1986年11月15日

戻る目次前へ次へ


’86秋季研修会(11/15〜16) 統一地方選挙の必勝をめざして

 社会民主連合「86秋季研修会」は十一月十五日、十六の両日、秋晴れの山梨県山中湖畔「日本青年館富士青少年センター」において、各県連代表、地方議員など約百余名が参加して開催されました。

 半年足らずとせまった、来春の統一地方選挙を前に、熱気あふれる講演、討議がなされ、社民連前進のため数多くの運動目標が確認されました。

 第一日目は、午後一時に司会の倉持和朗運営委員が開会を宣言。

 江田五月代表は挨拶の中で「社・民の歴史的和解から、一歩進んで“市民の政治”をめざし市民勢力を大きく結集して、自民党のライバルとなる魅力と実力のある“新党”を結成すべきだ」と強調しました。

 続いて阿部昭吾書記長が「衆参同日選挙以降の党務報告」を行い、二分二会派問題等について、「我々が目ざす政治改革の状況を作り出す時まで、わが党が変わることはない」と述べました。

 また楢崎弥之助国対委員長は、今回の秋季研修会の基調講演「政界再編への選択肢」の中で「政府への告発を忘れたら野党としての価値はない」とお得意の楢崎節を披露し、政界再編に向けて六つの選択肢を提示しました。

 田英夫常任顧問からは「来るべき統一地方選挙に勝利し、政治改革を如何に切り開くか」との選挙方針が提出され、菅直人政策委員長が「統一地方選挙に当たっての八つの政策」と選挙スローガンを披露しました。

 その後、休憩時間をはさみ質疑と応答に移り、夕方まで――田常任顧問の都知事選出馬問題、政界再編の選択肢について、二分二会派問題、地方組織の分権・自治について、障害者福祉問題――等々で活発な意見交換が行われました。

 同日、夕刻からの懇親会で英気を養った後、二日目は午前九時から開会。

 まず、中企連の根本茂信氏による「統一地方選挙と中小企業組織化・財政対策について」の講演が行われました。

 その後で、前夜に続き再び質疑応答が行われ、地方現職議員の活動・経験交流等も含めて熱気あふれる話し合いの中、予定時間を大幅に過ぎて午後十二時三十分に全日程を終了しました。


代表挨拶  野党結集で“新党”を  江田 五月

 全国からお集まりの皆さんに、心から感謝をいたします。

 私たちは、昨年二月に「再生・前進」を誓って以来、全力で政治改革に取り組んできました。その結果、今年のダブル選挙では野党中唯一の躍進も果たしました。

 これは私たちの主張――(1)「野党の結集」、(2)「市民の政治」が、国民の共感を得た為でしょう。

 同一選で圧勝した自民党は、いざという時には野党と違って結束します。また地域活動やスポーツを通じ、市民生活にそれなりに根を張っているのも事実。野党の様に、組織や団体の顔色ばかりうかがっていても、国民の信頼を得られる筈がありません。

 中曽根政治が、政策上等で“いかがわしさ”を強めている今、「野党の結集」を一層強める事が必要とされます。

 そこで私たちは選挙後、社会、民社に国会内での統一会派を呼びかけました。しかしそれは容れられず、国会内で社・民との二分二会派を結成。政治改革の荒波に向かってこぎ始めたのです。

 その結果、衆院ではわずか四名にもかかわらず、予算委に楢崎弥之助・菅直人の両氏を送り、本会議場の演壇にも阿部昭吾・菅の両氏が登場。私たちの立場は微動だにもしていません。

 しかし国民の願いに応えるためには、社・民の歴史的和解から一歩進み、市民勢力を結集し自民党のライバルとしての魅力と実力を持つ“新党”を作りたいものです。

 日本も世界も新しい時代の幕開けを待っています。しかしまだ、その幕を開け放つ能力のある政治勢力が登場していないのです。

 この新党には、以下の二条性が必要です。

(1) 新しい国内の経済や社会の秩序を作る――円高問題等を含み新時代にふさわしい国内経済社会の構造転換をはかる。国民の努力が国民生活の安定と向上に素直につながるような政治を尊重する。産業構造調整への踏み込んだ議論が必要。教育にも自治体にも多様性をもたせる。

