって、あるいは庶民にとって、身近な金融として問題だからやろうとしている。その時間をくれろということは、あとの9割の信用をがた落ちにするという話はないだろうと、あれだけ言ったんですけれども、おわかりいただけない方々は、ペイオフを延ばしたおまえは金融機関寄りだとか、けしからんとか、改革に不熱心だと。そういうことじゃないんだよと申し上げているんですが、今の信金、信組問題、ことしが山場だと思っています。

 そして、こちらに伺うので、もう一遍、表を自分で見直してみて、うーんと思っちゃったのが1〜2ありますわな、正直な話。信金さんも、信組さんも。ご列席かどうかは存じませんけれども。それぞれ県としての協会をおつくりでしょうから、  を  にあれしてみますれば  なんですけれども、やっていただきたいなと。

 県が指導して、県の信用組合をつくっているところがあるんですよ。これの一番でっかいのは茨城県です。梶山さんのところです。茨城県信用組合ですね。これはやっぱり信用組合で3,000億ぐらいでしょうかね、3,000億か、4,000億。県の信用組合をつくっているのは、47都道府県の場合は10カ所ぐらいあります。それは県庁が勢力を伸ばすためにやったのではなくて、信用組合さんを横につないでいくのに、結局、AとBとがくっつけていったって無理だと。県が旗を振って、ニュートラルな県といいますか、それでわっと横につないだのが茨城県信用組合。一番でっかい。7〜8行あります。大体それらは県が入った信用組合は1,000億を超しています。1,000億というのはやっぱり一つのめどだと思います。ご存じと思いますけれども、2,000億を超すと公認会計士が入りますから。2,000億を超しているところは公認会計士が入らなければいけない。

 今、日本で最高に大きいのは京都がなりました。城南を抜きました。3兆ぐらいです。信用金庫で3兆を超しました。これは京都は京都銀行の支店では総合銀行はほとんどないに等しいものですから、京都信用金庫と京都中央信用金庫というのが相争っているようなんですけれども、結局、今、中央がついた方が勝ちました。そして、その他の信用金庫は西陣の織物をベースにした信用金庫がだめ、宇治のお茶屋さん――お茶屋って、つくる方のお茶ですね、製茶業を中心にしたのがだめ、それから、お酒を中心にしたところもだめになりました。全部だめになったのが京都中央に集中してもらいましたら、結局、3兆を超しました。だけど、彼は、銀行になるつもりはないと言っております。

 したがって、そういう場合には、営業譲渡をとるか、合併をとるかといいますが、最近はもう皆さん、生き残りが苦しいものですから、里親になる方も営業譲渡しか受けないんですよ。営業譲渡と合併はどこが違うというと、合併は支店まで受け取るんです。人まで受け取るんです。営業譲渡というのは預金と債権しか受け取らないから、あとの残った行員をどうするんだと、あとの残った建物をどうするんだと、こういう話になりまして、やっぱり手仕舞いするというのは大変苦しいけれども、そこだけは僕のところへ持ち込まれても、人のあっせんまでは、僕の方は権限もなければ、やりようもないんですよね。その行員さん200名をどっかへ入れろと言われても、やりようがなくて、そのことは労働省の話だよということになっちゃいましてね。

 ですから、営業譲渡でいくか、合併でいくか、それぞれのケース・バイ・ケースでございますけれども、そういうことについても、場合によっては県の信用組合をつくるのも、蓮実先生、大事な一つの着眼点だと思いますから。信用金庫さんはここまでかなり協同組合組織にしていますから、ひとつ   どんどん手を挙げていただくといいますか、今までは出資証券が組合は出せなかった。今度出せるように法律をつくりますから、信用組合、信用金庫さんは協同組合組織法に基づきますから、これは本来、出資をした組合員の皆さんに、助け合って、もうかったときは分けて、損したときはしょい合うのが原則でございまして、他人様がかかわります場所じゃないんですけれども、そんなことを言ったら助からないから、他人様である国が出せるように、今度、出資証券の法律を変えまして、この国会に通していただければ、早いとこ、僕らは4月いっぱいか5月の連休までに通しておくれと言っているんですけれども、そういうものを通していただけたら、どんどん信用組合に資本注入、優先出資しようと。配当だけもらえば議決はいらないよというんだそうですね。どんどん入れまして、金庫そのものを強くしていきたい。

 それで、栃木はやはりではなく、大きいところ、小さいところ、やっぱり栃木県って、人口何万ですか、200万。そう言っちゃ悪いけれども、こういう難しい地形だからしょうがないかな。8つと言われると、ちょっとまあという感じがね、我々各県を見ている上から言うと、信用組合12と言われると、うーんと感じちゃいますものですから、ここら辺もひとつ蓮実先生、音頭をとって、栃木県の21世紀の金融事情を、船田先生のもとで政治の勉強をしてきたわけだから、ひとつ金融の勉強をここでやっていただいて。やっぱり声がかからないと、なかなか結婚というのはできないんですよ、こういうことは。まして、大同団結というのは、だれか、フジイ先生みたいな財界の大御所が音頭をとっていただかないとできないし、そういう意味では、そういうことをやるには、僕らから出せるのは、あと2年しかないと。このことです。話を始めるのがあと1年しかない。次の1年は手続にかかっちゃいますから、実際問題。そのぐらいのスピード感でぜひぜひという思いでございます。

 予定よりうんと長くなっちゃってごめんなさい。何かご質問があればお答えさせていただきます。随分強いことを言いましたけれども、強い口調で言っちゃいましたけれども、本当に心配しているんだというところで勘弁していただきたいと思います。どうもありがとうございました。


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