(2) 新しい世界の在り方を目指す――二十一世紀は米ソ両大国による世界支配終焉の時代。どんな小国にも独立と自治が保障され、全ての国が横に手をつなぐべきだ。

 私は“東チモール問題”を突破口に日本外交に倫理と道理を持ち込みたいと思っています。

 総理は、独自のスタイルで新全体主義「八六体制」を目指しています。野党がこれにからめ取られてはいけません。

 また社会党の変化にも注目したいもの。新宣言の採択、土井たか子新委員長の誕生等、今度は「十年遅かった」はないでしょう。

 それから民社党も、この新党の一翼を担う大事な勢力。公明党にも、この枠の中へ入ってもらいたい。また、サラリーマン新党をはじめ、新しいタイプの政党との関係も重要です。

 一方、来秋には「全民労連」が誕生し、政界再編に多大な影響を与える事でしょう。同盟解散の勇断は評価できる事ですし、そんな思いきりのよさが、歴史を前に進める為には必要であると同時に、総評にも、全民労連との二重加盟といった変則を避ける事を期待します。

 私たちの道は、確かに遠いかもしれません。しかし「冬来りなば、春遠からじ」――春の地方選は必ず来るのだから、とにかく元気で全力を早くしましょう。


基調講演(要約)  政界再編への選択肢
顧問  楢 崎 弥之助

 自民党単独支配に替りうる新しい政治勢力結集(新しい政権の受け皿づくり)というわれわれの結党時の旗は絶対に降ろさないことを前提として、今後の政界再編に対するいくつかの選択肢を示し、討論の資料に供したい。

 三〇七という自民党の議席を前にした今日こそ、この課題と真剣に取組まねばならない野党が、逆に例の如く足腰強化という名のタコ壷に入ってしまいつつある現状からは、国民の期待する新しい政治状況づくりは絶望的ともいえる。

 今こそ野党はもう一度真面目にこの課題に取組むべきではないのか。

1、結党時の方針である社・社・公・民十α(平和志向の民主的保守派、サラリーマン新党、税金党など市民運動派)の新党又は連合。

2、社・民の歴史的和解と市民派政治勢力結集による新党づくりへの参加(社・社・民+αの新党、公は連合)。

3、社会党が新宣言にそった体質改革を断行して政界再編へのイニシアをとる力をもちうるよう、社民連一体となって社会党と院内会派を形成する。

4、社会党が新宣言にそって新しく生まれ変わる証しとして党名を変えて(例えば「新社会党」)新党づくりに取組み、新政治勢力結集をよびかけた場合には、歴史的使命を終えたものとして社民連を解党して参加する。

※江田新党に参加するため、離党、脱党した旧社会党党員は除名処分をうけて、そのままになっている。

5、社会党が新党又は連合への熱意をもつようインパクトを与えるためと、併せて民社党が社会党との和解を真剣に考えるように、社民連一体となって民社党と院内会派を形成する。

6、現在の変則的院内会派を全民労協連合体移行の時期(来年秋)まで継続し(変則的院内会派は次期通常国会終了後見直し論議をすることになっている)、その段階の政治状況及び労働界の情勢によって会派問題をどうするかを判断する。

※現在の院内会派のメリットは、希望の委員会に所属することができ、質問時間も長くなった。デメリットとしては、社民連という政党は存在するものの、(社民連の院内控室はある)、社民連の名における院内活動はなきに等しい。

 与野党或いは野党書記長・幹事長、又は国対委員長、政調・政審会長会談などにはオブザーバーとして社民連代表が参加している。

7、以上の選択肢のなかから今後の方針を確立するタイムリミットは次期通常国会終了時までとする。


1986年

戻る目次前へ次へ